日暮雅通のレビュー一覧

  • グリーン家殺人事件

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    グリーン屋敷に暮らす名門グリーン一族。ある夜、長女ジュリアと養女エイダが何者かに撃たれ、ジュリアが死亡する。グリーン家長男チェスターの依頼で事件に関わるマーカムとヴァンス。しかしそのチェスターも殺害され、更に次男レックスも…。

    新訳で読みやすい気がする。旧訳はエイダがアダだった気がする。
    一族のほとんどが変り者のグリーン家に、事件を引っ掻き回すヴァンスの相手とマーカムも色々大変。しかも最終的にはヴァンスが事件を解決するわけだし…。
    このあたりの古典的なミステリは良い。

    0
    2026年01月09日
  • シャーロック・ホームズ最後の挨拶

    Posted by ブクログ

     ホームズの怜悧な推理が冴えるエピソードが殆ど無かったな、という印象。だが、決して面白くない、というわけではなかった。

     ホームズの、事件解決のためならばワトスンを巻き込んだ危険な手段も厭わぬ狂気的な一面が垣間見える「悪魔の足」や、ホームズとワトスンの友情の篤さにグッと来る「瀕死の探偵」の2編が特に印象に残る。

     シリーズの最終回となる「最後の挨拶」はプロパガンダ的な匂いがプンプン漂う作品ながら、引退後のホームズとワトスンの変わらぬ友情、事件解決の痛快さが良い。ラストシーンは最終回に相応しい美しさだった。

    0
    2025年12月30日
  • 僧正殺人事件

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ファイロ・ヴァンス二冊目。今回はマザー・グースの見立て殺人で、しかも犯人は僧正を名乗っているという。マザー・グースの見立て殺人は何個か読んだことあるけれど、なじみのないネタだからかちょっとわかりづらい。向こうでは誰でも知ってるものなんだろうなあ。始まりとラストの勢いはなかなか凄かったものの、中盤がだるさを感じてしまった。そこだけは残念だったかな。あと自分は理数系に疎いので方程式等を出されてもちんぷんかんぷんだった。総合的には面白かったけど、自分の力不足で理解しきれない要素も多かったって感じ。

    0
    2025年12月25日
  • ニューヨーク・タイムズを守った男

    Posted by ブクログ

    本書は2002年からニューヨークタイムズのニュース編集室の弁護士を15年に渡り務めた著者の記録である。
    副題にあるようにAlternative Facts=事実と異なる権力者ないし支持者にとって耳障りのいい事実≒虚偽のはびこる時代で報道の自由のための闘いの内側から現代の真実を探求した書と言える。
    その多くはニュース記者たちの取材・報道をめぐり報道された側からの名誉棄損、報道差し止めといったからの防御であったり、時に行政府に対する情報開示請求といった裁判所や役所を通じた訴訟・係争であるが、時に記者が国際的なトラブル(テロリストによる誘拐や拉致)の救済まで至る。
    またSNSが発達した現代においてウィキリークス、スノーデンのような新しい広範かつ膨大な量のニューメデイアとの競合がいかに多くの利害(時に生命に影響する)を調整つつ報道の自由を行使するか難しい局面に立たされる。
    その流れではオバマ政権からの捜査の厳格化といった指摘も再認識させられた。
    更にトランプのような自分の考えに従わない報道をフェイクニュースと呼び、その報道機関を敵視するやり方は本書で描かれる第1次トランプ政権初期から現在第2期トランプ政権でより激しく狡猾になっているアメリカの分断化に拍車をかけるものとして大いに危惧せざるをえない。

     

    0
    2025年12月23日
  • 都市と都市

    Posted by ブクログ

    魅力的なあらすじ紹介。
    オーソドックスなミステリの導入。

    ほどよい期待感から読み始めるやいなや次々出てくる作品独自の用語、概念。
    そして作中でその説明がほぼないまま2、300ページひたすら進んでいくものだから挫折しそうになった(というか1度挫折した)。
    説明されない言葉も異なる文脈で何度も何度も登場するからそのうちなんとなく意味やイメージがわかってくる。
    なんだか外国語の学習みたいだなぁ、と思って楽しみ始めたあたりから怒涛のごとくストーリーが終結に向けて突き進んでいく。

    最後は正直尻切れトンボで、中盤まで高まっていった期待感に対しては物足りない印象があったものの、前述のような普段あまり本を読んでいて感じない感情というか楽しみ方を出来たことが新鮮な作品だった。

    0
    2025年10月16日
  • グリーン家殺人事件

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    正直舐め腐っていた。所詮1928年の作品だろうと。そんな遠隔系トリックなんてまだ考案されていない時代だろうと。だからこそ2025年に読んでも「意外な犯人」になってしまった。俺は馬鹿だった。『ビッグ・ボウの殺人(1894年)』でつい最近感銘を受けたばかり(※巻き込みネタバレではない)だし、ホームズだってもっと前からいたんだった。古典侮るなかれという教訓を得たが、侮りながら読んだ方が10倍楽しめることが判明した。
    矢吹駆ってこのファイロ・ヴァンスが元ネタか?あと解決編の前に重要な手がかり100個くらい列挙するやつ、日本の本格ミステリにも継承されれば良かったのに。

    0
    2025年09月28日
  • 僧正殺人事件

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    うーん、控えめに言ってめちゃくちゃ凄いのでは?
    なにより見立て殺人の動機が原点にして頂点でしょこれ。容疑の押し付けの方ではなくて、無意味な童謡と殺人を結びつけることで、有意味だったはずの地上的な人間生活とやらを根本から破壊するという壮大なユーモアの方。犯人の造形からも説得力あるし、原点からこんなにぶっ飛んだの用意してるとは思ってなかったよ、すげえなヴァン・ダイン。今や忘れ去られてオタクしか読んでない作家らしいけど、またいつか長編制覇します…いつかね…

    本格としては『グリーン家』には劣るけれど、童謡見立て殺人(大好き!)の元祖という偉大さから評価は甘めに。『そして誰もいなくなった』はこれがなくても生まれてただろうけど、『悪魔の手毬唄』や『山魔の如き嗤うもの』はひょっとするとなかったかもネ… という感謝も込めて。

    0
    2025年09月28日
  • バスカヴィル家の犬

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    正直ミステリーとしては犯人は最初から怪しい人物だし(というか他に候補がない)、肝となる魔犬のトリックはほんとにでかい犬でしたーだし、こいつホームズぽいなと思ったらほんとにそうだし、意外性はない。
    ただ禍々しい雰囲気の中で頑張るワトスンのホラーアドベンチャーとしてはとても面白かった。
    ホームズの期待に応えようと頑張るワトスンが愛らしく、途中でホームズへの手紙形式になる構成も楽しい。
    ただ長編の割には事件自体は短編集に入ってそうな話でもあり、描写を丁寧にして無理矢理長編に仕上げたようにも感じてしまった。

    0
    2025年09月16日
  • シャーロック・ホームズとサセックスの海魔

    Posted by ブクログ

    ホームズ×クトゥルー神話シリーズ最終巻。

    見どころは

    ・50歳overでも狂犬ぶり健在のワトスン(銃の腕前◎)

    ・気味の悪い存在を目視してしまい正気を失う人間が続出する中、最大の敵である教授と好奇心旺盛な探偵に挟まれて呆然とするワトスン君

    ・真実しか話せなくなる薬を容疑者に使う探偵(ずるい)

    です。

    前巻のあとがきで「当初は三部作の予定でしたが、実は他の作品も書いています(意訳)」とあったのを心の支えに、最後まで勢いよく読み進めました。
    続編、お待ちしています。

    0
    2025年09月16日
  • シャーロック・ホームズとシャドウェルの影

    Posted by ブクログ

    一番の見所はキレやすいワトソン君が敵と対峙した際に唸り声で威嚇したり、棘のある言葉で相手を脅したり、飛びかかって殴ろうとしたりするたびに、”あの”ホームズから「まあまあ、僕のことを思ってくれてるのはわかるけど、ちょっとは落ち着いてよ」(意訳)と宥められるところです。「ついカッとなって」と言い放つワトソン君は新鮮。ホームズのためなら何でもする勢いと熱量を持つ「人喰い狼」と言ってもいい。

    原典の変人ホームズと常識人ワトソンを覆す、ふたりの新しい関係性が楽しめます。

    0
    2025年08月24日
  • 四つの署名

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    4.2
    恋愛要素入ってくるの意外だった。
    ホームズがワトソンを気に入っているのはなぜなのか知りたい。

    トンガが可愛かった。良かれと思ってバーソロミュー殺したんだろうけど、怒られてびっくりしたって…かわいい。

    ミスモースタンはなんでそんなに宝に興味ないんだよ。私だったら大喜びなのに

    0
    2025年07月18日
  • 四つの署名

    Posted by ブクログ

    ドラマ版で見た腕時計の推察がこんなところに。後書に補足があるが、挿絵の画家がバラバラなので、犬のトービーくんの犬種がページごとに全然違うことに笑った。いつもの挿絵師がいいな。読んでいて退屈は感じないが、登場人物が多く、後半の回収もパンチのある設定が多すぎるようには感じた。それでも面白いが、日常に溢れる瑣末な事柄からの推理の方が好みである。

    0
    2025年07月17日
  • グリーン家殺人事件

    Posted by ブクログ

    初ヴァン・ダイン。
    他の方も仰ってますが、読者にとてもフェアな本格ミステリーだと思いました。
    勝手なイメージでしたが、ヴァンの作品なら叙述トリックではなかろうと思って読めたから犯人は絞りやすかったかなと。
    ただ、被害者が増えていくにつれ自動的に容疑者が限られてくるので後半になればなるほど犯人は見えやすい。
    ミステリーにおいて、ありとあらゆるトリックが使われてきた現代において他の手法はもうない、と言われていますが、これは今読んだとしても楽しめる作品で凄いなと思いました。
    ミスリードに導く手法がさすが…。

    ヴァンスの講釈だったり、注釈が入ったりと初めはとっつきにくさを感じましたが、読むに連れ慣れていきました。

    0
    2025年06月22日
  • カナリア殺人事件

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    クリスティの「アクロイド殺し」が1926年、本作が1927年ということで録音による偽装をネタにした作品が前後して発表されていて、タイミング的にはパクリではなく偶然らしい。現代ではテクノロジーが何かとミステリーの成立を阻んでしまいそうだが当時はその辺をどう取り入れるか考えるの楽しかったんだろうな、と微笑ましい。「アクロイド殺し」が少し先且つポレミックな超有名作のため割を食ってしまっている面があると思うが、ネタバレすると絵的に間が抜けていてしかも犯人の行動があわただしすぎ無理があるクリスティ作品(徐々に犯人が分かってくるところは相当ドキドキして傑作には違いないけど)に対し、こちらは(凡そ見当はつけていたはずながら)ベートーヴェンのレコードをかけても局が始まらずしばらくすると突然悲鳴が響き渡り、犯行が決定的になる辺にぞわっとする迫力があるし、容疑者を集めてポーカーxプロファイリングで犯人確定も斬新で面白かった。伝説の女優ルイーズ・ブルックス主演でサイレント映画があるがさすがに古すぎて最初だけ見てやめた。。。

    0
    2025年06月13日
  • スノウ・クラッシュ〔新版〕 下

    Posted by ブクログ

    本書では言語がそのツールとして重きを置かれておりましたが、世界はいかにしてハック可能か、またいかにしてハックされていくのか、ということを四六時中考えさせられるようになる作品でした。
    そして今現在覇権を握っているテック企業のリーダーたちの多くが本書や著者からの影響を公言しているのを見るに、SF小説というものも言語として世界をハックするに足る情報を内包していることの証明でもあるかと思います。
    ストーリーがカタルシスに欠ける感が否めなかったため、星5ならず。

    0
    2025年05月04日
  • グリーン家殺人事件

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    遺産相続ものとなればどうしても得をするものが犯人という事になるので絞りやすく、ましてや「そして誰もいなくなった」ばりにどんどん人が死んで行くので、後半になればなるほど分かりやすい。
    なので、どの時点で犯人を当てられたかが謎解きに挑むものにとっては重要なのではないかと思う。
    ただし、その殺人トリックについてまで完全に推理するとなるとなかなか難しいのではないだろうか。
    あのファイロ・ヴァンスでさえなかなか真相に至るに時間を要しているのだから。
    とにかく緻密な構成が素晴らしかった。

    0
    2025年03月21日
  • シャーロック・ホームズのすべて(インターナショナル新書)

    Posted by ブクログ

    三谷幸喜さんは、シャーロックホームズの大ファンで脚本を手掛けた舞台、
    「愛と哀しみのシャーロック・ホームズ」を何年か前に録画で視た。

    シャーロキアン、という呼び方を初めて知った。

    かなりのマニアチックで、フィクションの世界から飛び出し、世界中に愛好家がいるなんて、すごい!!
    「名探偵コナン」好きも、含まれてる?

    0
    2025年02月14日
  • グリーン家殺人事件

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ニューヨークにひっそりと佇む古式ゆかしいグリーン屋敷。その一族が次々と射殺される事件が発生する。当初は強盗による犯行と見られていたが、マーカムに連れられて捜査に乗り出したヴァンスの推理によって、どうやら内部の犯行であるということが発覚する。グリーン家は当主のミセス・グリーンをはじめとして、家族でありながら互いに反目し合い、憎しみを抱いている。
    指紋については完璧に消し去られているのにこれ見よがしに残された足跡、クリスティのポアロシリーズでもお決まりの、事件の鍵を握る人物がギリギリのところで口を封じられてしまう展開など、前二作以上に見所が多い。登場人物も癖が強く、一族だけでなく執事のスプルートや医者のフォン・ブロンなどいかにも怪しい人間がうようよしている。
    「この人には死んでほしくないな」と思える人物が登場する作品は当たりが多いが、この作品についてもそれが言える。だが蓋を開ければ恐るべき殺人者、というのもそれ以上に面白い展開。レックス殺害についてはちょっと反則ではと思うけれど、エイダがどうやって殺人のヒントを得たかなど、全体としてうまくまとまった作品。
    かわいいポメラニアンの活躍も、まさか仕組まれたものだったとは。

    0
    2024年12月12日
  • スノウ・クラッシュ〔新版〕 上

    Posted by ブクログ

    SFを初めて読むなら絶対オススメしない!(たぶん挫折しちゃう)それくらいゴリゴリのSF作品です。
    用語も単語も今の時代でも少し難しく感じる。

    でもこれが1992年に書かれてるのは本当に驚きでしかない。SF作品書く人は何故こうも想像力が豊かで、その中身を的確なんだろうか。感心する。

    最初はとっつきにくかった内容でしたが後半非常に自分にささる展開になってきて、後編が楽しみすぎます。

    0
    2024年11月20日
  • スノウ・クラッシュ〔新版〕 上

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    連邦政府が機能不全に陥り、巨大企業が支配する近未来。主人公であるハッカーのヒロは、仮想空間「メタバース」を舞台に、謎のドラッグ「スノウ・クラッシュ」を追う。

    本作のポイントは、仮想空間と現実世界の境目が曖昧になった世界観だ。 ヒロがメタバースを駆け巡る姿は、まるで私たち自身がその世界に足を踏み入れたかのような臨場感がある。

    一方で、物語は多岐にわたる要素を盛り込み過ぎており、散漫な印象を受けた。 さらに中盤以降はさまざまな事件が同時進行し、どう収束に向かうのか、読んでいて物語に始終振り回された感もあった。

    また、終盤の宗教に関するテーマは、少し重苦しい感じもあった。しかし、このテーマが物語に深みを与えていることも事実だ。これらの要素が物語全体にどのような影響を与えるのか、ページをめくる手を止めさせないエネルギーがある。

    総じて本作は、仮想と現実がどのように交錯し合うのか、そしてそれが私たちの生活にどのように影響を与えるのか、考えさせられること間違いなしの一冊だった。

    0
    2024年10月29日