日暮雅通のレビュー一覧
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先日、ダフ・マクドナルド 氏 による「マッキンゼー 世界の経済・政治・軍事を動かす巨大コンサルティング・ファームの秘密」を読み終えました。
ちょっと前に「マッキンゼー流 入社1年目問題解決の教科書」という歯応えのない本を読みました。とはいえ、「マッキンゼー」という響きは、少なくとも私ぐらいの世代には一種独特な感覚を生起させます。近年は、以前ほどコンサルティング・ファームが脚光を浴びているとは感じられませんが、やはり、未だに気になる業界ではあります。
本書は、マッキンゼーOBやその関係者に対する膨大なインタビューを通して、コンサルティング・ファームの雄である「マッキンゼー」の成り立ちとその実態を顕かにしようと試みた紹介した著作です。 -
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読者が知りたい「秘密」は「Mckはどのような提案をして『ザ・ファーム』となり得たか」。その肝心の部分にはほとんど触れられていない。かろうじて第6章と第9章に申し訳程度に公開情報を肉付けした内容が掲載されている。
McK盛衰の歴史を辿る本としては悪くない。全体的にはMcKを賞賛しているが一応の批判もある。しかし、原文のせいか翻訳のせいか文章が回りくどく分かり難い。類書の『ブラックストーン』『ゴールドマンサックス』と比べると見劣りする感は否めない。
話は逸れるが大前研一がトム・ピーターズやハーブ・ヘンツラーと並び称されている。著書「企業参謀」の迫力は凄いものがあったが、現役当時の切れ味の鋭さをうかがわせるエピソードだ。 -
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ネタバレ最初のコンサルタントとしての韓非。p11
ある記者はこう呼んだ「ビジネスの哲人たちの特殊部隊(SWAT)」p12
1966年には、求人を口実に『タイム』に広告を出した。ある広告の見出しには、「マッキンゼーで成功するために必要なことは?」とある。答えは、「複雑な問題を解決する想像力をともなう、一流の教育で磨かれた知力。自信と表現する技術、可能性を引き出すことにつながるほかの人々に対する感受性。そしてもちろん、立派な人格とすぐれた基準」だった。p57
マッキンゼーは革新的なアイデアで称賛されているのではなく、複数の仮説が厳しい現実のなかで生き残るかどうかを試すという、体系的なアプローチで称賛されているのだ。p103
【エンペラー・大前】↔ドイツのハーバート・ヘンツラー p189
(三大スター)トム・ピーターズ、ハーブ・ヘンツラー、大前研一
マッキンゼーを雇ったクライアントが、彼らにはその価値がなかったと明言することは、ほぼない。ある意味でマッキンゼーは、世界中で最も人気があると言われた20世紀初頭のパリの高級娼婦、"ラ・ベル"・オテロと似たような存在だ。カロリーナ・オテロは客をひどくえり好みし、2012年時点の貨幣に換算して100万ドル以上になる途方もない料金を要求した。客にはモナコ大公アルバート一世やセルビア王などがおり、資力のある者なら誰もが一度は付き合うべきだと広く言われていた。では、一度そうしたら、客は何と言うのだろうか。セックスするために100万ドル払ったとしたら、その金の価値がなかったなどと認めるわけがない。p212
マシュー・スチュワート「戦略のアイデアはミネルヴァのフクロウのように、概して組織に黄昏が訪れたときに飛び立つ。古いことわざにあるように、戦略とは弾薬が切れかけても敵に悟られないようにすべての銃を撃ち続けることだ。一般的に、企業は別の方法でみずからの存在を正当化できないとき戦略に頼り、自分たちがどこへ向かっているかわかっていないときに計画を始める」p216
マッキンゼーは確かに、世界に類を見ない最も効率的なCEO製造会社だ。2011年には、150人以上のマッキンゼー同窓生が、年間売上高10億ドル以上の企業を運営していた。p225
ロン・ダニエルは博学な知識人だった。フレッド・グラックは力任せに進む人間だった。ラジャット・グプタは、ダニエルともグラックとも違って、洗練された反知性主義を持っていた。p263
アシュランド・オイルの社長になった同窓生のパウル・シュレグレンは、1993年の『ビジネスウィーク』で「マッキンゼーで働くことは、いいビジネス経験になる。いくつもの企業と産業、それらが抱える問題を短期間で見ることができる、凝縮されたチャンスだ。学士号を取って、MBAを取って、そしてMCK(マッキンゼー修士)が得られる」p352
元ディレクター(ラジャット・グプタについて)「彼はマーヴィンの価値観を具現化しなかった。はるかに商業的だった。そもそも、彼がゴールドマンの取締役になったとき誰も驚かなかったのは、それが理由だ。彼に対する憎悪が強いのも、そうなるのがわかっていながら、止められなかったからだ。彼がいたときに会社はぼろ儲けして、いまになって罪悪感を覚えている」p373
《終章 マッキンゼーはこれからも勝ち続けるか》p377
【もはや最高の就職先ではない】
マッキンゼーはライバルのどこよりも人に投資しているが、すぐれた人材にとっては単なる通過点になってしまうリスク、つまり若手をより刺激的なキャリアのために訓練するための場所になるおそれがある。p381
マーヴィン・バウワーは、マッキンゼーが信頼される地元銀行と同様に見られるようになることを望んでいた。しかし今日のマッキンゼーは、近所にある親しげな銀行よりも、むしろ全国規模あるいは世界規模の金融コングロマリットに似ている。いまやマッキンゼーは古めかしい大企業で、1960年代と1970年代に同社が助言していた巨大企業そっくりだ。そのクライアントが企業でも役員でも、仕事の相手は以前よりずっと大きくなった。コンサルタントが取り組むことになる問題は巨大だ。しかし同時に、いまのマッキンゼーは以前は軽蔑していた官僚機構への対応により多くの時間を費やしており、その外側ではなくより内側に入り込むようになっている。p389