池田清彦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
対談形式でテンポよく日本のオスの現状と2人が考える理想の「オス」、オスの本懐について論じていくユーモアに溢れた作品であった。
特に興味深かった点は2つあった。
1つは猿の一種ボノボのメス同士がお互いの性器を擦り合わせることを「ホカホカ」と呼ぶこと。
もう1つは、他人の自由の侵害をしない限りは何をしてもいい、ただ恣意性の権利は能動的なものに限られて受動的な恣意性の権利はないということ。
つまり誰かに対して、こちら側からの行動を決める権利はあるが、あちら側からの行動も自分が決められると主張する権利は無いということだ。
当たり前だけど、誰かに何かをしてやったから向こうも何かをするのが当然だという気持ちでいては駄目だということを改めて確認できた。
これ以外にも多くの面白い話がありとても読みやすい一冊だった。まさか子供の頃テレビで見てた人の本を読む事になるとは思わなかった。
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Posted by ブクログ
ネットで新刊を見ていたのですが、タイトル(人はなぜ働かなくてもいいのか)を見て衝撃を受けて衝動買いしました。手に届いてから、読みかけの本を差し置いて最後まで読んでしまいました。「働いて働いて」の高市首相は凄いなと思って見ていますが「働かなくてもいい」と説いている背景・考え方を知ることができました。
言葉だけは聞いたことのあった「ベーシック・インカム」や「資本主義の限界」も私の中で繋がったように思います。今は1つの時代が変わる時期なのかもしれないと感じました。
以下は気になったポイントです。
・狩りや採集は、あくまでその集団が生き延びるために必要な範囲に留められる、言い換えるなら自分たちが暮らす環境の持続可能性を維持するために、 ブレーキをかけながら生きている。 そんな中では働きすぎるものは集団にとって邪魔な存在である、 あまり働かないことは、それが怠惰だからではなく「働きすぎない」ことこそが生き延びるために重要だからである(p32)
・肝臓の細胞も、目とか皮膚とか他の臓器や器官を作るための遺伝子を持っているが働いているのは 肝臓 を作る 遺伝子だけである。 その他の遺伝子はそこにあるというだけで働いてはいない、他の遺伝子が働かないからこそ 肝臓は健やかに保たれる(p35)
・ ホモサピエンス が意思疎通ができるようになったのは、遺伝子が変わらず 遺伝子を動かす システムが大きく変化して、ほぼ同じ遺伝子でありながら脳に大きな 構造変化が起こったのだろうと考える。 大きな 構造上の変化は遺伝子の突然変異というより、むしろ 遺伝子の発現ををコントロールするシステムが変化することに起因するだろう(p40)
・人口増加の大きな転換点になったと考えられるのが、7万から3万年前に起きたとされる「認知革命」である、 この認知革命という劇的な変化の中核にあったのか「 現実には存在しないもの」 を頭の中で描き、 しかもそれを他人と共有できる力であった。 目の前にいない 存在を信じたり、 起きてもいない出来事を語ったりすることが人間には 可能になった。 その結果 精霊 や神と言った 観念が生まれ、神話や宗教が 形作られていく(p42)
・ 1万年前までには世界中の ほぼ全ての場所に住むようになった人間は、その土地に住む大型動物を次々と狩り尽くしていった、マンモスは数種類が存在していたが 1万年くらいにはその大半が姿を消している(p45)
・三内丸山の 縄文 集落は1700年ほど続いたようだが、結果的には崩壊している。おそらく 主力であった国の収穫が気候の寒冷化によって不安定になってしまい、 500人規模の集落は維持できなくなったのであろう。人々は 少人数で適当な 居住地を探し、より「こじんまり」とした暮らしへと戻っていった可能性が高い(p50)
・農耕は 人間が賢くなった から始めたというより、 それをしないと生きていけない 状況だったことで始まった可能性が高い、つまりオーストラリアで農耕が始まらなかったのは、その土地で狩猟採集生活で十分生きていけたということかもしれない(p51)
・犬が比較的従順で人の指示に敏感なのに対し、猫がどこか気まぐれで「 ツンデレ」なのは出自と関係している、犬はタイリクオオカミの 子孫なので群れで生活し、 リーダーに従うという性質を受け継いでいるが、 猫は リビア 山猫の子孫であり 単独生活者 だからである(p57)
・日本は1873年(明治6年)の地租改正によって、「年貢米による納税」から 「通貨による納税」へと転換が行われた、この時から米ではなくお金で税を払うことが国民に義務付けられた、この納税手段の変更により、人間が「何のために働くか」という前提条件を決定的に変えることになった(p65)
・ 資本主義の目的は、生産そのものよりも「 利潤の獲得とその最大化」が設定されている。 何を提供したかより、どれだけの利潤を得たか、どれだけそれを最大化した のかの方に価値がある(p78)
・ 経済成長というのは 単に 努力の問題ではなく、 未開拓の 市場がどれだけ残っているかに左右される、 日本では作る人も買う人も自然に増え続けるという前提はもはや過去のものになった(p82)
・経営者に対する評価軸が売上より株価ということになれば、利益を 設備投資や賃金に回して市場を拡大するよりも、 自社株買い や配当の増加によって 株主価値を高めることが優先されるのは自然なことである。 その理屈で考えるならば 社内に留保したり 金融資産として運用する方針をとるほうが合理的である(p85)
・そもそも「 持続可能な開発」という言葉自体に矛盾がある、「持続可能」とは均衡や維持を意味するが、「開発」は 拡張 や 膨張を意味する。成長を前提とした拡大型経済の 枠組みのままで 持続可能性を実現するなんてことはほとんど不可能な話である(p90)
・十分に報われないことが分かっていても、人がたくさん働くことをやめないのは、単に経済構造の問題だけではなく、長い歴史の中で内面化 された価値観に強く 拘束されているからなのかもしれない(p96)
・以前は、働く者と買う者が 別の階層に属していた、そういう社会であれば 人件費の削減はひたすら利益を膨らます方に働いたに違いない、ところが 現代の資本主義社会ではそうはいかない、 なぜなら 労働者は同時に消費者でもあるからである。 AI によって 労働者が不要になると、無職の人が国中に溢れるようになり、 商品を買う 力が失われていく。 商品の供給能力が高まる一方で 需要は 縮んでいく。 どれだけ大量にしかも 安く 生産できたとしても、それを変える人がいないという状況が生まれる。 これは資本主義にとって致命的である、 なぜなら 資本主義というものは「物を作る」仕組みなどではなく 、あくまでも「作ったものを売ることで 利潤を得る」仕組み だからである。ものが売れなければ当然 利潤は生まれない、 だから 拡大も再投資も成立しない。 つまり、 お金が回らなくなれば資本主義は破綻してしまう(p98)
・資本主義を維持するためには「 働かなくても最低限の 購買力が維持される仕組み」を考える方が合理的である、人を「お金を稼ぐために働く」ことによって駆り立ててきた 資本主義を維持するために「働かなくてもお金が得られる」という制度を導入するというのは何とも皮肉な話であるが、 これは AI 化がもたらす新しい生産構造に適用するための新たな システムの構築 だと見ることができる(p99)
・ ベーシックインカム というのは弱者救済の制度だと思われがちだが、 実は資本主義という枠組みの中で失業した人にとっても、 利潤を追求する側にとっても十分に合理的な制度である。 AI 化がどんどん進み 労働力が不要になって失業者が増大すれば、購買力は激減する ならば、ベーシックインカムを導入 せざるを得ない 未来は必ず来ると思われる(p102)
・1%のインフレが起こると貨幣の価値は1%下がる、1億円持ってた人は1000万円の損失である、 一方 300万円を持っていた場合は 購買力は297万円であり 3万円の損失に過ぎない、 そこにベーシックインカムとして50万円が支給されると合計347万円の購買力を持つことになり、ベーシックインカムによって生じた インフレによる損失はベーシックインカムによって補填される。 1億円持っていた人は50万円が加わったとしても9950万円の購買力となり 50万円分のマイナスとなる(p106)
・ベーシックインカムを導入するのであれば配ったお金が市場で 使われなければ意味がない、 溜め込んだり株に投資したり借金の返済に使ったりすると経済は回らない。 従って ベーシックインカムで支給された家の7割は消費に回す、といった条件を設けることが大事である(p106)
・ 経済は突き詰めれば「どれだけものやサービスを生み出せるか=供給」という生産力と「 それを買おうとする力= 需要」との関係で動いている(p116)需要が供給能力を超えた時にインフレが起きる、 デフレが起こるのは需要に対して供給が多すぎた時である(p117)
・ スリランカの財政 破綻は、1)外貨建て債務を抱えていたこと、2) 生産力を大きく上回る通貨を発行し インフレを制御できなかったこと、に起因している(p123)
2026年4月29日読破
2026年4月29日作成 -
Posted by ブクログ
ネタバレ感銘受けたところ以下引用
オスよりメスのほうが細胞が大きいのでオスはそこに寄生する形でオスはDNAを残す。オスにとってはプラス、メスにとってはむしろ損。少なくともメスにとっては“性”が何のためにあるか分からない。
メスにとっては性はコストがかかるばかり。自分だけで子供を作ったほうがよく、抵次元、起源のメスは有性生殖でなく無性生殖でも先祖を残せる。
クローンが確立すれば人間でも女だけで子供が作れる。クローンに反対しているのは男だろう。
オスは基本的には生殖以外には不要。おおむね生殖のあとは用無しで捨てられる。
原核細胞のときは元々死なない。メス×オスの2nの細胞になると寿命が発生し死ぬ。不死の拘束から逃れ自由を得た、死ぬ能力を獲得したが、複雑な生き物になるためには死すべき運命を受け入れたと言える
(うっかり有性生殖しなければ死ななかったし、死なないほうが普通だった。アメーバなどは好適な環境であれば死なない)
“死”は悲しむべきことではなく生物にとっては喜ぶべきことかもしれない。そのおかげで我々は多細胞生物になれ、複雑なシステムを手に入れた
死ななければ子孫の資源を奪ってしまうし、親が生きて子供も増えると競争、餌の取り合いが生まれる。
メスは子供を作るのにオスは要らない。メスは大きくて資源もある。オスは絶対に自分だけでは子供を作れないからメスを乗っ取らなくてはならない。
メスは重要だがオスは余剰でムダといえる。オスのかわりはいくらでもいる。人間でも危険なことをして死に急ぐのはオスだ
卵にとってみるとセックスするのは損である。どうせならいい精子を選びたい。
オスはどんなメスとくっついても得するから相手は誰でもいい。オスはメスを騙してなるべくたくさん種付けをすることが重要。そのためにオスは涙ぐましい努力をする。
オドリバエはオスがメスにあげるプレゼントをどんどん格下げし挙句には包装紙のみの空のプレゼントをあげる。それを気に入られている間にセックスする
ミツバチのオスはメスと交尾すると必ず死ぬ。性器ごとあげてしまうので腹がちぎれ体液が漏れて死ぬ。オスはメスに種付けする道具みたいなものだ。まあ早かれ遅かれ死ぬんだけど。
基本的にはオスはセックスしてさっさと逃げる戦略をとる。
チンパンジーは性的に活発のためペニスも比較的大きい。チンパンジーと人間の差はあまりない。
レイプする動物は人間とオランウータンだけ。
男性ホルモンは筋力を高める半面免疫系を弱らせる効果もある(マッチョが風邪引くのはこれ?)そのためオスは体が弱く死にやすくなる。男性の寿命が短いのも男性ホルモン(テストステロン)のため。X染色体はメスの2本にくらべオスは1本しかないのもやや関係している。
オスは腕力が強いだけ、病気にも強くなく寿命も短い
ネズミは、過剰な男性ホルモンは性的欲求を強くしすぎ、死を早める。去勢するとネズミはメスレベル、あるいはメス以上に長生きする。人間もそうかもしれない。
若いライオンのオスはプライドを乗っ取り前の主の子供を殺す。ライオンのメスは子育て中発情しないから、オスは自分の子供を作れないからだ。
基本的には生き物は一夫多妻。
オスは子孫を残すためならメスだけでなくオスすらも騙す。
オランウータンの弱いオスは生殖能力はあるのだが社会的には大っぴらにセックスできない。
人間の女は発情期がわからないようにふるまうので常に男性を惹きつける。男は常に女に興味を示さなければならなくなった。やはり女は男よりしたたかだ。
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Posted by ブクログ
生物学者で、カミキリムシの収集家の顔もある著者。本書を執筆した頃は70歳を超えて定年退職し、自身の経験や境遇も交えて『いい加減が丁度いい』生き方と、『日本のバカさ加減』への反発を怖い物なしの姿勢で語る。
著者は定年後の本書だけでなく、昔からハッキリと世間に対する主張をしてきたようだ。『日本のバカさ加減』については、コンプラ至上主義に対して『ルールを守ること自体が目的化している』ことや自己責任という考え方が衰えた風潮に対する批判に大いに共感を覚えた。しかし時折左寄りに過ぎる発言が目立つのが残念で、話半分とまで言わずとも3分の1くらいは差し引いて読んでおきたい。
良くも悪くも、『自分』をしっかり持って長い人生をほどほどの力加減で好きに生きてきているお手本にはなる。 -
Posted by ブクログ
オスとは、とにかく冒険する存在。
人間は飽きる存在。好きなことだけやってたら飽きるのは当然。苦労とかしたくないことも混ぜながらで、飽きずに続けられる。
結局好きなことやって他の人が、とか考えずにやってた方が健康で暮らせる。あとは自分の長所が活かせる、敵が少ないところに移動して活躍せよ、って感じ。歳とっても禁欲しないでいたら元気でいられる。したいことをして、前頭葉を活発にして元気になるとのこと。
エロに限らず興味があるならできるうちに、恥ずかしがらず楽しんだ方がいいと思う。
そうだよな。
他人の恣意性の権利を侵害しなければ何をしても自由だ。
公平や平等に固執するやつに限って、裏では偏見が強かったり、弱い立場の人を下に見ていたりすることが多いんじゃないか。
同じルーティンを続けていると前頭葉がまったく刺激されなくなる。意欲がなくなる。自分の好きなことやりたいこと、欲求の赴くままに生きること。
あとは楽できるところは楽して。AIが使えるんだったら、それを使って楽しようぜ、ということ。
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Posted by ブクログ
オスがオスらしく生きるためにどうあるべきか、医師と生物学者が本音で語り合う!
〇若いオスのヘンな行動の意義
〇老いたら「心のエロ度」を全開に
〇我慢がオスの生命力を奪う
〇メスを敵に回してはいけない
〇モテる男はズラし上手
〇オスの行動と精子の動きはリンクしている
〇不倫は生物学的には正しい行動
〇日本の「男女平等」にはバグがある
〇「置かれた場所」でなんて咲けない
【まえがきにかえて】より抜粋
今回のテーマは「オスがオスであるために」というもので、これは、中高年以上の男性にとっては切実な問題で、長くオスでいられることはすなわち、若さを保つことに直結します。
【あとがきにかえて】より抜粋
エロを捨てて長生きして「なんぼのもんじゃい」と和田秀樹さんは強く主張され、凡人はエロに走ったほうが人生楽しいよと思っている‼️【目次】
第1章 オスという不治の病
いってはいけない、本当のこと
エロ抜きで長生きしてもしょうがない
「エロじじい」を蔑む元気のない国
若いオスのヘンな行動が社会を変える
コレステロール値よりテストステロン値
ホルモン補充療法における男女格差
老いたら「心のエロ度」を全開に
割り勘にしたがるオスは本能に背いている
男の「老いらくの恋」、女の「おばあさん仮説」
遺伝子を残す戦略はオスとメスで異なる
メスによるシビアな品定め
我慢がオスの生命力を奪う
歳を重ねるほど、女性に求めるもの
「結婚できない」の言い訳とは
第2章 セックスはなぜ快感なのか
メスを敵に回してはいけない
モテる男はズラし上手
医者と結婚したい女性は何をするか
男は「女なら誰でもいい」?
なぜ人間だけセックスが快楽になったか
人間であるがゆえの「タブーを破る楽しさ」
擬似セックスをするサル・ボノボ
オスの行動と精子の動きはリンクしている
「不倫」は生物学的には正しい行動
禁欲のフロイトと発散のユング
「我慢」で前頭葉は萎縮する
嘘の起源
「男女の非対称性」は生物学的な大前提
第3章 ポリコレがオスを弱らせる
日本の「男女平等」にはバグがある
生物学では性自認をどう捉えるか
「心身の性の不一致」は自然なこと
競争が子どもの自己肯定感を高める
「置かれた場所で咲きなさい」の嘘っぱち
他人の恣意性の権利だけは侵害しない
コロナ禍であらわになった日本人の自己家畜化
ポリコレに逆行するテレビ局の「顔採用」
アドラー「共同体感覚」の欠落とダンバー数
なんとなくの空気、メディアと視聴者の罪
第4章 オスが輝かしく老いるために
誰が「おじいさん」だと決めるのか
「年齢の壁」をめぐる客観と主観の落差
サーチュイン遺伝子と長寿の関係
老いは「一つの病気」という仮説
権威にとらわれる町医者よりAIがマシ
人間よりAIと結婚したい男が増える?
「オスが輝く健康十訓」
その一、禁欲とガマンをやめる
その二、ルーティンを捨てる
その三、なんでもいいので好奇心をもつ
その四、男たるもの「はぐれ者」であれ
その五、健康診断は受けない
その六、病院は自分で「異変」を感じたら行く
その七、「細く長く」ではなく「太く長く」生きる
その八、テクノロジーを受け入れる
その九、生き残るために「頑張らない」
その十、「能動的適応」でとにかくラクな道を選ぶ
「能動的適応」ができない種には死が待つ