歌野晶午のレビュー一覧

  • 家守

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    ネタバレ

    10年以上前に同著者の『葉桜の季節に君を想うということ』を読んだとき、これが叙述トリックというものかと感嘆し、あまりに見事に騙された自分が可笑しかった。その印象が強いけれど、これは叙述トリックではありません。

    短編5つ。どれも自分あるいは誰かの居場所を歪な形で守る人たちの話。表題作よりもむしろ惹かれたのは『鄙』。良くも悪くも結束した僻地の村の様子は、実際にあるかもしれないと思わされます。「警察は社会秩序の維持に努める組織であって、真実を追究する組織ではない。ある人物を逮捕することで事態が収束し、失われた秩序が回復するようなら、その人物が真に犯人である必要はない」という一文は、残念なことだけれ

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    2020年10月25日
  • ハッピーエンドにさよならを

    ネタバレ 購入済み

    なぜ読んじゃったんだっけ

    大体は、ここのレビュー)SNSで評判が良い作品を読んでいるんですが、この作品は何で読んじゃったんだろう。タイトル通り、「アンハッピーな結末を集めた短編集」ってだけじゃない。中には読み進めるのもはばかられるイヤミスあり?全く、なぜ読んじゃったんだっけ、一気に読んじゃった。

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    2020年10月18日
  • 明日なき暴走

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    単行本「ディレクターズ・カット」を文庫化した作品。
    「報道する」って何だろう?と思ってしまいました。
    視聴率のためや他局よりもスクープを取るためにあらゆることも辞さないやり方に終始、イラッとした気持ちで読んでいました。
    最初の部分での若者の行動が、まぁムカつくばかりで絶対誰か殺されるのでは?と思ってましたが・・・。登場人物には共感できない部分も多く、最後まで苦虫を噛み潰したような気持ちでした。そう考えると、歌野さんの文章に惹きつけられました。

    その反面、都合の良いように編集したり、SNSのトレンドになったりなど現代でも通じる課題が、小説で良いアクセントになっていて、面白かったです。ネットの怖

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    2020年10月12日
  • 葉桜の季節に君を想うということ

    購入済み

    初読は絶対にネタバレなしで

    1度読み終えた後で、すぐにもう1度読み返したくなった。そして、そうした。1冊で2度美味しいとはこの本のことだ。どこで自分がミスリードされたかを見つけるのも楽しいし、何しろ物語の風景そのものが別のものになる。マジックを好むように、人間は正々堂々と騙されることに快感を感じるのかもしれない。この本も、一流のマジシャンのように上手く私を騙してくれた。もちろん内容も面白く、一気に読めた。思えば、内容と似つかわしくない題名の雰囲気も伏線だったのだろう。

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    2020年08月17日
  • 魔王城殺人事件

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    ネタバレ

    講談社ミステリーランド・シリーズの一作。と言っても子供向けと侮るなかれ。

    日常の謎的な細かい謎や密室からの人間消失、そしてアリバイトリックありと本格ミステリのテイストが満載で、最終的に伏線が回収されるので結構楽しめた。

    主人公である小学5年生たちが、RPGに出てくる魔王の居城「デオドロス城」に見立てた東京郊外に建つ洋館を探検した際に、そこで死体を発見してしまうことで事件に巻き込まれる。いや、自分たちで謎を解明しようと首を突っ込むのだが、やがて捜査に行き詰まり、最終的に知り合いの刑事に助けを求めたのはご愛敬か。

    巻末の「わたしが子どもだったころ」と題したあとがきにつづられた著者によるちょっ

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    2020年07月24日
  • 魔王城殺人事件

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    歌野晶午さんの描く本格ミステリ。だが主人公たちは小学生。まぁそんな軽く感じてしまう設定なのだが、ミステリ、トリックはさすが歌野さん。どこかで聞いたことのあるような古典的で大胆なトリック。まぁあるあるとして、明かされてしまえば「えぇ、そんなのあり?」みたいに思ってしまう部分もあるがそんなことは言いっこなし。


    51分署捜査一課(5年1組)の面々、あ、そうだ、少し名探偵コナンを思い出した。見た目は子供、頭脳は大人なコナン君はいないけど。みんな小学生らしい発想で、それがまた巧く物語に機能している。


    うん、軽めだけど。

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    2020年07月15日
  • ブードゥー・チャイルド

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    歌野晶午、前期の傑作。
    雰囲気作りが丁寧なので、トリックの意外性がそこまででもないのに不思議と大きく見える。
    本格ミステリにおける舞台設定は、やはり「それでしかない」と思わせるのが第一条件だと思う。
    このトリック(真相)にはこの舞台が最適だと思わせてくれた。
    探偵役も独特のキャラクターで楽しい。
    発刊当時に読んでいたら衝撃は倍以上だったろう。

    ①魅力的な謎……6/6
    ②精緻なサスペンス……4/6
    ③鮮明な結末……5/6
    ④印象的な文章表現……5/6
    ⑤先鋭的なテーマ性……5/6(当時においては、という注付きで)
    計25/30
    星4

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    2020年06月15日
  • ジェシカが駆け抜けた七年間について

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    なかなか珍しいスポーツミステリーです。
    あとがきにも記されていますが、作品全体に大きな
    仕掛けが施されています。

    読者はまさにその仕掛けにミスリードされます。
    その仕掛けは最後に当然明かされてますが、
    「それはないよなあ」と思うか「やられた」と
    思うかで読後感が違ってきます。

    個人的には前者でしたが、よくこんなことを考え
    つくものだ、と感心しました。

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    2020年06月14日
  • Dの殺人事件、まことに恐ろしきは

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    短編だからなにより読みやすかった。乱歩の作品を読んだことはないのだが、それでも十分に面白かった。乱歩作品を読んでから再度読むとより楽しめそうな気がする。

    最後のオチは毎話驚かされるし発想が斜め上で面白い。作者の別作も買ってみたので読むのが今から楽しみ!

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    2020年05月17日
  • ずっとあなたが好きでした

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    タイトルと表紙の絵を見て購入した本でした。

    実際に読み進めると一筋縄の恋愛小説ではなく、さすが歌野晶午。


    解説含むと700ページ近い本ですが、途中で諦めずに是非最後まで読んでほしい作品です。

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    2020年05月03日
  • 魔王城殺人事件

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    小学生が主人公で、文章も子供向け。

    でも、子供の頃に読んだら、結構ドキドキしそう。

    点数は、子供目線です。

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    2020年05月01日
  • 春から夏、やがて冬

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    ネタバレ

    単純におもしろかった。

    読み進めていく中で、彼女が犯人なんてことあり得る⁉︎って半信半疑。
    可能性はある。
    でも、そんな偶然あるのだろうか。

    最後のオチは、ある意味で納得のいくものだった。
    というか、女の覚悟に戦慄する。

    娘を事故で亡くした男と、娘と同い年の女との出会いは万引き犯と保安員から始まる。
    男は妻も自殺で亡くしていて、実は自分も肺癌で死を覚悟している。

    女はDVの彼氏やら、不幸な生い立ちやらで生きることに精一杯。

    2人の出会いから、心を通い合わせる流れは、磁石が引き合うようなものだったかもしれない。
    もちろん性的なものは一切ない。

    ネタバレだけど、女は最後、男に絞め殺され

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    2020年04月03日
  • ずっとあなたが好きでした

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    一編一編もだが、一冊通した仕掛けも面白かった。初めて読んだ作家さんだったが、色々と巧い。
    ただやっぱり、ちょっとムカつく。
    ムカつくけど面白い、不思議で複雑な小説だった。

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    2020年03月30日
  • 春から夏、やがて冬

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    最後の最後まで飽きさせない物語展開です。少し難点は、登場人物のキャラクターが、ちょっと弱い気がする。

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    2020年03月29日
  • ずっとあなたが好きでした

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    おそらく、「葉桜〜」を読んでから、
    この本を読んだ人が多いでしょう。

    これ、「葉桜〜」じゃなくて
    先にこっち読んだら
    違った驚きと感想だったと思います!

    けど、それでも面白かったかな。
    頭の中で、あの時のあれがこれだった...
    などと振り返って楽しんでます!笑

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    2020年01月19日
  • Dの殺人事件、まことに恐ろしきは

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    ネタバレ

    星4.5ぐらい

    オリジナル(乱歩)を知らなくても楽しめる。

    全体的に、スマホなどの最近のテクノロジーを使っており、いま読むと納得するが、10年後にはもっと新しいデバイスが出て来て、古く感じてしまうかも。

    小説の中にポケベルや携帯電話(ガラケー)が出ているのを現在読むと「昔は最新だったね」という感じ。

    後世に残るものではなく、今が旬の小説。

    だからこそ、いま読んで欲しい!!

    個人的には、表題作と「人間椅子」がよかった。

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    2019年11月15日
  • 新装版 動く家の殺人

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    信濃譲二シリーズ第三弾。短編集があと一冊あるけど信濃譲二を主人公とした長編がこれで終わりなのは寂しいなぁ…。しかし信濃譲二にはいつか帰ってきてほしいという気持ちとここで綺麗に退場してもらいたいという気持ちが半々。それにしてもこの話は最初から違和感を覚えてはいたんだけどすっかり騙された。そうきたかぁ!という純粋な驚き。

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    2019年10月14日
  • 新装版 正月十一日、鏡殺し

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    短編集。最初の方にある作品は読後感が良い意味でそれほど悪い話ではないのだけれど後半になるほどイヤミス度が上がっていく。それがまた面白いのだけど表題作である「正月十一日、鏡殺し」はなんとなく結末の予想は最初からつくものの読後感は「やっぱりここまで来たかー!」と思った。個人的に「プラットホームのカオス」のが結末の予想がつかないという意味で面白かった。

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    2019年10月05日
  • 新装版 白い家の殺人

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    古式ゆかしい本格ミステリ。第一作の「長い家の殺人」と同じく大胆さが強かった。こういう密室は好き。しかしトリックや動機などの面は書かれた当時に読めていればもっと面白く感じられただろうなとは思う。最後の信濃譲二の心遣いがいいねぇ、かっこいい。

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    2019年10月05日
  • 新装版 長い家の殺人

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    確かに大胆なトリックだった。途中でトリックは気付きはしたけれどプロローグのMの事には気付かず。音楽についての知識はさっぱりな私なので、途中で色々と挟まれる曲の事だとかの色々はわからなかったけれどイヴニング・スターを聴いてみたくなった。

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    2019年10月05日