大田直子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
以前からこの本のハードカバー単行本を書店で見かけ、気にはしていたのだが、突然文庫化されたので早速買ってみた。
著者は「レナードの朝」で有名な脳神経科の臨床医で、ここでは音楽にまつわる様々な脳現象(音楽が頭から離れない神経症的状況とか、脳の損傷の結果音楽が意味あるものとして把捉できなくなるといった症例とか)を豊富に列挙しており、音楽現象の一面として、興味深い。
ただし、著者は臨床医としての誠実さから、「わからない」ことはわかったように書かないため、諸事象の根本的な理由、その解釈が、読者には呈示されない。
その辺は興味本位で読んでいる我々にとってはちょっと不満である。解釈のほどこされない諸現象が列 -
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Posted by ブクログ
過去は現在よりも良き時代だったのか。
昔は・・・から始まる千年前から言われている定型句。
昔は電話やメールもなく、人と人との結びつきが強くて、料理は下手な化学調味料がなく素材の味を楽しめた。
山に行けば、手つかずの自然。
海に行けば、ごみひとつ無いエメラルドグリーンの美しい海。。。
ちょっとまってほしい。
病気にかかれば、薬はなく、黒死病にかかればほぼ間違いなく死ぬし、農耕は辛いし、重い納税が毎年課せられる(今もか・・・)。
どうも人間は過去を美しみ、将来を悲観する傾向にあるようだ。
悲観論書は、将来は石油がなくなり、人口が飽和し食物を争い、水は汚染され気温が上昇し海水面が上昇し人間の -
Posted by ブクログ
視力にまつわる医学エッセイ。
「みる」「読む」ということが、いかに精妙複雑な働きで成立しているかを教えられる。
反射した光を感知するだけでは駄目なのだ。それを「認識」できなければ意味はない。
りんごを見たとき、脳内で抽象化された「りんご」という概念と結びつけられなければ、その人はそれをりんごとして見ることすら出来ない。「紅くて丸いの」だ。
物の特徴を抽象化して分類することができなければ、隣の人の頭をスイカだと勘違いしたっておかしくはない。
むしろ人の顔を見分けるのすら高度なワザに思えてしまう。
立体視の素晴らしさについての体験記はとても心を打つ。
雪の一ひら一ひらのなかに身を置く自分を実感す