【感想・ネタバレ】ジーン・マシン――細胞のタンパク質工場「リボソーム」をめぐる競争のレビュー

あらすじ

「「リボソーム」という言葉を出すと、科学者でさえたいてい、ぽかんとした顔になる」(本文より)リボソーム、それはヒトだけでなく、動植物や細菌にいたるまであらゆる生命のタンパク質をつくり、生命活動を支える重要な分子機械である。人間の眼には見えないこの小さなマシンは、どんな形状をしていて、どんな風に動いているのか。その構造と機能を解明した功績で2009年にノーベル化学賞を受賞したインド出身の生物学者が、秘密解明までの日々を、200名を超える科学者たちの貢献を交えて語る。インドから米国へ、さらに分子生物学のメッカ、英国ケンブリッジのMRC-LMBへ。物理学で博士号を取得し、経験もコネもなかった著者が生物学の道に進路変更して、第一人者となるまでにはどんな苦労があったのか。鍵となった研究手法の解説から、キャリア選択の迷い、ライバル研究者との競争や政治的な駆け引きまで、繊細なユーモアあふれる文体でこのうえなく誠実に綴った、自伝的科学エッセイの傑作。

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Posted by ブクログ

 「じん・ましん」ですか? かゆくなるやつ?
そんなじゃありませ~ん! 表紙の画像よく見て!
色つき「パスタ」うにゅうにゅ、これ「リボソーム」ですから!
 はい! この本はリボソームのパーツの立体構造と動き方を調べて2009年にノーベル化学賞を受賞されたヴェンカトラマン・”ヴェンキ”・ラマクリシュナンさん(ヴェンキさん)の「自伝的科学エッセイ」です。
 ヴェンキさんが、インドの大学を卒業してアメリカに渡り、のちにノーベル賞を受賞するまでをユーモラスに、そして、率直に語っています。
 たいへんおもしろかったです!

 この本、まず巻末の「解説」から読まれることをおすすめします。リボソームが何かを説明してあります。
 リボソームは、細胞のなかの分子です。遺伝情報から、エネルギーを使って、タンパク質を合成する「分子マシン」です。
 水分を除いた細胞の「乾物」だと、重さの30%がリボソーム。だから、細胞の中にたくさんあります。その数、6~7万個!
 水分70%の肉100gだと9gくらいあるのかな?
 わたし、ぜんぜん意識せずに「リボソーム」めちゃめちゃ食べてました!

 リボソーム、細胞のなかの分子としては最大の大きさ、でも細胞と比べると、めっちゃ小さいです。
 そして「大」と「小」のふたつにわかれます。両方とも「RNA」と「タンパク質」でできています。でも、太古の昔はRNAだけだったとか。
 RNAって、情報を運べるし、化学反応も起こせるすごいやつ、「生命のはじまり」とも関係しているようです。そんなRNAとタンパク質をつなぐリボソーム、超重要分子です。
 ヴェンキさんは、そんなリボソームのちっちゃい方の立体構造を明らかにしました。
 この「立体構造を明らか」って、つまるところ人間の目でみてわかるようにすることです。
 つくづく思います、人って目で見てわかることが、何かを理解するのに重要なんですね。当時難しかったとはいえ、ノーベル賞級の仕事になるんですから。

 この本のおもしろさは、ヴェンキさんのノーベル賞にいたるまでのストーリーです。
 もともとヴェンキさんは理論物理学のひとです。それが、アメリカで物理の博士号をとってからの生物学への転向です。ゼロからのスタートです。
 生物学に転向してから読んだ『サイエンティフィック・アメリカン』でリボソームに出会います。そこから、どんどん追いかけます。
 ヴェンキさんはとても優秀ですが、超天才とかではない感じ。スターじゃない、常識ある普通っぽいひとが、ゼロからはじめてノーベル賞にたどり着くのが痛快でした。
 自分を成長させるために研究拠点を変える決断、自分にもチャンスがあると思ったら研究レースに飛び込む勇気、とってもよかったです。


 生体の高分子のお話なので、とくに役立つ情報はないのですが、ひとつお役立ち情報ありました!
 わたし、血液検査のたんびにマグネシウムやタンパク質不足を指摘されていますが、リボソームさんもマグネシウム不足にもろ影響をうけるみたいです。
 リボソームさんにタンパク質をせっせと作ってもらうため、もっとマグネシウムとらなきゃと思いました!

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2026年04月11日

Posted by ブクログ

原著は2018年刊。ヴェンカトマラン・ラマクリシュナンの研究自伝。
1952年インド生まれ。細胞のタンパク質工場「リボソーム」の構造と機能の解明で、2009年ノーベル化学賞を受賞。
生い立ちから始まるわけではない。インドで物理学を学んだことも出てこない。アメリカに渡り、UCSDの大学院で生物学、ポスドクとしてイエールでリボソームの研究に入り込んでゆくところから始まる。1980年代、90年代、構造生物学が輝いていた時代、その熱気と活気と興奮が描かれている。
プロローグから引き込まれる。1980年、イエールの掲示板で見た講演会を聞きに行く。聴衆はわずか。質問はほとんど出なかった。だが、研究内容がすごいことだけはわかった。講演者はベルリンのマックス・プランクのアダ・ヨナット。その29年後、ふたりは同じ授賞式の席にいた。
第3章、リボソームの可視化の歴史の記述はみごと。専門外の者にもよくわかる。
訳文はよどみなく読める、おお、なんという幸せ!

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2026年01月08日

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