日暮雅通のレビュー一覧

  • 恐怖の谷

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    シャーロック・ホームズの、4つある長編のうちの一つ。他の長編「緋色の研究」と同様に2部構成になっている。第1部が事件発生とホームズの推理、第2部で事件の背景にある過去の出来事が語られる。第2部にはホームズやワトスンが登場しないのであまり期待していなかったのだが、予想外に面白かった。実話を元にしているらしいが、これで1冊書けそうな話だ。

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    2021年05月09日
  • 指差す標識の事例 上

    匿名

    本作が語られる時代背景や宗教の状況等、知っていた方が断然楽しめます。下巻の末尾についている年表をざっとでもよいので眺めておくとよいかもしれません。

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    2022年09月28日
  • 七人のイヴ 上

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    長い!けど面白い! 普通の単行本の2~3冊分ぐらいあるけど、これでまだ上巻。
    これだけ長いのは、説明にすごくリアリティがあって、話も具体的でかなり細かいからですが、その割には冒頭でいきなり月が7つに分裂して、その原因とかはまったく追求されない 笑。きっと月が分裂する理屈より分裂した後のストーリーにリアリティを持たせようということなんでしょうね。何があったら月が分裂してしまうのか気にはなりますが。
    過去にも「ノアの箱舟」的な小説や映画があったが、宇宙に箱舟をもっていくというところが今の時代らしい試み。
    下巻でどう展開するのか楽しみです。

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    2021年01月24日
  • 指差す標識の事例 上

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    格調高い文章が、どうにも読みにくかったです。医学創成期の技法が興味深かったですね。輸血の方法とか。血液型も調べないでいいんかい!とは思いましたが、なかなか面白かったです。そうしたサイドストーリーには興味は引かれましたが、ベースとなるストーリーはやや浅め。下巻に期待。

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    2020年12月05日
  • 指差す標識の事例 下

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    なぜ翻訳者が4人もいるのか、という読む前の疑問があったがそれは納得できた。

    ひとつの出来事を複数の視点から語るという手法は大好きで、信頼できない語り手感がどんどん増していくのは大変に楽しめた。

    ただ、それほどまでにして隠したかった暗号文は、正直なところ「ふ〜ん…」という印象だった。
    イングランド人ならバッチリ決まるんだろな。

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    2020年12月04日
  • バスカヴィル家の犬

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    荒涼としたダートムアが舞台。バスカヴィル家に伝わる魔犬伝説が絡み、サスペンスっぽいハラハラする展開だ。ホームズは当然として、ワトスンもかなり活躍してくれる。名探偵の助手っぽい感じになってきた。
    犯人の動機が分かるあたりはちょっと展開が安直な気がするけど、全体としては面白かった。ホームズものは謎解きも良いけど、ホームズとワトスンのコンビや活躍が楽しいんだよね。
    巻末の島田荘司さんのエッセイも、ドイルとバートラムの逸話が知れて良かった。

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    2020年11月18日
  • 指差す標識の事例 下

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     四人の語り手の手記により、大学で発生した毒殺事件と、その犯人と疑われた女性の運命如何を主筋として、イングランド王政復古時代の政治情勢や党派対立等を絡ませながら、物語は進んでいく。

     ミステリとして見れば、信頼できない語り手の問題や語り=騙りといったことになるが、媚びず、卑屈にならず生きていくヒロインの人物造形が実に魅力的だと思った。

     ヒロインのラストについては、ウーンという気持ちも拭えないが、語りの中で、そこまで含めて書かれているではないかと言えば、そうかもしれないと思わされる(ネタバレ気味の恐れもあるのでぼかしていますが、最後まで読まれた方には分かっていただきたい)。

     本書では、

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    2020年09月03日
  • 指差す標識の事例 上

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     先ずは本書の無事刊行を寿ぎたい。

     本書の帯とカバー裏には、『薔薇の名前』とクリスティの名作が融合と謳われているが、本作を手に取り、内容ではない別の面での『薔薇の名前』との共通点を思って、しばし感慨に耽った。

     それは、日本語訳がなかなか出なかったということである。『薔薇の名前』が映画化された頃、原作ではアリストテレスやキリスト教、異端審問等に関わる内容が満載だということで、それらに纏わる蘊蓄本がだいぶ刊行されていたのだが、肝心の原作の翻訳が待てど暮らせど出ない、その出版社が東京創元社であった。

     翻訳者の一人である日暮氏が、本書についての打合せの始まった時期のことを書いた文章を読んだ

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    2020年08月31日
  • 四つの署名

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    「緋色の研究」に続くホームズ長編2作目。メアリー・モースタン嬢から奇妙な出来事についての相談の受けるところから始まる。ホームズの名探偵ぶり、いろんな捜査方法、犯人を追い詰める場面など、冒険小説の要素もあって面白かった。
    「ぼくの頭脳は、停滞しているのが大きらいなんだ」「頭を使っていないと、生きている気がしない」など、頭脳的な刺激を渇望するホームズが印象的。ワトスンは意外とロマンチストなのかな。二人のキャラの違いが良い。
    訳者解説も良い。特にタイトル「四つの署名(The Sign of Four)」の和訳についての話が知れたのは良かった。

    ホームズは鹿撃ち帽がトレードマークだと思っていたけど、

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    2020年08月22日
  • 七人のイヴ 下

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    分裂と統合の物語。

    相変わらず冗長ともとれてしまう細々としたコロニーやらメカやら古典・現代物理学の説明セリフも多く、ひぃふぅ言いながら読み進める。

    頁を進める毎に細々とした説明が加速度的に、まさに”指数関数的に”増してゆくようで、あれこの人今何してたんだっけ、っていうかこの人誰だっけ・・となってしまうのはワタシの読書能力と物理学その他について教養がないせいもあるだろうけども・・

    この描写は緻密を超えて、ちょっとオタクっぽ過ぎるかもしれない・・

    下巻にはいってようやく題名『7人のイヴ』の正体が明らかになる。

    解説でも指摘されている通り、邦題としての『7人のイヴ』はネタバレを含んでしまっ

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    2020年08月21日
  • 七人のイヴ 上

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    ディストピアはなぜか心地よい。

    月の分裂にはじまるパニック、分断、希望の象徴としての箱舟宇宙ステーション建造とここまでは地球・人類滅亡の物語だ。

    中盤、いよいよ地上最後の日の描写がとても心地よい。
    心地よい分、もう少し長く楽しみたかった気もする。
    いかんせん最後の日の描写が短いのだ。

    もちろん、この物語の視点は箱舟が中心になるから、地上の最後は通過点に過ぎないのだが。

    後半以降はいよいよ箱舟だけの人類史がはじまる。

    しかし、ここでも権力、対立、分断という人類を人類たらしめている醜く愚かな一面がのぞいてくる。

    滅亡を控えた地上がディストピアであったように、地上滅亡後の箱舟も等しくディ

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    2020年08月16日
  • カナリア殺人事件

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    カナリアと呼ばれた元女優が密室で殺された謎を追う。
    探偵役のヴァンスは癖のある人物だけどそれがまた良い。
    心理学的見地で事件を読み解く様は面白く、特にポーカーの場面が興味深い。
    まさに精神分析学だなと。
    劇的な展開はないけれど、つい読んでしまう一冊。

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    2020年08月06日
  • 僧正殺人事件

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    「ファイロ・ヴァンス」シリーズ第4作。見立て殺人の嚆矢として知られる作品ですが、確かに異様な不気味さを作り出しているものの、マザー・グースの詩に見立てなければならない理由は特に見当たらず、やや不満が残ります。
    それでも、教授同士の心理戦、犯人の動機、ラストのどんでん返しなど見どころ盛り沢山で、ミステリー史に残る名作と謳われているのも頷けます。

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    2020年05月02日
  • クラーケン(上)

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    ファンタジー。サスペンス。ミステリ。伝記。警察。
    様々な要素を詰め込んだ感じの作品。
    ファンタジー感溢れる、異様なロンドンの雰囲気が独特。
    女性警官コリングズウッドのキャラが好み。
    どんな結末になるのか、下巻に期待。

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    2020年03月14日
  • バスカヴィル家の犬

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    有名な作品を遂に読破。人間関係が複雑に絡み合い謎が謎を呼ぶ大事件。クライマックスにもう少し盛り上がりが欲しかった。

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    2020年01月01日
  • 都市と都市

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    帯でなく表紙へ大書されているように
    SF関係の賞だけでなく世界幻想文学大賞も受賞している本
    中身は解説にもある通りハードボイルド調の警察もので
    この前読んだ「愛おしい骨」と同様に
    翻訳を透してそれだけで文化の違い(というより日本が島ということか)を
    感じる風な小説だが
    舞台設定が奇抜でそこがSF側のこれがSFだと推挙するところである
    「都市と星」というより「不確定世界の探偵物語」みたいな感じかと読んでいたが
    これを書いてしまうと未読のひとにいらぬ先入観を与えそうで嫌だが
    書かずにいられないので書くと
    「メンインブラック」にしか見えない
    一度そう思うとコメディにしか見えない
    というわけで読んでい

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    2018年12月08日
  • シャーロック・ホームズの思考術

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    "小説の中に登場する名探偵をあたかも実在の人物と見立て、名探偵の頭の中を覗き込み名探偵の如く思考するとはいかなることかをシャーロック・ホームズをこよなく愛する筆者が解明している。
    参考文献が掲載されているので、もっと深く考察したい人にもやさしい。

    文献を列挙しておく

    マインドフルネスについて
    ・心の「とらわれ」にサヨナラする心理学
    ・ハーバード大学教授が語る「老い」に負けない生き方
    ・人間の本性を考える 心は「空白の石版」か 上・中・下
    ・心の仕組み 上・下

    科学的思考法を身につける
    ・コナン・ドイル書簡集
    ・心理学の根本問題
    ・科学革命の構造 トマス・クーン
    ・才能を開花させ

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    2018年11月23日
  • シャーロック・ホームズ大図鑑

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    ネタバレ

    シャーロック・ホームズに関するありとあらゆるうんちく満載!この本を楽しみたいために、ホームズシリーズを改めて最初から読んでみることにしました。
    図鑑だけあって、図版も満載。特にグラナダ版のホームズの画像を採用しているので、ファンも納得。シャーロキアンならぜひ手元に置いておきたい一冊では?

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    2020年08月21日
  • シャーロック・ホームズの思考術

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    シャーロックホームズはなぜ、誰も気に留めないような点に注目して、そこから事件解決に導くことができるのか。
    その思考術を、私たちの生活の中でどうやって使えば、有益なのか。
    …結論、あんまり日常の生活に使うことはなさそうです。
    でも、知っていたら面白いし、この思考を身につければ、他の人とは違う角度から物事を見れるようになると思う。

    問題解決能力を向上させたい、または探偵を目指してる、もしくはシャーロックホームズになりたい。という方にオススメ。

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    2018年11月19日
  • 恐怖の谷

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    アメリカ。田舎町。炭鉱。暴力支配。血。恋模様。
    大好物なんですけど!!!!

    過去の長編と同じ構図を取り入れているのですが、非常に洗練されています。物語としてのめり込め、ミステリとしてのどんでん返しも中々インパクトがあります。

    第1部のホームズの推理も良いのですが、私は第2部が好み。
    回想によって第1部が補完されるのですが、これがまた衝撃。入り込めば入り込むほど、予想外の展開で驚くはずです。

    最後の長編か…さて短編へいざ。

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    2018年09月02日