日暮雅通のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「僧正」とはよくわからないけど、チェスのビショップのことらしい。
登場人物は、数理物理学者、数学の准教授、科学者など理系揃い。
学者さん達が専門的なことを語りだすと、もう何言ってんのかさっぱりわからない(^_^;)
この作品は童謡見立て殺人の原点らしい。
この作品の10年後にクリスティーの『そして誰もいなくなった』が出版されたとのこと。
マザー・グースが日本では馴染みがないので、見立て殺人はあまりピンとこない。
日本で例えると「はないちもんめ」「ずいずいずっころばし」「あんたがたどこさ」みたいなものかな?
それなら子どもの時によく遊んだから、懐かしい思い出の中に殺人が紛れ込んできた恐ろしさみたいな感覚は確かにわかる気がする。
ということで、チェス、理数系、マザー・グースと3つ揃って自分の馴染みのない分野だったので、面白かったけど読むのに苦労した。
もし1冊目にこの本を読んでいたらヴァン・ダインの2冊目以降は読まなかった。
1冊目に読んだ『グリーン家殺人事件』はすごく面白かったので、特に初読みの作家の場合に有名だからではなくて自分の好きなテーマかどうかで選ぶのはすごく大事だと思った。
※ここから『僧正殺人事件』と『Yの悲劇』の2つの作品の完全ネタバレしてます。
ラストまで読んで驚いた。
ラストの解決方法が『Yの悲劇』と同じだったから。
シチュエーションは『グリーン家』と似ていて、ラストは『僧正』と同じとは…。
『Yの悲劇』の探偵ドルリー・レーンはあんなに苦悩して決断したのに、『僧正』の探偵ファイロ・ヴァンスは、思いつきで悪びれもなくあっさりとやってしまう…( ゚д゚)
『グリーン家』(1928年)+『僧正』(1929年)の良いとこ取りして更に練り上げたのが『Yの悲劇』(1932年)のように感じた。
エラリー・クイーンの『Yの悲劇』を読んで、ヴァン・ダインはどう思ったのか気になるところಠಿ_ಠ -
Posted by ブクログ
ついに第三巻で完結。シャーロキアンというよりは、どちらかというとラヴクラフティアン向けのシリーズだったのかなと。両方のファンなので、二乗で楽しめました。
ルルイエでのクトゥルーとの対決や、ネクロノミコンに魔法の道具の数々、ラヴクラフトの十八番である日記形式…クトゥルー神話好きには堪らないネタを次々と投入しながらも、ホームズ小説の史実にも忠実なストーリー展開と気の利いた言い回しが職人技。
論理思考の権化的アイコンのホームズが、邪神蠢く心霊オカルト世界に参入してしまうという意外性(でも、ヤク中だから体験的には慣れてそう)が楽しいコラボですが、好奇心と先見性が旺盛すぎるが故に、一線を越えてしまった結果のラストが辛い…。
続編はなさそうなので残念ですが、短編が『ミステリマガジン2023年11月号』に掲載されているようなので、そちらも当たってみようかなと思います。 -
Posted by ブクログ
上下巻読み終えました。
メタヴァースという言葉を生み出したという、すごい
影響力のある本という認識で興味が湧いて。
まず、全体の疾走感はすごいです。
ビュンビュン走る感じ。
メタヴァースがほんとに今ほど認知されてなかったの?
って思うくらい、今としてはリアリティありです
逆に、SFの世界に現実が
近づいていることに驚きます。
次に、言葉、ウイルス
その捉え方に
メタヴァースより、それのほうが衝撃というか。
そうかもな、いやきっとそうかもと思わせられる。
ただし、、、
その部分に関しては、結構理解しづらく、
正直100%わかってません。
が、だいたいの流れがわかる、
(新訳で読み、旧訳は読んでませんが、)
訳や、ところどころの注釈は
まだ読みやすくしてもらいました。
そして、つまり、っとまとめてくれる
一文がところどころはいることで、
なんとか最後まで手放すことなく
乗り切れたところもあります。
疾走感は、上下巻通しても充分味わえたので
とりあえず、もはやSFなら読んでおきたい
みたいな本を楽しんでよめてよかったー!
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Posted by ブクログ
太古の神クトゥルーとの対決が始まってから30年。サセックスで隠遁生活を送るホームズは失踪した3人の女性の調査を行っていた。ドイツ人スパイが暗躍し、戦争に突き進むヨーロッパで、遂にホームズと、ルルロイグとなった宿敵モーリアティとクトゥルーと三つ巴の最後の対決が始まる!
3作目になると、もう世界観も把握できてるので内容はスムースに頭に入る。映画を観てるようだ。もういにしえの神との対決なのだから、これが本当の最後の事件なのだ。ライヘンバッハの滝に落ちてる場合ではないのだ。開始早々にホームズの兄マイクロフトが殺された!ディオゲネスクラブのメンバー7人が同日に死ぬのだ。邪教の影、幽霊甲虫、ヘビ人間。マイクロフトを殺した犯人と失踪した女性たちを探してニューフォードへ。クトゥルーの名作「インスマンスの影」を彷彿とさせるシーデヴィルたち。囚われたホームズとワトソンはドイツ軍のUボートへ。船は悪夢の都市ルルイエに向かう。そこにはあのクトゥルーが眠るという!もうどんどんネタを注ぎ込んでのてんこ盛り、面白い展開だ。
しかし話は少しもったいない。最終対決が主題だから結末をつけるためのストーリーは面白い。しかし、逆に言えばこれホームズでなくてもええやん、というところか。いうなれば、もっとホームズらしさにこだわるか、ホームズを無視してもっともっと話をどきどきわくわくに仕立て上げるか、だったのだが、作者のラヴグローヴはその中間に落としてしまった。
いやそれでも十分楽しめましたよ。
この話はそもそもの設定が難しいのだから。そして、あとがきにまで仕掛けがあって、そこまでがストーリーなのだ。コズミックホラーの本領は発揮される。
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Posted by ブクログ
古代シュメール人は、ミーと呼ばれる神経言語学的なプログラムによってパンを焼き家を建てていた。それは、脳のうち現在の言語を理解する部分のさらに深層の基盤に作用する人間の脳のためのプログラムであり、要するにそれがスノウクラッシュであった。
古代に、エンキという初めて意識を持つ人間が現れ、ミーではなく自由意思と理性を実装させる新たな神経言語を開発し、人間達は共通のプログラムではなく意思を持った宗教をいただくようになった。
しかし、人間の脳の構造が変わったわけではなく、古代のミーは密かに語り継がれ、そしてヒロの時代に、これを拡散させて人類を支配しようと考えた者が現れた。L•ボブ•ライフである。その一味にはアウレト人のレイヴンもいた。彼らはストリートとリアル世界の両方で、ミーを拡散しようとした。リアル世界では薬物に混ぜて、ストリートではバイナリ言語を理解するハッカー達に向けてバイナリ記号を読ませる形で、これを成し遂げようとするが、ヒロとY•Tとジャニータの連携によって、リアル世界ではミーに犯された者達にエンキの言語を聞かせることによって、ストリートではバイナリ言語の爆発寸前にバーチャル爆弾のコードを書き換えることによってこれを阻止する。
インターネットの本格普及前にここまでメタヴァースの概念とモデルをリアルに描けたことに素直に驚いた。
もっというと、メタヴァースは2023年の人間は実現イメージができているが、この物語のもう一つの(メタヴァースよりもメインの)テーマであるウイルスについて、脳の基盤に影響する神経言語学的ウイルスという発想は、まさにSFならではの発想で、これまで考えたこともなかった発想であった。エンキ以前の社会を共通言語による人格のない社会として描き、ここから多様な言語と自由意思を持つ社会へと移行した様を、バベルの物語として描くあたり、秀逸であった。