あらすじ
あの殺人ゲームが帰ってきた。ネット上で繰り広げられる奇妙な推理合戦。その凝りに凝った殺人トリックは全て、五人のゲーマーによって実際に行われたものだった。トリック重視の殺人、被害者なんて誰でもいい。名探偵でありながら殺人鬼でもある五人を襲う、驚愕の結末とは。第10回(2010年)本格ミステリ大賞受賞作、2010本格ミステリ★ベストテン第1位。
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Posted by ブクログ
飛車角落ち読破済み
前作同様、奇想天外なトリックに度肝を抜かれる
見事な推理を披露するがまだ先が!
一般的なミステリーは
誰が?何故?どうやって?を推理するが、この小説はどうやって?のみに集中して読者と考えられる。
ぜひおすすめします!
Posted by ブクログ
おもしれーー!!!!!えーー!!おもしろい!!!目キラキラさせて「楽しい」に没頭する子供の気持ち。
物凄くアトラクション感のある作品だった。スピード感、スリリングな展開、帰りたくないと思わせる吸引力。
共感できる人物はいないのに、何故か嫌いになれない登場人物。
1作目に始まって、今作ときて最終どうなるか想像もつかない。
Posted by ブクログ
前回と同じように推理が好きな人がネットで集まり、出題者が実際に殺人を起こし、そのトリックを当て合うというゲームを行われていた。
この作品は事件が起こる動機や物語よりも、そのトリックに重点がおかれており、淡々と事件が発生し解決していくという他の推理小説ではみられない進み方でとても面白い。
前作と同じ進み方をするためスムーズに読み進めて行けたが、徐々に前作を読んでるからこそ襲ってくる違和感が、『2.0』というタイトルの意味を浮かび上がらせる。
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面白かったです。
王手飛車取りの続きが知りたくて読みました。
結局あのオフ会でメンバーはどうなったのかが明かされないまましばらく話が続きます。
1ページ目から最後の最後まで興奮しっぱなしでした。3作目のマニアックスも読みたいです。
以下ネタバレです。
オフ会後の展開について書きます。
王手飛車取りでのオフ会後、頭狂人の死亡とAXEの逮捕が判明しています。負傷したAXEが病院に行って警察の取り調べを受けたためにサークル活動の詳細が世間に流出してしまい、模倣犯が流行ります。作品の途中で同じHNを使用した模倣犯で構成されたサークルであることが明かされ、密室殺人ゲーム2.0はその模倣犯たちのゲーム展開として話が進みます。最後のコロンボちゃん(オリジナルの頭狂人の兄のHNを使っている別人)の自殺が判明し、ネット掲示板で新しく誰かがゲーム参加の表明をしたところで終わります。
Posted by ブクログ
前作(王手飛車取り)からの引きが気になって600ページ余りをすぐに読み終わってしまった。相変わらずの悪趣味全開ながら語り部たちの軽快な掛け合いに引き込まれる。オチはなるほどそう来たか、という感想。個人的には好き。
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現実味のない、虚構ならではの世界。
本格ミステリー読者をデフォルメした姿で描かれた登場人物。被害者は誰でもよくて、密室殺人をしたいだけの彼ら。もちろん犯人は出題者本人。人殺しと事件解決を担う二面性を持った彼らを批判的に思う反面、展開が楽しみで仕方なかった。永遠に覚めない夢を見ている気分、なんとも言えない気持ち悪さが心地いい。600ページという分厚さが読み応え抜群の一冊。
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シリーズ2作目
今作から読み始めても前作と直接のつながりは無いので大丈夫だが土台部分を理解する上でも、また中盤あたりでの違和感の払拭することも含めて前作から読むことオススメ
中々の残虐性は前作同様
また前作とは違った方向で驚かされた
まさかコロンボ君が...
Posted by ブクログ
前作に劣らず面白かった。
最初は「エピソード0かなー」と思ったけどそういうことか。
密室殺人ゲームの存在が世間に公表され、それに感化されて自らもゲームを始めた人たち。あまりにも性格が本家に似てるから気づかなかった。
最後の044APDのトリックはよかった。
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密室殺人ゲーム第二章!! ゲーム感覚で殺人を犯す若者たち、残虐思考の最期に見出した答えは・・・。
動機をかなぐり捨てた推理ゲームが帰ってきた! 前作の終わりをちゃんと引き継げてます、すごい。 設定は同じなので新鮮味はやや薄れましたがそれでもなおエキセントリックな狂人たちの戯れ、歌野晶午氏の暗いミステリーやっぱ面白いな。
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前作から半年以上経ってからであったため、思い出すのに少し苦労したが、しっかり続編であった。
登場人物たちの成していく殺しのトリック、そして彼ら自身の正体に、アッとさせられた。
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長編ミステリーは途中でだれてしまう作品もあるが、今作は飽きることなく一気に読んでしまった。作者による謎解きゲームという現実から虚構の世界に没入して、それがものすごい体験であった。
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密室殺人ゲームシリーズ第2弾。
前回のあのラストからの何もなかったかのようないつもと同じハンドルネームを持つ5人のメンバーが前回と同じように殺人推理ゲームを行うというものであり、前回とどう繋がっているのかという疑問を持ちながらも読み進めていった。すると、前回に出てきた犯人たちは前回の爆発で半数が死亡しており、彼らの信奉者が模倣犯という形でこのゲームを行っていたのがとても恐ろしかった。そのきっかけが、警察官の些細な流出であると言うのも、リアルさがあってとてもやりきれないと思ってしまった。
今回も叙述トリックが使われており、頭狂人の正体や044APDの末路など驚かされる要素がとても面白かったです。そして最後のチャットのスレはまさかの「あの人」名のだろうか、このまま終わるわけ無いだろうので次のマニアックも読んでいきたいです。
Posted by ブクログ
星4.4
密室殺人ゲーム第2作。
やはり読みやすい。楽しかった。
前作の読者ならば「?」から始まる。
あの5人が帰ってきた!…のか?と。
前作の前日譚?いや、コロンボちゃんはやはり死んでいる?4人は生きていた?
などと考えていたら、しっかり納得のいく形で中盤で答えを明示してくれる。
あのAVチャット流出により模倣犯が蔓延るようになった、という流れは面白い。
模倣犯である新たな5人が、別の模倣犯に対して憤りを感じながら推理するQ1は最高。
おまけに前作のQ1を受けての「次は誰が殺しますか?」というタイトルも憎い。すごい。
特にQ1に関しては、新たな5人が実行犯でないものを推理していくのだが、ものすごく凝ったトリック、謎になっているので、初っ端からガツーンとやられたし、期待感が上がる。
前作のラスト、その後に何が起きてどうなって、今作の5人が何者なのか、一つ一つの「ゲーム」を楽しませつつ、それが徐々に明らかになってゆく構成も素晴らしい。
Q2
そもそもミステリ小説に登場するトリックなんてものは〜論がメタ的で面白く興味深い。
それにはしゃいでいる私たち読者を刺す、作者の仕掛けになっている。
教授の癒し系が、元祖教授より際立っている。
Q3
元祖ザンギャ君に負けずとも劣らずな残虐っぷりを発揮した殺人。
体をはったトリック。はりすぎだろ。
何より、第一発見者のリアクションをカメラに収めるという点でインパクト絶大。
Q4
元祖でもあった「王手」=「犯人当て」要素を含むゲームのルールを逆手にとった殺人。
変化球として、まだこの手があったかという驚きの展開、トリック。すごい。そして酷い。鬼畜。
Q5
教授同様に、axeも元祖よりキャラがより濃くなった印象。インパクト重視のザンギャ君との対比で美しい(?)ミステリ的(?)トリックを追い求めているからこそのトリックなんだろう、というのが面白かった。
すごい労力。やはり、凝ったトリックなんて現実でやるもんじゃないという結論に達するのも面白い。
Q6
これ以上ない、ぶっとんだ問題をぶつけるコロンボちゃん。元祖の屋根裏生活を超えたでしょう。
いつもおいしいところを持っていくコロンボちゃんはしっかりとハードルを飛び越えてくれる。
元祖頭狂人、新頭狂人と重なる「飽き」を感じた先どこに行き着くか、を体現したトリック。
正解が明かされた後に、4人各々が心境を述べるところに変な哀しみと虚無感があるのがよい。
Q7
そして物語は続く?のか?という点と、イカれた人間は後を絶たないという点、さらにはこの先もエスカレートしていくでは?という期待なのか恐怖なのか、を感じるラスト。
ネットリテラシーを問う作品は多くあるが、そんな深い問題提起や社会風刺が込められているかはさておき、ネットで目立つ奴が増えて、目に見えるようなった結果、現実にヤバい奴って結構いるよね、っていうリアリティがあるから刺さるラストになっていると感じた。
前作より低く点数をつけているが、超えられてないというわけではなく、単純に構えて読んだ結果だと思います。
前作を無防備に読んでひっくり返った初期インパクトがあるからこそのフィルターです。
前作をフリにしていてFoo!な展開やギミックもたくさんあったし、新たなトリックは素晴らしいし、更に驚かせてくれるのか!と驚いたし。
構成は言わずもがな。楽しませつつ、本筋通っていて徐々に判明していく謎と事実。とにかく面白い。
「2.0」というタイトルのセンス。バチッとはまりすぎです。すごい。
重箱ですが、気になったのは人殺しといてこの軽さよ、という5人の会話の軽薄さ。それは味で面白い要素なんだけど。前作より少し無駄話多いかな、という印象もありました。
そしてやはり気になるのは元祖5人のうち、行方不明者が一人いること。
これが3作目に明らかになるか、登場するのか。
登場したらしたでテンションは上がるけど違う気もするし。
んー、どうなるか気になる。
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前作のラストからの続きとして淡々と続けられるゲームの中に漂う違和感。でも読みすすめていけばしっくりくる答えがちゃんと用意されていたので安心した。
どんでん返しに慣れすぎたかも!
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例のハンドルネームの5人が、またもや殺人推理ゲームを決行。王手飛車取に続く密室殺人ゲームシリーズの第2弾。
各推理ゲームは前作よりも品質が高く、本格ミステリー好きにはたまらないっ 作者はよくもまあこんなトリックをいくつも考えますよね。前作とのつながりも上手で、次回作への期待も膨らみます。ただ、メイントリックは前作のほうが好きかな。
本シリーズはとにかく殺人なんて何とも思わないキャラクターの描き方がスゴイ。一見、人間身があふれているけど実は冷血漢で極悪。できれば前作のように、各人物像の背景や価値観などを詳しく描いてほしかったです。ただ、最後の一章は怖い…
ミステリ―としてのバランスは抜群なので、本格ミステリー好きには前作、大手飛車取りに続けておすすめしたいシリーズ。
Posted by ブクログ
前作と比較して、ストーリー・扱われるトリックetc.が(頭狂人も自分の出題回で言ってるように)「鬼畜」とでもいうか「…え、そこまでやる?」とでもいうか、な方向に進んだなあという印象で若干読む人を選ぶ空気が生まれた感がある。でも基本的な構成の軸がしっかりしているから面白く読めた
Posted by ブクログ
楽しく読めたけど、王手飛車取りの続編ゆえの驚く展開を期待しちゃってたからこれで終わりかぁと思ってしまった。
王手飛車取りで中身を知ったせいで解きづらくなってる事件やオリジナルのキャラクターを上手く真似て起こしてる事件があってそれは結構楽しめた。
最後は伴道全教授だけは生き残ってて、またどこかでこのゲームが開催されてるよって事なのかな?
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前作て亡くなってる人が出てたりでどうなってるの?とワクワクしたけど喋り方や格好を模倣してるだけの他人だったのがわかってな~んだってなっちゃった
最初のほうの阪本さん(だっけ)はなんだったんだろう 急に話が切り替わって説明が無かった気がする
Posted by ブクログ
おいふざけんな!!aXeが中年ハゲおじであることをようやく受け入れて、いやむしろそれが可愛いと思って2.0を手に取ったのに。
「実は別人でした」!?
おまけに「実は女でした」!?
おい!!人をおちょくるのも大概にしてくれよ!!
私は彼らが好きだったの!前作の彼らが!
それをさぁ それをさぁ!
いや、前回の終わり方からして別人かもしれないとは思ってた 思っていたけどさぁ
そこを「はぁ。本当に別人ですが」なんてちょっぴりひどいんじゃないのかい!?
っていうかエミュレートが上手すぎるだろ。
どんだけオリジナルメンバー信奉してんだよ。
この殺人フリークたちめ。許さん
あ〜〜〜〜〜あ!!!!!!!!
もう見れないのかよ。
キザで嫌味なaXeも、それに突っかかるザンギャ君も、それをほったらかす頭狂人も、いっつもちょっぴりツメがあまい教授も、愛想なしのコロンボちゃんも、もう見れないのかよ…………。
会いたいよ、彼らに………………。
ああ………………。
ああ。
でも まだ諦めきれない。
決めた。決めたよ私。
次の「密室殺人ゲームマニアックス」も読むよ。
まだ見ぬマニアックスに愛を求めて。
私は求道者。そう、愛の。
aXe(オリジナル)への愛、そしてその仲間たち(オリジナル)への愛で、諦めずに立ち向かっていける。
応援しててね。みんな……。
Posted by ブクログ
続編なりの楽しさは前作との絡みやキャラクターへの愛着が面白さを増す要素でミステリー的には落ちると思っていたがその逆。それぞれのミステリーは前作よりクオリティ高く楽しめるが、関連性が大したことなく残念。続編として読まず先にこれを読んだ方がまだ面白いかもしれない。
Posted by ブクログ
おもしろかったけど、1冊目の方がおもしろかった。
1冊目がおもしろすぎて期待値が上がっちゃった感じはする。
三つの閂はちょっと難しすぎた笑
図にしてもらわないとわからない…笑
1番好きなのは「次は誰が殺しますか?」
Posted by ブクログ
前作があり、今作を読み始め、最初に感じるのは、やはりなぜ彼らがここにいるのかという事。前作のラストは?結末があったはずだが?と疑問を持ちながらも読み進める。
相変わらずの殺人事件と残虐なのに軽い作風は何か機会的だが、所々登場人物達に違和感を感じてしまう。
今作もトリックなどは決して大量生産の為ではなくそれぞれの登場人物が、それぞれで実行した魅力的なものが多い。
結末を持って、まあ、納得かなぁと思える作品だが、何故か物足りない感じもしてしまう。
歌野晶午で最初に手に取ったシリーズがこんなにもイカれているとは(笑)。しかもシリーズ化されており誰よりも筆者に恐怖を覚えた。
Posted by ブクログ
前作の衝撃的な終わり方をしたのに、なぜか引き続きチャットをしているいつものメンバー。まぁ、その謎も物語進んでいくうちに明らかにされていくわけだが。
密室トリックの見事さよりも、そこまでやんのかっていう異常性のほうが際立つ。
Posted by ブクログ
前作を読んでいたなら、序盤から「?」マークが灯るはず。そして、段々、謎は深まってきて、中盤でようやく納得。
個人的には前作のほうが好みかな。前作のほうが驚きも大きかった。
Posted by ブクログ
読みやすさはよかったが、一つ一つのストーリーは前作に増して無理があるような感じで魅力的とは言い難かった。前作との絡め方も期待したほどではなかった。次回作でさらにあっと言わせてもらえるのに期待。
Posted by ブクログ
んー、私はあんまり、前作との比較のようなことはしたくないんですけど…どうしても、そういう視点をから見ちゃうとねー
もちろん、単体のお話は面白いんですよ。けれど、やっぱり1作目のことがあるわけで。全てひっくるめてのどんでん返し祭りを期待したいんですね。でも、このゲームの模倣が広がるというのは、中々…
Posted by ブクログ
前作から併せたシリーズとして見れば,そこそこ楽しめる。前作のラストとのズレ,今作のキャラクターとの関係性が明らかになる中盤までは楽しく読めたが,今作のキャラクターの正体が,前作のキャラクターを真似ている別人と分かった後はダレた。
最後の,意外な被害者というトリックを実行するために自分を殺すという意外性も,ここまで読みすすめてきた展開を踏まえると,ふーんという印象にとどまってしまう。下手にメッセージ性を持たせようとしないが失敗の原因だと思う。トリックはバカミス的だし,構成上,個々の人間のキャラクターも人間関係も描けないのだから,前作のキャラクターとのズレをオチに使った衝撃だけを狙ったエンターテイメントとして描いた方がインパクトが残ったと思う。
サプライズ ★★★☆☆
冒頭から前作「密室殺人ゲーム 王手飛車取り」のラストを無視するかのように、頭狂人,aXe,ザンギャ君,伴道全教授,044APDの5人による推理ゲームが展開される。パラレルワールドにおける作品なのか,前作より前の時系列の作品なのか…と推測させるが,その真相は物語の途中で明らかにされる。前作のメンバーは,前作のラストで,頭狂人が仕掛けた爆弾が爆発し,頭狂人とザンギャ君は死亡,aXeが逮捕され,伴道全教授は生死不明という展開となっていた。aXeが逮捕された際の捜査資料がインターネットから流出。その資料を見て,彼らのキャラクターを真似,同じようなゲームをしているのが本作のメンバーという設定。この真相を,前作同様,頭狂人が自分自身の身近な人を殺害するという形で正体を現し,その正体が男性という形で明かされる。この部分はミステリとして十分な意外性を示している。
最後の出題を044APDが行い,自分自身を殺害=自殺し,プログラムを利用いて出題やチャットを続けていたというラストは見事というより,マンネリを感じてしまった。驚愕というほどの驚きはないが,前作からのズレを上手く意外性に繋げたところは上手いが,サプライズとしては普通。
熱中度 ★★★☆☆
前作はすごい熱中して,一気にラストまで読めた。本作も,5人の正体が分かるところまでは非常に熱中して読めたが,そこから先がややダレた。ラストも普通。
キャラクター ★★☆☆☆
個々のキャラクターは,一見,強烈なのだが,実はそれほど人間が描けておらず,あまり入り込めない。もっとも,正体を隠してチャットしているので,人間が描けないのは仕方ない。動機などもなく,トリックを披露するために殺人をするので,被害者側のキャラクターも深まらない。前作のキャラクターを真似たという設定もあって,前作のキャラクターを模しているという設定のため,今作の5人の個性は非常に薄い。シリーズとしてはそこそこ個性的だが,今作の5人としては評価は低くなる。
読後感 ★★☆☆☆
良くもないし悪くもない。歌野晶吾としては,最後の044APDの遺書として紹介される「ゲーマーにとって自分の死は快感」研究を考えるという記事で,「人間は,たとえ仮装世界の中であっても,人殺しが悪いことだと認識しているということだ」,とか「ゲーム内で自分が死ぬことで,ゲームへの没入感から一時的に解放されることを意味する…自分の精神を健全に保つには,おそらく死ぬことが必要なのだ」といった文章で,ミステリを娯楽として読んでいる読者に衝撃を与えようとしているのかもしれないが(解説でもそのようなことが書いているが),あまり感じなかった。読後感が悪くなれば,歌野晶吾の狙いが当たるということだろうが,正直,感じず,ラストがイマイチだったなという印象を残しただけ。被害者はもとより,今作の5人のキャラクターの個性が薄すぎるので,044APDが死んでもほとんど衝撃がなく,読後感の悪さにもならない。
インパクト ★☆☆☆☆
薄い。シリーズとして見れば,このシリーズにインパクトはあるのだが,個々の作品として見ると,この2作目には全くインパクトがない。まさに前作の続編であり,マンネリ。いっそ,前作とのズレを活かし,5人の正体が分かったところをラストとすれば,今作としては意外性があるラストであり,インパクトは残ったと思う。今作の5人の正体をさらっと描き,044APDが自殺をすること及びその理由で読者に衝撃を与えたかったのだろうが,ここまで馬鹿げた小説でラストだけ,そのような工夫をしてもインパクトには繋がらない。仮想社会でも人を殺害することは問題だというモチーフで小説を書きたいなら,もっと個々のキャラクターに感情移入させるような小説にした方がよかったと思う。この小説としては,単なるエンターテイメントとして,前作とのズレを生かした意外な真相で閉めるべきだったと思う。
希少価値 ★☆☆☆☆
現時点では希少価値はない。ただし,今のネット環境などを踏まえた小説なので,将来的にネット環境や社会情勢が大きく変わったときにに,読み継がれるとは思いがたい。古典とはならないと思う。10年,20年単位で考えると,持っておいたほうがよさそう。