池田清彦のレビュー一覧
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内田樹さんんが呼びかけて「中高生向き」に書いてもらった,オムニバス本。わたしが知っていた人は6~7人だが,それぞれの呼びかけが面白かった。
本書のメッセージは,30代~70代の年代別に分かれていて,70代なんて,中高生が大人になった頃はほとんど現役ではないわけで,だからこそ,なにを呼びかけているのかが,気になる。
新型コロナによって暴き出された現代社会の矛盾は,コロナ禍が過ぎ去ったとしても,なんらかの修正を迫られるはずだ。会社に行かなくても仕事ができる…と分かったからには,満員電車に乗って会社へ行くこと自体が,すでに「必要なこと」ではなくなってしまった。密を避けることは,過疎地域では当た -
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「大教室での“話が面白い”と噂の教授の講義」に耳を傾けることに近いような感じでドンドンと読み進めた感じだ。実際、生物学関係の研究者であった著者は長く大学教員を務めていた経過も在るのだという。
内容は「漠然と抱く問題意識のような何か」に“形”を与えてくれるような感であると思う。非常に愉しく本書に付き合った…
冒頭部に近い辺りで、大きな災害の避難所で「実際に在ったという話し」が紹介されている。これには驚かざるを得ない…
500人程度の老若男女が避難所に在った。そこに“支援物資”というようなことで300枚の毛布が届いた。これに関して「この避難所の全員に行き渡らない…」ということで、結果的に黙殺されて -
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「優生学」には必ずしも興味があるわけではなかったが、この著者の著作であるということで読み進めた。
私自身は、安楽死について、著者と考えを同じくすることは、少なくとも現時点ではないが、考えなければならない論点は提供されたと思っている。
池田さんは、ツイッターでは、どこかふざけた、あるいは皮肉を込めたツイートが多いと思うのだけど、その学識の深さにはあらためて驚かされる。地球温暖化論に対する疑義について、わたしも池田さんと意見を共有するが、池田さんのこの面での著作も深い学識に支えられているのだろうと思った。
余計なことながら、私が尊敬する加藤典洋の同僚であった。 -
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書評『ナマケモノに意義がある』池田清彦著、角川oneテーマ21、2013年
評者:本の虫太郎 書評執筆日:2019年12月23日
「ナマケモノは毎日210時間も寝ているが、現代人は、7,8時間しか寝ていない。そんなにあくせくしないで、少しはナマケモノを見習った方がいいんじゃないだろうか」。南米に生息する動物「ナマケモノ」は、進化論の失敗作と見られて評判の悪い生き物であるが、、現代人は見習うべきではないかと本書は問いかける。
本書『ナマケモノに意義がある』の著者・池田清彦は、生物学者で早稲田大学教授を務める。多元的な価値観に基づく「構造主義生物学」を提唱して注目されている。『環境問題の -
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これがどうして、初歩とはいえないほどの最新知見のてんこ盛りである。
詳しい仕組みについては、池田先生の解説を読むのが一番だ。
むずかしいことを平明で簡潔に言うことに関しては、右に出るものなしである。これでわからないのならば、図解本か、それとも時間をかけるしかない。わたし自身は、二日で読めるだろうとの著者の意に反し、もっと長いことかかってしまったが。
生命に対し、概観として、二つの新たな学びがあった。
というのは、一つに、生命は、物理の法則のなかで、何かを「禁止」することで成り立つことである。
不自由であることで生まれる、その生命らしさ。これは、ずいぶん奥行きのあることではないかと思うが浅 -
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2010/10/8 新刊棚で見つけて借りる すぐに 読み始める。 10/29 読み終わる。
ちょっと目を惹くタイトルだが、中身はまじめな! 生物学の本です。
単細胞生物から、複雑な生物まで とにかく不思議で面白いことがいっぱい。
増殖・複製、永遠の命、染色体、生物の性の巧妙さといい加減さ・・・。
本書に書かれていることを、部分的には聞きかじったりしていたが、
わかりやすくまとめられていて 目からウロコ 以上の 驚きです。
内容と著者は
内容 :
1回の生殖で一生分の精子を貯める女王バチ、個体で性別を変化させるミミズ…。
生物によって異なる性の決定システムから、性の起源、性のメリット・デ -
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ネタバレ情報が溢れている現代において、ある言説が正しいとされると、それに従って様々な制度が作られると同時に、物的資源や人的資源を確保し、法的な整備がなされることも多い。そして、その制度に依存して生活する人が増えていけば、その制度の基礎となった言説の正当性を問うことは、現行のシステムをひっくり返すことになるわけで、システムを維持・運用する利権が大きいほど反対意見は無視されていくのである。
特に、健康、安全、環境がらみのウソに人々は騙されやすい。それは、人間が強く「死にたくない」という願望を持っている動物だからである。何かが健康や環境に良いという話が出来上がると、それに対しては誰も逆らえない状況が生まれ