芦辺拓のレビュー一覧

  • 時の審廷

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    政権交代が確実と見られた総選挙の投開票日、森江春策にかかってきた謎の電話。「日本分断」とはどういうことなのか…
    現代と、戦前のハルピン、戦後の日本のエピソードが交錯し、ラストにそれらが一つの真実にたどり着く。前半は場面転換など少々わかりづらくて混乱したところもあったが、帝銀事件や下山事件も取り入れて虚実さまざまに織りなした物語が面白い。
    やはり芦辺拓は「時」シリーズが一番好きかも。
    あと鮎川哲也の初期作品を読んでみたくなった。

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    2013年10月16日
  • 和時計の館の殺人

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    包帯男や遺言状を持参する弁護士など、横溝正史の作品を彷彿とさせるシーンが取り入れられているので、ミステリー好きの読者の心をくすぐります。ただ、遺産を巡る争いはもっとドロドロしても良かったのではないかと思います。
    骨格となる謎解きの部分は良くまとまっていますし、和時計が謎と有機的に結合しています。ミステリーとして良く出来ていると思いますが、和時計の知識がないと解けないのはマイナスかなと思います。

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    2013年10月04日
  • 探偵宣言 森江春策の事件簿

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    あとがきで作者自身も語っているように、試行錯誤期に書かれた初期の作品は地の文の文体が今ひとつ整っていないせいか、不自然に感じる言い回しが散見される。では、新しく書かれたものはどうかと言えば、これもさして変わらないという印象。まあ、この辺りはそういうものだということにして読み進めていけば多少は慣れるのだが、“ともあれ”という言い回しの頻発や、“秒針は変わらぬ律儀さでセコンドを刻み続けていた”や“今やシガレットの墓場と化して”などの無意味な外来語表記には首を傾げてしまう(勿論これは個人的な趣味嗜好の問題だが)。 そういった、ある種の読み難さはあるものの、本書構成上の前半は思いの外なかなか面

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    2013年03月21日
  • 探偵宣言 森江春策の事件簿

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    本格ミステリーの連作物です。ストーリーでなく、ギミックのために構築された作品群。トリックやロジックは楽しめるのですが、どうやら文体が個人的に水に合わないらしく、読んでるのが苦痛になることもしばしばでした。

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    2013年03月06日
  • 少女探偵は帝都を駆ける

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    昭和11年、女学生・平田鶴子は修学旅行のため大阪から東京へ向かう列車にいた。彼女は車窓から、並走する特急列車のデッキで男二人が取っ組み合うのを目撃する。と、二人の間に閃光が煌めき煙が上がる。「何?銃!?」確かめる間もなく特急列車は遠ざかるのだが―。表題作「少女探偵は帝都を駆ける」他6編を収録した連作短編集。

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    2012年12月26日
  • 時の誘拐

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    ネタバレ

    大阪を舞台に、現在と過去の事件がまじわるお話です。


    東京に住んでいる樹里という少女が父親の選挙出馬の関係で、大阪に行くことになった。

    東京から大阪に移動中の新幹線で誘拐される。
    犯人から連絡があり、阿月という青年にお金を運搬させろと言う。
    彼は、この家とは全く関係ない。

    ことごとく犯人に裏をかかれる警察。
    警察の一歩上をいく犯人。最終的に3億の身代金は、
    まんまと奪われてしまいます。

    奪われたので、八つ当たりで彼に責任転換をしようとする警察。
    阿月青年を容疑者にしたてあげようとします。

    身代金運搬前に森江春策に依頼をしていた彼はそこで、森江春策に弁護を正式に依頼します。


    過去の

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    2012年10月16日
  • 千一夜の館の殺人

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    これは、ぼつぼつミステリを読んできた私も度肝を抜かれるハイペースで事件が起きます。この数ページの間に何人殺しちゃったの作者さん⁈って突っ込まずにはいられない超弩級展開。…こーゆーの、好きなのよね~(笑)。

    ただでさえ多くない容疑者候補が次々殺されて行く上に、変装したワトソン役が最重容疑者になっちゃったり、その上見取り図は頻出(大好物)、謎解きが犯人究明以外にも及ぶわ、アラビアンナイトは語られるわ。とにかく、内容が詰め込まれていて息つく暇もありません。

    …でも、一番の大オチは、かなり早い段階で看破できちゃったんだぜ~(*^o^*)わーい
    伊達に館もの読んでないんだぜ!笑
    久しぶりだなー大オチ

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    2012年06月29日
  • 怪人対名探偵

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    ネタバレ

    長かった。乱歩を意識してるってことで、それは分かったけど、それでもなー。残虐な殺し方のところは面白かった。つーと私がひどい人間みたいだけど。肝心の悪の根源が残虐に殺されなかったのが、腹立たしい感じだけど。他の家族、親類達がかわいそうだ。どうもシリーズ物らしいけど、読まなくていいかな。

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    2012年05月28日
  • 時の密室

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    時代を駆け巡る!弁護士探偵の森江春策シリーズ。現代の事件が、明治、昭和の事件を解決することで明らかになっていく。

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    2011年10月18日
  • 千一夜の館の殺人

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     千一夜に着想を得たミステリ。
     展開や人物造形は面白いんだけど、どうにも根本的なポカが気になってしょうがなかった。こんなとき、自分がミステリマニアなのかなと絶望する。

     たぶん、普通に読んで気にならなければ面白いんだろうなぁ。

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    2010年08月10日
  • 裁判員法廷

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    同じネタで弁護士目線にして裁判員法廷戦略を描いた方が小説としては面白かったかも。
    現実の制度を扱う制約の中で工夫もしたんだろうけど、結局読者はただぽかんと見ているだけで単調になってしまった感じ。

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    2010年06月10日
  • 赤死病の館の殺人

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    表題作の最後がとってつけてて
    一気に覚めた。
    〇〇〇の存在を知らないの時代の人間が
    どうやってその危険の意味を込めた
    寓話を書くねん。あほらし。

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    2010年06月06日
  • 少女探偵は帝都を駆ける

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    昭和11年、モダンな女学生と頼りない青年新聞記者のコンビのミステリ活劇。
    実在人物や現実の時代背景を交えたストーリーでした。

    先日なつかしの二十面相を読んだので時代設定に惹かれて手にしてみたのだが。
    えっ!帝都なのは修学旅行の1編だけであとは大阪が舞台だとぉ(笑)!

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    2010年04月22日
  • 不思議の国のアリバイ

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    森江春策の二作目です
    (事実上は初めて?)

    映画制作に向けた諍いの描き方が
    上手いかも
    ・・・栗本薫まではいたりませんが

    個々の思惑が強固なアリバイを形成
    してしまい、事件を誤ったほうへ
    (探偵が普通すぎて、逆におもろい)

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    2010年01月23日
  • 殺人喜劇のモダン・シティ

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    新聞記者の宇留木くんと推理小説好きの女学生鶴子さんが事件に巻き込まれる(というか自ら渦中に入っていく)探偵譚シリーズの第1作。時代は昭和9年。舞台は大阪。このシリーズの特徴はその時代の映画演劇文藝に関する事物が大量に登場すること。興味は連続殺人事件の犯人探しより、エンタテイメントの歴史にいってしまいます。ページをめくるごとに、ふ〜ん。へ〜。そうだったの。と、知らなかった昭和初期のエンタメの世界が拡がります。しかしホントに良く調べられていますね。肝心の推理部分ですが、密室、時刻表、衆人環視の中で‥など多岐に富みます。そして最後には大きなどんでん返しが‥。推理小説はあまり得意ではありませんがそれな

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    2011年07月21日
  • 少女探偵は帝都を駆ける

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    これを読む前には必ず前作「殺人喜劇のモダンシティ」を読んでおいたほうが良い。時代は昭和10年の初め頃から11年の夏頃。場所は大阪。前作とは異なりその間に起こった7つの事件が連絡短編として収録されている。人気舞台役者の大阪進出。満州国皇帝溥儀の来日。コロンビアやテイチクの前身となるレコード会社が販売するSP盤。実験段階のテレビ。NHK大阪放送局の人気落語家のラジオ放送。トーキー映画。など、その時代の先進的なメディアや芸能がふんだんに登場し、それらにまつわる殺人事件を府立高等女学校4年〜5年生の主人公が解決していく。(前作時は女学校3年でしたが進級し最終話では最高学年の5年生となっています)そして

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    2011年07月21日
  • 少女探偵は帝都を駆ける

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    “(これは、ひょっとして……?)
    ある予感が胸にわき上がるのを覚えながら、似たようないでたちの男たちの中から目指す人物の姿を探し求めた。もっとも、それは造作もないことだった。というのも、おなじみの彼の後ろ姿、それも他の連中より妙にオタオタと所在なさげなそれを選び出すのにまごつく鶴子ではなかった。
    (いたいた、あそこやわ……)
    内心ほくそ笑みながら、相手の背後に忍び寄った。息がかかるほどに間合いを詰めてから、いきなり相手の後頭部めがけて、
    「宇留木さん!」
    そのとたん、びっくりしきった顔がはじかれたように振り返った。
    「おおっ…なぁんだ、君か。びっくりするじゃないか。どうしたんだよ、今ごろこんな

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    2010年03月08日
  • 探偵宣言 森江春策の事件簿

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    新規購入ではなく、積読状態のもの。2008/2/21。森江春策が高校生の頃から現在に至るまでの探偵としての活躍を描いた短編集。掲載時には意識していなかった短編群をまとめるにあたり、いろいろ手を尽くして全体で一つの流れを作っている。最後の短編は最初に書いてあるように最後で読まないと何のことかわからないだろう。

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    2010年03月30日
  • 十三番目の陪審員

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     鷹見瞭一は表現者として世に出る夢を捨てかねていた――つまり、いまだ作家として生きて行くことを諦めきれずに無味乾燥な毎日を送っていた。そんな時、高校の先輩であり、唯一出版の世界のコネクションを持った人物である船井に、とんでもない計画をもちかけられる。DNA鑑定をも欺き通せる方法があるから、わざとやってもいない事件の容疑者となり、後で無実の罪を証明して、自分自身が冤罪事件の当事者となってその出来事を記事に書かないかというのだ。突拍子もない話だったが、容疑者といっても、被害者は架空の人物だし、何よりそれが作家としての最後のチャンスだと思った鷹見は、その計画にのることにする。だが、いざ捕まってみれば

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    2011年09月13日
  • 探偵宣言 森江春策の事件簿

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    短編集。日本一地味な探偵、と命名されたことがあるみたいですが。確かに。探偵に華はないけど、その分?じっくり練った謎を楽しめる感じ。文体はけっこう軽いんですが。

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    2009年10月04日