大田直子のレビュー一覧
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『脳は世界をどう見ているか?』は、脳を単なる情報処理装置ではなく、世界をモデル化するシステムとして描いている。
人間の脳は、古い部分の上に新しい部分を積み重ねるように進化してきた。古い脳は生存や感情を司り、新しい脳である新皮質は知能や思考を担う。この2つはルームメイトのような関係にあり、たとえば新皮質が「健康のためにケーキを我慢しよう」と考える一方で、古い脳は「美味しそうだから食べたい」と訴える。人間の行動は、そんな2つの声のあいだで揺れながら決まっていく。
特に印象に残ったのは、新皮質の構造に関する説明。
新皮質は、くしゃくしゃになった一枚のシートのように見えるが、実際には「皮質コラム」と -
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どうしよう。本気で感想書いてたら指もげる。
短く不恰好でここでは書けないようなものしか触らない指ですが、私にとっては大事なかわいい指ちゃんなのでそこそこに書いていきます。
言いたいことは表題のまま。てかドーキンスの時点で表題すら要らないかも知れない。が、私も含めて今回はどんな表現方法で彼の主張を筆圧高くなぞってくれるのかニヤニヤしながら読んでいきます。正直1割、いや2割くらいは日本語で書いてあっても理解不能ではありますが、残り8割も理解してるつもりであって正しく理解してるわけでも記憶してるわけでもないので気にしません。
1動物を読みとる
いきなり「あなたは遺伝子版死者の書」ですよ。また「パ -
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オリヴァー・サックス(1933-2015)の強烈な自伝。出版は2015年。
原題は“On the Move: A Life”。のっけからバイクの話が登場し、6ページ目までぶっとばす。書名の通りon the move。もちろん、この慣用句はサックスのactivityの高さの謂い、その生き方を指している。
ロンドン生まれ。父母はともに医師、ユダヤ人。オックスフォードの医学部を卒業し、28歳でアメリカに渡る。医師として、研究者として几帳面な生活を送るも、一方、仕事がオフになると、バイクで放浪。同性愛者でもあり、一時期は薬物依存の生活も送った。『レナードの朝』のあの医師のイメージからは想像もできない。 -
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ネタバレリチャード・ドーキンスの最新刊。内容はドーキンスの総決算的なものとなっており著者の過去の著書のエッセンスが凝縮されている。現在ではまだ実現できていない内容も予想の形で結構入っている。
動物は『遺伝子版死者の書』でありその『パリンプセスト』を読むことで過去に生きていた環境が分かる、というもの。
序盤は擬態・絵画などの偽装を自然淘汰によって遺伝子プールに彫刻していくことの例をあげる。その後海から陸に上がりさらに海に戻りまた上陸したリクガメの紹介、歯の形から草食・肉食が分かること、異なる種の機能が同じような形になる収斂進化、その逆に同一の種からそれぞれの環境にあうように進化していく適応放散、と続 -
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原著は2017年刊。オリヴァー・サックスは2015年に亡くなっているので、いわば「遺作」。亡くなる2週間前、サックスは、「ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックス」誌に掲載したいくつものエッセイをこのような形でまとめることを編集者に託したのだという。
エッセイは10篇。サックスの敬愛する3人のビッグネイムが頻繁に顔を見せる。ただ、登場するのは、植物学者としてのダーウィン、精神分析を言い出す以前の神経学者としてのフロイト、意識の川(流れ)について考えたジェイムズである。
いつものサックスと少し違うのは、人間よりも、動植物にスポットライトをあてている点。なんとなく枯れたエッセイのようにも感じる。もち -
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Sleeping Beauties: The Mystery of Dormant Innovations in Nature and Culture
イノベーションは自然にも文化にも容易に生まれる(多重発見)が、成功するのは難しい。多くは休眠状態に入り、環境が整ったときに発現する。
【目次】
序章 水に書かれし名
第1部 自然
第1章 インスタント・イノベーション
第2章 長い導火線
第3章 分子の高速道路
第4章 好ましい振動
第5章 遺伝子の誕生
第2部 文化
第6章 カラスと水差し
第7章 数を数えるニューロン
第8章 隠れた関係
第9章 車輪の再発明
第10章 眠り姫 -
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人類がなぜここまで繁栄したのか、そしてこれからも繁栄できるのかについて、「合理的楽観主義者」の著者が描く。
鍵は「専門化と交換」にある。
この性質は現生人類だけに見られる特徴であり、我々より脳の容量が大きいとされたネアンデルタール人にも見られなかった。
人類は専門化と交換により、集団的知性を高め、テクノロジーの進化を引き起こし続けた。
逆に言えば、その2点が抑制されると進歩は停滞する。
過去の例を見ると、いずれも強権力者による抑圧で交易が制限された場合には停滞が見られる。
そしてそれは未来にも言える。
もしもなんらかの圧力により経済活動が抑制でもされれば、解決できるはずの問題も未解決のままにな -
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やや悲観的に
の著者の以前の作品 例えば「繁栄」等では、楽観主義的な思想 見込みを披露していたが、この著書では、やや悲観的な調子が目立つ。印象に残った箇所として下記が挙げられる。
11% 不安定な自給自足から、より安定した相互依存へ
イノベーション アイデアの発明ではなく、実用化。手頃な価格で現実に使えるようにすること。
原子力は、イノベーションに必須の「試行錯誤」が大変に困難なので、進歩できない。
発明やイノベーションは、理解されるより先に使われることが多い。
理論付は後付。
人びとが長期的な影響を過小評価するというイノベーションに関する重大な真実の好例
家畜化による遺伝子の変化は、犬や牛にみ -
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【感想】
いつも時間がない、時間がないと思いがちだったけれども、
時間がないと言う欠乏性に陥っていることに気づかされた。
特に、身体の疲れにより休息が必要と同じように、精神的にも消耗したときに回復を必要とするというのは心に残った。
育児はまさにこれ。
あと、今まで貧困は金銭面しか考えていなかったけれども、
心理的状況や処理能力まで目を配ると言う事はなかった。これも新発見。
【心に残ったところ】
・ひとつのことに集中するということは、ほかのことをほったらかしにするということ。
・欠乏とは、自分の持っているものが必要と感じるものより少ないこと
・欠乏は人の心を占拠する
・欠乏状態とは -