日暮雅通のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本書は2002年からニューヨークタイムズのニュース編集室の弁護士を15年に渡り務めた著者の記録である。
副題にあるようにAlternative Facts=事実と異なる権力者ないし支持者にとって耳障りのいい事実≒虚偽のはびこる時代で報道の自由のための闘いの内側から現代の真実を探求した書と言える。
その多くはニュース記者たちの取材・報道をめぐり報道された側からの名誉棄損、報道差し止めといったからの防御であったり、時に行政府に対する情報開示請求といった裁判所や役所を通じた訴訟・係争であるが、時に記者が国際的なトラブル(テロリストによる誘拐や拉致)の救済まで至る。
またSNSが発達した現代においてウィキリークス、スノーデンのような新しい広範かつ膨大な量のニューメデイアとの競合がいかに多くの利害(時に生命に影響する)を調整つつ報道の自由を行使するか難しい局面に立たされる。
その流れではオバマ政権からの捜査の厳格化といった指摘も再認識させられた。
更にトランプのような自分の考えに従わない報道をフェイクニュースと呼び、その報道機関を敵視するやり方は本書で描かれる第1次トランプ政権初期から現在第2期トランプ政権でより激しく狡猾になっているアメリカの分断化に拍車をかけるものとして大いに危惧せざるをえない。
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Posted by ブクログ
魅力的なあらすじ紹介。
オーソドックスなミステリの導入。
ほどよい期待感から読み始めるやいなや次々出てくる作品独自の用語、概念。
そして作中でその説明がほぼないまま2、300ページひたすら進んでいくものだから挫折しそうになった(というか1度挫折した)。
説明されない言葉も異なる文脈で何度も何度も登場するからそのうちなんとなく意味やイメージがわかってくる。
なんだか外国語の学習みたいだなぁ、と思って楽しみ始めたあたりから怒涛のごとくストーリーが終結に向けて突き進んでいく。
最後は正直尻切れトンボで、中盤まで高まっていった期待感に対しては物足りない印象があったものの、前述のような普段あまり本を読んでいて感じない感情というか楽しみ方を出来たことが新鮮な作品だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ正直舐め腐っていた。所詮1928年の作品だろうと。そんな遠隔系トリックなんてまだ考案されていない時代だろうと。だからこそ2025年に読んでも「意外な犯人」になってしまった。俺は馬鹿だった。『ビッグ・ボウの殺人(1894年)』でつい最近感銘を受けたばかり(※巻き込みネタバレではない)だし、ホームズだってもっと前からいたんだった。古典侮るなかれという教訓を得たが、侮りながら読んだ方が10倍楽しめることが判明した。
矢吹駆ってこのファイロ・ヴァンスが元ネタか?あと解決編の前に重要な手がかり100個くらい列挙するやつ、日本の本格ミステリにも継承されれば良かったのに。 -
Posted by ブクログ
ネタバレうーん、控えめに言ってめちゃくちゃ凄いのでは?
なにより見立て殺人の動機が原点にして頂点でしょこれ。容疑の押し付けの方ではなくて、無意味な童謡と殺人を結びつけることで、有意味だったはずの地上的な人間生活とやらを根本から破壊するという壮大なユーモアの方。犯人の造形からも説得力あるし、原点からこんなにぶっ飛んだの用意してるとは思ってなかったよ、すげえなヴァン・ダイン。今や忘れ去られてオタクしか読んでない作家らしいけど、またいつか長編制覇します…いつかね…
本格としては『グリーン家』には劣るけれど、童謡見立て殺人(大好き!)の元祖という偉大さから評価は甘めに。『そして誰もいなくなった』はこれがなくても生まれてただろうけど、『悪魔の手毬唄』や『山魔の如き嗤うもの』はひょっとするとなかったかもネ… という感謝も込めて。 -
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初ヴァン・ダイン。
他の方も仰ってますが、読者にとてもフェアな本格ミステリーだと思いました。
勝手なイメージでしたが、ヴァンの作品なら叙述トリックではなかろうと思って読めたから犯人は絞りやすかったかなと。
ただ、被害者が増えていくにつれ自動的に容疑者が限られてくるので後半になればなるほど犯人は見えやすい。
ミステリーにおいて、ありとあらゆるトリックが使われてきた現代において他の手法はもうない、と言われていますが、これは今読んだとしても楽しめる作品で凄いなと思いました。
ミスリードに導く手法がさすが…。
ヴァンスの講釈だったり、注釈が入ったりと初めはとっつきにくさを感じましたが、読むに連れ慣れていきました。 -
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ネタバレクリスティの「アクロイド殺し」が1926年、本作が1927年ということで録音による偽装をネタにした作品が前後して発表されていて、タイミング的にはパクリではなく偶然らしい。現代ではテクノロジーが何かとミステリーの成立を阻んでしまいそうだが当時はその辺をどう取り入れるか考えるの楽しかったんだろうな、と微笑ましい。「アクロイド殺し」が少し先且つポレミックな超有名作のため割を食ってしまっている面があると思うが、ネタバレすると絵的に間が抜けていてしかも犯人の行動があわただしすぎ無理があるクリスティ作品(徐々に犯人が分かってくるところは相当ドキドキして傑作には違いないけど)に対し、こちらは(凡そ見当はつけていたはずながら)ベートーヴェンのレコードをかけても局が始まらずしばらくすると突然悲鳴が響き渡り、犯行が決定的になる辺にぞわっとする迫力があるし、容疑者を集めてポーカーxプロファイリングで犯人確定も斬新で面白かった。伝説の女優ルイーズ・ブルックス主演でサイレント映画があるがさすがに古すぎて最初だけ見てやめた。。。
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Posted by ブクログ
ネタバレニューヨークにひっそりと佇む古式ゆかしいグリーン屋敷。その一族が次々と射殺される事件が発生する。当初は強盗による犯行と見られていたが、マーカムに連れられて捜査に乗り出したヴァンスの推理によって、どうやら内部の犯行であるということが発覚する。グリーン家は当主のミセス・グリーンをはじめとして、家族でありながら互いに反目し合い、憎しみを抱いている。
指紋については完璧に消し去られているのにこれ見よがしに残された足跡、クリスティのポアロシリーズでもお決まりの、事件の鍵を握る人物がギリギリのところで口を封じられてしまう展開など、前二作以上に見所が多い。登場人物も癖が強く、一族だけでなく執事のスプルートや医者のフォン・ブロンなどいかにも怪しい人間がうようよしている。
「この人には死んでほしくないな」と思える人物が登場する作品は当たりが多いが、この作品についてもそれが言える。だが蓋を開ければ恐るべき殺人者、というのもそれ以上に面白い展開。レックス殺害についてはちょっと反則ではと思うけれど、エイダがどうやって殺人のヒントを得たかなど、全体としてうまくまとまった作品。
かわいいポメラニアンの活躍も、まさか仕組まれたものだったとは。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ連邦政府が機能不全に陥り、巨大企業が支配する近未来。主人公であるハッカーのヒロは、仮想空間「メタバース」を舞台に、謎のドラッグ「スノウ・クラッシュ」を追う。
本作のポイントは、仮想空間と現実世界の境目が曖昧になった世界観だ。 ヒロがメタバースを駆け巡る姿は、まるで私たち自身がその世界に足を踏み入れたかのような臨場感がある。
一方で、物語は多岐にわたる要素を盛り込み過ぎており、散漫な印象を受けた。 さらに中盤以降はさまざまな事件が同時進行し、どう収束に向かうのか、読んでいて物語に始終振り回された感もあった。
また、終盤の宗教に関するテーマは、少し重苦しい感じもあった。しかし、このテーマが物語に深みを与えていることも事実だ。これらの要素が物語全体にどのような影響を与えるのか、ページをめくる手を止めさせないエネルギーがある。
総じて本作は、仮想と現実がどのように交錯し合うのか、そしてそれが私たちの生活にどのように影響を与えるのか、考えさせられること間違いなしの一冊だった。