歌野晶午のレビュー一覧

  • 春から夏、やがて冬

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    久しぶりの歌野作品。

    最初から最後まで暗い世界の中で物語は展開していて鬱々としているのになぜか頁を繰る手がとまらない。

    果たしてますみは平田の心を救えたのか?という疑問は残したままだけど、個人的見解てはさらなる苦痛を与えてしまったのではないかと思う。きっと精一杯考えた末の行動だったのだろうけど。誰も幸せになれなかった途轍もなく悲しい人生を送って人たちのはなし。

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    2024年03月24日
  • ハッピーエンドにさよならを

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    文章一つ一つに意味があり、丁寧に読みたい本。短編集ながら、人間の本質的な部分に迫った内容になっており、考えながら読むので中身がありすぎる。時代が少し古いので「保母」と言う言葉やジェンダーに関する感覚が今では違和感を感じるが、虐待など今も繰り返される問題と向き合い、知らない間に読者の心理が弄ばれ引きずり込まれる。読書というより、自分が当事者として実際に経験したような読後感。各短編の不気味な終わりかたがゾクリとして、それがまた良い。好き。

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    2024年02月19日
  • 春から夏、やがて冬

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    ハッピーエンドでありバッドエンドでもある、罪深き者は一人とは限らないんだ。どちらともどうか安らかに。

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    2024年01月25日
  • 絶望ノート

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    自分はまだ20半ばで、子供はいませんが、もし自分の子供がいじめられていると知ったらどうするのでしょう。

    他の人も書いてあるように、ここの登場人物が全員好きになれない。偏った視点からだから、もちろん私情も入っているでしょうが、にしても嫌な奴らばかりやな。

    結末は予想の数段上だったので、良かったです。

    いじめとかの小説になると、いじめを知らないふりをして過ごしていたのかなと思ったり思わなかったり。
    受け取り方次第だから分からないことも多いし、僕自身も嫌だと思うこともあったなと。
    ちゃんと伝える術が子どもにはない(知らない)ことを自覚して大人になろうと思いました。

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    2023年12月30日
  • 密室殺人ゲーム2.0

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    現実味のない、虚構ならではの世界。
    本格ミステリー読者をデフォルメした姿で描かれた登場人物。被害者は誰でもよくて、密室殺人をしたいだけの彼ら。もちろん犯人は出題者本人。人殺しと事件解決を担う二面性を持った彼らを批判的に思う反面、展開が楽しみで仕方なかった。永遠に覚めない夢を見ている気分、なんとも言えない気持ち悪さが心地いい。600ページという分厚さが読み応え抜群の一冊。

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    2023年12月29日
  • そして名探偵は生まれた

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    おもしろかった!読者に嘘を吐かない描写で、謎解きに参加できるのが大変おもしろかった。文体も読みやすい。作者の他の本もとても読みたくなった。

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    2023年12月22日
  • 春から夏、やがて冬

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    ネタバレ

     一人娘の春夏を轢き逃げで殺され、妻の英理子もそれがもとで自殺、本人も肺癌にかかり生きる希望が消えかかっている平田誠55歳、スーパーの保安責任者。スーパーで万引きし、(平田誠の娘と同年生まれということで)何も訊かれずに無罪放免された末永ますみ24歳。この2人が織りなす物語。平田の闇を聞かされ、平田に生き続けて欲しいと願ったますみが考えたことは。そして、平田のとった行動は。何とも切ないラストですが、後味如何に関わらず、記憶に残る小説です。歌野晶午「春から夏、やがて冬」、2011.10刊行、2014.6文庫。

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    2023年11月08日
  • そして名探偵は生まれた

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    雪の山荘や絶海の孤島など、ミステリ好きならたまらない舞台の中編が4本。作品自体に繋がりはないので、どれから読んでも楽しめる上に読み応えもバッチリ。4本の中では孤島が舞台の「生存者、一名」が結末が意外で面白かったです。

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    2023年11月07日
  • 間宵の母

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    終わらない悪夢
    ミステリーとして何重にも仕掛けられた伏線が回収されていくのに
    マトリョシカ構造の最後の箱の中身がホラーだった、みたいな感じ

    救いのない話なので人には勧めづらいけど(勧めたら嫌われそうで)
    ハロウィンにかこつければおすすめできるかも、な小説

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    2023年10月30日
  • 新装版 動く家の殺人

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    ネタバレ

    信濃譲二シリーズの三作目にして長編最終作。違和感が多い信濃譲二は結局偽物だったが、これは見抜いた読者は多かったのではないか。ただしニセモノでも真相を見抜く推理力があるので相当切れ者。
    ラストのセリフ、手摺の向こうに、彼 はセンス抜群。
    動く家が結局動かないのはタイトル詐欺ではある。

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    2023年09月23日
  • 密室殺人ゲーム2.0

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    シリーズ2作目

    今作から読み始めても前作と直接のつながりは無いので大丈夫だが土台部分を理解する上でも、また中盤あたりでの違和感の払拭することも含めて前作から読むことオススメ

    中々の残虐性は前作同様

    また前作とは違った方向で驚かされた
    まさかコロンボ君が...

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    2023年08月20日
  • 世界の終わり、あるいは始まり

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     自分が富樫修の立場だったなら、可愛い我が子が得体の知れないサイコパスだったなら。自らを冷血と自覚する富樫でなくとも、自分の息子が連続児童誘拐殺人事件の犯人かもしれないと思うと現実逃避に走りたくなるだろう。この結末では数々の最悪の想像を経て、遂に真実と向き合う覚悟ができたと信じたい。親としてどう更生へ導けばいいのか、どう償えばいいのか、重苦しく答えの出ないテーマに「どうか自分の身には起こりませんように」と考える私も富樫のように冷血だろうか。

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    2023年08月08日
  • 家守

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    5作の家にまつわる短編集。
    『人形師の家で』が1番好き。
    どのお話もはっきりとした最後があるのは読み終えて清々しい。そんな内容ではないがw

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    2023年07月27日
  • 葉桜の季節に君を想うということ

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    ネタバレ

    読み終わってそういうことかー!と思いました‼︎
    話の中で、脈絡の無い話が出て来るなーと思っていたら、最終的に1つの話に収束するとは…。
    高校生とか登場人物の口調とかから自分で先入観で作り上げてしまったイメージに騙されました‼︎
    将虎さんが葉桜を引き合いに出して、節子さんを口説く様にはぐっと来ました‼︎若い時から変わっていない、将虎さんの情熱に痺れました!

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    2025年12月21日
  • そして名探偵は生まれた

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    ネタバレ

    中編作四遍からなる本。
    この中では『館という名の楽園で』が一番好きだった。いかにもな館で起きる殺人事件、はミステリ好きには王道で憧れなので、それを大人になったらごっこでも実現させたい!と思う気持ちはすごくわかる。
    被害者役がほんとに死ぬやつだろ…?!て思ってたらそんなことなくてよかった笑
    最期はしんみりしたけど、それでも彼らは最後にミステリ好きの仲間たちと夢が叶えられて嬉しかっただろうなあ。

    『生存者、一名』はサバイバルものですごく好きな題材なんだけど……
    女性の妊娠と、そこで生まれた子供が〜、みたいな仕掛けはまじで妊娠出産を軽く身過ぎてるから嫌い。ちょっと気持ち悪くなって、そしたらあとはお

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    2023年07月11日
  • Dの殺人事件、まことに恐ろしきは

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    短編集で読みやすい。

    歌野さんの作品はあまり読んだことがなかったけど、私好みのどんでん返し系が多くて、今まで読んでこなかったことを後悔。

    江戸川乱歩の作品とリンクしていて、原作を知っている人ならさらにおもしろいんだろうなぁと思う。

    個人的に好きだったのは「Dの殺人事件、まことに恐ろしきは」と「赤い部屋はいかにリフォームされたか?」

    歌野さんの作品をコンプリートしたいと思った。「人でなしの恋からはじまる物語」だけ自分で読んだだけではオチがわからなかったから星4。

    作品は星5じゃ足りないくらい。

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    2023年07月10日
  • 死体を買う男

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    何回も騙された!
    どんでん返し好きにはたまらない作品。

    個人的に古典的な表現が多い作品が苦手で、少し読みにくいと感じたので、星4つ。苦手だなぁと思いつつ読み始めたけど、諦めずに最後まで読んでよかった。途中からは引き込まれるように読んでた。

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    2023年07月10日
  • 密室殺人ゲーム2.0

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    ネタバレ

    前作に劣らず面白かった。
    最初は「エピソード0かなー」と思ったけどそういうことか。
    密室殺人ゲームの存在が世間に公表され、それに感化されて自らもゲームを始めた人たち。あまりにも性格が本家に似てるから気づかなかった。
    最後の044APDのトリックはよかった。

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    2023年07月05日
  • 世界の終わり、あるいは始まり

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    今までにないミステリーではあるが、それが良かったと感じるところもあればモヤモヤ感が残って嫌な感じになるところもあってなんとも言えない感じ!

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    2023年06月25日
  • 7人の名探偵

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    ネタバレ

    新本格ミステリの作家さん7人による「名探偵」がテーマのアンソロジー。面白かったです。
    メルカトル鮎(シリーズ未読でした)、火村英生、法月綸太郎と名探偵シリーズもあれば、綾辻さんは深泥丘なんだ…という楽しみもありました。探偵AIは2作品。
    「プロジェクト・シャーロック」のみ既読でした。シャーロック・ホームズのAIがあるなら教授もね…という。マイアミの鑑識課員やラスベガスの科学捜査研究所もプロジェクトに参加してくるのも面白かった…以前、募金の名義に名探偵ものの作品の登場人物名を使ってたリストを目にしたことがあって錚々たるメンバーだったのを思い出したりしました。
    「天才少年の見た夢は」の戦中シェルタ

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    2023年06月11日