あらすじ
ロンドンで見つかった鶴屋南北の未発表作品をめぐる不可解な見立ての連続死、そして「南北の作品」自体に秘められた謎。芝居か現か、過去か現在か。時空を越え複雑に絡んだ謎に、森江春策が七転八倒解き明かしてゆく。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
作中の松平定信の描き方が理想的だ(´・ω・`)
歴史上の人物で一番大嫌いで存在しなければ
良かったと思っています(二番目は徳川慶喜)
作中作が苦手で叙述トリックっぽいのは必ず
ひっかかりますし、歌舞伎などの知識が皆無
なので作中の盛り上がる部分における感動が
薄いし、頭が悪いので事件の流れを再構成で
きない・・・なんて本だ
作者が歴史上の人物をおもちゃにして物語を
組み立てるのは好物なので面白かったw
Posted by ブクログ
うーーーーーん!!
感想が難しい! ☆2.5あたり!
来年の大河ドラマの予習のつもりで読んだけれど、芦辺拓さんの江戸時代の芝居=現代の歌舞伎の知識が広く深すぎて、しかもけっこう歌舞伎調の語り口と脚本のように前半は進むので、どうにもついていけなかった……。
鶴屋南北の芝居の新しい脚本が見つかったという始まりで、その脚本の権利を主張する人物が2人現れる。弁護士・森江春策はその騒動に巻き込まれて、という流れで、大好きな森江さんシリーズなのだけれど、これ、森江さん絡ませないほうが分かりやすかったかも?
森江さんシリーズによくある、過去と現代の視点が目まぐるしく移り変わり、次第に重なり合っていくところが、ただでさえ芝居のシーンだらけなので、分かりにくかった。
また、わたし自身があまり歌舞伎に詳しくないため、新発見の鶴屋南北の芝居の脚本の、どこがどれほど珍奇なのかが、いまひとつ飲み込みにくかった。
後書きで、芦辺拓さんご本人が、
「「鶴屋南北を書く!」と宣言してしまった手前、中途半端なものは書けない、とものすごく調べ、構想を練り直して、20年も経ってしまった」
と書かれていたので、きっとどんどん複雑化していったのだろうと思うw
とはいえ、後半、謎だった舞台が進み、同時に森江さんの謎解きも始まると、どんどん進んでおもしろかった。
ぶっちゃけ、300ページあたりから読んでもいいかもしれない、と思ったほど。
江戸時代の政治、歴史の新しい視点の解説。
有名な事件の、異なる観方。
それと合わせると、現代の事件の動機も浮かび上がる、という構成になっていて、最後まで読むと、やはり芦辺拓作品のうんちくはおもしろい、と思えた。
Posted by ブクログ
芦辺拓が2010年版の「このミス」近況欄で執筆予定と示唆していたという作。10年越しの作品である。
実は森江春策シリーズは芦辺拓のデビュー作である「殺人喜劇の13人」しか読んでいない。それでも基本的には問題なく読める。
ロンドンで発見された鶴屋南北の未発表作。連続見立て殺人と芝居に隠された謎。
率直に言うと現代パートの謎解きはちょっと中途半端だと感じる。筋立てとしては理解できるし論理的にも齟齬はないが、どうも上手く嵌まらないというか、しっくりこないというか、フーダニットの部分が説明不足というか…。私の頭の悪さは多分にあるのだが。
だがしかしこの小説の真骨頂は(本格ミステリではあるが)そこにはない。鶴屋南北の幻の戯曲に込められた含意を読み解くことに圧倒的なミステリ感がある。そしてそれは構想10年の間にこの国が陥った問題に対する痛烈な風刺にも読める。現代パートにもそれを示唆(ちょっとステレオタイプすぎる)人物が登場する。
ただ…現代パートに出てくる「悪辣」な者たちが(モデルに立脚しているように見えて)どうも現状味がない。その点、戯曲の含意は史実を研究した上に成り立つフィクションだからこそのエグみがある。
幻の戯曲の謎と見立て殺人の入れ子構造はとても複雑ながら読み応えがあった。ただやはり幕切れが弱すぎる。最後の落とし方も弱いというか「そこに落とすの?!」と少し思ってしまった。現代パートの登場人物たちが若干影が薄くなるレベルで、南北の謎解きの方が深く面白いのである。
いっそ殺人事件を入れないで鶴屋南北だけ読み解けばそれはそれで別の味わいだったかもしれない。それだと北村薫の「六の宮の姫君」になりそうな気もするが。
しかしどうしても森江春策を中村梅雀で読んでしまう。浅見光彦だとこんなことにならないのに!
Posted by ブクログ
シリーズものとは知らずに読み始めました。
内容がてんこ盛りでした。
森江、菊園、来崎のやり取りが面白かったので、シリーズ始めからチェックしていきたいです。