歌野晶午のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
タイトル『それはそれはよく燃えた』の1文から始まるショートショート集。
ネットの炎上、恋心、火事など、こんなものまで「燃える」のかと思える作家25人の25作を1冊の本で読めるのはとても贅沢。
でも後味は25作25様で、ほっこり甘いものもあれば苦々しいもの、ざらっと心地悪いものなど本当にさまざま。
クイズノックのファンなので河村拓哉さん目当てでこのシリーズを読み始めたが、矢樹純さん、三津田信三さんなど、このシリーズは毎回新しい作家さんと出会えて、読書の幅が広がって嬉しい
私は総じてホラーが好きなので、今回の『それはそれはよく燃えた』はぞくっとする話が多くて、とても好み。不穏で悲しくて残酷。年末年始たっぷり楽しめた
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Posted by ブクログ
歌野晶午さんによる短編集、令和の時代に蔓延る人々の陰湿さや権利主張、対話や協調よりも相手を如何に打ちのめすかの叩きや拒絶などアフアーコロナで浮き彫りになった人々の温かさの欠如、手を取り合わなくなった個の世界が広がっている。どの短編も現状の問題に対する作者なりのアンサーが描かれており、短編を8つではなく幾つもの長編を読んだような心への訴えが感じられた。
「彼の名は」では親の主義主張に翻弄された子どもの生きづらさや苦心が描かれて、それは最後の一行でより明らかになった。
「有情無情」では事実の切り取りにより権利や迫害を主張し相手を捩じ伏せようとする最近のネット社会にある人の惨さが、地域社会という閉じた場でどのように人を苦しめるかを痛々しく描いている。
「わたしが告発する!」では引きこもりの姉をもつ家族の苦しみ、それによる生きづらさや引きこもりの姉に隠された真実が生々しく描かれている。
「君は認知障害で」ではゲーム中毒で大学に行けなくなった青年のリアルの世界での、リアルだからこその仮想にはない肉感の伴った羨望や欲望、衝動性などが描かれていた。
「死にゆく母にできること」では、母に支配され母の言いなりに育った娘が家庭に対してどのような再生産をしているか、死が近づく母とどのように最期を分かち合うか、心の叫びが行動に現れていた。
「無実が二人を分かつまで」では炊き出しに並ぶ人に興味を持った男が自分もまた興味から仕事を辞め、炊き出しに並んだり、日雇いの仕事をし始めたりする。そこで出会った人の真実は今の世相を反映しているような解決編ならそこにはあった。
「彼女の煙が晴れるとき」は再婚により血の繋がりのない家族ができた主人公が、コロナ後の後遺症に苦しむ家族との日々の関わり、そこのストレスから依存してしまう煙草どの関わりが描かれている。これもまた読み終えたときに現代社会への見方が大きく変わり、題名の意味合いがより心に響く。
ラストに一つ短い作品があり、それはヤングジャンプ系に掲載されたとのことだった。
作品全体を通して令和を生きていく我々世代の葛藤や悩み、課題などを丁寧に表現されていておすすめできる。一日に一短編を読むとかでも良いと思う。
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Posted by ブクログ
ネタバレ2025.08.21 (木)
ポイントカードみたいな本だった
時には、自分にハマらない話もあったけど、コツコツ読み進めてその度にシールを集めて貯めて、最後にカード1枚全部埋まったような
最初から順を追って最後まで読んだ人にしか味わえないご馳走……
これが走馬灯……??女 !の最後から、落とした木の実をポツポツ拾っていくような感覚で読んでたたのしい〜〜〜〜歌野晶午だいすき〜〜〜
記憶消してもっかい読みたいな〜〜〜解説にも載ってた雑誌掲載時の順番で初見で読みたい〜〜
この本は大和であり、五十嵐であり、弓木であり、板橋継世であり、永嶌であり、DJマイケルであり、大輔であり、馬渡であり、ロレッタであり、十條であり、世之介であった……彼ら全て1人の人生恋物語だった…もうおもしろすぎ……!!!
このおっさん、今がいちばんの恋愛適齢期とばかりに還暦過ぎても全然懲りてない……!はああああたーのしかった…!
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Posted by ブクログ
ネタバレ面白かった。
ハッピーエンドじゃないお話の短編集。
ハッピーエンドじゃないとわかってて読むから、それ
以上それ以外のものを期待してしまうけど、裏切られ
ない。
『おねえちゃん』
年齢を考えると、勘違いも許せてしまうんだけど、あれ
はないわ。怖い。
『サクラチル』
最後まで読んだ後すぐに最初から読み返してしまった。
『天国の兄に一筆啓上』
手紙。亡くなった兄への心温まる手紙と思いきや…
『消された15番』
この母親の悔しい気持ちはよくわかる。何でもないよう
に見える日常の一コマが誰かの大切な一瞬を奪っている
こともあるんでしょうね。皮肉な結末です。
『死面』
まあ、そうなるよね。
『防疫』
幼少期には酷く同情したけど、その結果がこの子の人格
なのかもしれない。理由が「防疫」ってのがね…怖い。
『玉川上死』
親のジレンマ。
『殺人休暇』
最後の一行に「そう来たか」と思ったけど、この話、少
し切なく感じた。もっと早くからしっかり話していたら、
ストーカー的行動もなく、もしかしたら良い友人になれ
たかもしれないと思った。生きていて欲しい。
『永遠の契り』
めちゃくちゃ短いけど、インパクトは大きい。
ミツルの願いが叶って(?)、苦く笑ってしまった。
『In the lap of the mother』
お前もだよ、とひとこと言いたくなるお話。
『尊厳、死』
最後に、そうだったのね…と思ったお話。
フジエダと中学生に違いはあれど、どちらも「価値観の
違う人間」に対する態度というのは興味深かった。