大田直子のレビュー一覧
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この本でスティーブン・ジョンソンが言いたいことをかなり単純化すると、
「人間や社会の大きな決断は、突然のひらめきではなく、『世界の地図を作る→未来を予測する→選択する』という流れで行われる」
ということです。
① マッピング(Mapping)
まず現実を理解するための「地図」を作る段階です。
例えばコロンブスなら、
* 地球は球体である
* ヨーロッパとアジアは海でつながっている
* 当時知られていた航海記録
などを頭の中で整理した。
つまり、
「今、自分はどこにいて、世界はどうなっているのか」
を把握する作業です。
著者は、
良い決断は良い地図から始まる
と言っています。
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② 予測(Simulation)
次に、
「もしこうしたらどうなるか」
を頭の中でシミュレーションする。
例えば、
* 西へ航海したらアジアに着くか?
* 失敗したら食料は足りるか?
* 敵はどう動くか?
などです。
将棋で数手先を読むのと似ています。
人間の脳は、
未来を仮想体験する機械
だと著者は考えています。
⸻
③ 決定(Decision)
地図を作り、
未来を予測した後で、
「ではどの道を選ぶか」
を決める。
ここで初めて決断になります。
結構小説的でわかりにくいがこのようなものかとぼんやり考えて読みました。
下記はジェミニのかいとうです。
スティーブン・ジョンソンが本書で提示している「長期的な決断(Far-sighted decisions)」のメカニズムは、まさにいただいた3つのステップそのものです。直感や一瞬のひらめきを美化しがちな世の中に対して、彼はもっと泥臭く、しかし知的なこのプロセスこそが人類を前に進めてきたと説いています。
この3つのステップをさらに深く味わうために、本書の背景にある「著者が本当に伝えたかった隠し味」を少しだけ補足させてください。
① マッピングの肝:あえて「ノイズ」を取り込む
良い地図を作るには、自分の見たい景色だけでなく、**「見たくない不都合なデータ」や「多様な視点」**をどれだけ盛り込めるかが勝負になります。コロンブスの例で言えば、当時の不確実な噂や異なる学説まで含めて地図を広げたことが、結果として新しいルートへの足がかりになりました。視界を狭めず、グラデーションのある現実をそのまま描き出すのが、ジョンソンの言う「良い地図」の本質です。
② 予測(シミュレーション)の肝:失敗のシナリオ(プレモータム)
人間の脳が「未来を仮想体験する機械」であるなら、著者が特に推奨するのが**「もしこれが大失敗に終わるとしたら、原因は何だろう?」とあらかじめ未来の失敗を特定する作業(事前検証:プレモータム)**です。将棋の先読みと同じで、「良い手」だけでなく「最悪の手」を脳内でどれだけリアルにシミュレーションできたかが、決断の強度を大きく左右します。
③ 決定の肝:単一の選択肢に飛びつかない
地図を作り、シミュレーションを重ねた最後の「決定」の段階で、私たちは「やるか、やらないか(AかBか)」の2択に陥りがちです。しかしジョンソンは、優れた決断を下す組織や個人は、ギリギリまで**「第3、第4の選択肢(CプランやDプラン)」**を机の上に残し、比較検討していると指摘しています。 -
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前書である『繁栄』の拡大版という感じで、内容に目新しさはないように感じた。著者の主張は一貫していて変わらないし、目が覚めるような内容ではない。
こう表現すると、なんかこう語弊があるけれども、実際のところ、『まっとうな意見』で終始している。
ひとりの天才によるブレイクスルーというのは実際には存在していなくて、あるのは沢山の現場で展開する『トライアンドエラー』試行錯誤である。ただ文化や社会が成熟しすぎると失敗を許さない完璧主義が跋扈して、失敗から次の段階に進むというステップが難しいものになってしまう。資本主義はイノベーションの揺籃するものである一方で、政府を抱き込み利益だけを追求していく袋小路にはまり込みやすい状況を作ってしまう。それを意識しないままでいることの警鐘はキチンとしている。そんな感じだ。
この本では、では政府のやるべき役割はなんなのかという具体的な提案や考察はない。まあ、そのせいでなんかモヤつくわけではあるが、政府や国というものの定義自体が割と難しいのもあるのかななどと考えたりする。
個人的には『コロナ禍』というものをどう捕らえているのかが追補されているのが興味深かったが、思ったような論は展開していなかった。多分あまりに身近で近すぎる歴史であるが故に、事例が整理整頓出来ない状態なので、はっきりとした結論は出せなかったのだろうと思う。
後半は割と流し読みに近い感覚で読んでしまったので、たぶん取りこぼしが多くあると思う。10年後に読み返したら、また違う景色が見えるかもしれない。 -
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オリバー・サックスは私が好きな脳神経医であり、医学エッセイニスト。学生時代からサックス先生の本を読んできた。
今年(2025)は「脳機能と音楽」を学習テーマにする決めて数冊本を読もうと目標を立てた。その一冊目はサックス先生の本にした。臨床中、いつも「リズム」の存在に驚く。うまくいかないとき、大体リズムやテンポが合っていないのだ。課題転換のタイミングや歩行・言語・呼吸のリズム…相手とマッチしないのは私のリズムが皆さんと合っていない時。
本書にも「パーキンソン病と音楽」や「失語症と音楽」「記憶障害と音楽」など多くのテーマについて先生が対面・体験した患者さんの様子が愛を持って書かれている。先生のこの対象者に対する愛情と優しさが感じられるところが好き。論文とは違うエッセイの良さがある。
一般の方には読み進めるのが難しいかもしれない。それは普段見聞きしたことがない単語や様子の記述が多いから。でも少しずつ読んでみると不思議な脳の世界、特異的な脳と音楽の世界に少し触れられると思う。 -
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挑戦的な読書体験
内容が非常に密度が高く、歴史に詳しくない読者にとっては理解が難しいと感じられることがあります。また、映画的表現が強調される一方で、歴史的細部や文脈の深い理解が必要な部分も多く、一般読者には挑戦的な読書体験になる可能性があります。
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「欠乏は人の注意を占領し、それが限定的な強みをもたらすが、その他の能力が低下する」
例えば、金銭的に貧しい人は、いつもお金のことに心が奪われていて、お金を得る方法につながることには躍起になるが、心に余裕がないため、良い親になりにくいなど、他の大事なことが疎かになるらしい。
欠乏のせいで、他のもっと重要かもしれないことをトンネルの外に追い出してしまうことをトンネリングというが、私も、時間が足りないという欠乏のせいで、しょっちゅうトンネリングに陥っている。
トンネリングに対処すべく、スラックという余裕をトンネリングに陥っていない時に意識的に作っていく備えが大切だそうだ。
私の場合、トンネリングになって、子供との時間を犠牲にすることがあるのだが、あらかじめ週一回は親子活動をする時間を予定に組み込んでおくとか、月一回親子で、料理や掃除をする日を確保しておく。
心がけなくてもよい行いができるように
あらかじめスラックを準備しておくことが大切だと分かった。
時間がない私の問題点を解決してくれる画期的な方法が見つかったわけでは無いが、欠乏の恐ろしさが経済学的な視点で分かり、知見が深まった気がした。心理学などでよく用いられている言葉についても、その現象や効能が具体例とともによく説明されていてとてもわかりやすかった。
欠乏の仕組みを理解し、欠乏とうまく共存するために、とても役立つ本だ。
とにかく、スラックをいかにして作るかということを意識して、日常の生活を振り返ってみたい。 -
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必要は発明の母、娯楽は発展の父
娯楽→技術向上/新たなニーズ→イノベーション。AIにこれはできるか?
■概要
人類の娯楽の歴史であるオシャレやゲーム、社交場(居酒屋やカフェ)の成り立ちや史実をもとに、人類の発展を考察する。
筆者のいう"ハチドリ効果"、要はあるニーズやソリューション自体が、全く関係なく見える(ニーズをうみ)イノベーションに繋がっているのでは?というケースを6つに分類して紹介していく
■感想
安宅氏推薦の『世界を変えた6つの革命』の方からこちらに飛んだものの、革命に比べて非常に読みづらい。筆者も訳者も同じながら、こちらの方が古いことから、おそらく『〜革命』ではかなり改善がなされているのだろう。
★私のミッションに置き換えて
型破りなライブスポーツエンタメこそ、これからの時代をけん引していくと自信を持てる内容だった。AIを中心とする処理技術や、ロボティクス産業、新エネルギーなどが表の"イノベーション"であるならば、スポーツやエンターテイメントこそ"裏のイノベーション"である。
ここで起きること、スポーツを通して社会を良くしようとする試みが"ハチドリ効果"を生むと信じている。 -
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ふむふむふむ。なかなかグッドでした。
読む人が読んだら大炎上しそうな内容でしたが、根拠を明示しながらの説明は首尾一貫としており、こういうスタンスもありだよね、と私は思えました。
特に最後の結論には納得感があり、非常に勉強になりました。
宗教が良い方向へ働いているうちは神はいてもいいと思いますが、悪い方向へ働いてしまったとしたら、それは神のいない世界を歩き始めるべきではないかと思います。
日本人は無神教的で、海外の宗教問題への意識が希薄であるという話を聞いたことがあり、私もその自覚はあるので、他者が大切にしていることを踏みにじりたくはないなあと思っていましたが、戦争やテロまで繋がって実害が出ている場合は、話が違います。
しっかり勉強して冷静に価値判断してほしいものです。 -
Posted by ブクログ
チェルノブイリと福島の事故を含め、原子力が電力一単位あたりで出す死者の数は、石炭の2000分の1、バイオ燃料の50分の1、ガスの40分の1、水力の15分の1、太陽光の5分の1、風力の2分の1。
18世紀の戦争によって軍に穀物の倉庫や家畜小屋が襲われたため、それを免れるジャガイモの栽培がヨーロッパで広まった。
現在、世界のエネルギーの約1%が窒素固定に使われており、人間の食糧に含まれる窒素原子の約半分を供給している。2010年の飢餓による年間死亡率は、1960年の100分の1になった。
1988年、サトウキビ畑から空気中の窒素を固定する能力があるグルコンアセトバクター・ジアゾトロフィクスが発見された。これを様々な植物の細胞内に生息させることが試みられ、トウモロコシ、コムギ、コメで収穫量とタンパク質含有量が顕著に向上することが示されている。
緑の革命が環境問題や農民の自殺のような社会問題を引き起こしたとするのは、フェイクニュースであることが判明している。
1838年、モールスは電線を介して符号を用いたメッセージを送ることに成功し、1843年に電線を敷設する予算が承認された。電信線の海底ケーブルは、1850年に英仏海峡を横断し、1866年に大西洋を横断し、1870年にイギリスからインドまでが開通し、1872年にはオーストラリアまで届いた。
クリシュナ・ヴィーラマは、4700~7000年前のイヌの骨化石から採取したDNAを分析し、現代の犬やオオカミのDNA配列と比較し、イヌはオオカミから約4万年前に分岐し、2万年前に東西に2分したと結論付けた。
人々はイノベーションについて最初の10年は過剰な期待をし、20年後には過小評価する。今日の経済成長の主エンジンの源は、より多くの資源を使うことではなく、より少ないもので、より多くを行うイノベーションを利用することだという流れが急増している。
著者は、GM作物や除草剤ラウンドアップへの抵抗や予防原則に対して批判的であることが興味深い。規制によって携帯電話やドローンの開発が遅れたことを挙げている。知的財産権もイノベーションを阻害すると主張する。知的財産権がもたらす額の4倍が訴訟に注がれていると言う。 -
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正直なところ、本書を読んでドーキンスの話を理解できたとは言い難い。途中で辞めちゃおうかと思うくらいに。身内の方々の思い出話とか、追悼文のようなものも、別に俺ファンというわけじゃないから、ちょっと距離感あったし。でも、最後まで目を通したのは、読んでみて何か、ここからくみ取るべきものがあると感じたからだ。
社会には合理的じゃない部分、理不尽な部分、時代を変えたり、時代が同じでも別の角度から見たら、愚かとしか思えないことがたくさんある。自分自身の中にも、別角度から見たら、何やってるんだお前、というところがたくさんあるだろう。それはどうしようもないことだよね、と思うと同時になんとかしたい、もっと良い考えや行動を取りたいと思うところはあってさ。ドーキンスの本を読んでいて、少しでもより良い方向に進む手がかりはあるような気がしたんだよね。科学という方法を使ってさ。
一回読んだくらいで、その方法が理解できたとは言えない。ただ、そういう方向があるとは少し知れたような気はする。折にふれ、繰り返し読むことは必要だろうなぁ。 -
Posted by ブクログ
『私たちが今も、これから先もおそらくずっと、行くことも、見ることも、検証することも、支配することもできない一連の並行宇宙(中略)これは科学なのだろうか?』
科学者でなくとも、この世に100%なんてものは存在しないと理解している人は多い。
しかし、そんな人でも日常生活で落とした物をした時に、量子世界の狭間に落ちたかもしれないなんてことは考えもしない。
では、その僅かな可能性であり、検証すらできない0.0000001%以下の世界を想像して仮説を構築することに、なんの意味があるのだろうか?
無限の遠くにある無限遠宇宙、次々と宇宙が誕生するインフレーション多宇宙、高次元に並列的に存在するブレーン多宇宙、ブレーンワールドが衝突と離散を繰り返し、空間でなく時間のなかで並行するサイクリック多宇宙。おびただしい数の形と大きさを備えた余剰の空間次元にもとづくランドスケープ多宇宙。
本書で語られる並行世界論は、どのバージョンにおいても自然界で実現することを立証した実験も観測もない。
そのせいか、ビッグバン、相対性理論、宇宙背景放射、ひも理論、量子ゆらぎなど、それほど難しい単語は出て来ないのに、読み進めるほどにわからなくなっていく。
そんなわからなさがピークに達する上巻の最後で、冒頭の問題提起がなされる。
並行宇宙論とは、わからないものを増やしつつけるだけの不毛な追求なのだろうか。下巻に続く。 -
Posted by ブクログ
ドーキンスの著作のファンで、今回新刊が発売されたので迷わず購入。
進化論の有効性を徹底的に解説した名著「盲目の時計職人」の内容を、「飛行」という切り口のみに絞ってかなり易しく砕いて(イラストまでつけて)説明した本という感じです。
「生物はなぜ飛翔するのか?(または、なぜ飛翔しないのか?)」
この問いに対して全面的に分かりやすく答えてくれる本ですから、内容はおもしろくないというわけではありません。
ただ、以下の点が気になるポイント。
①なんといっても価格の高さ。フルカラーイラスト満載とはいえ、ちょっと手が出にくい価格。テーマはおもしろいだけに、みんなに読んでもらいにくい価格設定はいただけない。
②そのフルカラーイラスト、美麗で精巧なのは間違いないが、解説や理解に全てが役立ってるかというと、ちょっと疑問。「これはイラスト要らないんじゃない?」っていう印象のページもあります。
③なんだか広すぎる余白。もちろん、本文テキストとイラストの整合性をとるためにレイアウトの制約はかなりあったとは思いますが、ページ数の割りにあっさり読み終えてしまいます。なんだかさびしい。
イラスト付き、余白も充分、内容平易ではありますが、中高生にはちょっと難しい内容もあるし、知識のある方や従来のドーキンスファンには物足りない感じだし…という印象ですね。
ごりごりのテキストでこれだけのページ数で読みたかったけれど、それでもドーキンスの語り口、考え方、イラストの遊び心が楽しい一冊でした。