今野敏のレビュー一覧
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舞台は神南署から再び東京湾臨海署へ!
その新シリーズ1作目の見どころはズバリ、安積と速水のコンビの躍動でしょう。お台場で起きた殺人事件の被疑者として黒い亡霊こと風間を追う二人。
事件そのもののよりは、安積と速水の関係や、風間に対する速水の想いと二人にカーチェイス、物語最終盤で明らかになる風間自身の境遇、そして相変わらず捜査本部における相楽との対立、といったあたりが読みどころといえます。
最終的には犯人ではなかった風間ですが、妙に魅力的な描かれ方をしていて、本作以前における速水と風間の関わりを短編として物語に仕立てても十分おもしろいのでは、と思います。 -
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シリーズ三作目、うっかり二作目よりも先に読んでしまいました…(が、特に支障なく読み進めることができました)。
で、本作ではTV業界に渦巻く麻薬犯罪がその対象。そこに警視庁から捜査本部に着任した安積の警察学校時代の同期である鳥飼の娘がコカインをやっている、ということも明らかになり…(このあたりの展開は隠蔽捜査で竜崎の息子の件と似ています)。
さらには捜査本部における相楽警部補との確執も相変わらず、というかんじで、事件を中心にいくつかのテーマが絡まり合って物語が進みます。
このシリーズを読むのは2冊目となり、その特徴がわかってきました。安積の目を通して、捜査に取り組む臨海署の面々の姿が克明に描かれる点こそがそれであり、またシリーズの魅力でもあるのだな、と思うようになりました。何の変哲もない刑事の捜査活動にスポットを当てた、といってしまえばそれまでですが、安積をはじめとした一人ひとりの地道な捜査が少しづつかたちなって、事件の概要が明らかになるのを、読み手もあたかも捜査に参加しているかのような臨場感をもって楽しめるシリーズだといえるでしょう。 -
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スクープシリーズ第4弾。十年前に起きた大学生刺殺事件を軸に物語は進みます。特命捜査として事件を追う刑事・黒田と谷口のコンビ、ここに主人公である布施が絶妙のタイミングでからみ、徐々に真相に近づいていきます。
一方、「ニュースイレブン」の現場には栃本が関西の系列局から転勤してきて、報道に関する価値観の違いからデスクである鳩村とことあるごとに対立することに。
鳩村の考えについては、正しいかどうではないかはさておき、その立場を考えると官僚的な側面が垣間見えるものの、そういわざるを得ないのであろうな、と半ば同情してしまう点も多々あり、そうした感情とともに読み進めていくと、この栃本という人物がひどくウザイ人間に感じられてしまいます。ところが、物語の後半、栃本に対する鳩村の見方がかわってくると、読み手であるこちらの栃本評もちょっとかわってきまして、「なんか頼もしい人物」に見えてくるからなんとも不思議なものよのう、という思いを強くいたしました。
事件の真相としては、谷口の聞き込みで浮上した人物が犯人であった、という結末で、それほどの”ひねり”はありませんが、このシリーズは刑事と布施がときに並行し、あるいは交差しながら事件を追う展開にオモシロさがあるといえるでしょう。その意味では今回も十分楽しめる内容であったと思います。
また鳩村と栃本の対立を通した報道のあり方について議論を交わすところももう一つのテーマなんでしょうね。
そしてその二つのテーマをつなぐ立ち位置にいるのが布施という構図でしょうか。次作も楽しみです。 -
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ネタバレ近隣署管轄で起きた殺人事件、自署管轄内でのひき逃げ事件、そして連続で起きている不審火、さらには娘の彼氏が搭乗予定だった飛行機の墜落事故。
大森署署長竜崎の身辺はにわかに慌ただしくなり、対応に追われることに——。
海外赴任中の娘の彼氏と連絡が取れず、やむを得ず竜崎は情報を求めて外務省の知り合いに電話をします。そのことによって逆に殺人事件の情報を訊かれたり、刑事部長の伊丹から外務省に知り合いがいるならさりげなく情報を訊きだしてくれと頼まれたり、頭の痛い事態になってしまいます。
麻薬売買の捜査をめぐって麻取りとぶつかったり、捜査本部への人員派遣り駆け引きをしたり、竜崎は次から次へと対応を迫られます。
効率主義の竜崎は慣例にとらわれず、出来ないことは出来ないと相手の要求を突っぱねます。ですが彼は、否定して終わらずにこうした方が良いという代替案を示します。
だから相手も不本意ながら納得せざるを得ないのです。
はっきりモノを言う竜崎は読んでいて痛快です。
かと言って竜崎は仕事に熱血なわけでもなく、自分の仕事の範疇以外に手を伸ばそうとはしません。しかし、自分の仕事はきっちりと熟す、まさに公務員の鑑のような男です。
彼のようにぶれない生き方は誰にでも出来ることではないから、彼に憧れるのかもしれません。
竜崎の今後の活躍もとても楽しみです。 -
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ネタバレシリーズ5作目、今回は2つの殺人事件とその現場に残された古代文字を巡る物語です。毎度おなじみ、今回の碓氷の相棒は大学教授で考古学を研究するアルトマン教授。
現場に残された古代文字・ペトログリフそのものは前作、前々作ほどの興味はわきませんでしたが、それでも事件の裏に潜んでいたいきさつにはもの悲しさを覚えます。
大学の研究室という閉鎖的なコミュニティに巣食う複雑な人間関係が事件の引き金の一つになっているわけですが、と同時に研究者であればこその「事実の確認と検証」という本来とるべき行動の欠如ももう一つの引き金になってしまった。事象があまりにも身近すぎて、研究者といえども適切な距離感を保った態度で物事に接することができなかった結果ということでしょうか、なんとも皮肉な事件だったものよのう、と思ってしまいます。
事件解決後、去り際にアルトマン教授が残した言葉、「あなたは触媒のような人だ」の一言は本シリーズを象徴するかのような言葉ですね。どの作品でも碓氷が相棒の力を引き出し、事件を解決に導いたことは間違いありません。
それと、個人的にはアルトマン教授が浅井に対して指摘した「学者としての事実の確認と検証を怠った」というセリフが印象深かったですね、学者に限らず、こうしたある種、淡々とした態度はとても重要なものではないかと感じました。 -
購入済み
主役はゲーム会社
安積班シリーズものだけど、今回は事件に巻き込まれたゲーム会社が事件の謎を解いていき、刑事たちの活躍は控えめ。日本の歴史を読み込んだゲームの話が興味深かった。