芦辺拓のレビュー一覧
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ネタバレ表側、裏側から読む二つの話。裏側葉横書き。真ん中に一つの真相。これだけでワクワクの仕掛け本。
①月琴亭の殺人
フライパンを伏せたような島。
テーブルの椅子に胴体をぐるぐる巻にくくりつけられ、腕はひじかけに、足は脚部に固定されていた。錠前をつけて。口には猿轡。
判事。
七瀬事件、みんな関係者。
森江春策、弁護人だった。被害者を守れなかった。
判事、飛び出す。
判事、殺される。
判事、首にロープを巻き付けられ、てすりにくくりつけてあった。その状態で展望台から飛び降り、手すりの一部分がかけて落ちた。
みんなが脱出しなかったのは、潮位が渡れるほどに低くなかったから。
警察来る。
犯行、森江にしかできない。
判事、2階にみんなに守られ上る。そのあと屋上から突き落とされたが、その間2階にいたのは森江だけ。
みんなは、はっきりと判事が戻ってきたのを見たわけではなかった。それらしい人物を見ただけだった。
展望台には、被害者のマフラーを置いてそこから落ちたように見せかけた。
なぜなら、突き落とされたのに悲鳴をたげていないなはおかしい。悲鳴あげていれば、ロビーのみんなにも聞こえているはず。
館に戻ってきた人影は、人じゃない?
人形をリフトの要領であげたのをみんなは勘違い?
月見里碧、紛れて来ていた。
②ノンシリアル・キラー
ブログ形式で進む。
磯島健太が死んだ。わたしの元恋人。
居眠り運転?
美崎コト絵、凄腕の女性。
妊婦。電車で、座席をめぐり男がわめき立てる騒ぎ。警官がやってくる始末。
女性、倒れる。男は、女に触ってすらいないと言う。
谷、転落事故。自殺? 殺人?
ファンタスコープ社の阿形淳之の死。
ファンタスコープ社で、とあるプロジェクトが一段落した日、アシスタントの磯島健太は社有のワンボックスカーでわたしのもとに現れた。同じ日、ヴィジュアル・クリエイターの美崎琴絵が電車の中でトラブルに巻き込まれ死亡。このことは関係が?
青塚草太郎、死亡。黎明大学植物研究室。
③解決編
月見里碧(やまなしあおい)。月琴亭を最後に訪れ、ノンシリアルではブログ書いていたわたし?
偽青塚草太郎、岩判事は殺していないが、ファンタスコープ社の制作デスク、電車内でマタニティ・ハラスメント事件を起こしたサラリーマン、黎明大学の植物研究室の本物を殺した。
月琴亭の事件にノンシリアルの犯人が紛れ込んでいた。
千々岩判事のポケットに入っていた無傷のゆで卵などから、彼は屋上空突き落とされたのではなく、外で何者かに殴打され、墜落死を偽装された。だとすると、いったん飛び出したホテルにまた戻ってきたときの千々岩判事は、彼自身であったはずはない。
その人物は月琴亭に来ていると思われていた人物ではない。
青塚草太郎?
恋していた。しかし、電車で事件。彼女にサラリーマンが難癖つけてきた。そこに紳士が彼女のために動いてくれた。その時ら電車の揺れに紛れて何者かが紳士に襲いかかった。だが、紳士が位置を入れ替えていたために彼女が犠牲に。
彼女を死においやった奴全員に復讐。
調べるうちに彼女をあそこまで疲れ果てさせて仕事をさせていたやつ。
さらに、本来彼女は仕事を終えたあとその会社の社有車で送ってもらうはずだったのに、社有車が出ていた。そのスタッフが私用だ浸かっていた。
月琴亭事件で、2階にあがった人物、ときには女装し宇津木香也に化けていた。
宇津木はサポート。舞台準備のためあらかじめこの島に。
あとから来た宇津木に扮した犯人が盗聴器した。その後、本物の宇津木と役割を交換。凶行のあと、判事に化けてみんなに目撃談されつつ2階にあがり、宇津木の部屋に身を潜める。
宇津木、潮汐表をすり替えた。
犯人、マフラーで首を隠していた。バイオリンのあとを隠すため。
Aの事件の犯人はBの事件に潜んでおり、Bの事件の犯人はAに出張。だから、共に犯人の名前は指摘できない。
→発想は面白いが、正直複雑でよく理解できていない(分かりにくい)。二つの事件が絡まるのと、本が反対からも読めるようになっている仕掛けなど凝っているのは確かなので、★5。
変装などが上手く行き過ぎなのは気になった。そして共犯いるのもマイナス。もっと分かりやすいトリックだったら、100点だったのだが。 -
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ネタバレ超!面白かった!
昔読もうとして15人の少年の名前が覚えられず挫折したけど、この本では一人一人にイラストがついていたので最後まで理解して読めた。
初めは上陸するのも大変だったけど、全員欠けることなく家族と再会できてよかったね…2年間死んだと思われてただろうから、両親うれしかっただろうな。
子供は一歳の年齢差が大きいなと感じた。年長組がしっかりしてたね。年少組がウミガメに海に連れ去られそうになったの可愛すぎ。
ジャックをドニファンが優しく許してあげるところ、言葉の端々がいい。ジャックをよく見ていて、心配していたんだね。今までの苦しみを理解して受け入れていて、ドニファンの器のでかさが伝わった。ブリアンはお兄ちゃんとして自分ごととして厳しく叱ったけど、ブリアンと対立するドニファンが許してあげるのが熱い。
意見の対立がありつつ、だからこそ生き残れたんだなと思う。でもきみたち最初から危機には団結して助け合ってたよ。
あとこれ読んでやっぱロビンソン・クルーソーってイかれてるわと思った。 -
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あの秀逸な幻想譚連作『奇譚を売る店』『楽譜と旅する男』が三部作でその掉尾が本作だと知り購入。予想とは違い本作は、親戚の(だかなんだかとにかく親戚の集まりで幼い頃に顔合わせ、面白い話をあれこれしてくれた)おじさんの残したトランクをふとしたことで入手し、そこに納められた物品を手がかりに「おじさん」が何者だったか(そして自分にとって何者だったか)を語り手が探るミステリ。それでも、ふとした拍子に現実が揺らぎ時空を超えた幻影を垣間見させてくれる。極上の美酒のような味わい。そして、「これぞ小説! これぞ本物の作家!」と思わせてくれる文章の見事なことよ。たとえば、語り手が今では博物展示されている古いホテルを訪れるシーン。「あちこちに立て札立ち、壁には写真が掛けられている。それらは、ここに並べられた調度がいかに由緒ある名品であるかを誇り、座るのも触るにも御法度であることを告げていた。」 「誇り」?「御法度であることを」? 素敵。また、続いて、食堂のメニューが展示されている箇所では、語り手が役者なので、「かと思えば、当時はごく限られた人の口にしか入らなかった西洋料理のフルコースメニューを張り出して、何時間か前にロケ便を食べたきりの胃袋を刺激してくれたりした。」となる。「いわゆる作家の体質から自然ににじみ出てくるような、無自覚な、自然発生的な、なまくらな文体は大嫌いなのである。とくに幻想的な物語のリアリイティーを保証するのは、極度に人工的なスタイル以外にないとさえ考えている」と言った渋沢龍彦氏による芦辺拓作品の評を読んでみたい、と思わされる。いや、読んで良かった!
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ネタバレ粒揃いの3編が収まった一冊。文体がですます調になっていたり、原作を読んでいるとちょっと違和感があるが、特有の面白さは失われない。
冒頭から引き込まれる展開、不思議な事件、ちょいちょい出てくる推理もかっこよく、たった一文に表れるホームズとワトスンの固い信頼関係、サプライズ好きなホームズ、ドラマチックなストーリー、何よりテンポ感の速さ!
何度読んでもこういう見どころが詰まってて面白い!一気に読んでしまった。なのに不思議とまた読みたくなる。
カラーの挿絵はイラストだけでなく、状況を整理する見取り図もあって、現場をイメージしやすくてよかった。 -
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ネタバレめちゃくちゃ面白かった!!!前半は実際に乱歩が書いた『悪霊』で、後半はその事件の推理パートという構成。悪霊を読んだことがなかったのでどこまでが実際の悪霊なのか初めはわからなかったけど、推理パートの探偵役が乱歩自身だったから気づいた。(本作では乱歩は実際の作者じゃないとされていたけど)作者自身が作品の中で探偵役になるという構図が斬新。原作の雰囲気を壊さず、事件の謎全てに納得のいく説明をつけて未解決事件を1つの解決に導いたのすごすぎる。しかもちゃんと面白い!最後が怒涛の展開であまり頭を整理できていないまま一気に読んだので、真相を知ったうえでまた読み直したい。
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鬼★5 明治時代にタイムスリップ! 徹底した弾圧の時代、新聞記者と弁護士の熱い闘い #明治殺人法廷
■あらすじ
明治20年、新聞記者の筑波新十郎は、自由民権運動の活動家を排除する保安条例のため東京から退去を命じられ、大阪に流れ着く。一方、大阪で駆け出しの代言人(現在の弁護士)だった迫丸孝平は、日々未熟な司法と生活に苦しんでいた。
ある日、質屋一家が惨殺されるという殺人事件が発生。折しも国や警察が強い時代、犯行に及んだとは思われない容疑者がむりやり逮捕されてしまった。真相と正義を追い求めるため、二人は立ち上がる…
■きっと読みたくなるレビュー
鬼★5 明治時代の社会派法廷ミステリー。激推し、これはおもろいっすよ。
そのまま明治時代にタイムスリップしたような体験ができる一冊で、当時の街並みや人々の生活をはじめ、政治や社会の混乱が手に取るようにわかる。プロットも演出も重厚で、エンタメ作品としてめっちゃ面白い。謎解きも不思議で不気味だし、練り練られた真相に、もはや感動しました。
特に推したいのはバランスが優れている点。歴史小説ではあるのですが、必要以上に史実や説話を持ち込むのではなく、あくまでベースやスパイスにしている程合い。それらを法廷劇、ミステリーとしてエンタメに昇華させ、作品全体を抜群に輝かしているです。『大鞠家殺人事件』も重厚感あふれる作品で好きでしたが、個人的には本作のほうがより好みですね。
さて本作の主人公のひとり、弁護士の迫丸孝平。まだ司法制度はもちろん、政府すら安定していない明治時代の混乱期ですよ。事件の現場検証すら重要視されておらず、状況証拠だけで人権など関係なく逮捕されてしまう。当然、この時代には科学捜査も法医学もない。
こんなんでどうやって容疑者の弁護なんてやるんすか、無理だろ…
そしてもう一人の主人公である新聞記者の筑波新十郎。現代では表現や言論の自由が担保されてますが、明治20年では大日本帝国憲法すらできていない。民権運動につながる媒体や運動は当たり前のように弾圧される社会情勢。
こんなんでどうやってジャーナリズムなんてやるんすか、無理だろ…
現代では考えられない環境なんですが、それでも二人は容疑者のために法律とペンで戦っていく。前向きで元気が一番の新十郎と、弱気でふがいないけど勉強家の迫丸。こんなにも熱い奴らと仕事ができたら幸せだろうなぁ。二人をみてると今の自分の仕事ぶりを振り返らずにはいられないんすよ。時代は違えど仕事に対する想いは学ぶところが多かったです。
物語の後半は法廷ミステリーになるんですが、完全に鬼アツ! 臨場感もエグくって、まるで傍聴席にいるかのよう。現代とは全く違う裁判に驚かされ、検証方法にも驚かされ、さらに斜め上にいく展開にまた驚かされる。もう凄いし面白いし、何も言うことがない。もう読んで欲しい!
ミステリーの真相も丁寧で綿密だったなぁ~ 特に日本人であるならば、この事件の背景を体験すべきだと思いました。間違いなく今年を代表するミステリーですね、控え目に言って必読です。
■ぜっさん推しポイント
本作で特に好きなのは、主要人物以外の登場人物なんです。口は悪いが人情溢れる賄い老女のお吉、幼馴染で気っ風がいい芸者の琴鶴、現代の価値観に近いアメリカ人の医者テイラー。
この未熟な時代でも、価値観とプライドをもって自分らしく胸を張って生きている。困っている人がいたら手を差し伸べてあげる、正しいことをすべきという意思、なんて人間らしいんでしょうか。
たしかに辛い事件ではありました。しかし彼らのおかげで、この時代の人々も、きっと優しく生きていたんだろうと癒されることができたのです。 -
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江戸川乱歩のもとに小説の材料として売り込まれた記録から話は始まる。資産家の美しき姉崎未亡人が密室の土蔵で全裸で殺されていた。現場に残されたメモに書かれた奇怪な記号。事件前に目撃された矢絣の女。死を予言した黒川博士の盲目の養女。邸前の空き地にいるいざりの乞食。未亡人を取り巻く心霊学会の仲間たち。心霊学会が降霊術を行うと、盲目の養女に降りた霊が「犯人はこの中にいる」「次の犠牲者はこの中にいる美しい人」と言う。
雑誌「新青年」に連載された乱歩の「悪霊」はもともとここまでで中絶するのだが、芦辺拓はこのあとを切れ目なく繋げて真犯人を提示、さらには乱歩が中絶した理由まで説明してしまうのだ。どこが切れ目なのか正直見分けがつかないくらい、耽美的で猟奇的でグロい乱歩の世界観を見事に再現している。乱歩本人ではなく乱歩ファンの芦辺拓が乱歩の世界を書くんだからそのツボは見事にファンの心を押さえている。200ページほどなので一気に読んでしまった。 -
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★5 江戸川乱歩の未完作『悪霊』 遂に続きと謎が明かされる!乱歩愛に満ち溢れる合作 #乱歩殺人事件
■きっと読みたくなるレビュー
ミステリー好きと言いながら、実は乱歩作品は傑作選にある有名どころの短編しか読んいない私…
こんなにも面白いとはびっくり! 古典と言っても特段読みづらくもないし、むしろ文字がするりと入ってきます。装丁もフォントも紙質すらも風情をだしていて、カッコイイし、不気味な雰囲気ながらも艶っぽく魅惑的。
謎解きも意味不明な問題を出されて、底知れないポテンシャルを感じます。いやー痺れました。大変勉強不足だったと反省しております、やっぱり大学で文学をしっかり研究したいなぁ。
本作は江戸川乱歩が途中休載してしまった『悪霊』に対して、芦辺先生が続きを追加した作品。さらに単に物語を紡いだだけではなく、なぜ乱歩は休載することになってしまったか、なぜ乱歩殺人事件というタイトルになっているかなど、非常に手が込んでる。二度三度美味しい仕掛けが技ありですね。
個人的には乱歩が書いた問題提示がめちゃくちゃ面白く、どんな真相を描いてくれたんだとワクワクしてたんですが、これが素晴しかった。伏線っつーか、乱歩のオリジナルの文章の中から怪しいところを拾い上げて、それを推理につなげていくんですが、犯人と動機、隠されていた真実がかなり衝撃でした。謎解きの納得感が高く、しかも乱歩の世界観も保たれてる。
目ん玉が飛び出たのは、紙に書かれた「符号」の解答ですよ。乱歩だったらありえる、そうだったのかも!と思えるほどで、精神にくる解答に打ち震えましたね。
■ぜっさん推しポイント
芦辺拓先生のあとがきにもありますが、乱歩愛が満ち溢れていて嬉しくなります。こんなにも愛せる作家がいるなんて、ホント幸せなことですよね。
そして乱歩の歴史から作品から何から何まで、よくここまで調べました。研究書としてもあっぱれな作品で、きっと今年を代表するミステリーの一冊になるでしょうね。