芦辺拓のレビュー一覧
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あの秀逸な幻想譚連作『奇譚を売る店』『楽譜と旅する男』が三部作でその掉尾が本作だと知り購入。予想とは違い本作は、親戚の(だかなんだかとにかく親戚の集まりで幼い頃に顔合わせ、面白い話をあれこれしてくれた)おじさんの残したトランクをふとしたことで入手し、そこに納められた物品を手がかりに「おじさん」が何者だったか(そして自分にとって何者だったか)を語り手が探るミステリ。それでも、ふとした拍子に現実が揺らぎ時空を超えた幻影を垣間見させてくれる。極上の美酒のような味わい。そして、「これぞ小説! これぞ本物の作家!」と思わせてくれる文章の見事なことよ。たとえば、語り手が今では博物展示されている古いホテルを
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ネタバレ粒揃いの3編が収まった一冊。文体がですます調になっていたり、原作を読んでいるとちょっと違和感があるが、特有の面白さは失われない。
冒頭から引き込まれる展開、不思議な事件、ちょいちょい出てくる推理もかっこよく、たった一文に表れるホームズとワトスンの固い信頼関係、サプライズ好きなホームズ、ドラマチックなストーリー、何よりテンポ感の速さ!
何度読んでもこういう見どころが詰まってて面白い!一気に読んでしまった。なのに不思議とまた読みたくなる。
カラーの挿絵はイラストだけでなく、状況を整理する見取り図もあって、現場をイメージしやすくてよかった。 -
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ネタバレめちゃくちゃ面白かった!!!前半は実際に乱歩が書いた『悪霊』で、後半はその事件の推理パートという構成。悪霊を読んだことがなかったのでどこまでが実際の悪霊なのか初めはわからなかったけど、推理パートの探偵役が乱歩自身だったから気づいた。(本作では乱歩は実際の作者じゃないとされていたけど)作者自身が作品の中で探偵役になるという構図が斬新。原作の雰囲気を壊さず、事件の謎全てに納得のいく説明をつけて未解決事件を1つの解決に導いたのすごすぎる。しかもちゃんと面白い!最後が怒涛の展開であまり頭を整理できていないまま一気に読んだので、真相を知ったうえでまた読み直したい。
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鬼★5 明治時代にタイムスリップ! 徹底した弾圧の時代、新聞記者と弁護士の熱い闘い #明治殺人法廷
■あらすじ
明治20年、新聞記者の筑波新十郎は、自由民権運動の活動家を排除する保安条例のため東京から退去を命じられ、大阪に流れ着く。一方、大阪で駆け出しの代言人(現在の弁護士)だった迫丸孝平は、日々未熟な司法と生活に苦しんでいた。
ある日、質屋一家が惨殺されるという殺人事件が発生。折しも国や警察が強い時代、犯行に及んだとは思われない容疑者がむりやり逮捕されてしまった。真相と正義を追い求めるため、二人は立ち上がる…
■きっと読みたくなるレビュー
鬼★5 明治時代の社会派法廷ミステリー。激推し -
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江戸川乱歩のもとに小説の材料として売り込まれた記録から話は始まる。資産家の美しき姉崎未亡人が密室の土蔵で全裸で殺されていた。現場に残されたメモに書かれた奇怪な記号。事件前に目撃された矢絣の女。死を予言した黒川博士の盲目の養女。邸前の空き地にいるいざりの乞食。未亡人を取り巻く心霊学会の仲間たち。心霊学会が降霊術を行うと、盲目の養女に降りた霊が「犯人はこの中にいる」「次の犠牲者はこの中にいる美しい人」と言う。
雑誌「新青年」に連載された乱歩の「悪霊」はもともとここまでで中絶するのだが、芦辺拓はこのあとを切れ目なく繋げて真犯人を提示、さらには乱歩が中絶した理由まで説明してしまうのだ。どこが切れ目 -
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★5 江戸川乱歩の未完作『悪霊』 遂に続きと謎が明かされる!乱歩愛に満ち溢れる合作 #乱歩殺人事件
■きっと読みたくなるレビュー
ミステリー好きと言いながら、実は乱歩作品は傑作選にある有名どころの短編しか読んいない私…
こんなにも面白いとはびっくり! 古典と言っても特段読みづらくもないし、むしろ文字がするりと入ってきます。装丁もフォントも紙質すらも風情をだしていて、カッコイイし、不気味な雰囲気ながらも艶っぽく魅惑的。
謎解きも意味不明な問題を出されて、底知れないポテンシャルを感じます。いやー痺れました。大変勉強不足だったと反省しております、やっぱり大学で文学をしっかり研究したいなぁ。
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ネタバレ「金田一耕助、パノラマ島へ行く」そして「明智小五郎、獄門島へ行く」というタイトルにひかれて購入しました。「パノラマ島奇談」と「獄門島」は両方とも中学生の頃に読んだ作品です。お互いが活躍した島へ、あべこべに行くのかなと思い読み始めました。
「金田一耕助、パノラマ島へ行く」を少し読んだところで
「あれ?パノラマ島奇談に明智小五郎は登場しないのでは?」
と思いだしました。そして思いだしてしまったことが、ある意味ネタバレになってしまったのでした(^^;)。
考えてみたら「獄門島」は何度も映像化され、映画やドラマで何度も見直しているのに「パノラマ島奇談」は10年くらい前に再読したきりだったので、登場人物