日暮雅通のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
"小説の中に登場する名探偵をあたかも実在の人物と見立て、名探偵の頭の中を覗き込み名探偵の如く思考するとはいかなることかをシャーロック・ホームズをこよなく愛する筆者が解明している。
参考文献が掲載されているので、もっと深く考察したい人にもやさしい。
文献を列挙しておく
マインドフルネスについて
・心の「とらわれ」にサヨナラする心理学
・ハーバード大学教授が語る「老い」に負けない生き方
・人間の本性を考える 心は「空白の石版」か 上・中・下
・心の仕組み 上・下
科学的思考法を身につける
・コナン・ドイル書簡集
・心理学の根本問題
・科学革命の構造 トマス・クーン
・才能を開花させる子供たち
脳という屋根裏部屋を知る
・なぜ、「あれ」が思い出せなくなるのか 記憶と脳の7つの謎
脳という屋根裏部屋にしまう
・錯覚の科学
・ファスト&スロー
脳という屋根裏部屋の探求
・フロー体験 喜びの現象学
脳という屋根裏部屋を操縦する
・自分を知り、自分を変える 適応的無意識の心理学
・意識は傍観者である 脳の知られざる営み
・目撃証言
脳という屋根裏部屋をメンテナンスする
・習慣の力 チャールズ・デュヒッグ
・しまった! 失敗の心理を科学する
・なぜあの人はあやまちを認めないのか 言い訳と自己正当化の心理学" -
Posted by ブクログ
数々の賞を受賞しカズオ・イシグロも絶賛したという小説。
十何年ぶりに再読した。
ベジェルとウルコーマという壁のない東西ベルリンみたいな話て2つの都市は異なる発展、言語で相互の国民が見ないことによって分断されていて、その境界を乱すものを監視するブリーチという超法規的謎の権力組織がその入り組んで隣接する境界を管理徹底している。
そこに一人の女性の遺体が発見され……
クロスハッチやブリーチなんていう特殊な言葉が普通に使われる。前後の文脈である程度わかるが、この世界の人達にとっては普通なので不都合についての感想は述べるけどその用語の説明はしない。
隣接都市を盲点に追いやり共存するというユニークな設定が事件にもその解決にも複雑に絡んできて面白い。
読み進むにつれてこの特殊な都市設定に慣れていくのも面白い。
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Posted by ブクログ
心理学や脳科学などの科学的な成果からどういう心構えでいればいいか。マインドセットの話。理想の賢人ホームズと凡人ワトソンというのを使って述べている。ただ、ホームズの凄さは事件の全貌をコナン・ドイルは知っていてホームズとワトソンを書き分けている。杉下右京などもそう。この作者にしてもあくまでも架空の人物の活躍なので後付ととるかそれに託したと思うかで印象は違うかも。多少専門的な概念が出てくるけど大体、参照している論文などは同じなのでなんとなく知っている感じではあるかな。『パスカヴィル家の犬』読んでから読んだので関係性や雰囲気を理解しつつ読めた。ホームズに託すことがどこまで具体的なことかどうかはわからないけど、架空の実例としてなるほどという感じ。客観性の確保、偏見、自動化への抵抗など繰り返しホームズに託して述べられるのでなるほど感はコンパクトに書かれた本よりもあるかな。
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Posted by ブクログ
ネタバレ物語の舞台となるのは、ふたつの都市国家。両国の領土は隣り合っているというより、飛び地のように入り混じっている。区画ごとに国が入れ替わるような地域もあれば、公園の真ん中や木立の途中で国境が引かれた地域もある。網目状に入り乱れた国境線には壁はない。しかし両国の住人たちは幼い頃から訓練を受け、たとえそれが目の前にあっても、隣国の情景は意識から追い出すよう求められる。そしてその規則を破ったとき〈ブリーチ〉と呼ばれる組織がどこからともなくやってくる…。
奇抜な着想を、綿密なディテールによって読ませる、ハードボイルド・ミステリーでありSF小説。奇妙な都市と都市との間に、さらにもうひとつの都市が隠されているのでは、という謎が、さらに伝奇的なロマンも感じさせる。訓練された他国・他者への無関心というのは、現代的なテーマとも言えるのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレワトスンが書いた(と、いう設定の)前作「緋色の研究」は、ホームズに言わせると
「ロマンチックが過ぎる」
ちゅうことやったけど、今回はロマンチックの極みやったな!
エッ!? いきなり恋に落ちちゃう感じ!?
ちゅうお約束のツッこみを、まさかホームズシリーズでやることになるとは・・・(笑)。
ワトスンくん、若い恋人をゲットしましたネ・・・。
細かい注釈を並行して読むほうが面白かった(前回は注釈をまとめてドカッと読んだ)。
「〇〇か▽▽かは、シャーロッキアンでの論争テーマの一つ」
とか注釈をうたれると、なんかニヤニヤしちゃうよね!
シャーロッキアンって社会的に認められているホームズおたくやもんね~。その地位も、うらやましい。
ちなみにそんな「論争テーマのひとつ」に、なっていたのは、ワトスンが負傷したのは肩なのか脚なのかとかホームズが振る舞った料理はどんなやったかとか!
あと、終盤でモースタン嬢との恋愛について報告したワトスンに対してのホームズの回答が
「ぅわああお!」
と、にやつく骨頂のものやったんやけど、何やろうホームズとワトスンって仲良しやねんな!?
(今更?)
そこに注釈はなかったけれど(笑。ないのか!)そのぶん解説で掘り下げられていた。
「(ホームズとワトスンに)恋愛関係的なものをくみとる人もいるようですが」
と、いいきってた!
(逆説で終わっているとおり、恋愛関係的なものは皆無っちゅう解説なんやけどね)
イヤイヤイヤもう、ホームズどんなけツンデレやねんっちゅう話でした。
こういう目線で読んだらあかんし、読むシリーズではないのはわかってるつもりやねんけど、そこはそれ・・・。
いきなり前触れもなく放り込まれたからね・・・。
なんちゅうか、腐ィルターっていうの? 昔でいうところのBLスイッチね、そういうのがオンにもオフにもなってなかった(どういう状態よ)もので、余計びっくりしたわ・・・。
まあそんな調子で、ホームズは事件そっちのけでツンデレる、ワトスンは事件そっちのけでモースタン嬢にデレる、と、意外とデレデレな話で御座いました・・・。
(絶対違う)
話はもちろん面白かった。
財宝を手にする権利がある、と、いうところからここまで過去を掘り下げていくとは・・・。
そら、ロマンチックな色付けもしたくなるで、ただの猟奇的な殺人でもないんやもの。
(だからって犯罪を犯していいわけではないけど)
財宝かー・・・。しかもその秘密を共有することを誓った四人のサインなあ・・・。
そら、その四人から裏切者が出て、その制裁を加えて、ちゅうようなわかりやすい筋を、当時の社会情勢も盛り込んだお話になってるんやもの。
面白かった。
謎解きものやけど、なかなかバックグラウンドが深いよなあ。それが、ホームズの味なんかな。
そう考えると講談社系の謎解きものって、系統はホームズものに似てるかも・・・。やっぱり、謎解き小説のパイオニアなんやなあ。
あと、前回同様、犯人が真相を語るときには水が必要不可欠なのかと思った。
イギリスって乾燥しやすいんかしら? ああそういう感じかな?
(2016.10.29) -
Posted by ブクログ
多彩な作風を示すミエヴィル、この『クラーケン』は『アンランダン』に似ている。シュールというよりアブサード。正直、あんまり好きじゃない作風。クラーケン、すなわちダイオウイカの標本が神? アホくさいことを言う。アホくさいことを承知の上で、アホくさいことをアホくさく言うのが、しらけてしまうのだ。アホくさいことに気づかず、アホくさいことをアホくさく言ったり、アホくさいことを承知の上で、アホくさいことを真面目くさって言うのはいいのだが、アホくさいことを承知の上で、アホくさいことをアホくさく言うのは、その内容のアホくささに語りのアホくささが加わって、しらけてしまうしかないではないか。
ミエヴィルはこの作品の前に『言語都市』を書き上げ、『都市と都市』の執筆の合間の気晴らしに,この作品を楽しみながら執筆していたようだが、ひとり悦に入っている感が否めない。
実にいろいろなキャラクターが投入されている。ギャングのボス、タトゥーはある種の拷問として刺青に変えられいて、ある男の背中に掘られてしまったが、そこから指令を発し、昔の部下を集めて、ギャング団を再結成している。彼のもとで働く殺人者、ゴスとサビーが本書における最凶。かつてのロンドンの支配者グリザメンタムは死んだはずだが、生きているらしい、しかも以外なものに姿を変えて。警察のカルト対策班の魔法を操る婦警コリングスウッドとカルト研究家ヴァーディ教授も事件を追う。ゴスに消されてしまったビリーの友人の彼女マージもビリーの居所を探す。
ダイオウイカを手に入れて世界を滅ぼそうとしているのは誰か。最後の最後までわからない。ダイオウイカをあがめる教団にいたデイン、人形ならどこにでも入り込めるワティらとともに、ビリーはダイオウイカを探し出し、世界の終わりを止めようとする。ビリーを助けに来るのは標本を入れる瓶の化け物「記憶のエンジェル」、そして中立を保っていたはずの〈海〉。
惜しげもなく投入された個性的すぎるキャラクターの中で主人公ビリーは地味もいいところ。そして、話はある種の「セカイ系」になり、そのときビリーの職業がものをいうのだが。 -
Posted by ブクログ
「クラーケン」ですよ、海洋冒険SFでしょ、ふつう。オールド・ファンならジョン・ウィンダムを思い浮かべるかもしれません。
ウィンダムのを星新一は「海竜」と訳したけど、クラーケンは本書の場合、ダイオウイカです。NHKが撮影に成功する前にも、ダイオウイカは存在し、その標本はあったわけで、本書はNHKのダイオウイカ・ブームとも関係ありません。
ダイオウイカの標本はとあるロンドンの自然史博物館の呼び物です。ダイオウイカの標本作製を担当した学芸員のビリー・ハロウが主人公です。ある日、ビリーが見学者たちを案内していると、あの巨大なダイオウイカの標本が消えていた。というのが発端。
奇妙な警察官がやってきて、ビリーの取り調べをするあたりから、なにやら不条理劇のような怪しい雰囲気が漂ってきます。
ジャンル横断的というかジャンル混淆的なのがミエヴィルじゃねえか。ハヤカワ文庫の「SF」に収録されているからといってSFと思ったら大間違いだ。遠い惑星の話ということでは、自然科学的スペキュレーションに基づく設定の『言語都市』だって、主たるテーマは言語論的スペキュレーションだぜ。『都市と都市』はまったくもって社会学的スペキュレーションで組み立てられている。『ペルディード・ストリート・ステーション』はSFだか、魔法ファンタジーだか、異世界ものだか、何だかわらかねえ。
では『クラーケン』は何かというと、『アンランダン』に近い手応えである。つまり、『ペルディード・ストリート・ステーション』は異星のあり得ない都市を五感を伴ってそこに存在させてしまう小説だった。『クラーケン』はといえば、現に存在しているロンドンという都市をあり得ないものに変えてしまうのである。裏ロンドンがある『アンランダン』のように、本書のロンドンにも裏の組織やら怪しい登場人物たちがうじゃうじゃと湧いてくるのだ。
誰が、何のために、ダイオウイカを盗んだのかは謎だけど、しかし、どうやらダイオウイカは神らしいんだよね。少なくともダイオウイカを神とあがめる宗教集団なんてのが出てくる。そして、世界の終わりもかかわっているらしい。
ダイオウイカの関係者ということでビリーは命を狙われたり、保護されたりするのだけれど、流されているばかりで主体性がないんだ。そうこうするうちに、警察の原理主義者およびセクト関連犯罪捜査班、喋るタトゥー、得体の知れない殺人者親子ゴスとサビー、日本の折り紙の技術で何でも小さく畳んでしまう収縮術師、エジプト時代に死者とともに埋葬された奴隷像が反乱を起こして現在に至るワティ、使い魔のストライキ、イカれたものがたくさん出てきて、おもちゃ箱をひっくり返したようになるんだな。
たぶんビリーは何か重要なことを知らず知らず知っているのか、特殊な能力を持っているのだけど、まだ上巻ではそれはわからないんだ。