芦辺拓のレビュー一覧

  • 乱歩殺人事件――「悪霊」ふたたび【電子版特典付き】

    Posted by ブクログ

    乱歩が未完のまま残した作品を引継ぎ、登場人物たちの関係を明らかにし、事件の謎(密室、全裸遺体、複数の傷とバラバラな方向への流血、犯人、動機)を説得力を持って解き、さらには物語を膨らませて乱歩が未完のまま残した理由まで提示するという、ほとんど不可能な課題に挑戦し、それぞれ矛盾がないばかりか、1冊の作品としても十二分に成立する品質で成し遂げた、労作にして痛快作。

    文中の一人称の使い方に唸る。

    本書の困難さは作者のあとがきに凝縮されている。

    0
    2024年05月02日
  • 乱歩殺人事件――「悪霊」ふたたび【電子版特典付き】

    Posted by ブクログ

    江戸川乱歩の未完の作品『悪霊』を芦辺拓が引き継いで“事件を解決”した一冊。公開済みの文章から謎や伏線を掬い上げる試みはこれまでにも乱歩ファンや研究家によって行われてきたが、本書が出色なのは「なぜ乱歩は一度始めた連載を中止したのか?」の真相にも新解釈を与えている点。しかもこれが多少ぶっ飛んではいるものの(いや、ぶっ飛んでいるからこそ)乱歩作品へのリスペクトを感じさせるのがニクい。もちろんミステリーである以上は乱歩が執筆した前半部分との論理的破綻は避けなければならず、いわゆる「俺が考えた最強の乱歩風味の小説」では読者を納得させられない。先行研究を前に「これならあっちの説の方が面白いよ」と酷評される

    0
    2024年04月08日
  • 乱歩殺人事件――「悪霊」ふたたび【電子版特典付き】

    Posted by ブクログ

    謎解きに興味のない私は乱歩への関心に本書を手にとった
    中断した作品に作者が登場する。書き手のトリック、子どものトリックは名作にある
    だか、猟奇・欠損する人体・土蔵・覗き・変装・鏡・少年...と乱歩ワールドが展開する

    0
    2024年04月02日
  • 海底二万マイル

    Posted by ブクログ

    発明や技術が芽吹き出した19世紀に今も色褪せない科学と空想を融合した物語が書けるのがすごいと思った。

    0
    2024年02月20日
  • 千一夜の館の殺人

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ハウダニットの部分には、複雑なトリックはないものの、分築された建物が現場だったってのは想定外だった。巻頭や作中の図面をしっかり観察して気付くことが出来ていたら、めちゃくちゃ面白かっただろうと思う。にしても、この発想は良い意味で裏切られたし、館、複雑な人間関係、本格ミステリに必要な要素が全部詰め込まれていて純粋な探偵小説として楽しく読めた。

    0
    2024年02月09日
  • 名探偵シャーロック・ホームズ

    Posted by ブクログ

    ホームズの部屋へ来た女性が話した恐ろしい出来事。夜中の口笛、開かない窓、双子の姉が死ぬ前に口にした「まだらのひも」とは…?(第1話「まだらのひも」より)世界一の名探偵が誰も解決できない事件に挑む!「まだらのひも」「六つのナポレオン」「ノーウッドの怪事件」の全3話を収録。
    推理マンガは読んだ事がありますが、推理小説を読んだのは今回が初めてです。実際に読んでみると、事件の真相がいったいどんなものなのかすごく気になってしまい、一気に読んでしまいました。ホームズさんの推理力はすごいと思いました。まるで古畑さんや、『相棒』の右京さんみたい…なんて思ってしまいました。
    ホームズさんの物語の語り手というのが

    0
    2023年07月09日
  • 奇譚を売る店

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    楽譜の方を先に読みましたが、あちらは世界各国回って華やかなのに比べて、こちらはちょっとマニアックというか…何か著者の好きなものいっぱい詰め込んだんだろうなあ、というかんじ。
    構成がとても好き。全編最初の文章が同じだったり、最後のまとめ方も好み。
    「人は本のみに人生をささげたりしない」という一文がなぜか気になって、しばらく凝視していた。でもそのすぐ後に、もう物理的に身体をささげていて、なるほど、と思うなど…

    0
    2023年06月03日
  • 大江戸奇巌城

    Posted by ブクログ

    水滸伝的なスタートかと思いきや、あとがきからは
    オ-シャンズ11だと?(見てないw)
    初出一覧を見て、変わり種の娘を出していくうちに
    全体を貫くアイデアが生まれたと判断した

    でも、本当の主人公は佐藤信淵じゃないかと(*´▽`*)

    0
    2023年04月23日
  • 鶴屋南北の殺人

    Posted by ブクログ

    作中の松平定信の描き方が理想的だ(´・ω・`)
    歴史上の人物で一番大嫌いで存在しなければ
    良かったと思っています(二番目は徳川慶喜)

    作中作が苦手で叙述トリックっぽいのは必ず
    ひっかかりますし、歌舞伎などの知識が皆無
    なので作中の盛り上がる部分における感動が
    薄いし、頭が悪いので事件の流れを再構成で
    きない・・・なんて本だ

    作者が歴史上の人物をおもちゃにして物語を
    組み立てるのは好物なので面白かったw

    0
    2022年10月02日
  • 降矢木すぴかと魔の洋館事件

    Posted by ブクログ

    学校から帰って来たら部屋に美少女探偵がいた。
    突拍子もない様々な出来事を組み合わせると、さらに突拍子もない事実に行き当たる。そんな突拍子もない推理と展開と冒険が楽しい作品。
    巻き込まれ型の主人公が自ら足を踏み出すという王道展開も素敵。

    0
    2022年03月25日
  • 三百年の謎匣

    Posted by ブクログ

    億万長者の老人が遺言作成の為に法律事務所を訪れ、その帰り道に殺害される。老人は法律事務所に一冊の古めかしい本を託していた。その本に書かれた内容は18世紀初頭から20世紀にかけて世界各所の様々な人によって語り継がれた多彩な物語だった。
    本の物語は、作中作的なメタフィクションの体を成している。
    夫々のエピソードは、作り物であることを知りつつも、子供の頃に味わった心が弾む躍動感を彷彿させるような物語。著者のあとがきにも、物語や映画へのオマージュと語っているが、まさにそんな感じ。
    ただ夫々の物語は、バラバラで脈略の無い物のように思わせるが、ラストには現代と過去も含めて全てが繋がる爽快感が味わえる。

    0
    2021年11月22日
  • 三百年の謎匣

    Posted by ブクログ

    作中作であり、連作。
    プロットがおもしろく、内容もミステリー・SF・西部劇・海賊とてんこ盛りなのに
    きちんとおおもとの謎も解き明かして、
    わくわくしながら読めた!

    0
    2021年10月10日
  • 怪盗アルセーヌ・ルパン

    Posted by ブクログ

    やっと刑務所から逃げ出したのに、また戻ってきたから不思議におもった。
    最後まで読むとその意味が分かった。

    0
    2021年06月18日
  • 裁判員法廷

    Posted by ブクログ

    サクサク読めて面白い短編集だった。
    圧倒的に不利な状況から被告人の無罪を明らかにしていく展開が面白い。

    『十三番目の陪審員』に通づるものがあり楽しめた。

    0
    2020年10月15日
  • 殺人喜劇の13人

    Posted by ブクログ

    前半読んでいて、こんなにも"新の探偵"の登場を待ち望んだ小説はなかったかもしれない。

    "殺人喜劇"というだけのことはある。

    前半は読むのがつらいくらいだったが、全ての謎を解く鍵は書いてあったと思う。"小説の中の小説"だと意識して読むことをおすすめしたい。

    0
    2020年10月14日
  • 奇譚を売る店

    Posted by ブクログ

    現代に懐古趣味がまざった怪奇幻想系の連作短編集。隠れ長編の赴きもあるので、最初から順に読むのがおすすめ。古本を媒介に、虚構が境界線を越えて現実に迫ってくる方向性かと思いきや、そんな単純な仕掛けではなかった。各話の「私」は同じ古本屋で購入したのか、という疑問も最後まで読むと吹っ飛んだ。一編ごとにゾワリとする。夜にひとりで読まない方がいい。できれば、同じ空間にペットでもいるほうが安心する。

    0
    2020年09月18日
  • 千一夜の館の殺人

    Posted by ブクログ

    ミステリー好きにはなんとなくピンとくるようなたくさんのガジェットを散りばめたおもちゃ箱のような作品。
    リアリティはまったくないけど、パズラーとして読むなら面白い。

    遺産をめぐる連続殺人、館、家系図、遺産の暗号、アラビアン・ナイトの絵画、密室、、、文体としておどろおどろしさに欠けるが、十分に楽しめる内容だった。

    0
    2020年09月07日
  • 異次元の館の殺人

    Posted by ブクログ

    まず文字が大きめで読み易かったです
    あと殺人事件以外はさっぱりとした設定で、サクサク読み進められて良かったです
    ミステリー+SF事象という好き+好きなワクワクしかない設定だったので期待値高めで読んだものの楽しめました!
    他の作品も読んでみたいな〜

    0
    2020年05月11日
  • 奇譚を売る店

    Posted by ブクログ

    怪奇幻想小説や、日本のレトロな雰囲気が好きな人にとっては、この本の醸し出す、なんとも言えない匂いたつ雰囲気がたまらなく心地よいはず。

    まずもって題名がいい。
    『帝都脳病院入院案内』『這い寄る影』『こちらX探偵局/怪人幽鬼博士の巻』…などなど、江戸川乱歩を彷彿とさせるレトロなセンスを感じさせる。

    とある埃っぽい古本屋から、「私」は毎回古本を買ってしまう。
    本の中身は多種多様であるが、いつの間にか本の中身にのめり込んだり、不思議な出来事が起こったり、奇怪な体験をしていく。

    個人的には二作目の『這い寄る影』のなんとも言えない展開が好き。この話は、売れない作家の、貧相な作家性の哀れみが真に迫って

    0
    2020年01月24日
  • 殺人喜劇の13人

    Posted by ブクログ

    森江春策初登場にして鮎川哲也賞受賞作。さすがに書かれた時代が時代だけあって旧さは感じられたものの森江春策の謎解きが始まるまで数多の殺人の謎解き全てはわからず。この時代だからこそできたネタもありミステリを楽しむことは十分にできた。

    0
    2019年10月07日