Posted by ブクログ
2014年09月26日
1917年に発行された、シャーロック・ホームズの連作短編集です。
鉄板の面白さ。楽しめました。
光文社の新訳シリーズを、もともとイギリスで発表された順番で並べると。
①緋色の研究(長編)-1887
②四つの署名(長編)-1890
③シャーロック・ホームズの冒険(短編集)-1892
④シャーロック...続きを読む・ホームズの回想(短編集)-1894
⑤パスカヴィル家の犬(長編)-1902
⑥シャーロック・ホームズの生還(短編集)-1905
⑦恐怖の谷(長編)-1915
⑧シャーロック・ホームズ最後の挨拶(短編集)-1917
⑨シャーロック・ホームズの事件簿(短編集)-1927
と、こうなります。光文社文庫シリーズで愉しみ始めて、①~⑥を読んで、今回⑦を飛ばして⑧を読みました。
残り少ないのがちょっと残念です。
かなり長い期間にまたがって読んだので、もう覚えていない話もあります…。
無理せずに覚えている印象だけメモっておきます。
●まえがき
いきなり、第1次世界大戦下のワトソンの回想で、引退しているホームズが報告される。
養蜂やってるっていうのが、なんともらしくて素敵だと思います。
●ウィステリア荘
思い出せない…
●ブルース・パーティントン型設計書
イギリスの命運を握る設計書の話なんですが、それはヒッチコック映画で言うところの「マクガフィン」と言うやつで。
実態は何でも良いし、良く判んないんですね(笑)
地下鉄で発見された死体の謎を暴く。なかなか読ませます。
ホームズの兄、マイクロフトさんが出てきます。
●悪魔の足
これまた、割とおなじみの、「植民地下で起こったことの因果が、国内にやってくる恨みの犯行」。
妻を殺された男の復讐譚。
麻薬が出るのが新味ですね。
舞台がコーンウォール地方という場所で、「マスター・キートン」愛読者としてはちょっと嬉しい。
●赤い輪団
これまた、アメリカ大陸での因果がロンドンで。
凶悪犯、結社。そのグループから抜けられない男。その妻。
「全く姿を見せない下宿人の謎」が入口。謎と冒険譚ですね。面白かったです。
●レディ・フランシス・カーファクスの失踪
これまた、欧州での因果がめぐります。
女を誘拐して殺すのに、「二重底の棺桶」というのが味噌になっています。
なぞ解きとして、かなり「へー」という感がありました。
●瀕死の探偵
これは面白かった。
ホームズが敵を陥れて証拠を握るために、仮病で死線をさまよってみせるのですが、
当然、ワトソンの一人称で、当然、ワトソンも読者も騙される。
ワトソンとホームズの友情ものとしても面白い。
●最後の挨拶
どーんと時代が飛んで、引退後のホームズが、大戦を前にイギリスの国運のために復帰、ドイツのスパイを陥れるというもの。
なんと、三人称で書かれています。
そして、好ましいのは、ドイツ側を「悪」として描いては居ません。「敵」ではあるけど、「悪」ではない。
騎士道精神が残っていた最後の時代、第一次世界大戦。
ルノワールの映画「大いなる幻影」を連想しました。