井沢元彦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
井沢元彦氏の「逆説の日本史」はやはり凄いと読むたびに思う。30年以上かけてやっと26巻で日露戦争が終わったところである。
私は文庫で揃えたいので文庫化するまで待って読んでいるのだが、週刊ポストの連載からはかなり遅れるのだが、それを読むこともしないし、単行本を買うこともしないでひたすら文庫本になるのを待って読むことにしている。日本史は、この本を読まないとわからないことが結構沢山あると思う。たとえば、日露戦争における陸軍軍医の最高権力者は、高瀬舟などの名作を多く遺した「森鷗外」なのであるが、日露戦争中に陸軍では脚気で2万7千人もの死者を出している一方で海軍では殆ど出さなかった、その責任は森鷗外にあるのだ。
というのも森鷗外は東大医学部の先輩である緒方正規の脚気病原菌説を信じており、白米ばかり兵士に食べさせていた結果、陸軍30万人中なんと22万2千人もの脚気罹患者を出してしまったというのだから驚きである。森鷗外は東大医学部の権威ある先生が最近が原因だというのだから麦飯にすれば脚気が治るなんて迷信扱いしたのだ。
とにかく井沢元彦の日本史は細かいことにも詳しいし、その細部に本当の歴史が隠されていることが多いので、面白い。
前回この本を読んでから、2年ばかりが経ち再読したが、その面白さは変わらない。日露戦争を冷静に正しく分析する為には、日本が兵站を軽視し、そればかりではなく白米を信仰して多くの日本人を脚気によって苦しめた事実から目を背けてはならない。中国と戦争をしながら、米英に宣戦布告することの非常識さは、湿地帯の東南アジアで飯盒炊爨をさせて多くの餓死者を出した非常識だと共通している。
この巻には言霊信仰についての特別編がついているのだが、ますます著者の弁舌は冴え渡っている -
ネタバレ 購入済み
変わらぬ冴えの「井沢節」。
2023年10月読了。
著者が『言霊』についての著作を始めてから、もう何十年経つのだろう?詳しく調べる術が無いが、少なくとも30年近くは経過しているだろう。かく云う自分がまだ学生時代に読んでいたのだから、それは確実だ。
何十年か振りに相変わらずの「井沢節」を堪能した。決して嫌み等ではなく、変わらぬ切れ味である。彼が提唱し続けている事柄は、少しずつではあるが人口に膾炙するように成ってきただろう。決してサザンの歌からでは無く、「言霊」と云う言葉に市民権が得られている気がするからだ。
それでも、まだまだ「歴史学」と言われる世界では、甚だ通用していないのは、「そういう教科書」しか読んでこなかった方々には、奇異に映るかもしれない。彼がずっと書き続けている事の理由の一つでもあろう。それ程《学者の頭は固い》と言う事だ。
つい先日も、著者の本を検索していたら「相も変わらず、梅原猛の軒先を借りて…」等と云う悪意有るコメントを見掛けた。彼の著作を少しでも真面目に読めば、そんなに単純では無いことは理解出来る筈だが、「論文も碌に書かない、一介の作家の屁理屈本など、理解したくもない」と云う【研究者】の類には、何の意味も無いのだろう。
自分の国の歴史を学び、自分の国の《略歴》を知り、もっと学びたいと思わせるのが本来の教育であると思うが、著者の論説が未だに「マイナー」扱いされ続ける限り、この国は「暗記ばかりでつまらない日本史」を教え続けるのだと思うと、著者が何故こんなに何十年もほぼ同内容の著作を書き続けている理由も分かるし、何とも言えない、溜め息しか出ない、切ない気持ちに成ってしまった。
この国の将来を背負う若者達が、世界へ出て「自分の国の歴史すら、まともに語れない」事が、如何に恥ずかしい事であるかを痛感する前に、一度は目を通しておくべき本として、この一冊をお奨めする。
本書を切っ掛けに、自分の国について「真剣に考える」若者が増える事を祈りたい。 -
購入済み
歴史(学)は科学か?
科学とは「客観的な方法で系統的に研究する活動及びその成果」と定義づけられている。この本を読んでいると「歴史(学)というのは科学なのだろうか?」という根本的な問題を突き付けられたような気がする。
客観的というからには文献や出土品をもとにのみ歴史を構築する となるが、著者が何度も指摘しているように文献は製作者の意図でゆがめられているケースが大半。
それならば思い切ってその当時と後世の人々の想いを想像して歴史を構築すべきだという著者の考えに同意するところが多い。
もちろん様々に考えられる仮説の一つに過ぎない ということを常に心に留めながらではあるが。
ともかく 単なる読み物としても大変に面白い。 -
Posted by ブクログ
この本を読んで、日本の歴史には連続性があることを学べました。また、今まで年表を覚えたり、断片的な歴史観を学んだ、何か無味乾燥な日本史の授業がなぜ面白くないのかということもわかった。
筆者が述べているように、歴史の根底には、日本人の信仰する呪いや言霊の影響があることは、理解できる。
さらに、ペリーが黒船で来る前に、1846年アメリカ使節ビッドルを殴って追い返したことがあったのは知らなかった。戦争にならなくてよかったよ。無茶苦茶やん❗
学校の授業では、なぜそうなったのかということは、教科書にも具体的になく、また検証するという作業を生徒たちにさせない詰め込み式であるから、きっとまともに頭に入らないのかもしれないと思った。
歴史は、決して断片的ではなく連続性があり、そこには必ず原因があるというこである。
今回、この本から考える日本史を学べたと思います。 -
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信長とは何者だったのか
日本史上最も有名で最も人気があり、その上でその評価が二分される偉人といえば織田信長である。けれども彼が本当のところ何をやったのかを理解している人は学者も含めてほとんどいない。それを斬新な切り口で解説したのが本書であり、その内容は我々の信長のイメージとは遥かに異なるものだ
著者に言わせれば、彼ほど宗教に寛容で、彼ほど万民に公正な政治家は当時いなかったという。さらに彼が虐殺好きだとか歪んだ嗜好を持っていたなどという後世の人間がよく囁く汚名を真っ向から否定している
著者の考えには賛否両論だろうが一度は日本人のして読んでおいて損はないと思われる