歌野晶午のレビュー一覧
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『昭和八年、作品を書きあぐねていた江戸川乱歩は三段壁の突端から身を投げようと、紀州の白浜を訪れていた。恐怖を感じつつも、死が間近に迫る中で、とある美青年に自殺を止められる。「死にたくないのに死んでしまう人間もいるんですよ」と言い残して去っていく。その命の恩人が首をくくって死んだ、と乱歩は女中から聞かされる。自殺を止めた彼は、何故、自殺をしたのか。本当に自殺なのだろうか。乱歩と親交ある萩原朔太郎と事件を追うが』
平成に入って、突然こんな内容の『没後の未発表作』と銘打たれた作者名の欠落した「白骨鬼」と題された作品が雑誌に載った。これは乱歩の未発表の原稿か、それとも誰か別の人物が書いたものなのか -
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ネタバレ「家」にまつわる、ミステリーの短編集。
後味スッキリな話は皆無で、でもイヤミスというほどではない。ギリギリ、読み終わった時にため息一つで済む感じ。
表題作である「家守」は、一つの殺人事件が解決したと思ったら、殺された主婦に実は秘密があり‥当事者が死んでしまって、あららこの後大変だね〜という感じで終わる。程良いどんでん返し。
かくれんぼで見つけてもらえず、大きな洋館の中で白骨化してしまった小学生。山の中の村で住民のために働く医者が偽医者だと知り、強請ろうとして返り討ちに遭ってしまう青年。破格のアルバイト料に釣られて、不幸な事故で命を落とす若者。そして不謹慎なんだけど、妻に手の込んだイタズラを -
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昭和、平成とは違った令和の考え方。
令和だからこそ起こる話を描いた短編小説。
おもしろかった。
しっかり読んでおかないとオチがわからなくなる。
オチが強いものもあれば弱いものもあったけど、面白い話ばかりだった。
「有情無情」が好きだった。
昔は近所の子を助けるのが当たり前だったのに、同じようにすると令和の時代では・・・
「彼の名は」のオチは流石にわからんかったな。
伏線は散りばめられてるけど、さらっと流してしまうようにつくられてる。
「無実が2人を」までもオチ読めず、最後あっとやられてしまった。
さすがやね。
歌野さんの文体がすごい好き。
スーッと頭の中に入ってくる。
どの話もいい味 -
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「白骨鬼」というタイトルで雑誌に素人で作者を隠して連載されていた。
江戸川乱歩の未発表作品を思わせるような作風で、「夢幻」という作品で
で一世を風靡したミステリー作家の細見辰時は、
白骨鬼を読み、作者名がないことが気になり、
出版社の社長に確認をする。その後、作者と会うことになるのだが・・・。
作中作で、現実と白骨鬼の作品とが交互に展開していき、
白骨鬼ではミステリーとして先が気になる展開をしていくなかで、
現実では、この作品をめぐって作者と細見との間で波乱が巻き起こる。
作品を読んでいて、単純に江戸川乱歩・風作品として発表しても
人気が出るのではと思える「白骨鬼」に対して、現実でのやり取