山本兼一のレビュー一覧

  • 命もいらず名もいらず 下 明治篇

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    江戸無血開城に向けてしたためた勝海舟の書を授かり、益満を伴って駿府におわす西郷隆盛のもとへ。道中、清水の次郎長と出会い、助力を得て見事大役を果たすが、その男っぷりが小気味よい。幕臣であって維新後は宮中に仕出する。仕事はもちろん剣に禅に書に、まあ忙しい。すべてに全力を注ぐ性分は、伝記がそのまま小説だ。さすがに酒量が日に3升、本気で飲めば9升ってのは盛りすぎだろうが、書については各所に遺るだけに100万枚も遠からず。我欲を捨てて我事に打ち込む、とにかく凄まじい山岡鉄舟のあっぱれな生涯。

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    2020年01月16日
  • 火天(かてん)の城

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    読み応えたっぷり。あの時代に城を築くことの苦心惨憺と、焼け滅ぶまでのあっけなさとの対比が実に面白い。これを読んで「五重塔」を連想した人も多いんじゃないかな。

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    2019年12月20日
  • 火天(かてん)の城

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    【内容】織田信長の安土城がいかにつくられたかを工事に携わった棟梁の視点から描く物語。
    【感想】建って数か月でなくなったらしいという知識を持っているだけにこの多大な労力がせつなく思える。全編を通じて無駄がなく迫力がある。職人たちの群像劇でもある。彼らのセリフもいい。城づくりの蘊蓄もいろいろ。

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    2019年10月27日
  • 花鳥の夢

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    期待通りに面白い。自分の生活からはわからない芸術家という世界の中に入り込めるのが良い。また、きれいごと、英雄伝ではなく、人間の汚い部分、弱さが織り込まれていて共感できる。解説にあるように「等伯(安部龍太郎)」と合わせて読むとより深くなる。

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    2019年09月22日
  • 修羅走る 関ヶ原

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    話の始まりは、意外性もなく淡々としていたが、進むにつれて人々の想いが強く伝わってくる。また、関ヶ原に行きたい。

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    2019年08月11日
  • 火天(かてん)の城

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    ネタバレ

    大工棟梁の視点から書かれた歴史。
    お城に興味なかったけど、安土城を一目みたくなった。

    大工、武士、忍者、瓦焼き職人、石職人… その道のプロたちの仕事ぶりだけでも面白い。
    織田信長というとんでもないリーダーに、仕え、翻弄され、鍛え抜かれていくひとたち。

    こころに残るシーンは、木曽大松の木を川に流す場面。杣の棟梁が命を落とす。それを、羽柴秀吉が運んでくる。切り詰めた仕事をしているひとたちの間では、少ない時間でも通じるものがあるようで、おそろしくも羨ましい。

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    2019年04月08日
  • 火天(かてん)の城

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    ネタバレ

    信長の夢は、天下一の棟梁父子に託された。
    天に聳える五重の天主を建てよ!
    巨大な安土城築城を命じられた岡部又右衛門と以俊は、無理難題を形にするため、
    前代未聞の大プロジェクトに挑む。

    信長の野望と大工の意地、情熱、創意工夫
    すべてをのみこんで完成した未曾有の建造物の真相


    職人魂の素晴らしさを改めて実感させられた一冊です。
    木と向き合い、天主と向き合う。
    石と向き合い、石と対話する。
    自分の仕事に徹底したプロ魂を持った職人さんたちがいて、
    それを束ねる総棟梁(岡部又右衛門)がいて、
    独創的なアイディアを好む信長がいて、
    それで名城が出来ない訳がありません。

    岡部又右衛門父子の親子の絆もし

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    2019年03月29日
  • 狂い咲き正宗 刀剣商ちょうじ屋光三郎

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    夜、寝る前読む本がないなと、本棚を見つめ再び「利休にたづねよ」を読む、やはりいいね。プロのなす張り詰めた空気感。山本氏の他の本を読んでみようと手に取る。
    勘当された旗本の長男が刀剣屋の婿として働き、刀をめぐる話。
    刀をキーにして起こる問題騒動を主人公が解決、ここにもプロの技を感じる。新妻とのやり取りも話に色を添えていて楽しい。やはり山本氏の本はいいなと再認識、いつの間にかに読んだこと無い本も増えていたので、他のものも読んでみよう。

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    2018年12月11日
  • 利休の茶杓 とびきり屋見立て帖

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    著者の逝去により、とびきり屋シリーズも、この巻で最後。
    店の招かれざる客の芹沢鴨の粛清や、夫婦が肩入れする桂小五郎の動静、明治維新へと風雲急を告げる歴史の大転換など、さらに面白くなったであろうに、誠に残念である。
    前作のレビューでも記したが、著者の茶道具についての博識には、驚嘆すら覚える。
    そういった面でも、まだまだ活躍してほしい作家であった。

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    2018年12月02日
  • 赤絵そうめん とびきり屋見立て帖

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    ゆずと真之介の夫婦愛に心がホッとするこのシリーズ。
    今回は、赤絵を巡って夫婦が奮闘する連作6篇。
    それにしても、次から次へと披歴される茶器や掛け軸など、著者の骨董に対する造詣の深さに圧倒されながら、ただ読み進むばかりだった。
    著者の急逝により、このシリーズもあと一冊を残すのみだというのは、重ね重ねも残念・・・

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    2018年07月13日
  • ええもんひとつ とびきり屋見立て帖

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    ゆずと真之介の若夫婦が営む、とびきり屋シリーズの第2弾。
    今作も幕末の志士たち、坂本龍馬に、新たに桂小五郎も登場する。新選組芹沢鴨も、相変わらず傍若無人に店に出入りする。
    そんなこんなも、ゆずの機知と真之介の才覚で何とか治め、商売はまずまずの繁盛。
    道具屋の商売柄、黒漆の香箱、仁清の香炉、李朝の徳利、唐物の茶壷、等々の骨董が絡んだ短編が5編。
    巻末には、ゆずと真之介の馴れ初めとなる話が掲載されている。
    ゆずの京ことばに癒されながら、次巻も。

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    2018年07月13日
  • 夢をまことに(下)

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    ネタバレ

    2018/5/23
    下巻。
    上巻であまりにも長期間村をほっといたので心配していたのだけど、村の家族もできた人で何の問題もなかった。
    やはりできた人にはできた人が集まるのか。
    ずっとやり続けて楽しいと思えること、情熱を傾け続けられることが羨ましい。
    だいたいなんでも5年ぐらいで飽きちゃうんだけど、資質の問題かしら。
    5年で極めるわけではなく、5年ぐらいでぶち当たる大きさの壁を越えられてないような気がする。
    中途半端やねんなぁ、何やっても。

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    2018年05月27日
  • 千両花嫁 とびきり屋見立て帖

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    老舗の茶道具屋の娘ゆずと、彼女と駆け落ちした奉公人真之介、彼らが営む道具屋「とびきり屋」を舞台にした連作短編7編。
    各編に、幕末の歴史上の人物が登場する。
    表題作「千両花嫁」には、近藤勇。以下各編に、高杉晋作、坂本龍馬、勝海舟、土方歳三、武市半平太、芹沢鴨。
    そして、著者は彼らの顔の特徴を、真之介の目を通して詳細に記し、人物評価としている。
    例えば坂本龍馬、「額が良い。形よく広がった額は、明るく開放的で、天真爛漫な質をあらわしている。…とてつもなく大きな夢や野心を抱いている男に違いない。それを実現する行動力もあるだろう」
    各人それぞれの特徴を述べ、歴史ファンには、それを読むだけでも楽しいことだ

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    2018年05月12日
  • 夢をまことに(上)

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    ネタバレ

    2018/4/20
    基本的には何かに夢中な人が素敵な本。
    でもひやひやするよ!
    家族に捨てられたと思われそうで、弟にも村を捨てたと思われそうで、なんかそういうフォローが描かれてないからなんかひやひやする。
    上巻の最後でやっと村に帰ったけど何年もほっといた奥さん、大丈夫なの?
    下巻で確認だ。

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    2018年04月22日
  • 命もいらず名もいらず 上 幕末篇

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    なぜか買ってから本屋で見かけない。。。読み応えあるいい小説なんだけどなあ!「利休にたずねよ」の著者!

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    2018年04月04日
  • まりしてんぎん千代姫

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    立花宗茂の妻、誾千代の生涯。

    強く気高く美しい誾千代姫と、心が広くて優しい宗茂様という、できすぎな二人。
    別居の史実から、不仲とされることが多いそうですが、この話では、お互いを理解し合う、仲睦まじい夫婦として描かれています。
    侍女の視点も絡めて話が進むので読みやすく、誾千代様の女神っぷりを堪能させて頂きました。

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    2018年02月07日
  • 火天(かてん)の城

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    人を束ねるとは。職人の心意気とは。
    ただの築城の話ではありませんでした。とにかくスケールが大きくて、現代ではあり得ない事の連続。

    織田信長が生き生きと描かれていて、彼の口ひげが見えるようだった。

    最後に神父さん、お願いだから、いいところで鼻をかまないで!

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    2018年02月02日
  • 火天(かてん)の城

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    面白かった!そして儚い
    安土城築城における棟梁親子とプロフェッショナルたちの熱い物語!

    織田信長の無理難題に挑む棟梁とその息子。
    大工の意地と情熱と創意工夫でそれを解決して、城を築き上げていきます。
    親子の確執あり、築城を邪魔するスパイ活動あり、さらには、巨大建造物を構築するためのさまざまな苦労、犠牲ありと、プロジェクトXさながらのストーリ展開。

    とりわけ、大通柱4本の運搬の大変さや巨石の運搬に携わる過酷さなど、当時重機がない中でどのようにしてそれらを運ぼうとしていたのかが詳細に語られています。
    すごい...

    そうした木材のプロ、石材のプロ、大工のプロ、さまざまなプロ達の衆智を結集し、プ

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    2017年10月29日
  • 合戦の日本史

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    5名の小説家による歴史座談会。山本兼一さんが亡くなられたので、途中から4名になっています。信長・秀吉・家康・幕末がテーマの4回。
    やはり、同じ歴史上の出来事でも、それぞれが着目する点って違うんだな、と当たり前なんだけど新鮮に感じました。それだからこそ、数々の歴史小説を読む意味もあるというものです。まだまだ読書量も勉強も足りません。

    司馬遼太郎の影響について言及されているのも興味深い。ざっくりいうと、司馬遼太郎を超えて行け、ということですな。あの竜馬を超えるのは大変でしょうねぇ。
    三国志演義と三国史は別物。それに気づいたのっていつだろう?史書でなく小説・マンガから触れることが多いのが歴史だと思

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    2017年09月17日
  • 赤絵そうめん とびきり屋見立て帖

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    このシリーズの良さは,少し目利きのまさったゆずの人柄と機知だと思う.色々なお道具の薀蓄がまた楽しい.いけ好かないと思っていた若宗匠も,案外可愛いところがあるとわかって,なんだかホッとした.ただ心配なのは幕末に向かってのきな臭い空気だ.

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    2017年09月09日