歌野晶午のレビュー一覧
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ネタバレ星4.4
密室殺人ゲーム第2作。
やはり読みやすい。楽しかった。
前作の読者ならば「?」から始まる。
あの5人が帰ってきた!…のか?と。
前作の前日譚?いや、コロンボちゃんはやはり死んでいる?4人は生きていた?
などと考えていたら、しっかり納得のいく形で中盤で答えを明示してくれる。
あのAVチャット流出により模倣犯が蔓延るようになった、という流れは面白い。
模倣犯である新たな5人が、別の模倣犯に対して憤りを感じながら推理するQ1は最高。
おまけに前作のQ1を受けての「次は誰が殺しますか?」というタイトルも憎い。すごい。
特にQ1に関しては、新たな5人が実行犯でないものを推理していくの -
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マトリョーシカのような構成。
一人称だからこそ人間の正直さ、素直さ、冷酷さが際立ち、ひどいと思いながらも自分にも同じ部分を見つけてしまう。
とはいえ子に対する気持ちのドライさは母親と父親の違いがあるだろうな。
お父さんの想像の中の息子がリアルな息子よりだいぶ終わってて、たまにリアルな息子が出てくると意外と無邪気で「本当にこの子が…?」と疑いたくなる。証拠はそろってるけどね。
父は自分の冷酷さを自覚しているからこそきっとそれを息子に投影していて、そんな壮絶な想像の中でさえも保身を考えている自分にさらに嫌悪を抱くと言う延々負のループが続いている。
でもそれをひどい父親って責められるかというとそ -
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ブク友さんのレビューから気になり読んでみた。
絶望しかないと聞いてはいたけど…
本当に絶望しかない!!!叫
いじめにあっている中学生男子の日記が主体となって物語が進む。
いじめの内容とか、それに対する思いが日記に書いてあるんだけど、やることや考え方がやっぱりまだ中学生だなあ…それにしても劣悪。という生々しさもあったし、親や周りの大人の行動も現実的。
そんな中、日記で【死んで欲しい】と想い書き綴った相手が本当に死ぬ。次々に死ぬ。
一体誰が!?というミステリー。
先が気になって後ろから読みたくなった笑
結末はそうきたか…!!!
筆者である歌野晶午さんの【葉桜の季節に君を想うということ】よりか -
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ネタバレ葉桜を読んだので、こちらも読んでみた。
葉桜でハードルが上がりきってるものだから、あの時ほどの「やられた!」感はない。
ただ、期待をして読んでいるため他の作品とは違って、推理しながら読むのはやめた。書かれていることを割と深読みせずにそのまま受け取って読んでいたのだが、やはり今回もヌルッと読者の思考を覆す。
そしてすぐにはそれを詳らかにしないところ。先まで読みたくなってしまう技だ。意味深な言葉を書いておきながら、そのまま一旦放置されるのだ。これがページをめくる手が止まらなくする要因だ。
半分くらいは全くどのように着地させるのか分からなかった。500ページくらいでも、展開も含めて想像がつかなか -
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中学生の太刀川照音はイジメに遭っていた。その苦しみ、怒り、両親への不満を「絶望ノート」と名づけた日記帳に日々記していく。ある日、校庭で人間の頭部大の石を見つけて持ち帰り【神】と崇め殺人を依頼したところ叶ってしまう。照音は次々に名前を日記帳に書きつけ神に祈るたび悲劇が起きていく。神とは?友達とは?親子とは?望みが絶たれていく様が描かれた驚愕ミステリ。
歌野晶午2作品目。
前読【ハッピーエンドにさよならを】が傑作だったこと、ブク友・奏悟さんより「ぜひやれられてみて欲しい」とのリクエストもあって、長きに渡り積読棚に鎮座していた本書を手に取るに至った。
約600ページの厚さに躊躇を感じていたものの -
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ネタバレ倒叙だったり、暗号モノだったり、怪しげな宗教が絡んだりとどれも一風変わってはいるが、根源にあるのはれっきとした本格。
個人的に好きなのは下の三編
『有罪という名の不在』
かなり捻られた挑戦モノ。まずは犯人は「おばちゃん」というのに驚き。全く見えていなかった。
そしてそれで終わりかと思いきや、その裏にはもう一つの事件が。攻略法を読めばなるほど!となるが、難易度は鬼。
『水難の夜』
個人的ベスト。本物の篠崎が来たとき、犯人は死んだふりをしていたが、警察が来たため篠崎を殺して入れ替わった。偽篠崎を「篠崎」と呼ぶのは、まぁ視点人物がそう思い込んでいるから良し。短い中でも綺麗に驚かされるし、手がか -
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結構分厚い本。なんの前情報もなく読んだのが幸いした。もしこれから読もうと思ってる人がいるなら是非、このタイトルをネットで検索するのは読み終わってからにして欲しい。
最初の話はとても短い。最後の1行で「あらー」ってなる。軽い感じのこういう話が続いていくんだろうなと思わせる。恋愛的星新一みたいな感じなのだろうかと想像しながら読む。
でも違う。
『舞姫』は中でも比較的長い話で、その中で起こる殺人事件がメインのように見えて実は違う。最後の1行で「おぉー」ってなる。こんな話も入ってるのか、バラエティに富んだ短編集だなと思う。
でも違う。
13個の色とりどりの積み木。積み重ねて、ガッシャンガラガラ〜 -
ネタバレ 購入済み
ちょうど良い難易度
ハウダニット重視の読者への挑戦状としては非常に良い難易度で──一部は分かるけど全部は分からないという塩梅──この手の趣向のミステリーの理想を体現しています。
ただ、主人公に関する叙述トリックは最初のエピソード時点から容易に予測できてしまうため、そこだけは減点ポイントです。
しかし、全体としては本当によくできているので本心からお薦めできます。ゲーム感覚で推理を楽しみたい方には特に。 -
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ネタバレうーん、唸らされました。
やっぱり歌野晶午は『読ませる』作家ですね。
最後の展開にはもちろん賛否両論あるとおもいますが、個人的にはアリかなと。
さんざん妄想やってきて、色んなことを読者に考えさせて、その中で父親の性格も垣間見えて、って運んできた最後に、『いやー、ほんとのほんとはこうだったんですわー』って言われても、私は冷めると思います。だって、さんざんここまで妄想してきたのに、多分この最後にどんな結末を用意しても、イマイチに終わると思いますからね。
あえて本当のところはぼかす。けれども、絶望の中に希望を見出す。良い小説というのは、結末を完全体に書き切るのではなく、読者にそのあとの展開を予想させ