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Posted by ブクログ
視力にまつわる医学エッセイ。
「みる」「読む」ということが、いかに精妙複雑な働きで成立しているかを教えられる。
反射した光を感知するだけでは駄目なのだ。それを「認識」できなければ意味はない。
りんごを見たとき、脳内で抽象化された「りんご」という概念と結びつけられなければ、その人はそれをりんごとして見ることすら出来ない。「紅くて丸いの」だ。
物の特徴を抽象化して分類することができなければ、隣の人の頭をスイカだと勘違いしたっておかしくはない。
むしろ人の顔を見分けるのすら高度なワザに思えてしまう。
立体視の素晴らしさについての体験記はとても心を打つ。
雪の一ひら一ひらのなかに身を置く自分を実感するということ…そういう感動を抱いたことなんて、私は今までなかった。
生まれたときから当たり前のように備わっている事柄だから意識しないけれど、もし失ってしまったら、一体世界はどのように見えるのだろうか。話を聞いて想像することは出来るけど、きっとそれは想像でしかない。
視覚心像についての言及も面白い。
その人の経験からくるものと、創造力からくるもの。
頭の中で見えるものって、一体どういう仕組みになっているのだろう。
触覚や聴覚から風景を「見る」ことが出来る…それは目から入った情報とは違うものでありながら、限りなく近いものだ。
足りないものを補完する力。
新しい環境に順応する力。
人間のからだに秘められた数々の可能性に驚かされる。
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