歌野晶午のレビュー一覧

  • さらわれたい女

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    さすが歌野晶午!ってくらい面白かったです。
    タイトルは怪しげすぎて好かなかったけれど、最初から読みやすくスピード感があり、二転三転コロコロと表情が変わっていく展開に鈍感な私は最後まで騙されっ放しでした。

    歌野晶午らしい?、ツンケンとした女性キャラと、ちょっとマヌケででも愛嬌があって応援したくなるようなキャラがいい味になっています。
    二転三転する深刻な事件とは相反して読者を和ませたり一息つかせてくれるので、メリハリがあって良いですね。

    途中から語り手が急に変わることに疑問を抱きつつも、それが鍵だったとは。
    コンゲームとも言える騙し合いのミステリーでした。

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    2015年06月02日
  • 新装版 動く家の殺人

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    『犯人を捕まえ、社会的な制裁を加えることに意味はない。何故なら、事件が起きた段階ですべてが終わっているからだ。

    犯人を捕まえたところで事件以前の状態に戻すことができないのがなによりの証拠じゃないか。

    重要なのは事件を未然に防ぐことで、それがかなわず事件が起きてしまったのなら、犯人捜しはただのゲームさ。だったら、事実から真実を導き出すまでの過程をゲームとして楽しもう。』

    ミステリの存在論ですね。
    このシリーズは好きだったんだけど、長編3作で終わりだなんて残念だ。

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    2015年03月07日
  • 新装版 白い家の殺人

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    『この世には悪という絶対的な存在があるとしか思えない。「悪が栄えたためしはない」というが、それは嘘だね。

    それまでは悪とされていたことでも、支持する人間が増えることによって善へと転化する。逆に善とされていたことが悪になることもある。

    悪は絶えることなく、そして犯罪も、それにともなう悲劇も永遠に続くことだろうよ。

    人間の力で動かせないことだ。』

    歌野晶午は『葉桜の季節に君を想うということ』のイメージが強いけど、こういう正攻法の作品もあるんだな。
    伝統的なスタイルで素晴らしい!しかも「嵐の山荘、密室、雪の足跡、探偵、見取り図、家系図、毒殺、ロープ、離れ、、、」探偵小説のガジェット完全装備じ

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    2015年03月03日
  • 新装版 ROMMY 越境者の夢

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    ネタバレ

    本作はミステリー形式の人間ドラマという表現が適切かもしれませんね。
    ミステリーやホラーに登場する遺体バラバラ事件はえてして猟奇的なものや恐怖を演出する為だけの場合が多いが、本作では重要な必然性がある点が他の類書と趣を異にする。
    音楽を中心にした本作の金か芸術か?芸術家と芸人の違いはなにか?など身につまされるトピックスが描かれている。
    小説という形式は時に優れた哲学書や啓蒙書以上のインパクトを与えることがあるが、本作もそういうタイプの作品だったと思う。
    勿論ミステリーとしての醍醐味もあるが、それだけじゃない作品として多くの人にお勧めしたい。

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    2012年10月29日
  • 女王様と私

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    冒頭から、巧みなミスリードによる
    「え、そう来たか」的どんでん返し満載(^ ^
    話がどんどん思わぬ方向に流れていき、
    読む手を止められないとはこのこと(^ ^;

    情けない主人公が逞しく成長して、
    探偵役を務める話...かと思って読んでると、
    かなり「禁じ手」のどんでん返しで
    足下をすくわれるのは、正に歌野節全開(^ ^;

    内容的に、もしかしたら賛否が分かれるか?
    特に結末は何とも言えないペーソスが漂いつつ、
    実はお話としてはかなり悲惨なような...(^ ^;

    秋の夜長に、寝不足必至の一冊です(^ ^

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    2012年10月15日
  • ブードゥー・チャイルド

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    大好きだーこういうの。
    子どもが主人公だけど、会話とかも不自然じゃなくてすんなり読めるし、全体的に癖がない。
    「前世の記憶」を「輪廻」の不思議な話で落とすのか「リアル」な理由付けで落とすのか。
    そして現在進行中の殺人事件とどういう風にリンクするのか。
    ドキドキ。
    読み終わった時にはため息。
    素敵過ぎ。
    しばらくこの作家さんにハマッてみます。

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    2012年08月01日
  • 新装版 正月十一日、鏡殺し

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    ずっと読みたかった本。大胆なトリックと、読み進めるほどに強まる「嫌〜」な感じ、とても楽しめました。処女短編集とは思えない。
    「逃亡者 大河内清秀」の大どんでん返し、大好きです。

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    2012年07月11日
  • 新装版 正月十一日、鏡殺し

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    ネタバレ

    感想は巻末の解説とほぼ一緒です。最初は小さな反抗心であるとか、利己心であるとか、そういった小さなことなんだけど、結末に至ればそういった小さなことが大きな過ちにつながる。

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    2012年06月11日
  • さらわれたい女

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    旦那の愛を確かめるべく狂言誘拐をたくらむ女の話。
    章が変わるごとに忙しいくらい物語が二転、三転していきます。
    便利屋のおっさんがたくましいんだか頼りないんだかのところがおもしろかった。

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    2012年03月19日
  • 新装版 ROMMY 越境者の夢

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    このテーマをこの時代に設定して、本格ミステリーとして描いたのはすごい。
    初期はいわゆるただ、名探偵が事件を解くという懐かしき本格でしたが、今の歌野晶午に繋がる。
    本格は人間を描けないなんて言説はある意味、意味のないことだと思う。

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    2012年01月19日
  • 新装版 動く家の殺人

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    ネタバレ

    家シリーズ3作目!
    作者まえがきで「信濃を殺すことにした」とあってかなり落ち込みながらの読み始め。
    日付をまたぎながら時間をかけて読み進めたので夢にまで内容が出てきて色々とうなされました(笑
    作中の「神様はアーティストがお好き」も面白かったです!何となく歌野先生の自画自賛な描写もコミカルでした。

    しかし完全に騙されましたね…もう途中から謎解きなんてどうでもよくなってしまいましたよ!
    葉桜を読んであれだけもう騙されないぞ!と思っていたのに本当に悔しいです…!
    悔しい!悔しいけれど、本当に良かった…
    信濃というより徹の心配をしていたので心底安心しました(笑
    それだけこの作品にハマっていたのだなあ

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    2011年06月08日
  • 新装版 白い家の殺人

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    ネタバレ

    信濃譲二の家シリーズ第2弾。
    最初読んでいて徹が巻き込まれた過去の事件のお話かと思いましたが違いましたね。今回は信濃がやたらと小綺麗に探偵をしていて何だか信濃じゃないみたいでした(笑

    トリックのまとめ方も好きです。
    最初から最後までムラなく楽しめる本でした。
    被害者も加害者も何となく憎みきれないあたりが魅力的なキャラクター作りに長けた歌野先生らしいですね。
    犯人はヤス!と騒ぐ徹にうるさいよ(笑)と思いつつも、信濃と徹はなかなか良い「探偵と助手」だと思います。

    解説は正直必要無いのでは…。
    ミステリーには様々な種類があり、流行のミステリーというのも存在すると思うのですが、そんなに深く考え

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    2011年06月03日
  • 増補版 放浪探偵と七つの殺人

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    ネタバレ

    信濃譲二シリーズ短編集
    「~家の殺人」に出ていた信濃譲二が学生のときの話

    「ドア⇄ドア」
    同アパートの住人を衝動的に自室で殺害してしまった男が
    証拠隠滅のため死体を被害者宅に運び、玄関のドアを交換する。

    「幽霊病棟」
    廃墟となった病院に死体を隠した男が落とした財布と取りに戻ると
    死体が別の場所に移動しており、学生達が肝試しをしていた。

    「烏勧請」
    ゴミ屋敷に住む主婦がベランダで死体となって、カラスにつつかれ発見される。
    被害者は旦那の浮気が発覚してから、急にゴミを集めはじめたらしい。

    「有罪としての不在」
    学生寮で殺人事件が発生。容疑者は寮内にいた人物と特定された。
    元カノの嫉妬が原因

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    2011年06月07日
  • さらわれたい女

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    歌野氏の作品を読むのは「世界の終り、あるいは始まり」に続いて2作目。
    買ったのは講談社文庫だが、現在は角川文庫より発売している。
    「カオス」というタイトルで映画化(主演:中谷美紀)もされている。
    冒頭の「私を誘拐してください」から面白そうだなと思わせてくれるが
    ただの狂言誘拐というのではなく、エンディングまで二転三転してニヤリとさせられる傑作。

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    2010年07月03日
  • ブードゥー・チャイルド

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    これは凄い。前世だ悪魔だなんだと出てくるし、タイトルこれだし、てっきりそういう系の話だとばかり思っていたら。見事に合理的解決。まさかあの「悪魔の紋章」までがちゃんと解明されてしまうだなんて! 本当、「悪魔の紋章」の意味に感動した。
    ま、「堀井キン」の謎解き(?)だけは分かったけどね。某人の某作に似たようなのあったっけな。だからってそれしきのこと、どうってことは全然ないけれど。

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    2009年12月29日
  • 新装版 動く家の殺人

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    またやられたよ。
    衝撃的なプロローグから、
    のめりこむように夢中で読みふけった。
    歌野さんのことだから、絶対にひっくり返されるって
    そんなことは、はなからわかっていたのに。
    それでも私の中の可能性という幅は
    歌野さんのそれとは比べ物にならないほど狭かったようです。
    騙され続けてすべてを読んでしまったことを後悔するのは
    いつも読み終わったそのあとで、
    あぁ、これでまた歌野さんの思うつぼだと思うとともに
    尊敬と降参のためいき。
    家シリーズ、読破!!

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    2009年12月12日
  • 女王様と私

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    ネタバレ

    様々なトリックを畳み掛ける演出はさすが。中盤ちょっと中だるみはあったけど、最後のオチもキレイに決まっていて満足。

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    2011年10月14日
  • 女王様と私

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    ネタバレ

    2009/9/26 ジュンク堂住吉シーア店にて購入。
    2018/2/4〜2/7

    3年ぶりの歌野作品。いやいや、またまたやられました、歌野流の大仕掛に。この作品はどういう仕掛けかと探りながら読み進めるも、解説で杉江松恋さんも書いているように、目前の展開が気になってどんどん読み進めてしまった。うまい!

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    2018年02月07日
  • 安達ヶ原の鬼密室

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    これ、おもしろいですよ!!過去の事件と直感探偵、その助手と現在の事件(もう終わってるからこれも過去なんですが)、そして思わせぶりな青春アメリカ学生恋愛白書事件。直感て・・・いやすごいですよこの人!!理にかなってる直感ってやつは素敵です

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    2009年10月04日
  • ●●にいたる病

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    我孫子さん/さすが(°▽°)
    神永さん/構成綺麗(°▽°)
    背筋さん/鳥肌たった、一番好き(°▽°)
    真梨さん/ウケた(°▽°)
    矢樹さん/不気味(°▽°)
    歌野さん/切ない(°▽°)

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    2025年12月18日