森博嗣のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ3
短編集2弾。引き続きオチや叙述トリック、工夫が凝らされておりなかなか。S&M2編、小鳥遊練無と纐纈老人との出会いと死別の話がある。娘に似ている練無との交流やその後の死んだはずの娘苑子との出会いの話などなかなか面白い。小鳥の恩返しでは、名前の叙述トリック。片方のピアスでは、双子と付き合う女のわがまま。石塔の屋根飾りでは、S&Mシリーズのメンバーが、インドの寺院建築の謎について推理し合う。石塔とその上にあるはずの屋根飾りが地面にある謎。本来は山奥や岸壁に建造されるが、立地や気候などから住宅展示場ということらしい。富樫義博はファンのようで解説をしている。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ・他の作家さんの作品を読まないと仰る森 博嗣さんの小説とはどのようなものか?『すべてがFになる』を早く読まないと…
作家の収支と言っても統計情報ではなく、森博嗣さんというたった一人の作家の収支だ。収入ではなく収支(収入と支出)としたのは、わずかではあるが、森さんが作家になった理由が趣味のためにお金が欲しかったということと、実際に何にお金を使ったかということにも言及しているから、結果的に森さんは作家として成功した人の一人なのだろうが、その秘訣は、常に新しいものを生み出し続けようとした商業作家としての意地であったということのようだ。何もかもが多様化する時代に、作家として成功するためには、とにか -
Posted by ブクログ
ネタバレ・質問をする側に「森さんらしい回答を得よう」という意図が感じられない質問ほど、結果的に森さんならではの切れ味のある回答が得られていて面白い。
前作は、学生からの質問と森さんの回答をまとめたものだったが、〈2〉は、一般に公募した質問に回答したもの。学生がらの質問は、その評価方法に対する不満が噴出しているかのようなものや、大学生ってこんなに幼稚なの?と思ってしまうような質問が少なくなかったが、一般からの質問も負けず劣らず〈珍〉である。学生の質問の中には、森さんが「いい質問」と評するものも紛れていたが、一般からの質問に対しては、このフレーズが出てこなかった。
編集者の方は、ランダムな質疑応答を -
Posted by ブクログ
ネタバレ分かりやすいだけでなく、本質的です。
科学的とは「データ(情報)」ではなく「メソッド(方法)」である?
・森博嗣先生の言い回しを借りれば、この本が示しているのは、「データ(情報)」ではなく「メソッド(方法)」である。だから、この本に書かれている内容を憶えるために、書棚の一等地に置き、7回読む必要はない。「メソッド(方法)」を腑に落としたら、後は、実践あるのみである。何か、疑問に思った時、文学的!?に理解しようとするのではなく、データを比較し、科学的に理解しようと努めよう。そうすることで、私のような文科系?も、少しだけ真の理科系!?に近づけるかもしれない。但し、参照するデータがどのように測定され -
Posted by ブクログ
ネタバレ「何が問題の本質なのか」をつかむことが大切
・珍しく?森先生が危機感を持っているように見える。アナログからデジタルへの転換によって生じたギャップが、技術の神髄や技術の核心的「センス」の伝承を阻み、「何が問題の本質なのか」をつかみ損ねた現場で「どうして上手くいかないのか」という問題が起こっているのだ。「考える工作」のプロセスでしか生まれない「もの作りのセンス」が図面通りに作らされるという労働によって、失われたのだ。工作という行為と共に失われたのは「人間の凄さ」である。「人間の凄さ」は、周囲の人に影響を与え、組織の文化や卓越した技術集団をつくるのだ。
・私は、森先生と同世代なので、工作マニアにこ -
Posted by ブクログ
人生には様々な選択肢がある。一つの道を選べば、別の道を経験することはできない。不愉快な思いをすれば、その選択が間違っていた、あちらの方が良かったと後悔することになる。後から進路を変えることも可能なのに、なぜかもう遅いと諦めてしまう傾向を人は持っていて、ただ不満だけをコレクションする。
幸せというのは小さなものを見つけて拾い上げるもの。探していれば、どこにでも落ちている。探さなければ見つからない。見つからないから自分は不幸せだと思い込む人が多い。後悔というのは過去にまで遡って不幸せを探しているようなもの。誰でも一本道。落ちているものに大差はない。拾い上げる目と手が違っているだけ。
こんなことをさ