【感想・ネタバレ】ジーン・マシン――細胞のタンパク質工場「リボソーム」をめぐる競争のレビュー

あらすじ

「「リボソーム」という言葉を出すと、科学者でさえたいてい、ぽかんとした顔になる」(本文より)リボソーム、それはヒトだけでなく、動植物や細菌にいたるまであらゆる生命のタンパク質をつくり、生命活動を支える重要な分子機械である。人間の眼には見えないこの小さなマシンは、どんな形状をしていて、どんな風に動いているのか。その構造と機能を解明した功績で2009年にノーベル化学賞を受賞したインド出身の生物学者が、秘密解明までの日々を、200名を超える科学者たちの貢献を交えて語る。インドから米国へ、さらに分子生物学のメッカ、英国ケンブリッジのMRC-LMBへ。物理学で博士号を取得し、経験もコネもなかった著者が生物学の道に進路変更して、第一人者となるまでにはどんな苦労があったのか。鍵となった研究手法の解説から、キャリア選択の迷い、ライバル研究者との競争や政治的な駆け引きまで、繊細なユーモアあふれる文体でこのうえなく誠実に綴った、自伝的科学エッセイの傑作。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

感情タグはまだありません

Posted by ブクログ

原著は2018年刊。ヴェンカトマラン・ラマクリシュナンの研究自伝。
1952年インド生まれ。細胞のタンパク質工場「リボソーム」の構造と機能の解明で、2009年ノーベル化学賞を受賞。
生い立ちから始まるわけではない。インドで物理学を学んだことも出てこない。アメリカに渡り、UCSDの大学院で生物学、ポスドクとしてイエールでリボソームの研究に入り込んでゆくところから始まる。1980年代、90年代、構造生物学が輝いていた時代、その熱気と活気と興奮が描かれている。
プロローグから引き込まれる。1980年、イエールの掲示板で見た講演会を聞きに行く。聴衆はわずか。質問はほとんど出なかった。だが、研究内容がすごいことだけはわかった。講演者はベルリンのマックス・プランクのアダ・ヨナット。その29年後、ふたりは同じ授賞式の席にいた。
第3章、リボソームの可視化の歴史の記述はみごと。専門外の者にもよくわかる。
訳文はよどみなく読める、おお、なんという幸せ!

0
2026年01月08日

「学術・語学」ランキング