日暮雅通のレビュー一覧
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ネタバレ初めてに本持った時の感想、「えっ薄い」
冒険(出版社を変えて2回)、回想と短編集読んでいると長編そんなに長くなかったんだなあって思っちゃった。四つの署名はもうちょっと長かったかな
知ってはいるけど詳しくは知らない、アイリーンアドラーも聞いたことはあるけど誰状態で緋色の研究を読んでから3ヶ月。序盤ワトソンのホームズ風推理にワクワク。ワトソン博士だいぶんホームズに染まってるね。まぁおおかたまちがいだったようですが。ホームズシリーズは推理パートは確かに面白いけどホームズとワトソンの会話パートも結構面白いと思う。今回はワトソン出発前と11章岩山の男ラストが個人的には一番好き。
挿絵裏返しの話とか、私のホームズ「バスカヴィル家の犬と、忘れられたバートラム・フレッチャー・ロビンソン」とか読むと本編じゃないけど最後もちゃんと読んでよかったって思う。
バスカヴィルのことパスカヴィルだと思ってた人私だけじゃないと思うんだよなあ。
あと表紙のイラストあるの初めて気付いたんだけど魔犬がなかなか可愛いくて面白い。事件の鍵なのに。 -
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【非凡なる凡人】人類史上初めて月に降り立った「ファースト・マン」ことニール・アームストロングの生涯を記した伝記作品。著者は、本作がアームストロング本人が公認する唯一の伝記となったジェイムズ・R・ハンセン。訳者は、本書の主に前後半を分担して共訳した日暮雅通と水谷淳。原題は、『First Man: The Life of Neil A. Armstrong』。
圧倒的な分量があるのですが、読み終えた後の清々しさがなんとも言えない作品でした。変に上からの感想になりますが、月に降り立った最初の人間がニール・アームストロング氏だったというのは、人類の歴史において本当に幸福な出来事だったのではないかと思えるほど。技術面についてもしっかりと解説がなされており、映画でアームストロング氏に興味を持った方にもオススメしたい一冊です。
〜月面着陸を成し遂げたのは科学よりも工学であり、地球外の別世界に最初の足跡を記したのはエンジニアなのだ。〜
※本レビューは上下巻を通してのものです。
ラストに感涙☆5つ -
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この小説をSFという範疇で語るのは非常にもったいない。SF的なミステリであり、小説である。(昔風に言えばslip stream、伴流文学である)。
二つの都市国家が同じ地域を占めているという状況でも十分に特殊ではある。加えて、その二つの国家は『壁』という物理的なもので仕切られているわけではなく、お互いに相手を見ない(見えない)物として扱う事で並立させているというのだ。
このシチュエーションだけで相当な物である。
加えて、相手の国を侵犯してしまった(特殊な状況下なので頻繁に起る)場合、『ブリーチ』(漂白とでもいえばいいのか)というどちらの国にも属さない公権力が存在するという。さらに複雑な状況である。
この「見ない・見えない」ことでそれぞれ異質なものが共生するというのは、実は我々が暮らす現代社会の中にもあるように感じている。ただ見てしまっても『ブリーチ』されないというだけで…
いろいろな意味で背筋が寒くなった一冊。今年最後の最後で『今年の一冊』に決めました。 -
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世界的に有名なコンサルティングファーム、マッキンゼーの創業期から今に至るまでを、綴ったノンフィクションルポルタージュです。
経営学をかじり、また大前研一さんや南場智子さんなどの著書を読んだ身として、興味ある存在だった組織でしたので、いつにも増して集中してページをめくりました。
意外だったのは、組織力重視の保守的な面も持ち合わせていたこと。全てがMBAホルダー達自身の頭脳明晰な個人力で、課題解決をしていると思っていたので。
大前研一さんの様な方は、逆に異端児だったらしい。もちろんスーパースターという面でだが。
それなりの統一された分析フレームや、グローバルでの専門家リストがあり、誰がコンサルティングしてもある程度の水準を確保できる様なナレッジシステムがある様です。
面白いと思ったのが、一流企業、経営層をターゲットにしており、一度関与したら離さない一面があるということ。そして、優秀な新人はOJTで鍛えていく。そのコンサルティング企業の資源こそが、新人の教育・スキルアップのための費用となる。
そして、一流のブランディング構築による、かなり高額なコンサルティング費用。
さらに企業側からは、レイオフなど従業員への防波堤としての活用、マッキンゼーというブランドを利用しての企業価値向上、マッキンゼーに眠るコンペチタ企業情報の入手 など、本来の課題解決以外での契約理由もある。
まさに未来永劫の持続的繁栄のための、強固なビジネスモデルが構築されていることに感心しました。
今のトップであるドミニク・バートンは、韓国、中国などアジアでの経験が豊富。
抜け目なく合理的。
内なる敵は、グーグルなど新興のIT系企業への人材転出だが、当面はアメリカ発のコンサルティング・ファームの繁栄は持続しそうです。
恐るべし、アメリカ。 -
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都市と都市、ヨーロッパのはし、バルカン半島のあたりにあると思われる二つの都市国家、ベジェルとウル・コーマは「地理的にはほぼ同じ位置を占める」。ほぼ同じ場所を占めるという紹介文の記述がまずわからなかった。いったいどういうことか。
それは『アンランダン』の裏ロンドンのように同じ場所だが異次元、というようなSF的に現実離れした設定ではまったくなく、実現可能だが政治的に現実離れした設定なのである。二つの国の国境はいわば双方の国民の心の中に画定されている。ベジェルの側からみると、完全にベジェルの土地である〈コンプリート〉な場所、まったく異国、すなわちウル・コーマの領土である〈アルター〉な場所、両者が混在する〈クロスハッチ〉する場所がモザイク状に入り組んでいるのである。
ベジェルの住人は目の前にウル・コーマの街並みがあり、ウル・コーマ人が歩いていても〈見ない〉ようにする。ときどき目があってもすぐに目をそらすように習慣づけられている。それを犯すこと、すなわち〈ブリーチ〉は重大な違反行為なのである。
私の住む3丁目は日本だが、4丁目は北朝鮮になっていて、そこは〈見ない〉ように生活する、5丁目の交差点は〈クロスハッチ〉していて、北朝鮮の車も通るけど、それも〈見ない〉ようにしながら避けて通る。というような感じか。
馬鹿げている? そうかもしれないが、外国人にとっては極めて馬鹿げていても、現地人には非常に大事なことって実はたくさんあるではないか。ミエヴィルはこの奇妙な二つの都市を現代に配置して、実際にありそうに思わせていくのである。ベジェルとウル・コーマが分裂する前の遺跡の発掘現場、愛国主義者、統一主義者などの政治集団などの道具立てのほかに、インターネットもあるしiPodも出てくる。
しかし全体の体裁はミステリーというジャンルを遵守する。私、すなわちベジェル警察のティアドール・ポルル警部補が、若い女性の他殺現場に到着するところから話がはじまる。ところが、まず被害者を知る者が誰もいない。やがてわかってくるのは、彼女がかつてベジェルに滞在し、その後、ウル・コーマに移った外国人で、ベジェルとウル・コーマの間にあるという伝説の第三の都市オルツィニーについて調べていたということである。
すなわち、殺人犯は、被害者をウル・コーマで殺して、ベジェルに遺棄したという〈ブリーチ〉行為に関わっていた可能性があるのだ。ベジェルとウル・コーマの権力のほかに、この〈ブリーチ〉行為を取り締まる〈ブリーチ〉という名の秘密警察のようなものが別にあるらしく、本件を〈ブリーチ〉で扱うようポルル警部補は監視委員会に要請する。
ところが、とってつけたように、犯人が合法的に国境を越えたという証拠が出てきて、〈ブリーチ〉は発動されない。ポルルはウル・コーマ警察に協力して捜査を進めるため、ウル・コーマに入国するはめになる。
総体局所的(グロストピカリー)にはすぐ隣のブロックにある〈アルター〉な地区に直接歩いて入ったらそれは〈ブリーチ〉である。そこで旧市街のコビュラ・ホールに行って、正規の手続きをふんでウル・コーマに入国すれば、〈アルター〉な隣のブロックに行くことができるのだ。しかしその際には、もはやベジェルのほうを〈見ない〉ようにしなければならない。隣のブロックは総体局所的には、隣にあるのだが、遠い異国なのである。こうした造語ももっともらしい雰囲気を作り出す。ベジェルの××街の位相分身(トポルゲンガー)はウル・コーマでは○○街だ、とか。
背表紙の紹介文に「ディック−カフカ的異世界」などとあるが、それはまったくの誤読であろう。ディック−カフカ的世界には超自然的なものが介入するが、ミエヴィルの世界には「不思議なことなど、何もないのだよ」。
読者をこの2つの都市の住人にしてしまう綿密な描写のあと、事態は急を告げ(どうやらオルツィニーについて調べているものが命を狙われるらしい)、それまでまるで超自然的存在であるかのように畏れを持って描写されてきた〈ブリーチ〉が登場する。第3部は〈ブリーチ〉。ポルルは〈ブリーチ〉へと入るのだ。〈ブリーチ〉へ入るということがどういうことなのか、ここでは述べないが、相互に〈見ない〉ことで成り立つ都市と都市のありさまに馴染んだ読者には、認識論的飛躍のめまいを感じさせるだろう。
終盤、「都市と都市」の特性を利用した犯罪の謎を解くポルルの活躍は、何とも見事に盛り上げられていて、しかもミステリの快感がある。さらにこの認識論的飛躍が深い陰影を添えるのだ。tour de forceの作品である。 -
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映画「ダークナイト」。その面白さがココにはあります。
1917年にイギリスで書かれた小説に、これだけ面白いと思えるのは、読書の快楽そのものですね。
シャーロック・ホームズ・シリーズは、僕が読んでいる光文社の新訳シリーズに則って言いますと。
①緋色の研究(長編)-1887
②四つの署名(長編)-1890
③シャーロック・ホームズの冒険(短編集)-1892
④シャーロック・ホームズの回想(短編集)-1894
⑤パスカヴィル家の犬(長編)-1902
⑥シャーロック・ホームズの生還(短編集)-1905
⑦恐怖の谷(長編)-1915
⑧シャーロック・ホームズ最後の挨拶(短編集)-1917
⑨シャーロック・ホームズの事件簿(短編集)-1927
という計9冊の本になります。
振り返ると、2013年の3月から、もう2年近くに渡って①~⑥まで愉しみました。
そして、⑦を飛ばして⑧まで読んじゃって、この度、無事⑦を読みました。
相変わらず、やはり面白い。
というか、実は地味ながら「恐怖の谷」、かなり面白いのでは?
ディクスン・カーという推理小説家さんは、高く評価しているそうですね。
なんというか、実に無駄がない。
事件と感情と謎。無駄な装飾が少ない、研ぎ澄まされた、ハードボイルドとまで言って良い気がしました。
お話は、「緋色の研究」「四つの署名」の構成と似ています。
前半は、いつものワトソン一人称で、現在形で事件が語られますが、動機の部分で謎が残ります。
それが後半で、一気に昔話として怒涛に語られる。なので、後半、ホームズは出ないんです(笑)。
イギリスの地方で起こった謎めいたおどろおどろしい殺人事件。
(ところでこういう郊外な雰囲気のホームズものって、実に金田一耕助に影響を与えていると思いますね)
密室殺人に見えた事件は、実は、死んだと思われた中年男は生きていた。その中年男を殺しに来た殺し屋が殺されたんですね。
さて、どうして殺し屋が来たのか。それが後半。
舞台はアメリカ。中年男が若かった頃…。
とある峡谷の炭鉱町。そこは、地元の結社が組織暴力団化して、暴力と暗殺で街を支配しているんですね。
その、田舎町の絶望的な「恐怖の谷」な感じの描写が実に生々しくて、力強い。
そして、その恐怖の谷の暴力組織を、ある男が1人で瓦解させていく。
その男は、その街で可憐な娘と恋愛もしてしまう。逃げ延びれるのか。
その成り行きとスリル、どんでん返しも含めて実になんというか、ハッキリ輪郭が描けています。(これは、実話に基づいているのが理由らしいですね)
…でも、最終的に恐怖の暴力の手は、やっぱり衰えないんですね。
その世界観すら、実に21世紀の日本にも通じるものがあります。
そういうダークな世界観があるから、面白い。歯ごたえがあります。
なんだけど、それだけだと、後味が良くない。食べにくい。そこで、全体をホームズとワトソンという、ほんわかした安定した勧善懲悪感がパイ包みしているんですね。
この作り、実に豊穣、実に愉しい読書でした。
…と、つまり、これは映画「ダークナイト」の世界観なんだよなあ…って。
ホームズ恐るべし。
どれだけエンターテイメントな小説世界の根源を作り上げちゃってんだろう…。
さあ、あと一冊。
すぐ読むか…ゆっくり読むか…。愉しみです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレホームズの長編三作目。
『緋色の研究』『四つの署名』も好きですが、長編ではこれが一番面白く読めました。
冒険色が強くなってハラハラ感が増し、登場人物も以前より多く謎も多かった気がします。
ワトスンが一人で調査すると聞いていたので、ホームズがいなくても楽しめるのかな…と不安でしたがスラスラ読めました。
お互いにお互いを信頼してる姿が良かったです。
ホームズに褒められて嬉しくなるワトスンがなんだか可愛らしい。
巻末に島田氏のエッセイが載ってたことにびっくり。
相変わらずホームズへの皮肉もありながらやっぱり好きなんだなぁという感じがしました。
次は『シャーロック・ホームズ最後の挨拶』読もう。