歌野晶午のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ10年以上前に同著者の『葉桜の季節に君を想うということ』を読んだとき、これが叙述トリックというものかと感嘆し、あまりに見事に騙された自分が可笑しかった。その印象が強いけれど、これは叙述トリックではありません。
短編5つ。どれも自分あるいは誰かの居場所を歪な形で守る人たちの話。表題作よりもむしろ惹かれたのは『鄙』。良くも悪くも結束した僻地の村の様子は、実際にあるかもしれないと思わされます。「警察は社会秩序の維持に努める組織であって、真実を追究する組織ではない。ある人物を逮捕することで事態が収束し、失われた秩序が回復するようなら、その人物が真に犯人である必要はない」という一文は、残念なことだけれ -
ネタバレ 購入済み
なぜ読んじゃったんだっけ
大体は、ここのレビュー)SNSで評判が良い作品を読んでいるんですが、この作品は何で読んじゃったんだろう。タイトル通り、「アンハッピーな結末を集めた短編集」ってだけじゃない。中には読み進めるのもはばかられるイヤミスあり?全く、なぜ読んじゃったんだっけ、一気に読んじゃった。
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Posted by ブクログ
単行本「ディレクターズ・カット」を文庫化した作品。
「報道する」って何だろう?と思ってしまいました。
視聴率のためや他局よりもスクープを取るためにあらゆることも辞さないやり方に終始、イラッとした気持ちで読んでいました。
最初の部分での若者の行動が、まぁムカつくばかりで絶対誰か殺されるのでは?と思ってましたが・・・。登場人物には共感できない部分も多く、最後まで苦虫を噛み潰したような気持ちでした。そう考えると、歌野さんの文章に惹きつけられました。
その反面、都合の良いように編集したり、SNSのトレンドになったりなど現代でも通じる課題が、小説で良いアクセントになっていて、面白かったです。ネットの怖 -
購入済み
初読は絶対にネタバレなしで
1度読み終えた後で、すぐにもう1度読み返したくなった。そして、そうした。1冊で2度美味しいとはこの本のことだ。どこで自分がミスリードされたかを見つけるのも楽しいし、何しろ物語の風景そのものが別のものになる。マジックを好むように、人間は正々堂々と騙されることに快感を感じるのかもしれない。この本も、一流のマジシャンのように上手く私を騙してくれた。もちろん内容も面白く、一気に読めた。思えば、内容と似つかわしくない題名の雰囲気も伏線だったのだろう。
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Posted by ブクログ
ネタバレ講談社ミステリーランド・シリーズの一作。と言っても子供向けと侮るなかれ。
日常の謎的な細かい謎や密室からの人間消失、そしてアリバイトリックありと本格ミステリのテイストが満載で、最終的に伏線が回収されるので結構楽しめた。
主人公である小学5年生たちが、RPGに出てくる魔王の居城「デオドロス城」に見立てた東京郊外に建つ洋館を探検した際に、そこで死体を発見してしまうことで事件に巻き込まれる。いや、自分たちで謎を解明しようと首を突っ込むのだが、やがて捜査に行き詰まり、最終的に知り合いの刑事に助けを求めたのはご愛敬か。
巻末の「わたしが子どもだったころ」と題したあとがきにつづられた著者によるちょっ -
Posted by ブクログ
ネタバレ単純におもしろかった。
読み進めていく中で、彼女が犯人なんてことあり得る⁉︎って半信半疑。
可能性はある。
でも、そんな偶然あるのだろうか。
最後のオチは、ある意味で納得のいくものだった。
というか、女の覚悟に戦慄する。
娘を事故で亡くした男と、娘と同い年の女との出会いは万引き犯と保安員から始まる。
男は妻も自殺で亡くしていて、実は自分も肺癌で死を覚悟している。
女はDVの彼氏やら、不幸な生い立ちやらで生きることに精一杯。
2人の出会いから、心を通い合わせる流れは、磁石が引き合うようなものだったかもしれない。
もちろん性的なものは一切ない。
ネタバレだけど、女は最後、男に絞め殺され