芦辺拓のレビュー一覧
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作家が古書店で見つけた本にまつわる物語に巻き込まれていくような話が綴られた短編集。この作家の作品を読むのは初めてだが、あと書き読む限りではかなり私小説的な要素があるらしい。
古本屋通いハマったことのない自分には分かり得ない心境がなんとなく入り込めなかった理由か。この手の不可思議物語はドラマや映画、小説でいろいろとあるだけに、一つ一つの物語の世界に引き込まれていかないと、十分楽しめない。
最後の物語、奇譚を売る店、ということで短編集をまとめる展開は面白いと思ったが、あとがきや解説は無い方が謎めいてよかったかな。まあ、文庫本だからこんな感じというところか。 -
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芦辺拓の長篇ミステリ小説『殺人喜劇の13人(英題:Thirteen in a Murder Comedy)』を読みました。
ここのところ、国内の作家の作品が続いています。
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京都にあるD**大学の文芸サークル「オンザロック」の一員で、推理小説家を目指している十沼京一は、元医院を改装した古い洋館「泥濘荘」で、仲間とともに気ままに下宿暮らしをしていた。
だが、ある日メンバーの一人が館の望楼で縊死体となって発見される。
それをきっかけに、次々と死に見舞われるサークル員たち。犯人はメンバーの一員か、それとも……?
名探偵・森江春策初登場作にして本格ミステリファン必読の書。
第1回鮎川哲也賞受賞作。
著者あとがき=芦辺拓/解説=千街晶之
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1990年(平成2年)刊行された芦辺拓のデビュー作品で森江春策の事件簿シリーズの第1作……第1回鮎川哲也賞受賞作で、『弁護士・森江春策の事件』としてテレビドラマ化された作品です。
■綴じ違いの断章
Ⅰ
■序章 奇人が集まった愛の園
■第一章 翼手竜の鳴く夜には
■第二章 泥濘荘検屍法廷
■第三章 暗がりに影を落とすもの
■第四章 遠く時刻表の遥か
■第五章 枕に中毒(あた)って殺された
■第六章 家探しガサ入れ大掃除
■第七章 死者に捧げる捜査メモ
■第八章 殺人講義レッスン一
■第九章 虚ろなものは死体の顔
■第十章 箸と鍋とでクリスマス
■第十一章 密偵(いぬ)には鞭を惜しむなかれ
■終章 血の文字を書いたのは誰だ
Ⅱ
■1 森江春策、京都に帰る
■2 森江春策、傍聴席につく
■3 森江春策、説明を開始する
■4 森江春策、実演に移る
■綴じ忘れの最終章
■創元推理文庫版のためのあとがき
■解説 千街晶之
縛り首、毒殺、密室、連続殺人の恐怖! 京都にあるD**大学のミニコミ誌サークル「オンザロック」の会員たちが利用している共同下宿・泥濘(ぬかるみ)荘で会員の一人が縊死体で発見される……それを皮切りに止まることを知らないかのように連続殺人が繰り広げられていく、、、
残った仲間の誰が犯人なのか!? 会員でもある探偵作家を目指す十沼京一も知恵を絞って推理を展開していくが……友人たちを助けるため、素人探偵・森江春策が立ち上がる。
青年探偵・森江春策初登場作にして本格ミステリファン必読、大幅改稿で贈る第1回鮎川哲也賞受賞作。
D**大学のミニコミ誌サークル「オンザロック」の会員たちが次々と殺されていくというストーリー……時刻表トリックに密室トリック、暗号解読、アリバイ工作、誘拐、血文字によるダイイングメッセージ、劇中劇的な展開 等々、本格推理に欠かせない要素がたっぷり織り込まれたうえに、 犯人の正体や動機に意外性もあり、本格ミステリ好きには堪らない作品に仕上がっていましたね、、、
13と言う数字への拘りも凄かったなー ちょっと詰め込み過ぎ感があることや、マニア気質が強いことがちょっと気になったかな……でも、愉しく読めました。
以下、主な登場人物です。
十沼 京一(とぬま きょういち)
D**大学ミニコミ誌サークル「オンザロック」の会員。
本作の前半部分の語り手。探偵作家を目指して小説を書いている。
森江 春策(もりえ しゅんさく)
「オンザロック」誌の客員執筆者。ずんぐりした体躯のボサボサ頭。
大学入学以来、十沼の小説の愛読者であるが、十沼が考え出したトリックをことごとく見破っている。
水松 みさと(みずまつ みさと)
「オンザロック」の会員。清純派アイドルのように可愛い。
錆田 敏郎(さびた としろう)
「オンザロック」の会員。バサバサ髪に薄あばたのカボチャ面。
少女漫画愛好家。泥濘荘の望楼部分で首吊り遺体で見つかる。
加宮 朋正(かみや ともまさ)
D**大学法学部3年生。みさとの恋人。宮崎県都城市出身。
帰省のために乗っていたブルートレイン《彗星3号》の車内で刺殺体で発見される。
瀬部 順平(せべ じゅんぺい)
「オンザロック」の会員。仕送りとバイト代の大半を映画のフィルムにつぎ込んでしまう映画マニア。
泥濘荘の一室で一人で映画を見ている時に喉を切られ死亡する。
小藤田 久雄(ことうだ ひさお)
「オンザロック」の会員。自室で枕に仕込まれた毒針で死亡する。
堂埜 仁志(どうの ひとし)
「オンザロック」の会長。温厚な性格。元ワンダーフォーゲル部員。
海淵 武範(かいぶち たけのり)
「オンザロック」の会員。全国紙の編集局で編集補助員のバイトをしている。窓に頭を突っ込んで死亡する。
蟻川 曜司(ありかわ ようじ)
「オンザロック」の会員。毒舌で皮肉屋。
野木 勇(のぎ いさむ)
「オンザロック」の会員。
須藤 郁哉(すどう いくや)
「オンザロック」の会員。毒物によって中毒死する。
堀場 省子(ほりば しょうこ)
「オンザロック」の会員。十沼の恋人。十沼の小説の挿画を描いてくれる。
日疋 佳景(ひびき よしかげ)
「オンザロック」の会員。会員の中で唯一泥濘荘に住んでいない。
乾 美樹(いぬい みき)
「オンザロック」の会員。かたせ梨乃と見紛うようなナイスバディ。 -
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町の小さな古本屋で見つけた1冊の本、パンフレットから雑誌、上下巻の本まで、名著とは程遠い物を手に入れ、開いたことから、その書物の中に取り込まれていく一人の作家の短編6篇。
アナクロな雰囲気で、1960年くらいの話かと思いきや、突然ネットオークション等の話が始まる、現代の話である。ただ、全体的に江戸川乱歩の『少年探偵団』シリーズや、桑田次郎の『まぼろし探偵』を意識したような世界観に、取り返しのつかないような絶望的な幕切れに、現代のミステリやホラーにはない、退廃的な空気を感じる。
6篇のそれぞれが独特の世界観であるが、やはり”ムラ”を感じてしまうのは致し方ないところ。昭和の漫画を解説する部分はややもたつく感じがあり、一方で『時の劇場』のスピード感は魅力的である。
最後の章はどうなの?という話では有るものの、全体には最近あまり見ないタイプの作品で、満足度は高め。ただ、あとがきはともかく(その時点ですでにやりすぎ)、解説でも同じネタを引っ張るのはどうなんだろうねえ。 -
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邸内を和時計に埋め尽くされた大邸宅で遺言状を巡るとおぼしき、連続殺人が起き、顔を包帯で隠した怪人まで徘徊するという、あえて「探偵小説」を目指したと作家さんが語る長編。ここでの「探偵小説」って横溝作品のことですよねという感じで終幕ではシリーズ探偵の森江春策が和服姿で蓬髪をやたらにかき回すというお遊びまで。迂生も新本格なんてムーブメントが生じたのは横溝氏の新作が読めなくなったからだとか思ってた口なので、こういうのは好きです。よくあるトリックを使い方で新鮮に見せるというハウダニットも楽しい。ただ、和時計の説明はあまりに煩雑すぎて付いてけなかった。
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同じシリーズの『813の謎』を、娘(八)に続いて読んだことを娘に伝えたら、「私の読んだものを読みたいと言うのなら、こっちのルパンの本ももう読み終わってるからお読み」という趣旨のことを言われたので、読んだ。確かにそういえば、813よりも前に、はじめのうちは夫が読み聞かせる形で読んでいた。途中から自分一人でいつの間に読み終わっていたらしい。
絵本や漫画ではなくある程度長さのある読み物で、世界古典名作的位置付けの作品としては、このシリーズのルパンものが、娘の読書史上初めてそこそこ自主的に読もうとしている本だと思う。だから私も、ルパンシリーズを読むのはほぼ初めてなのだが、どんな面白さの作品なのだろうという一般的な興味に加えて、これが近ごろうちの子を惹きつけているルパンかねどれどれ、という気持ちで読んだ。
まず、絵が現代風で今の子的に受け入れやすいのではないか。大人たちも、翻訳文学の新訳版が出るとみんな「読みやすくなった」などと喜ぶけれど、こういった本の絵も「なんか古くさい」「可愛くない」と思ってしまったら、とっつきにくい。また、ぱらぱらっとめくったときの絵のページの割り合いも絶妙で、名作を読ませたがるような大人に「絵ばっかり!」と思わせず、かつ名作を読まされようとしている子どもに「字ばっかり!」と思わせない、ちょうどいい分量になっている気がする。
実は初めてこのシリーズを書店で目にしたときは、「アニメっぽい絵だなあ、私が子供の頃はもうちょっと真面目風な本を読んだものだ、こんなものには頼るまい」と思った。が、こうして恩恵にあずかっている今や、「いやはやよくできた本ですなあ!さすが学研さん!」に変わってしまっている。我ながらなんと現金なことよ。
そして、物語の魅力については私が今さら述べることはないが、なぜなぜどうしてこんなことが可能なの?という謎で引っ張られていく楽しさや、その種明かしがされてなるほど!やられた!と唸る瞬間の快感や、ヒーローたるルパンのことを、すごい!なり、かっこいい!なり感じてワクワクすることや、馬車の時代の風景やら、ルパンが美しいと愛してやまないパリの街やらを想像することなど、が渾然一体となって、本を読む時間を楽しいと娘が思ってくれているならいいなあと、親としては思う。
純粋な私の感想は、少女時代のミステリーとの出会いが大まかにはホームズ→クリスティ→エラリーだった身としては、盗む方が主役なんだ!という新鮮さがやはりある。また、種明かしの“種”がルパンの並外れた能力に負うところが大きい点も、名探偵が推理披露する際のパズルのピースがパシパシはまっていくような快感とはちょっと違う。これは、楽しみ方を間違えると不幸な読書になるかもしれないと思った。そしてなんといっても明るい。ルパンはいつも自身と余裕があって楽しそうだし、フランス中の人々がルパンのニュースを新聞で読むのを楽しみにしている雰囲気にも自由さがあるし、そもそも殺人事件が起こらないし、犯罪の動機につながる恨み辛み開陳シーンもない。
ホームズ?との絡みも後々あるようなので(813にもちらっと出てきた)、必ず読むかどうかはわからないが、ゆるゆる楽しんでいきたい。 -
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パスティーシュ作品。横溝正史「獄門島」は読んでたのですが、江戸川乱歩の「パノラマ島奇譚」未読でした。金田一シリーズってもう少し作品の雰囲気が暗いというかおどろおどろしていたと思うのですが。なんか金田一がイメージが違う、明智さんはこんなかんじかなぁ。それより明智さん奥さんがいてびっくりと思ってたら、いま読んでる「魔術師」にその方がちょうど出てきました。収録策の「明智小五郎、獄門島へ行く」で明智小五郎と金田一幸助のまさかの夢の競演。小林少年は出るは少年探偵団(獄門島支部)は出てくるわ、なんと少年探偵団の歌は出てくるわ(めったに出ない4番まで)。まぁ実際聞いたことはないんですけど(笑)たまにはこおいう作品も楽しくていいですね。
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秋永真琴『ファインダー越しの、』:創刊号に載ってた『フォトジェニック」の森島さんが再登場で嬉しい。まだ続きがありそうで楽しみ。ただ、私は、完全に森島さんの興味対象外の「素朴な(婉曲表現)男性たち」たる「みやっちさん」側の人間なんで、ちょっとへこむ。
「自分は写真写りが悪い」という認識に「いやいや、だいたい実物通りに写ってますが?」、「そういうネガティブなのか自分に自信があるのかよくわからない人より、あたしのほうが前向きで幸せじゃないかな。」とばっさり切り捨てられて、かなり、ぐさっと来たけど、おっしゃるとおり。素敵です。みらいさん。
真門浩平『ルナティック・レトリバー』:単純に面白く読んで、この人の他の作品読みたいと思った。十分プロじゃないかと。それだけに、選評の指摘に、ミステリってやっぱり難しいんだなと。当たり前だけど。
ネイサン・イングライダー『二十七番目の男』:全然分からなかった。前提知識というか、教養不足。
高田大介『記憶の対位法』:前回に引き続き、「一体、何を読まされてるんだろう?」と。歴史の話語りすぎじゃない?もう少し進んで、物語の全体像が分かれば腑に落ちるんだろうか。