日暮雅通のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
モザイク状に組み合わさった領土を持つ、二つの都市国家間で起こった殺人事件を捜査する刑事の姿を描いた小説。
読んでみると純粋なSFやファンタジーという感じではなく、都市の様子なんかはけっこう現代的な印象。
しかし設定は綿密に作りこまれていると感じます。ファンタジーやSF要素のあるミステリはたまにトリックを成立させようとするあまり、世界観やルールが作りこまれすぎていて不自然な印象を受ける時があるのですが、この小説は二つの国家間でのルールを自然に生かした、世界観ありきの小説で都市と都市の魅力を引き出すために殺人事件を使っているんだな、と感じました。
少し切ないラストもいい印象で、架空世界を舞台 -
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Posted by ブクログ
アラ。
今までのより、どの短編もガッツリ厚みがあった気がする。
と思ったら、この一冊がまとまるまでに、すごい年数がかかっているのですね!!
「ブルース・パーティントン型設計書」は、BBCの「SHERLOCK」でまんまエピソードが組み込まれていたのでウハウハvv
ぜひともBBCには「悪魔の足」も映像化していただきたい。
つーかどれもこれもホームズとワトソンの二人で一つ的な活躍がいいので、ぜひ、BBCには。頑張っていただきたい。
でも「最後の挨拶」はなかなかにこう、胸に詰まるものがありますね……
この時代背景もそうですが……
つかず離れず、数十年に渡って付き合うバディ……泣かすなあ。 -
Posted by ブクログ
ホームズシリーズの第2作。
父の行方がわからなくなり、数年前から高価な真珠が誰からか届くようになったという女性がホームズを訪れる。その誰かから、今までの埋め合わせをするので、指定する場所に来てほしいという手紙が送られてきたので、一緒に来てほしいという依頼に興味を持ったホームズは、ワトソンを伴って行くことにする。
現れた男に連れられて手紙の送り主の家へと到着したホームズ一行は、そこで本人すら知らなかった依頼人の境遇を知ることになる。
2作目にして、ホームズとワトスンの掛け合いのリズムが以前にも増して良くなり、まるで2人芝居を見ているようだなと思った。
ホームズの頭脳はもちろんのこと -
Posted by ブクログ
「偽善者だったからこそ二十世紀末、ヴィクトリア主義者は軽蔑されていたわけです。彼らを偽善者呼ばわりした人々の多くは、当然ながら、身にやましい点があった。それでもパラドックスを感じなかったのは、自分たちが偽善者でなかったから−道徳的スタンスもとらず、道徳心もなかったからです。」
「当たり前なのだよ、実際の話。厳格な行動基準を遵守することがかんたんだとは、誰も言っていない。それには困難がつきまとう−道すがら、われわれは間違いも犯す−だから面白いのだ。内面的葛藤。本能と、独自の道徳体系を希求する厳粛な心との、無限に続く争い。人間本来の姿だ。問題は、その葛藤のなかで、どうふるまうか。それがあとになっ