芦辺拓のレビュー一覧
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“(これは、ひょっとして……?)
ある予感が胸にわき上がるのを覚えながら、似たようないでたちの男たちの中から目指す人物の姿を探し求めた。もっとも、それは造作もないことだった。というのも、おなじみの彼の後ろ姿、それも他の連中より妙にオタオタと所在なさげなそれを選び出すのにまごつく鶴子ではなかった。
(いたいた、あそこやわ……)
内心ほくそ笑みながら、相手の背後に忍び寄った。息がかかるほどに間合いを詰めてから、いきなり相手の後頭部めがけて、
「宇留木さん!」
そのとたん、びっくりしきった顔がはじかれたように振り返った。
「おおっ…なぁんだ、君か。びっくりするじゃないか。どうしたんだよ、今ごろこんな -
Posted by ブクログ
鷹見瞭一は表現者として世に出る夢を捨てかねていた――つまり、いまだ作家として生きて行くことを諦めきれずに無味乾燥な毎日を送っていた。そんな時、高校の先輩であり、唯一出版の世界のコネクションを持った人物である船井に、とんでもない計画をもちかけられる。DNA鑑定をも欺き通せる方法があるから、わざとやってもいない事件の容疑者となり、後で無実の罪を証明して、自分自身が冤罪事件の当事者となってその出来事を記事に書かないかというのだ。突拍子もない話だったが、容疑者といっても、被害者は架空の人物だし、何よりそれが作家としての最後のチャンスだと思った鷹見は、その計画にのることにする。だが、いざ捕まってみれば