歌野晶午のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
さすが歌野晶午!ってくらい面白かったです。
タイトルは怪しげすぎて好かなかったけれど、最初から読みやすくスピード感があり、二転三転コロコロと表情が変わっていく展開に鈍感な私は最後まで騙されっ放しでした。
歌野晶午らしい?、ツンケンとした女性キャラと、ちょっとマヌケででも愛嬌があって応援したくなるようなキャラがいい味になっています。
二転三転する深刻な事件とは相反して読者を和ませたり一息つかせてくれるので、メリハリがあって良いですね。
途中から語り手が急に変わることに疑問を抱きつつも、それが鍵だったとは。
コンゲームとも言える騙し合いのミステリーでした。 -
Posted by ブクログ
『この世には悪という絶対的な存在があるとしか思えない。「悪が栄えたためしはない」というが、それは嘘だね。
それまでは悪とされていたことでも、支持する人間が増えることによって善へと転化する。逆に善とされていたことが悪になることもある。
悪は絶えることなく、そして犯罪も、それにともなう悲劇も永遠に続くことだろうよ。
人間の力で動かせないことだ。』
歌野晶午は『葉桜の季節に君を想うということ』のイメージが強いけど、こういう正攻法の作品もあるんだな。
伝統的なスタイルで素晴らしい!しかも「嵐の山荘、密室、雪の足跡、探偵、見取り図、家系図、毒殺、ロープ、離れ、、、」探偵小説のガジェット完全装備じ -
Posted by ブクログ
ネタバレ本作はミステリー形式の人間ドラマという表現が適切かもしれませんね。
ミステリーやホラーに登場する遺体バラバラ事件はえてして猟奇的なものや恐怖を演出する為だけの場合が多いが、本作では重要な必然性がある点が他の類書と趣を異にする。
音楽を中心にした本作の金か芸術か?芸術家と芸人の違いはなにか?など身につまされるトピックスが描かれている。
小説という形式は時に優れた哲学書や啓蒙書以上のインパクトを与えることがあるが、本作もそういうタイプの作品だったと思う。
勿論ミステリーとしての醍醐味もあるが、それだけじゃない作品として多くの人にお勧めしたい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ家シリーズ3作目!
作者まえがきで「信濃を殺すことにした」とあってかなり落ち込みながらの読み始め。
日付をまたぎながら時間をかけて読み進めたので夢にまで内容が出てきて色々とうなされました(笑
作中の「神様はアーティストがお好き」も面白かったです!何となく歌野先生の自画自賛な描写もコミカルでした。
しかし完全に騙されましたね…もう途中から謎解きなんてどうでもよくなってしまいましたよ!
葉桜を読んであれだけもう騙されないぞ!と思っていたのに本当に悔しいです…!
悔しい!悔しいけれど、本当に良かった…
信濃というより徹の心配をしていたので心底安心しました(笑
それだけこの作品にハマっていたのだなあ -
Posted by ブクログ
ネタバレ信濃譲二の家シリーズ第2弾。
最初読んでいて徹が巻き込まれた過去の事件のお話かと思いましたが違いましたね。今回は信濃がやたらと小綺麗に探偵をしていて何だか信濃じゃないみたいでした(笑
トリックのまとめ方も好きです。
最初から最後までムラなく楽しめる本でした。
被害者も加害者も何となく憎みきれないあたりが魅力的なキャラクター作りに長けた歌野先生らしいですね。
犯人はヤス!と騒ぐ徹にうるさいよ(笑)と思いつつも、信濃と徹はなかなか良い「探偵と助手」だと思います。
解説は正直必要無いのでは…。
ミステリーには様々な種類があり、流行のミステリーというのも存在すると思うのですが、そんなに深く考え -
Posted by ブクログ
ネタバレ信濃譲二シリーズ短編集
「~家の殺人」に出ていた信濃譲二が学生のときの話
「ドア⇄ドア」
同アパートの住人を衝動的に自室で殺害してしまった男が
証拠隠滅のため死体を被害者宅に運び、玄関のドアを交換する。
「幽霊病棟」
廃墟となった病院に死体を隠した男が落とした財布と取りに戻ると
死体が別の場所に移動しており、学生達が肝試しをしていた。
「烏勧請」
ゴミ屋敷に住む主婦がベランダで死体となって、カラスにつつかれ発見される。
被害者は旦那の浮気が発覚してから、急にゴミを集めはじめたらしい。
「有罪としての不在」
学生寮で殺人事件が発生。容疑者は寮内にいた人物と特定された。
元カノの嫉妬が原因