今野敏のレビュー一覧
-
購入済み
諸橋さんのチームの個々のエピソード。
みんな、怖かった。
痩せ我慢して、怖くないフリしてたら、仕事ができるようになった。
うん!凄い。
実力あっての痩せ我慢。 -
Posted by ブクログ
安定の隠蔽捜査シリーズ。
水戸黄門のような素晴らしいマンネリで落ち着く。
今回は鎌倉で代々議員を輩出してきた政治家一家のスキャンダルと、迷惑系ユーチューバーの事件。
竜崎はいつもの原理原則で対処しようとするも、警備部長の八島や、鎌倉署の署長に刑事課長はそうではないようだ。
特に署長が度々言う『鎌倉の事情』は、それぞれの地域でこういうことはあるんだろうなと思った。
竜崎も随分丸くなったというか、何が何でも自分のモットーを突き通すというよりは、八島を使えるところは使っているし、引くところも引いている。
政治家一家も態度が悪い人間もいるが、話の通じる人間もいて、そういう人は竜崎を選んで話をするのが面白い。
今回はサイバー担当の三好が光っていた。
だが初期に出てきた戸高刑事のような、アクの強い捜査員も出てきて欲しいとも思う。
また、伊丹との絡みが少なくなってきた。
二人ともこれ以上出世すると、捜査よりも政治の方にシフトするので、面白くなくなる。出世もほどほどに。
竜崎家は竜崎が不在でも安定。
奥様がどっしり構えているのが良い。 -
Posted by ブクログ
ネタバレなぜこの一作目を最初に読まなかったのか、考えたら「リオ」という題だった。やっと 陽気になったところなのにブラジルのリオなら暑そうだと思ったからという、なんの脈絡も無い考え。「朱夏」もある、さらに暑そうだ。
シリーズに「朱夏」があったがレビューを書かないといけないけれど、とりあえず。
樋口係長の内省振りはさらに深く詳しく身につまされる。そうして自分を突き詰めて見直す姿勢が人間性を深めているのだろう。
何度も述べられているように、彼は、かっての学生運動に遅れてきた世代で、革命の熱に浮かされたこともなく、世間が静まった直後の荒れた世相を整理してきた保守派だと思っている。
それは自然に今も、穏やかな日常を壊すべきでないという心情の基にもなっている。警察組織の中でも、上司は全共闘とぶつかり合った機動隊であったり、部下はすでに覚めた現代感覚を持つものもある。それらに挟まれて彼は常に自分の心ありかを確かめずにはいられないということのようだ。 樋口は犯人の尋問も紋切り型でなく、真実をかぎ分けていく。 家庭は穏やかで、疲れて帰ると娘と妻が待っていて、1本ビールを出してくれる。
新聞配達員が集金先のアパートを訪ねているとき、廊下の奥の部屋で悲鳴が聞こえ若い女が飛び出してきた。覗くと男が死んでいて、チラと見ただけの逃げた女の顔は、一度見れば忘れられないくらいの美少女だった。
続いて起きた二件の中年男の殺人事件にもこの美少女が目撃される。
被害者はみな、電話で交際相手を求めたリ、ナンパに見せかけて女を斡旋する業者の、商売相手だった。
風俗、売春、援助交際、未成年の自覚の無い享楽型の犯罪が増えてきている中で、自然、捜査の方向もそちらを向く。
若者が集まるクラブやバーを調べているうちに「リオ」という名前があの高校生の少女だと分る。
一目で分る美貌で、すぐに少女が逮捕される。調べに当たった樋口はその少女に強く惹かれる。
そしてかたくなな少女の恵まれない日常を知る。少女の尋問中の表情から、状況証拠がすでに晴らしようの無い嫌疑に固まってしまっているということに、密かな疑いを持つ。
それは真実の声か、美しい少女を見たときに受けた衝撃から出た、曲がった感情なのかと自分を疑うことになるのだが。
ウマの会う氏家はかって心理学を学んでいた。彼は常に客観的で覚めた意見を持っている。
樋口は混迷の中から、氏家の意見を聞いて、自分を見つめる過程も面白い。氏家は見かけによらず情に厚いところを見せるが、立場を守り、それを面に出さないクールなところに味がある。
この物語の中で、少女の美貌はいいこととは限らないとも言えるが、そのために起こした事件が、それを解決する近道に繋がっていることも皮肉だ。
樋口は、家庭人としての自覚とは別に、人生には、節を曲げる瞬間が訪れることもあることを、知る。
お話の中にあまり浸かりすぎてしまうのもどうかと思うが、小説を楽しむにはそうであってもいいかもしれない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレアルコール中毒でもない、奥さんに逃げられてもいない、というか心から信頼されている。辺鄙な部署に左遷されてもいない、一匹狼でもない、でもそれなりに悩みはあるがこのごくまともな刑事もたまにはいいかも。
冒頭、コンビニ強盗で暮らしている不良たちが出てくる。使いに出したユウジが帰ってこないので、二人はいらいらしているが、
そのころドジなユウジが代々木署の連続コンビ二強盗捜査本部に捕まっていた。
ユウジの自白によって隠れ家を突き止められ、二人は逮捕、そのとき活躍したのが安達弘という巡査だった。見事な払い腰で犯人の一人を仕留めた。
解決後、乾杯の席で、彼は係長の樋口に酒を注ぎ、樋口を尊敬している、出世に関心は無いが、捜査畑を歩む刑事になれるように努力すると言った。
そしてクリスマスの夜は無事に帰宅し、特に変わったことも無い夜が開けた。
樋口は温和で誠実で優秀な刑事だと思われている。事実それには違いないが、自分では周りの思惑ばかりを気にする小心者で、軋轢をさけるために本音を言えないできたと、内心忸怩たるものを抱えている(と思い込んでいる)。
しかし、家庭は円満で優しく賢い妻と娘がいる。長い共同生活を過ごすうちにあまり会話もなくなり、家族はそれぞれ自由に生きている。それが家庭生活を持続する上で緩衝材になってはいるが、時にはこの生ぬるさに慣れてきているのではないかとも思っている。
そんなとき妻が誘拐される。アメリカ留学の経験のある妻は翻訳小説の下訳のアルバイトをしていて、26日にその原稿を届けに出たまま帰ってこなかった。
一方、警備部の幹部に脅迫状が届く。
2日後にはそのための捜査本部が出来る。樋口はそれに参加しなくてはならないが、個人的な事情は出来るだけ自分で解決したいと思っている。この辺が固い。
妻を探す日に余裕がなくなって、樋口は夜を徹して活動を開始する。以前仕事で組んで以来の付き合いをしている、氏家が力添えをしてくれることになる。彼は物事にこだわらない独特のキャラクターではあるが洞察力も持っている優秀な警官で、面白い。
一方、妻の恵子は、優秀な夫を信じて必ず救い出してくれると信じている。犯人は素顔を隠してマスクを被ってはいるが、紳士的で身の危険はなさそう。
樋口の捜査は順調に進み、誘拐に使ったらしい白いミニバンにたどり着く。
恵子も夫の捜査が近づいてくる気配を感じる。
ミステリには色々な場面が登場する。作家の苦労がしのばれるが、テロを装う暴力的な背景を持つ犯罪。ハイテクを駆使する犯人。裁判劇。冤罪。復讐犯。古典的な本格ミステリ。
さまざまな場面が背景になって話は年々密度が増してきている。
出来のいいミステリには引き込まれて時間を忘れることが多いが、複雑な背景はそれを理解するのに骨が折れる。
この樋口顕係長の話は一般家庭の身近な話題で読みやすく彼の性格も親しみを感じる。
職場での立場や、警察機構は特殊な世界かもしれないが、人間生活の喜怒哀楽や生き方など、さまざまな場面が実感される。タマにはこういうのアリです。