池田清彦のレビュー一覧
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『構造主義科学論の冒険』(講談社学術文庫)や『科学はどこまでいくのか』(ちくま文庫)につづく、著者の科学論が開陳されている本です。
本書では、著者の「構造主義科学論」にもとづいて、同一性を記述することが科学という営みの本質であるという考えが語られるとともに、そうした科学という営みを歴史的ないし社会的な観点から考察して、オカルトとの関係についての議論が展開されています。
科学はオカルトを起源としながらも、オカルトとは異なり客観性を担保しうることで正統な知として社会に承認されるようになったことや、そうした正統な知としての科学によってすくいとることのできない領域に心霊主義などのオカルトが流行する -
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ほとんどを朝のウォーキング中に、スマホの読み上げ機能で読んでしまった。軽いノリで、けっこう考えさせられる意見を言ってくれていて、早朝頭の活性化にもつながるね。この人の本は何冊か読んでいるし、テレビでもみたことがあって、なんかすっとぼけたじいさんだなぁ、という感はあるんだけど、そこが楽しいと思う。はじめて読んだときにたしか「リバータリアンである私は・・・」的な言い方をしていて、なんだこの人?とちょっと引いたものだけど、いずれの論説も斜に構えているようでスジが通っている言説なんじゃないかと思う。まぁすべてにそうだ、そうだとは言えないにしてもさ。
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生物学者で早稲田大学名誉教授でもある著者が国家や人生などについて自身の哲学を書いた一冊。
国家や死生観など様々なことについてほどほどでいいということを自身の経験や価値観から書かれており一つの考えとして感慨深いものがありました。
国家の拡大や人口増加、資本主義について大きくなりすぎる弊害について学べただけでなく生物学者として人間や他の生き物が生存しているメカニズムなども盛り込まれており勉強になりました。
また著者のベーシックインカムに対する考えも興味深いと感じました。
本書を読んで資本主義のシステムというなかでいろいろなものが増えるにつれて欲を満たすため働き、また欲が膨らむという循環の只中に -
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先週(2021.1末)本屋さんに行った時に見つけた本です、副題にある「不良老人のすすめ」が気になりました、また本の帯にある「健康も安全も何が最善かを決めるのは自分だけである」というフレーズにも惹かれて読んでみることにしました。
私より20歳くらい先輩である著者の書かれていることは、実際の体験をベースに、さらには生物学者の観点から書かれていて、今後数年以内には別のステージに移行する予定の私にとっては為になる部分が多かったです。
私がこの本から受け取ったメッセージは、自分の老後(いわゆる60歳定年以降)は自分の基準・価値観で決めるべきで、外部情報に惑わされたり他人との比較は意味がないということ -
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大学は勉強するところではない。大学とは、知識を商品のように学生に売るところではありません。知とはデジタルデータではなく、身体と感情を持った人間一人一人が身につけ、実践し、対話し、試行錯誤する中でしか役立たない。
あらかじめ用意された正解をたくさん覚えることが優秀だというのは、いわば知識ベースの勉強です。しかし、非常事態に対処するには、そんな勉強だけでは限界があります。そこで力を発揮するのが、物事をいろいろな角度から観察し、今までに知った事実と組み合わせて、全体の構造を考えるという知性ベースの学びです。
まだ答えがない問題への対処については、先生と生徒の立場は対等です。 -
- カート
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試し読み
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ネタバレ・私は『人間、このタガの外れた生き物』で池田清彦先生に出会いました。自分を知るという意味でも、社会を知るという意味でも、世界を知るという意味でも、生物学という視座が極めて有効だと思いました。
オトコとオンナの生物学 (PHP文庫-2016/6/3)>>を『人間、このタガの外れた生き物 (ベスト新書– 2013/5/9)』『世間のカラクリ (新潮文庫-2016/10/28,単行本–2014/9/18)』『マツ☆キヨ:「ヘンな人」で生きる技術 (新潮文庫–2014/4/28,単行本–2011/8)』に続いて読みました。第2章は月間誌『くらしラク~る♪』(2015年4月号~9月号)に -
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BSEや地球温暖化、クローン技術など、さまざまな問題をあつかった科学エッセイです。
著者の議論を支えている柱のひとつは、著者が「好コントロール装置」と呼んでいる近代国家のパターナリズムに対する批判だといえるように思います。ただし本書は「リバタリアンのすすめ」といったような内容ではなく、科学的な装いを施したパターナリズムに対して科学者の立場から問題点を指摘するというものとなっており、興味深く読みました。
本書の議論を支えるもうひとつの柱となっているのが、著者のいう「構造主義的科学論」の視点です。これは、あらゆる科学の理論は「同一性」というものに依拠して組み立てられているという科学認識論上の立 -
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ネタバレ
第2章の「情報化社会」の少数派として が特に印象的だった。私はまさに卒業論文に苦労した身だから、2人の話していることは耳が痛いものだった。インターネットで検索すれば知りたい事を直ぐに知ることができる時代だが、自分の頭で考える事が大切で、考える事が人間を成長させていくんだと思った。
コミュニケーションの本質は人と意見を交換し、自分や相手が変わる事。自分の軸を持つ事も大切だと思うが、相手の意見を取り入れる柔軟さも必要だと思う。
ツッコミどころは、ツイッターなんてやらねえと言っていた池田先生が今はツイッターをしている事。(リツイートばかりで先生自身が呟く事はあまりないが)時が経てば考え方も変わ