日暮雅通のレビュー一覧
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三部作で綺麗に終わったし、メタな話ではあるが作者もまた狂気に沈んだという終わり方だったのに、『続編?』不安半分、期待半分、そろそろとおっかなびっくり本を開くと、三部作とはまた違う趣向で話が展開している。
作者の狂気は、ゆっくりと静養したおかげで回復したよーという、なかなかの力業だったけれども、その分だけ続編に対して意欲的なところがあって、続編がどのようにして作者に『見いだされた』のかを語っていた。
上下巻ということで、これは気合いの入った長編かと、身構えたものの、いざ読み始めるとちょっと違っていた。三部作は純然たる長編だったけれども、今回は上下巻からなるオムニバス、短編連作のようだ。最初は長編だと思い込み身構えていたので、読み進めるのに時間がかかったが、オムニバスとなればそこまで肩に力を入れずとも、ひとつひとつを確実に読んでいけば良いし、なによりも切りが良い。
また作者がおなじみのホラーテイストに加えて、ミステリ要素をふんだんに入れようと目論んでいるようなので、なかなかに楽しい。
原典であるシャーロック・ホームズシリーズを不調法にもあまり読んでいないので、元ネタが分からないのが惜しいので、機会を作って読みたいと思った。 -
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時代は近未来。アメリカは中央政府が分断されゲートコミュニティのような小規模な“フランチャイズ国家”により分断されまくっている。
世界のグローバル化によってアメリカの優位性は消失。アメリカに残る産業はもはや音楽、映画、マイクロコード作り、高速ピザ配達しかない!
主人公は日本刀を操る黒人配達員“ヒロ・プロタゴニスト”。
彼は今のアメリカの特権階級たる配達員であり、最後のフリーランスハッカーであり、メタバース最強の剣士でもあるのだ。
ある日彼は友人の一人にしてメタバースの生みの親“Da5id”が正体不明のデジタルドラッグ“スノウ・クラッシュ”を使用し、文字通りシステムクラッシュしてしまうところを目にする。
ヒロはこのドラッグの正体を探るべく、メタバースと現実双方で個人的な捜査を始めた…
↑ヤバあらすじ
凄まじいエンタメ性とやり過ぎている設定がアドレナリンを大放出させる。めちゃくちゃクールなので発売当初はGoogle創業者とかシリコンバレーの起業家とかその辺のテッキーなティーンエイジャーにぶっ刺さりまくったらしい。
一筋縄では話は進まず、疾走感は凄まじく、最後まで訳がわからない設定てんこもり。
楽しい…
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シャーロック・ホームズとクトゥルフ神話の三部作、こちら第三作なわけで、いわば最終回なわけですが、その分だけ展開に結構容赦がなくて、大好きだったキャラが無残な状態で退場してしまって、えええっうっそーーーーっと呆然となってしまった。
シャーロック・ホームズ自身の死についても書かれていて、なんとも切ない気持ちになったのだけれども、全体として三部作集大成としてはとても面白かった。
あちこちに伏線や匂わせがあり、外連味がたっぷりでこれこそクトゥルフ、暗黒神話という感じがしている。それに加えて、シャーロック・ホームズが活躍していた時代背景なども丁寧に書かれているので、読んでいてイギリスの風景なども感じられて面白かった。
三部作ではあるけれども、好評につき続編が刊行しているようなので、これから次巻を読むのがたのしみだ。 -
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「高名な依頼人」のグルーナー男爵による行方不明事件、さらには「三破風館」のイザドラ・クインやメアリ・マーベリや、おまけに「マザリンの宝石」からもゾロゾロホームズ譚関係者が出てくる。そしておよそ30年の間に起きたそれらが全部1つの事件と繋がってくるのだ。
地球外生命体ミ=ゴとその仲間たちを相手にホームズが地球を救うスケールの大きな話なのです!
恐るべきラストは異形との対決とワトソンの決断。クトゥルー神話ではラヴクラフトの「闇に囁くもの」がベースになっている。
そして最も驚かされるのは、ホームズの聖典とされる話は全てワトソンの創造であり、実際はクトゥルーとの30年にわたる対決こそが事実となっているという設定だ。そして、クトゥルーとの対決の中で登場した人たちをモデルに聖典と言われる小説が書かれているということなのだ。
もう続編は出ないんだろうな。なかなか面白い話でした。
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無敵なもの同士の対決で決着はつくのかい!と設定に文句を言いながらも読んでしまうのは何故だろう。ホームズがクトゥルーの神々と戦う〈クトゥルー・ケースブック〉は3部作で完結したのだが、補完するような最新作を見つけてまた読んでしまう。
作家ラヴグローヴが新たに入手したワトソン博士の手稿にはハイゲイト墓地に始まるホームズと神々のもうひとつの事件が記録されていた。ハイゲイト墓地から3つの死体が消えた。ホームズは死体が真菌類の胞子によってクリーチャー化したことを暴くが、それは恐るべき陰謀の幕開けにすぎなかった!
この話、正典として描かれた事件の登場人物も多く現れ、ワトソンが書かなかった事件の真相やその後が語られる。例えば「ボヘミアの醜聞」でお馴染みのアイリーン・アドラー、「ブラック・ピーター」のピーター・ケアリ、「隠居絵具師」のジョサイア・アンバリー。
ホームズが唯一恋した?女性とまで言われるアイリーン・アドラーが変装の名人になった理由がわかる。彼女の身に何があったのか!そしてグリーンランド沖を航海中のピーター・ケアリ船長の船で起きたこと。北極海から彼らが持ち帰ろうとしたものが太古の神々を目覚めさせたのか。さらには神々を崇める宗教団体を統べるアンバリーの超常的な脱走劇とホームズ暗殺計画。正典と食い違わないように描かれた彼らのもうひとつの顔がわくわくして楽しいのです。
クトゥルーからは、黒き豊穣の女神シュブ・ニグラスが出てきます。いいですねー。
上巻はここまで。手先のような人間との対決は解決するも、真菌類の胞子やシュブ・ニグラスをはじめクトゥルーにどう対処するのか。さあ、これから下巻。 -
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前作よりも登場人物と設定になじんだこともあり、とても楽しく読み進めることが出来た。その分だけ、まとめて一気に読み進めたいという気持ちがあり、まとまった時間を作るのに苦労して、今日、ようやっと一気に読み上げた。
凝った設定ではあったが、背景描写も良くて読んでいて実に楽しかった。引き込まれる部分は、なんといっても登場人物だろう。今回は前作よりも物語に関係する登場人物が多いのだが、とにかく個々のキャラが立っていたのが良かった。またクリーチャーの描写も細やかで、前作よりも真に迫って読み取れたのは、私の知識が増えたからなのか、それとも洗練されたからなのかはわからないが、そのおかげで世界観に浸ることが出来て楽しかった。
グロ要素もあるし、本家であるラヴクラフト作品では猫が大切にされていて、傷つくことはそうそうないらしいのだが、今作は猫の身の上に不幸が降りかかるので、それが駄目な人は避けた方が良いかもしれない。
シャーロック・ホームズが実は人外たちと戦っていて、ワトソンはそれに虚飾を交えて小説にしたて上げている。その設定の面白さが前面に出ている作品だと思う。
三部作とのことだが続編があるらしいので、これから読むのが楽しみだ。 -
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英国SF協会賞、ヒューゴー賞、クラーク賞、世界幻想文学大賞、ローカスファンタジー部門長編賞、このSFが読みたい2012年1位
総ナメもいいとこの本。
架空の都市ベジェルを舞台に身元不明の女性が郊外にて刺殺死体として発見される。この都市ベジェル、実はもう1つの国家ウル・コーマが「地理上重なって」存在している。両国の国民はたがいに相手国が存在しないとふるまう
というイカれた設定のとんでもバカミス
完全に警察小説として進むのにこの設定のお陰で真正ハードボイルドにSFの皮で覆ったような物語が読める
もう設定だけで日本大敗北、よくこんなもの書いたもんだ。どちらのスタンスで読むかによって幕の閉じ方の感想が正反対に別れそうという弱点はあるけれど、単純に読み物としてものすごく面白かったです。
にしても、よくこんなん思いついて形にできますね
シアワセでした -
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個人的に極めて好きな作品。
■ファイロ・ヴァンスの考え方
一流の美術家は20人に同じ題材で絵を描かせても、どれが誰が描いた絵かを見極められる。それは、その人物の特徴が絵画には現れるもので、二人として同じものはないから、という理由による。同様に、犯罪にもその人物の(心理学的)特徴が現れる。つまり、唯一無二の「その人だ」という痕跡が残る。
故に、それを追えば犯人は特定できる。逆に、それを追わずに物的証拠や状況証拠を追っても意味がないどころか誤った方向に向かい冤罪を生みまくることになり危険。
ただし一方で、
「裁判で有罪とするための確たる証拠」という意味では「心理学的根拠」では意味がない。かと言って物的証拠ではヴァンスが述べるように「物的証拠なんかでは犯人を特定できない」のだから、それも意味がない。
やるなら、心理学的根拠、手法を用い犯人を特定した後、「やっぱりね」という物的証拠を見つけ出す、という順になる。
という、この考え方とそれを踏まえた作品の作りになっていること自体が非常に好み。
「誰が犯人か」とか「ヴァンスの考え方は本当に正しいのか?」とかは別にどうでもよく、この発想の仕方が非常に好み。
■アントニイ・バークリー
自分の最も好きな作家の一人にアントニイ・バークリーがいる。
バークリーも同様に「心理的要素が重要」と考え、『毒入りチョコレート事件』を境に後期になるにつれて本格を捨て心理的側面を重視するスタイルになる。
一方でS・S・ヴァン・ダインは初期の方が心理的側面を重視し、後期になるにつれてその特徴がなくなってしまう、とのこと。(ヴァン・ダインの後期はまだ読んでない)
S・S・ヴァン・ダインもアントニイ・バークリーも他の同時代作家とは異なるベクトル(心理的側面)から推理小説を捉え、それが作品に見事に反映されている、という部分が共通していて、その作風が自分に合っている、と感じた作家。 -
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選書サービスで選んでいただいた本の中の一冊なのだが、最も自分では選びそうもないと思ったのがこの作品だった。
一言で言うと、SFとミステリーが組み合わさったような作品という感じだろうか。
モザイク状に組み合わされた2つの都市国家で、それぞれの住人はもう一方の都市に足を踏み入れてはならないだけでなく、人やモノを見ることも禁じられており(人々は訓練によって「見ないように」している)、移動または視線による越境行為は監視権力によって厳しく処罰される。
最初はこの不思議な設定の都市を思い浮かべることが難しかったのだが、主人公の警察官が2つの都市と監視権力のそれぞれのバディと共に、殺人事件と背後に絡む都市伝説を探っていくというストーリーは警察小説としてもとても面白かった。 -
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クトゥルーの本を読み終えた時に、お勧めとして出てきたのが本書だった。シャーロック・ホームズはあまり読んでいないし、かろうじて読んだのは短編集がいくつかと、児童向けに翻訳されたものなので、さあてどうだろうか……と、不安半分期待半分……
読み進めるのは、存外と大変だった。シャーロック・ホームズの本作をろくに読んでいないので、どうにも馴染みがない。これは有名な逸話だぞとお出しされているものの、ピンとこない。せめて『緋色の研究』だけでもちゃんと読んでいたならば、話は早いのだろうけれども、生憎と未読なので隔靴掻痒……クトゥルフネタも潤沢だけれど、こちらも勉強不足……前提の知識がないことが口惜しい……
とはいえ、普通に読んでいて充分に面白い。1880年代のロンドンの文化や背景が丁寧に描かれていて、その背景描写は見事だ。脳裏に浮かぶ景色は鮮やかでリアリティにあふれている。
また、ゲストキャラであろう中国人の造形も魅力的で、アヘン戦争についての言及とかも、なかなかに辛辣で面白い。平行して読んでいる中華街の話がオーバーラップして、読んでいる複数の本が有機性を帯びた状態で結びつくのは、読書の醍醐味だなとしみじみ感じる。
三部作の一作目ということで、物語はまだまだ後に続いている。次を読むのがたのしみだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレマザー・グースの一節になぞらえた連続殺人という題材が不気味で面白かった。
容疑者がどんどん殺され退場していくうえに途中でヴァンスが犯人像を数学者と特定するので終盤はもう犯人がかなり絞られてるというのはあるが、最後まで展開があり楽しめた。
ただ最後の自殺を選ぶ権利みたいな話からの自殺容認(というか誘導?)な部分はあまり納得できないので、好みではなかった。(ヴァンスがそういうスタンスなのは既に出ていたので分かってはいたが…。)
ヴァンスの長々とした話はよく分からず流し読みした部分もあるものの、犯罪の性質から犯人像を特定する部分に関してはこれまでのシリーズで一番納得感を持てた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ先にグリーン家を読んでいたが、話がつながっているわけではないものの、こちらを先に読んだ方がヴァンスを始めとする登場人物たちにより馴染めたのではないかという気がする。
物的証拠を信じず心理的な面から犯人を特定するという考えは独特で面白いと思った。ヴァンスには初めから犯人が分かっているが、それを逮捕につなげる(マーカムやヒースが納得できる形で説明つける)ためにどう動いていたのかが解決編で明かされる。マーカムがおちょくられすぎててかわいそうな気もするけど、読者としては親しみが持てた。
とはいえヴァンスがそうやって動いたのもマーカムのためであり、エピグラフの内容がまさにぴったりだと感じた。