芦辺拓のレビュー一覧
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単行本を手に取った瞬間、オッと思います。
どこかノスタルジックな装幀。全体は薄っぺらいにもかかわらずがっちりした表紙の厚みにも雰囲気が有ります。そしてちょっと変わったフォント。なかなか凝っています。
「また買ってしまった―。」と古本屋を出た時のつぶやきで始まる6編の短編。ストーリー的にはどこか大正・昭和を思わせる幻想奇譚なのですが、その雰囲気の割にインターネットが出てきたりして時代は新しい。そして最後に物語がぐるり廻って・・・。
所謂「奇妙な味」に分類される作品ですが、切れ味はイマイチかなぁ、というのが私の感想。でもそれは最初に装填で期待してしまった反作用かもしれません。ぴったり嵌る人には堪ら -
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芦辺拓が2010年版の「このミス」近況欄で執筆予定と示唆していたという作。10年越しの作品である。
実は森江春策シリーズは芦辺拓のデビュー作である「殺人喜劇の13人」しか読んでいない。それでも基本的には問題なく読める。
ロンドンで発見された鶴屋南北の未発表作。連続見立て殺人と芝居に隠された謎。
率直に言うと現代パートの謎解きはちょっと中途半端だと感じる。筋立てとしては理解できるし論理的にも齟齬はないが、どうも上手く嵌まらないというか、しっくりこないというか、フーダニットの部分が説明不足というか…。私の頭の悪さは多分にあるのだが。
だがしかしこの小説の真骨頂は(本格ミステリではあるが)そこにはな -
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歴史小説界に風穴をあけんとする作家集団「操觚(そうこ)の会」による
伝奇時代小説アンソロジー登場!
■朝松健「夢斬り浅右衛門 ――小伝馬町牢屋敷死罪場」
■秋山香乃「草薙剣秘匿伝 ――葛城皇子の章」
■芦辺拓「浅茅が学問吟味を受けた顚末 ――江戸少女奇譚の内――」
■彩戸ゆめ「神楽狐堂のうせもの探し」
■神野オキナ「ころりの木壺」
■蒲原二郎「江都肉球伝」
■坂井希久子「万屋馬込怪奇帖 月下美人」
■鈴木英治「熱田の大楠」
■新美健「妖しの歳三」
■早見俊「ダビデの刃傷」
■日野草「遠夜」
■誉田龍一「血抜き地蔵」
■谷津矢車「生き過ぎたりや」 -
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金田一耕助と明智小五郎、日本探偵界を代表する二代名探偵、夢の競演!
と言うにはそれほど同じシーンに立ってるわけではありませんが、やっぱりこの二人が同じ作品に出てくるってだけでも心踊ります\( 'ω')/
しかも、舞台となるのはパノラマ島と獄門島!それぞれの探偵手腕を発揮した現場をそれぞれが訪れます。金田一耕助はパノラマ島へ。明智小五郎は獄門島へ。
金田一耕助はキャラ寄せてない感もあったけど、明智探偵の方は地の文のですます調も手伝って割と原作にイメージ近いかな?
トリックはどちらも結構なトンデモトリックをだったのが何か嬉しかった(笑)。
この作品単独でも楽しめますが、ど -
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「森江春策」シリーズの第1弾なのだけれど、その後の森江から受ける印象とは違う大学生の森江による推理劇である。
十沼京一の手記による前半、森江の推理による後半にわかれている。
論理に基づいた推理。
事件の矛盾点をつき犯人の行動を推測し、解明にむけて思考をめぐらす森江。
時代背景が昔のためか古さを感じる場面も多いが、物語としての面白さには影響していないように感じた。
トリックあり、アリバイ崩しあり、密室あり。
本格派をめざして書かれた物語なのだけれど、少々中だるみというか読みにくいところもあった。
思いついた案を詰め込むだけ詰め込んだ物語でとにかく長かった。
それでも、手記の冒頭部分にすでに伏線と -
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裁判員制度が正式にスタートした。
以前「十三番目の陪審員」で司法への市民参加という制度を小説にした芦辺さんが、現実の法改正をふまえて取り組んだ作品。
日本国民の義務として、成人した日本人には誰でも裁判員に選ばれる可能性がある。
果たして自分がなったら・・・と思うと、とても怖い。
何故なら、誰かの人生やもしかしたら生死までを決めなくてはならない覚悟が自分にないからだ。
終盤に明かされる思ってもいなかった展開には驚かされた。
偶然とはいえ、こんなことがあっていいのだろうか?という。
弁護士・森江春策は健在だ。
茫洋とした雰囲気を持ちながらも、弁護には隙が無い。
好きなキャラクターのひとりである。