芦辺拓のレビュー一覧
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ネタバレ中編パスティーシュミステリ二つ(連作)。
金田一耕助が江戸川乱歩のパノラマ島へ。明智小五郎が横溝正史の獄門島へという逆の設定が面白い。
①金田一耕助、パノラマ島へ行く
パノラマ、眺望という意味。
誰かの悲鳴。
夢?
目覚めたはずがまだ眠っている?
金田一耕助、また深い眠りに。
風間俊六に起こされ、殺人があったことを教えてもらう。
ミニチュアの市街の上に倒れ込んだ死体。
顔のない男。
死因は転落。ここに運ばれてきた。
帽子から文字。
…I KOGORO
明智小五郎?
放火。
あの日、パノラマ島に渡った。その後、対岸の町に戻ったと思っていたら、パノラマ島へ連れてこられていた。
悪天候で船室にこもっていた。
アリバイのため。パノラマ島の偽の建物にいた客たちも対岸ではなくパノラマ島にいた。つまり、顔のない探偵の死亡推定時刻に近くにいた。夜のうちに、酒に睡眠薬で眠らされ。事件発生の知らせとともに、またあの船で向かった。
船の操舵手、グル。
被害者も金田一耕助たちの船に乗せられてきていた。だから、船が思ったより沈んでいた。
北見五郎。
放火は、2軒の東小路荘を使ったトリックがバレるから。
最後に、明智小五郎から電報。至急来てくれ。
本編より、パノラマ感あり。
②明智小五郎、獄門島に行く
寺の鐘、その時代では貴重な材料だったのでお国の命令で溶かされてた。
大ダコ?
鬼頭村長を拉致監禁、不正選挙のかどで逮捕。
元々彼は、分鬼頭の跡継ぎとなるべき人間だった。しかし奥さんが亡くなり、お志保という娘が後妻に入ったとたん、彼は追い出されてしまった。
島の外で彼は復讐心に燃えた。戦後のどさくさで経済的に成功を収め、獄門島に還ってきた。
そして。獄門島を島ぐるみに巻き込んだ一大不正選挙計画。
かつての事件の三つの俳句と見立て殺人に対し、三つの落語のそれぞれ異なる道具立てと秘められたメッセージ。
二銭銅貨の暗号方式で読経を解読すると、島民偽物、不正止めよ。
→獄門島ではなく八つ墓村にしようかとも思ったが、パノラマ島と獄門島の始まりがほぼ同じなのでこの展開にしたらしい。 -
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ネタバレ色んな昔の探偵が集合する短編3話+鮎川哲也パスティーシュ1編。
①黎明編
半七。
女の死骸。
同じところを2度刺した痕。
銭形平次。
雁首の底が焦げた女持ちの煙管。
形ばかりで煙草葉を入れたこともない煙草入れ。
行灯に顔を突っ込んだことで生まれた化け猫の噂。
アヘンをいみしていた。
道具がない場合は、行灯に顔を突っ込む。
顎十郎。
着ぐるみの中、オラウータン。
②戦前編
法水麟太郎。
トラペゾヘドロン。
白墨教授。内蒙古で発見されたという正体不明の家宝を調べていて死亡した。
自動焼付現像機。来客のようすを1分に60枚の割合で撮影。
法水麟太郎を盗み撮りする必要ないから機械を止めておいたはずなのに作動した。誰も来たはずないのに。
黒い影が映っている。
獅子内、さっき濠に転落し、しずんだ流線型の外車が無傷で駐車場に止まっている。
黒いファラオ。
警告状。
宙に浮く謎の宝石。
紅毛碧眼の死体。背中を鋭利な刃物で一突き。
ジョン・D・キルロイ。
暗闇に浮かぶ燦然たる物体。
明るみにも溶け消えて見えない何者かが、開かずの金庫から宝玉を抜き取ったとしか思えない。
閃輝暗点だった。視覚異常。
ストレスから解放されたときになりやすい。
ジョン・D・キルロイという外国人客はアルカヌム会の一員で、宝石をナチス・ドイツに引き渡すまいという活動をしていた。敵方に刺されてしまい、そのまま瀕死の状態でホテルまで帰った。部屋で凶器を抜いたところで出血を起こし、絶命。
仲間があとで訪ねて、蘇生無理だと気づくと、凶器の刃物を持ち去った。犯人の特定手がかりになり得るのと、それを日本の官憲に渡さないため。
キルロイがミカンの皮をくわえさせられ、中身は屑篭に捨てられていた件は、エラリー・クイーンのチャイナ橙の謎。あべこべな殺人現場を表現。皮が死者の口にねじ込まれたのは、逆に彼の身元を明かすため。服装からはわからないが、キルロイはキリスト教の聖職者であるということを知らしめようとした。
輝くトラペゾヘドロンはアメリカに運ばれた?
マンハッタン計画。
③戦後篇
義顔の作成依頼。写真。
怪人二十面相の変幻自在な活躍を影で支えた名工として有名な職人。
神津恭介。
ねじられた死体。
両腕切断。
ジグゾーパズル、
飛行機事故。一人死体が多い。
予告状。八剣家秘伝のお宝を頂戴する。
小林君。
明智。
飛行機事故で一人だけ発見遅れた死体。H.Yの名前が服に。崖下に投げ込まれた?
顔に改造を加えられた跡?
小林君、宝が盗まれないように見張っていたが、麻酔剤のエーテルてま眠らされる。
盗まれる。
死体。前をはだけ、胸板がむき出し。絨毯にはボタンが散らばっていて、苦しみのあまり引き違ったことを物語っていた。周囲にシミ。
絞痕。
溺れ死んだ。広間で絶命したのは間違いない。海辺から数キロ。
死亡解剖の結果、肺から海水。
胃の中からジグゾーパズル。
黒い怪人。
給仕の少年を抱きかかえるように歩かせていた。その手にはペーパーナイフ。
もう一人を肩からかついでいた。頭部を布。スカートをはいたいた。
密室殺人。
最初は広島市内のアパート。
次は佐賀県内のホテル。
今度は大阪のビル。
背中のほぼ同じ部位を、同じ角度と深さ出刺された。
現金や宝石を奪われた。
体内から、ジグゾーパズル。
八剣遥。偽物?
義手義足の制作業を営む人物に依頼かまあった。そのとき渡された写真が八剣遥。
手足を全て逆に捻じ曲げられた身元不明の死体が本物の八剣遥ではないか。
ジグゾーパズル、法医学教室の解剖室で入れるた? あの死体が本物の八剣遥であるかのように錯覚させようとした。
墜落現場の死体、ハルカ・Y.敗戦後まではローマ字表記が訓令式だった。フルカ・Y
古方博士。
ペドロ斎藤の死体の近くで発見された鶏の置物と、その背中に刺さったアンク。
埃漢文字同源考。mのイニシャル。
ペドロ斎藤の死因。亜急性窒息による溺死。潜水を行なっている最中、事故にあいかけて溺れかけた。急いで浮上した際、減圧によって体が膨張するスクイーズ現象によってヘルメット下部の金属環で顎部を圧迫された。絞殺痕ではなかった。彼はそのあと自宅に戻った。肺胞に残った海水が浸透圧の作用で体内の水分を取り込み、肺が水で満たされ、死亡。
古方博士、モリアーティ教授だった。
小林少年、明智と話す。
予告状、誰かが探偵の実技にかこつけて盗みを働かせようとしている?
小林君、宝物室の見張りらわざと寝たふりをした。忍び込んだのは昔の知り合いだった。事情を聞いたあと、逃がした。
友人が通っている探偵学校が犯罪の手先をつとめさせるなめの組織。彼らをあやつる先生。
中村警部が、怪人二十面相のしわざと言ったが、それが本人の耳に入った。
怪人二十面相は、帰りの小林君を捕らえた。
手先として使われた少年。みんなが映画を見ている間に一人抜け出し、書庫に侵入。八剣遥の少年時代に採取されたら指紋を盗み出すか、すり替える。
あらかじめ用意していた黒い怪人の装束をまとう。持ち込んだ等身大のゴム人形を膨らませた者に、給仕の服を着せ、抱きかかえて外に出た。
尾形恵美子が介入。
尾形恵美子の方が怪人に扮し、少年の顔を伏せさせて後から抱きかかえ、人形には自分の制服を着せた。
森江春策。
密室。広島のアパートでは内開きのドアの陰、佐賀ホテルでは個室トイレ、大阪の事務所では掃除道具入れに隠れた。
凶器など他の犯行手口が同じなので、密室トリックも同じでなければならないと錯覚させた。
色々複雑にしているだけで、それぞれのトリックがあまり面白くないし、分かりにくい。
④黒い密室 続・薔薇荘殺人事件
鮎川哲也が書こうとして書けなかった黒い密室。
星影龍三。
鮎川哲也。筆記者。
薔薇荘。
ベンチの後は海。
薔薇荘の一角は崖に面している。
死体。黒井。ベンチに横たわっている。
腹部にはサーベル。
雪に足跡なし。
街灯などないので、懐中電灯などないとベンチまでいけない。
筆記者。鮎川哲也、偽物。鮎川哲也は、一人称をわたし。ロシアはロシヤ。死体は屍体。ドンファンはドンホァンと書く。
黒井は薔薇荘の主人のコレクションの宝石類を盗んで消えようとした。
仲間がいた。
オワンクラゲ。水中で光を放つ。地面に巻くと、大地の湿気を吸って輝く。目印にたけた。
仲間が用意したのは、海に面した城壁の破れ目。光る道筋の延長線上に踏み出せば、崖から落ちるはずだった。
使用人、壁が崩れていて夜ならば誤って転落しかけないと気づき、ベンチをそこに持っていき、通せんぼした。
黒井、宝石を盗んだ時、他人のコートを失敬した。逃亡の変装似きいと思って。盗みの最中ら照明は低くしていた。
ここに津ノ塔美希、野風だとコートかは思い込んで後から刺す。
黒井、脱出。光を頼りに行く先にベンチ。そこで倒れて絶命。
→また、怪我したまま密室に逃げ込むパターンかよ。。こういうありきたり密室を使うくらいなら、密室を入れないでほしい。。
しかも、また色んな人物が関わって複雑にしているパターン。そういうのもつまらない。
しかも、最後に、作者付記で、この事件に登場する被害者や容疑者の名前(偽名、あだ名、含む)、映画、芝居のタイトルをかな文字のままアナグラムしてごらんなさい。
→面倒なんだけど。。
被害者、くろいとくらん。→黒いトランク
容疑者は全員か?
たしろこういち。→わからない??
そりうらけんじ。→リラ荘事件
のかぜしょうげん。→風の証言
たちかわたえこ。→わからない??
つのとうみさき。→積木の塔
おかのせきぞう。→憎悪の化石
うおせさがを。→王を探せ
それをひじょうとよぶとし。→人はそれを情死と呼ぶ
うふのあいしける。→死のある風景
うろはちよくいく。→黒い白鳥
あさふめいてき。→宛先不明
ペドロけんふじ。→ペトロフ事件
ちのもんこはく。→沈黙の箱
→あとがきにあった。。
鮎川哲也の長編タイトル。
評価は迷ったが、大作ではあるので、★4
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Posted by ブクログ
ネタバレとても楽しめた1冊。
ミステリーはいつも長編を読みがちなのだが、久しぶりに読む短編はサクッと読めて味わい深い。
タイトルが示す通り、フーダニットの短編集。
単純な犯人当てではなく、捕まるのは誰だ・生き残ったのは誰だなど一風変わった話の流れだ。
引っかかりが少ない文章で、サラサラと読めた。
例に漏れず、今回もまっさらの状態で読んでみて見事に騙された訳だが、いくつかの短編は読者には絶対に解けなかったのでは…?と思われるものも。
ようするに、情報が足りなさすぎる。
でも話の構成としては面白く、最後まで飽きずに読ませてくれたのはさすが芦辺拓氏といったところ。
ハードボイルドみがたまらない第3話「殺されるのは誰だ」
ミステリーならではの状況に心躍る第5話「生き残ったのはだれだ」
この2作は特に印象に残った。
短編としてのトリックの驚きとキレの良さは最終話がダントツだろう。
どのキャラクターも地の文を読むと彼らの背景が透けてみえるのも面白い。
久しぶりにまた芦辺拓作品を読みたくなった読書体験だった。 -
Posted by ブクログ
中絶作『悪霊』を読むと確かに『孤島の鬼』級の畢生の大作になりそうな雰囲気がありますね。当時の読者が完結を待ち望んでいたことが容易に想像できます。
序盤の密室殺人、異様な猟奇殺人、奇妙な暗号、乞食の謎、記述の不可解さなど広げすぎた風呂敷のほぼ全てに辻褄を合わせるだけでなく、乱歩の嗜好を真相の核に持ち込み、尚且つ『悪霊』の真の中断動機を荒唐無稽ながら提示しています。半端なデキでは許されなかっただろうし、恐ろしく高かったハードルを芦辺先生は見事に飛び越えたのではないかと率直に思います。
大作家の中絶作に90年の時を経て挑むという偉業と偉大なる大作家へのリスペクト精神に星4 -
Posted by ブクログ
文庫の表からも(=通常の縦書き)裏からも(=横書き)読めて、真相編はその2作品の間に挟まれてるっていう、最高にチャレンジング&店頭で出会ったら購入必至な試みの本作。
こういう作品に出会う為にミステリスキーの末席にひっそりと居座ってますハイ…最高です…。
「いや、章を分けて普通に収録しても別に問題なくない?」
って思ったそこのアナタ。
私も最初ちょっと思ったよ←
いやでも、裏面から読める作品の方は「ネット上にアップされたブログ」っていう設定になってるから、本作に関してはこの仕掛けが実は大成功なんですね。
この仕掛けをせずに通常の体裁を取っちゃうと、この作品の魅力が半減するし、エピローグで言及される本作品の構造が体感し難い。
殺人事件の謎の難易度はめちゃくちゃ低いんですが、ちょっと前例を思い出せない「犯人指摘」は凄いよ。一瞬「え〜それはちょっとアンフェアじゃない?」って思いかけるんだけど、ちゃんとヒントや伏線は多少なりともあるし、フェアアンフェア論争の前に「凝ってるな〜〜」って感心させられちゃう力業が嬉しい。
挟まれるのが「読者への挑戦状」ではなく「読者への案内状」なのもムベなるかな。そうなのよ。少なくとも探偵は犯人を指摘「できない」からね。あと、単純に読み方の説明ターンでもある。
表裏どちらからでも読めるんですが、裏から読むと「え!!!時系列どーなっとん!?」って初っ端から混乱しちゃうので、普通に楽しみたい方は月琴亭から読むのをお勧めします。
いーや!ひねった読み方をしたい捻くれミステリスキーだぞ俺は!な勇者はノンシリアルからどうぞ。
【内容まとめ】
月琴亭の殺人…潮が満ちると孤立する島に、異なる内容の招待状で集められた5人の人物。加えて、彼等とひとかたならぬ因縁がある人物ーー「首吊り判事」がレストランに軟禁されているのを発見した彼等は、自分達も満潮によるクローズドサークルに閉じ込められたことを知る。仕方なく一夜を過ごす事にした一行だが、翌朝になって首吊り判事が死体となって発見される。
ノンシリアル・キラー…電車内のトラブルの最中に急死した妊婦の事件を調べていくうちに、「わたし」は奇妙な偶然に気付く。事件以降、彼女の周辺では奇妙な突然死が相次いでおり、その犠牲者の中には「わたし」の元恋人でありお腹の子の父親である男も含まれていたのだ。事件の目撃者に会って話を聞く「わたし」だったが、やがて驚愕の事実に直面する。