日暮雅通のレビュー一覧
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やっぱりシャーロック・ホームズシリーズは面白い。アルセーヌ・ルパンシリーズもそうだけど、人物、自然、環境、衣装など、すべてがきちんと、省かれることなく描写してあるから、映画のように、物語が浮かび上がってくる。
大人になってからも良い小説、深い小説にたくさん出会ってきたけれど、やっぱりいつ戻ってきても、ここには色褪せない何か、決して裏切らない何かがあるなぁ。
ちなみに、最後に載っている島田荘司さんの後書きも、ぜひお見逃しなく。
(自身の小説であるシャーロック・ホームズシリーズのあまりの人気に嫌気がさしていたコナン・ドイルが、30歳のバートラムという青年と出会うことによって、新たな小説『パスカヴィル家の犬』が生まれるまでの顛末が語られています) -
Posted by ブクログ
歴史を読む。その1点で手に取った1冊のはずだったんですがね…。
まあ面白い、興味深いと云いかえてもよいかな。
毒入りチョコレート事件といい、百年前の作品なのに時の流れに抗えてるわな。耐えたなー。
これぞ名作なんでしょう。ヴァンダインの無駄な知識炸裂しまくってます。文学、数学、物理学、演劇、芸術、チェス…、サッパリでしょうそうでしょう。ペダンティックと云えば聞こえはよいのでしょうが、まぁかましてきますよ、ファイロ・ヴァンスの野郎は…。
後世のかまし屋に与えた影響は計り知れないでしょうな。現代の作家でも京極や米澤穂信辺りは影響受けてるんでしょうなあ。
まあ生粋のドMかまされ好きの私としては堪らんですよね、もっと要らん知識欲しがっちゃいます。
あ、ミステリーとしてもスゴいっす。みんな大好き見立て殺人もここからみたいですね。もっと見立てておくれよ。
ほんでもってあの終わり方…、きょう日絶対アカンですよね。最高かよ。
ミステリーコンプライアンス違反しまくってます。
いやー、尖ってんなヴァンダイン。
他のも読んでみるかー。
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ホームズの長編の中ではまちがいなくこれが最高傑作だと思います。『緋色の研究』も『四つの署名』も、事件の背景の説明となる第二部の部分が現代のミステリに慣れた頭からするとちょっといただけないというか、がっくりするところがあるのは否めないかと思うのです。正直に言うと、本作も第二部は期待していませんでした。しかし読み始めてすぐ、第一部を忘れたとしてこれはこれで面白いのでは? と引き込まれてしまいました。第一部と関係なくてもいいや、というくらいの気持ちで読みましたが、クライマックスで満足。ちゃんと第一部ともつながっていて、うん、この出来ならいいだろうと考えたわけです。『緋色の研究』と『四つの署名』の読書経験でちょっと躊躇われている方がおられたら、と珍しく感想を書きました。これはおすすめです。
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古典海外ミステリーにハマった最初の作品。
旧訳は持っているけど、新訳も読み比べのために一緒に本棚へ。
11.12月が設定時期なので、ホリデーシーズンの前に読めるとよりうきうきする。
改めて読み返すと、裏の主人公は「グリーン家の館」そのものであると言える。ヴァンスも繰り返し言っているように、空間自体と流れている空気、堆積した想いや感情が人に作用して事件を起こしていくかのよう。
雪の降り積もる静かな夜の館、誰も立ち入れない開かずの間、車で駆けるニューヨークの街並み。
印象的な場面が多く、浮世離れした登場人物も相まって、100年前の時代の空気を感じられるのが楽しい。
トリックの妙を追求するのとはまた違う、物語の世界を享受する方向での魅力を再確認した。
新訳も最初は人物名の変更に困惑したけれど、するする読み易くて良かった。
読み終えるとエラリークイーンの「Yの悲劇」が読みたくなるまでがセット、解説でそちらも言及されているのを見て嬉しかったです。 -
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ネタバレ緋色の研究のスタイルをさらに昇華させた感じで前作より好きでした。
事件自体のぞくぞくするようなミステリアスさもさることながら、ワトスンのキャラクターがどんどん魅力的に完成されていくようで楽しい。例えばコカイン中毒のホームズを本気で叱る場面や、メアリーに告白したいが遺産目当てと誤解されるようなタイミングになってしまったことに悩む場面。ワトスンお前の気持ちわかるよ、と声をかけて寄り添ってあげたくなる。
これは作者の意図したところか不明だけど、主人公側より犯人の方が人種差別意識がなく他の民族とも関係性を築いているのがなんとも皮肉だった。 -
Posted by ブクログ
傑作探偵小説と名高いので名前だけを知っていました。てっきり僧院での殺人事件かと思っていました(^_^;)
マザー・グースの童謡に見立てるかのような殺人事件を素人探偵ファイロ・ヴァンスが解決する探偵小説で、犯人が「僧正」と名乗っているのでした。
私の年代(50代)だとマザーグースはある程度知っている気がする。子供向け番組で「ロンドン橋落ちた♪」「ワンリトル ツーリトル スリーリトル♪」は流れていたし(いまでも「十人の良い子♪」と歌われているみたい)、『不思議の国のアリス』で「ハンプディ・ダンプティ」は知っていたし、なんといっても『ポーの一族』と『パタリロ!』で「誰が殺したクックロビン」を知った人たちは多いはず(^○^)、アガサ・クリスティなどでもマザー・グースはお約束ですしね。
私は西洋の文学、美術を楽しむには「聖書」「シェークスピア」「マザーグース」をある程度でも知らないとわからないと思っていたのですが、こちらの本のあとがきでも「マザーグース由来の言葉がたくさんあり、英語圏に与えた影響は大きい」ということが書かれていました!
本書が「傑作」と言われるのは、マザーグースの見立殺人をしてそのあとに新聞社に手紙を送りつける犯人の「僧正」の異様生、殺害トリック、そして何と言っても殺人の動機でしょう。
連続殺人だと、遺産だとか恨みだとか、関係のある人が犯人だと想像がつくのですが、この「僧正」はそのようなものを全てぶち壊しております。
小説に出てくる人たちは大半が数学者、科学者、またはチェスに打ち込む人のように公式や論理を使う人。
ファイロ・ヴァンスはこの連続殺人を考えるにあたって「学者にとって、広大な宇宙、微小な元素こそが彼らの現実。考え続けると通常の人間の生活を乗り越えてしまう学者もいる」といいます。
つまり、頭の中の現実があまりにも途方もなさすぎて、現実の人間の命を軽んじて、しょうもない子供の遊びを具現化せざるを得なくなるってことで、それが今回の連続殺人の動機だと。それなら犯人判別は難しいですねえ。(小説なので登場人物内に犯人がいるので分かるけどさ)
ヴァン・ダインによるファイロ・ヴァンスシリーズは、作者による注も面白いですね。尾行したのは〇〇刑事、というところに注がついていて「この刑事は前の事件でファイロ・ヴァンスの手伝いをした」みたいに、その人物の豆知識のようなものが書かれています。
作中においてヴァン・ダインは「貴族ファイロ・ヴァンスの法律代理人で、友達で、記述者」なので事件のすべてを知っているんだけど、本当にただ見聞きしているだけ。書き手のヴァン・ダインが完璧に「傍観者」に徹しているので人物とか思考が見えない…。
ちょっと見えたのは「私のメモは完璧だ」と言っていたので、ちょっと厳しそうなファイロ・ヴァンスと仲良くやるだけあって、作中のヴァン・ダインもなかなか拘りの人なんだろうなあと思いました(^_^;) -
Posted by ブクログ
ニューヨークの一角に建つ旧世代の名残のようなグリーン屋敷で起きた連続殺人事件を探偵役のファイロ・ヴァンスが解き明かす。
消えた犯人、消えた凶器、怪しい足跡、限られた関係者、過去の出来事から現代の事件へのつながり、隠し部屋、古い名門に隠された内情…。
由緒正しい探偵小説だあ(^○^)
探偵役のファイロ・ヴァンスは貴族階級で、著者であるヴァン・ダインがファイロ・ヴァンスの学友で法律代理人で探偵記録者となっています。
警察ものだと情報を共有して容疑者逮捕を急ぎますが、素人探偵ものだと「今は言えない」が通じるので小説として盛り上がりを作れますね・笑
グリーン家屋敷は三世代前に作られ、前当主のトバイハスは膨大な財産をなしたがかなり悪どい事をしたという噂がある。13年前に遺言で「家族はこの先25年はこの屋敷を維持すること。家を出たら財産相続権を失う」と残しているためグリーン家家族はお互いを嫌い合いながらも屋敷から出られない。
屋敷に住むのは、未亡人で下半身不随のミセス・グリーン、実子として息子と娘が二人ずつ、養女(ほぼ未亡人の看護人)が一人。執事、料理人、メイドたち。そして事件の関係者にはよく出入りする主治医が追加される。
このグリーン家で連続殺人が起きます。
お屋敷内での連続事件なんだから通常だったら家を離れればいいのですが、グリーン家は「遺産相続権を失う。家族はお互い嫌い合っていて助け合わない」ということで殺人現場から出られない納得の理由になっているわけですね。
さらにこのグリーン家の人々の異常性もあります。みんなそれぞれが高慢だったり攻撃的だったりして嫌な奴。家族が殺されても「そんなことで騒がしくなって迷惑」くらいの反応のため、連続殺人が起きても読者としても「この人たちじゃなあ…」という気持ちに(^_^;)
推理小説としてもまさに読者に正しく情報を提示してきて実にフェアだ・笑
由緒正しい探偵小説は頭の切り替えとか頭の休憩になって楽しいです(^^)