芦辺拓のレビュー一覧

  • 明治殺人法廷

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    ネタバレ

    ドラマチックな運命・設定を思いつけば作家の筆も乗る、詳細な時代を描く事が出来れば作中の人物も自在に動き回る、科学捜査を構成する土台の無い時代のミステリ、証明することも難しい、なぜなら作品の背景は明治20年、技術革新と西洋化が進む一方で、御上の無慈悲な体質がまかり通る時代なのだ
    自由を求める声が人民に溢れ、専制政治に乗り遅れた腕力有る者が第二維新を企む中、生き延びるための秘かな試みが・・・

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    2025年05月13日
  • 乱歩殺人事件――「悪霊」ふたたび【電子版特典付き】

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    江戸川乱歩未完の連載「悪霊」を補完しつつさらに乱歩周りも小説にしてしまうとという、超面白い合作。というか2次創作。乱歩の人柄を見せるのが面白くて良き。

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    2025年05月04日
  • 大鞠家殺人事件

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    少し前にブックレビューをたくさん見かけた推理小説で、気になっていた。終戦間際の大阪船場の衰退しゆく商家が舞台。それだけで読んでいて楽しい。一家のメンバーが奇っ怪な殺され方を次々にしていくのだが、和風レトロな時代が合う。御寮人さん、いとさん、こいさん、丁稚、手代、番頭、の世界。赤紙招集、復員兵、憲兵…そこにキャラ濃いめの探偵も現れるんだけど、いまいちなキャラだなと思っていたら…なるほどね。

    他の人のレビューを見ていると、探偵役の登場が唐突だとか、ほかのシリーズのキャラクターが出てきてその本を読んでないといまいち共感できないとかあったけど、そんなことはないと思う、単体で十分楽しめた。犯人は何となくこの人かなと思ってた人だったしトリックもオーソドックスなのでサプライズはそこまでないけど、既定路線をこの世界観で楽しむという楽しみ方が正解だと思う。面白かった。映像化されそう。

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    2025年03月16日
  • 大鞠家殺人事件

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    時代は昭和の戦時下、舞台は大阪商人文化の中心地・船場。一癖も二癖もある者達が揃った大鞠家の長男に嫁いだ陸軍少将の娘・中久世美禰子。夫が軍医として出征した後、大鞠家に単身残された美禰子の前で繰り広げられる惨劇。
    船場商人の気位の高さやお家の跡取り問題を巧みに取り入れながら、緻密に張られた伏線は本格推理小説としての読み応えも抜群。

    丁稚、番頭、女子衆、御寮人などにノスタルジーを感じ、独特の船場言葉にどっぷり浸っての謎解き。そこにクリスティやヴァンダインといった外国のミステリも絡めていく展開はミステリ好きにはたまらない。

    肝心の殺人のトリックはうまくいき過ぎの感はあるものの、小さな謎のピースが全てはまって行く最終盤は見事。
    時代背景、戦争がもたらしたもの、そして犯人の動機など切なさとやるせなさも残るミステリでした。

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    2025年03月07日
  • 大鞠家殺人事件

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    凄く良かった。
    言葉もキレイでどこか懐かしく、それぞれの時代の描写も面白い。
    こんなにうまいこといくのかな?って言うくらいキレイにまとまってた。

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    2025年02月27日
  • 大鞠家殺人事件

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    最初は大阪の商人文化にまつわる言葉(丁稚とか奉公とか…)が馴染まず、その独特の言葉(というより方言)回しも頭に入って来づらく、読むのに時間がかかった。
    けれど、流石のリーダビリティで中盤からはすらすら読めた。トリックが秀逸だったり、どんでん返しがあるとかそういうわけでは無いけど、精巧に作り込まれた世界観の中で動く登場人物が凄く魅力的に感じられました。

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    2025年02月24日
  • 名探偵は誰だ

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     「犯人は誰か」ではなく「犯人でないのは誰か」「殺されるのは誰か」「名探偵は誰か」という一風変わったフーダニットが七編収録された短編集で、様々な趣向を凝らした謎解きと変化球気味のトリックなど個性的な話ばかりで、特に表題作の『名探偵は誰だ』が一番面白かった。

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    2025年02月07日
  • 明治殺人法廷

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    明治21年の質屋六人惨殺、しかも密室殺人事件の、法廷ミステリです。この時期の裁判は、未だ被告人を「弁護」することさえ発想の外だった時期でした。筋書きは出来てるので、刑事裁判事件はよほどの重大事案でも1日で結審するのが通常。裁判長が「弁護人、質問をさし許すぞ」とか「黙りおろう!」とか言って、江戸時代のお白洲習慣が引き継いでいた頃です。主人公2人の弁護と探訪記者は困難を極めます。

    ただ、如何せん、わたくしが本書を紐解いた訳はミステリ謎解きにはありません。単(ひとえ)に明治20年代初めの大日本帝国憲法発布前夜の日本の姿に個人的に大いに興味を持ったからに他ありません。

    市井の趣味人たる私の今の「専門」は考古学弥生時代後期ではありますが、大学時代の「専門」は日本思想史でございます。威張ることでは無く、反対に恥ずかしい事ばかり乍ら中江兆民を少しばかし齧った身としては、兆民が明治21年、保安条令で大阪にやってきた(東京放逐された)ばかりの「東雲(しののめ)新聞」主筆としての「生の」様子が描かれるのは、人は知らず、胸早鐘打つ心持なのでございます。何となれば、この時代のこの人物を描く小説が極端に少ないからであります。

    ずっと疑問であったのですが、どうして時の政府は東京から自由民権論者や新聞人を処払いするだけで、明治帝国体制を完成せしむと判断出来たのか?判明したのは、条令公布の日には、悪名高き三島通庸始めとする警察・軍隊総出で対応したということ。当時政府の総力を使って、自由民権論者は蟻一匹残らず、帝都から放逐したのだということです。大阪の声は東京までには、日本までには届かない。これが1888年段階の日本の姿だった訳でございます。

    大阪中之島から堂島川を越え、四ツ橋筋を北に行った角地に、商家を借り受けた体の東雲新聞社があったそうです。主人公・筑波新十郎は東京を逐われて其処の記者になります。新米代言人(弁護士)迫丸孝平と共に、質屋6人惨殺事件で容疑をかけられた少年の裁判を支援することになります。

    明治の20年間、江戸の悪弊絶ち難く、されども自由の気風は更に絶ち難く、幸徳秋水少年や、宮武外骨の若き日の姿を見させてもらって満足しております。田辺聖子さんのお爺さんの少年の日の姿も出てくるというおまけもあります。

    autumn522akiさんのレビュー読んで取り寄せました。ありがとうございました♪

    来週は大学の同窓会があって、その序でに山口から出雲方面に旅をする計画を立てていて、旅に集中するため、来週初めの3日間のレビューはお休みします。水曜日のレビューをアップするかどうかは決めてません。という事で、暫く休んでいるからと言って病気なんだろうか?どうなんだ?とかご心配無用です(←するか-_-メ)。

    ※今更ですが、1920年→1888年に訂正しました。恥ずかしい。2025年8月25日記入。


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    2024年10月23日
  • 少年探偵団 7 対決! 怪人二十面相

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    ▼娘(9)に、「読んでみたらー」と買ったけど、よく考えたら自分が江戸川乱歩さんをほぼ読んでなかったから読んでみようシリーズの一環。で、これは娘も読んだもの。

    ▼怪人二十面相vs明智小五郎あるいは小林少年、の物語が確か2編入っていました。前半が子供の誘拐だったか。どちらにしても、子供向けに翻案しているのを割り引いても、1篇目はなかなか面白かった・・・。

    ▼怪人二十面相vs明智小五郎物語を、翻案ではなく原文でちゃんと読んでみよう、と思いました。いつか。

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    2024年08月31日
  • 乱歩殺人事件――「悪霊」ふたたび【電子版特典付き】

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    過去に途中で終わってしまった「悪霊」を再構築しながら、事件の解決を導くと言うミステリー。私は乱歩作品をあまり読んでないから、悪霊も知らなかったが充分楽しめた。

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    2024年06月06日
  • 乱歩殺人事件――「悪霊」ふたたび【電子版特典付き】

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    乱歩が未完のまま残した作品を引継ぎ、登場人物たちの関係を明らかにし、事件の謎(密室、全裸遺体、複数の傷とバラバラな方向への流血、犯人、動機)を説得力を持って解き、さらには物語を膨らませて乱歩が未完のまま残した理由まで提示するという、ほとんど不可能な課題に挑戦し、それぞれ矛盾がないばかりか、1冊の作品としても十二分に成立する品質で成し遂げた、労作にして痛快作。

    文中の一人称の使い方に唸る。

    本書の困難さは作者のあとがきに凝縮されている。

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    2024年05月02日
  • 乱歩殺人事件――「悪霊」ふたたび【電子版特典付き】

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    江戸川乱歩の未完の作品『悪霊』を芦辺拓が引き継いで“事件を解決”した一冊。公開済みの文章から謎や伏線を掬い上げる試みはこれまでにも乱歩ファンや研究家によって行われてきたが、本書が出色なのは「なぜ乱歩は一度始めた連載を中止したのか?」の真相にも新解釈を与えている点。しかもこれが多少ぶっ飛んではいるものの(いや、ぶっ飛んでいるからこそ)乱歩作品へのリスペクトを感じさせるのがニクい。もちろんミステリーである以上は乱歩が執筆した前半部分との論理的破綻は避けなければならず、いわゆる「俺が考えた最強の乱歩風味の小説」では読者を納得させられない。先行研究を前に「これならあっちの説の方が面白いよ」と酷評されるリスクとプレッシャーを乗り越えて一冊の探偵小説を完成させた著者の手腕と情熱には敬服。ある意味で本書のクライマックスはあとがき。

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    2024年04月08日
  • 乱歩殺人事件――「悪霊」ふたたび【電子版特典付き】

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    謎解きに興味のない私は乱歩への関心に本書を手にとった
    中断した作品に作者が登場する。書き手のトリック、子どものトリックは名作にある
    だか、猟奇・欠損する人体・土蔵・覗き・変装・鏡・少年...と乱歩ワールドが展開する

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    2024年04月02日
  • 海底二万マイル

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    発明や技術が芽吹き出した19世紀に今も色褪せない科学と空想を融合した物語が書けるのがすごいと思った。

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    2024年02月20日
  • 千一夜の館の殺人

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    ネタバレ

    ハウダニットの部分には、複雑なトリックはないものの、分築された建物が現場だったってのは想定外だった。巻頭や作中の図面をしっかり観察して気付くことが出来ていたら、めちゃくちゃ面白かっただろうと思う。にしても、この発想は良い意味で裏切られたし、館、複雑な人間関係、本格ミステリに必要な要素が全部詰め込まれていて純粋な探偵小説として楽しく読めた。

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    2024年02月09日
  • 名探偵シャーロック・ホームズ

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    ホームズの部屋へ来た女性が話した恐ろしい出来事。夜中の口笛、開かない窓、双子の姉が死ぬ前に口にした「まだらのひも」とは…?(第1話「まだらのひも」より)世界一の名探偵が誰も解決できない事件に挑む!「まだらのひも」「六つのナポレオン」「ノーウッドの怪事件」の全3話を収録。
    推理マンガは読んだ事がありますが、推理小説を読んだのは今回が初めてです。実際に読んでみると、事件の真相がいったいどんなものなのかすごく気になってしまい、一気に読んでしまいました。ホームズさんの推理力はすごいと思いました。まるで古畑さんや、『相棒』の右京さんみたい…なんて思ってしまいました。
    ホームズさんの物語の語り手というのがホームズさんではなく、親友のワトスンさんであるのが珍しいです。語り手は一人称か三人称のイメージがあるのですが…。これはこれで素晴らしいと思いました。このようなパターンは今まで読んだ事がありませんから…。
    ホームズさんのストーリーは60ぐらいあるそうですが、この本に収録されていた3作品だけでなく、他の作品も読んでみたいと思いました。「赤毛連盟」とか、「バスカヴィル家の犬」とか…。それに、コナン・ドイル作品だけでなく、アガサ・クリスティ作品も読んでみたいです。ホームズさんのストーリーがきっかけで、推理小説を読む事ができて嬉しいです。

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    2023年07月09日
  • 奇譚を売る店

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    ネタバレ

    楽譜の方を先に読みましたが、あちらは世界各国回って華やかなのに比べて、こちらはちょっとマニアックというか…何か著者の好きなものいっぱい詰め込んだんだろうなあ、というかんじ。
    構成がとても好き。全編最初の文章が同じだったり、最後のまとめ方も好み。
    「人は本のみに人生をささげたりしない」という一文がなぜか気になって、しばらく凝視していた。でもそのすぐ後に、もう物理的に身体をささげていて、なるほど、と思うなど…

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    2023年06月03日
  • 大江戸奇巌城

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    水滸伝的なスタートかと思いきや、あとがきからは
    オ-シャンズ11だと?(見てないw)
    初出一覧を見て、変わり種の娘を出していくうちに
    全体を貫くアイデアが生まれたと判断した

    でも、本当の主人公は佐藤信淵じゃないかと(*´▽`*)

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    2023年04月23日
  • 鶴屋南北の殺人

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    作中の松平定信の描き方が理想的だ(´・ω・`)
    歴史上の人物で一番大嫌いで存在しなければ
    良かったと思っています(二番目は徳川慶喜)

    作中作が苦手で叙述トリックっぽいのは必ず
    ひっかかりますし、歌舞伎などの知識が皆無
    なので作中の盛り上がる部分における感動が
    薄いし、頭が悪いので事件の流れを再構成で
    きない・・・なんて本だ

    作者が歴史上の人物をおもちゃにして物語を
    組み立てるのは好物なので面白かったw

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    2022年10月02日
  • 降矢木すぴかと魔の洋館事件

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    学校から帰って来たら部屋に美少女探偵がいた。
    突拍子もない様々な出来事を組み合わせると、さらに突拍子もない事実に行き当たる。そんな突拍子もない推理と展開と冒険が楽しい作品。
    巻き込まれ型の主人公が自ら足を踏み出すという王道展開も素敵。

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    2022年03月25日