あらすじ
幕府旗本の家に生まれた山岡鉄舟は、幼い頃から剣、禅、書の修行に励み、おのれを鍛えた。徳川慶喜の意向を受け、西郷隆盛と談判。和議をまとめ、江戸無血開城への道をつくった。朝敵であったにもかかわらず明治天皇の教育係にも任じられる。名誉、官位、金銭に執着することなく、生涯、清貧をつらぬいた。志高く、他人を思いやり、それでいて図太く堂々たる山岡鉄舟の人生は、日本人としての生き方とは何かを問いかける。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
2014/1/20-2/8
山岡鉄舟
人というものついおのれを過信し他人を見くだす悪癖がある。おのれが正で他人が邪、おのれが清く、他人が穢れているて思いがちだ。世の多くの人間が、そう慢心して生きておる。とかく人とは愚かなものよ。
まずは人に勝ちたいという気持ちを無くすことから始めよ。修行は人に勝つためではなく、おのれの徳を積むためにする。徳の積み方が分からぬ者は、おのれを見つめよ。
おのれに恥じぬよう精神を満腹にして生きよ!
Posted by ブクログ
江戸無血開城の真の立役者である山岡鉄太郎 の生き様を見事に描いた歴史小説。
タイトルの「命もいらず名もいらず」というのは、幕末に西郷隆盛と江戸総攻撃を中止するよう談判した際に、西郷が鉄舟の人物を評して「命もいらず、名もいらず、官位も金もいらぬ人は、始末に困りもす。そういう始末に困る人物でなければ、艱難を共にして、国家の大業は為せぬということでございます」と語った言葉から来ている。
Posted by ブクログ
山岡鉄舟の生涯を描いた物語、上巻の舞台は幕末。
幼き頃より人並外れた頑固さと男気の良さを持ち、それでいて優しく素直な鉄舟…冒頭から既に惹かれてしまいました。
彼がこれからどういう風に生きていくのか、何を起こしていくのか、知れば知るほど惹かれます。
新しい時代になろうとしつつある幕末で、名誉ばかりを求める者達が溢れる中、鉄舟の真っ直ぐな生き方に胸を打たれました。
そんな鉄舟の妻もまた、強かで凛とした素晴らしい女性。
浅利又七郎義明に弟子についたところで、下巻の明治編へ続きます。
Posted by ブクログ
幕末という激動の時代にどこまでも自分に正直に生きた男。山岡鉄舟を描いた物語。
「自分の為にはなる事をしろ。それが天下の役に立つ。」と言う父の遺言を胸に自分がなすべき事をひたすら真っ直ぐにやり遂げる。故に時代が山岡鉄舟を表舞台へと求める。
この小説を読んでまず感じたのは山岡鉄舟はスゴイ男だと言う事です。今の時代にここまで真っ直ぐ歩く事が出来るの人が何人いるだろうか。。
徳川幕府末期であるこの時代は武士が武士らしさを失くしてしまった時代であり、今まで虐げられた人々が立ち上がりつつある時代であった。どこまでも武士として男として自分が決めた事は最後までやり遂げる意思の強さは感服しました。
物語の中で清河八郎が登場するが、清河八郎との出会いも偶然ではなく必然だったのだろう。
清河八郎が望むのは倒幕。そしてその魁となる事で名を残すことだった。
古来から武士の本懐は命を賭して功名を得る事であるはずだが、命も惜しまず名も惜しまずとはどうゆう意味なのか。。
下巻からはいよいよ倒幕。そして明治維新へと時代は進む。その時に山岡鉄舟は何をなしたのか。先が楽しみです。
Posted by ブクログ
山岡鉄舟の小説。
歴史ものだが難しい言葉も少なく読みやすい。
歴史小説にありがちな退屈な幼年期もない。
ただエピソードをつなげた感があるのでまとまりがイマイチない。
愚直すぎる主人公。ただ貫き通す。
Posted by ブクログ
勝海舟に信頼され、西郷隆盛の親友で、清水の次郎長に先生と言われた、山岡鉄舟の一生。まさにラストサムライ。全てにおいて「本気」だから魅了される。書き手より書かれ手の凄さに惹かれた。
Posted by ブクログ
現代は、「命をかける」という言葉を軽々しく使うが、当時の人々は本当にいつ何時「命を失う」かも知れないということを実感して生きていたことが、よくわかった。
大変豪快な男である。
山岡鉄舟は、生きるということは・世のためとは・日本の為・・・を本気で命がけで考えた男。
Posted by ブクログ
購入者:藤本「利休にたずねよ」の山本兼一が、幕末から明治維新~明治までを、「山岡鉄舟」を中心に上・下巻にわたって描いています。
真っすぐで、正直で、一徹な生き方の鉄舟にすがすがしさを覚え感動します。
ちなみにPEEK-A-BOOの山内さんが尊敬するのは、川島先生とこの山岡鉄舟とのこと。
(2010/7/24 藤本)
Posted by ブクログ
激動の幕末!名を揚げることこそ武士の本懐という世においてどこまでも真っ直ぐで命がけで本気を貫いた鬼鉄こと山岡鉄舟。
とんでもない真っ直ぐさは美しくて清清しくて鬼鉄の魅力に引きずりこまれてしまう。
下巻明治篇へ。
Posted by ブクログ
己の志を貫く。
と言ったらカッコいいが、芸のためなら〜女房も泣かす〜ってのと変わりない。
それどころか幼子までも…と思うと何やっとんじゃ! ってなるけど、昔は子どもの数も今とちがうし、命の重みもちがったのかな。でもヤダ。
男のロマンなのかね。下巻になったらも少し印象変わるかしら。
Posted by ブクログ
山岡鉄舟の生涯。まさに正直で真っ直ぐな人間。
身長は六尺二寸(188センチ)、体重は二十八貫(105キロ)と、恵まれた体格。
優れた武術家であり、また書でも有名。あね木村屋の看板の書は鉄舟によるもの。
豪快ではあるが、曲がった事は一切しない。清々しい生き方。
上巻は清河八郎が暗殺されるまで。
Posted by ブクログ
幕末を幕臣サイドの視点で描いた小説を読むことはなかったので新鮮だ。勝海舟でさえ、氏を主人公に据えた著作は読んでないし。山岡鉄舟はとてつもなく豪儀で一本気な漢として描かれる。やると決めたらひたすら徹する鬼鉄さん。融通も何もありゃしないが、頭を冷やせば素直に詫びるし、己の負けをも認める。と聞けば立派なれども、ときに色道修行だの色情哲学だのと廓通いに明け暮れ、家財一式、着物も布団も売りつくし、あげく、女房は栄養不足で乳が出ずに最初の子が亡くなるって、それだけでヒトとして零点だと思ったりするのよ。さて、剣術では浅利又七郎なる達人に打ちのめされ、さらなる求道心に火がついた。この負けん気の権化、明治の世ではいかなる働きをするのか。
Posted by ブクログ
侍の精神は、理解し難いところもあるけど、見習いたいところもあり。
幕末は、いつ読んでも大変そうです。
この時代の、普通の人たちの暮らしがどんなだったか気になります。
Posted by ブクログ
山岡鉄舟の青年期の話。
津本陽の硫黄島戦記で「名をこそ惜しめ」というのがあったが、こちらはさらに進んで「命もいらず名もいらず」だ。志さえあればいいらしいが、志だけ高い新人は早くやめることが多い。淡々とこなし、生活のためにここにいると言う新人の方が仕事の覚えも早いし長続きする。
器は大きいのかもしれないが、同士に酒を飲ませるために自分の赤ん坊のための食料を買う金さえなく、飢え死にさせたというのは全く人間失格。
現代では社会不適合の奇人だと思う。
Posted by ブクログ
山岡鉄舟?
名前は聞いたことあったけど、どんな歴史上の人物なのか知らなかった。
旗本息子→無役旗本兄の居食い弟(北辰一刀流入門)→御家人入婿(槍道場主)→講武所剣術世話心得→尊皇攘夷党→浪士取締役(慶喜護衛)→慶喜側近→静岡藩役人→明治天皇侍従。
とことん信じる道を行く、けれど己の間違いには謙虚に反省する、こんなシンプルなことができない自分には、スゴい人だなぁ、と尊敬する。
聡明過ぎると嫌味が滲む、自分は聡明でなくて良かった、というフレーズも沁みる。
なかなかこうは思えないもん。
それにしても、奥様や家族は大変だっただろうなぁ。
量も内容もズッシリ、読みごたえあり。
Posted by ブクログ
「おまえ自身のためになることをしろ。それが、天下の役に立つ」
父の言葉を胸に、激動の時代を生きた山岡鉄舟の物語。
とにかくこれと言ったらこれ!他のことは目に入らなくなるくらい、ひとつのことにまっしぐら。その信念は誰よりも熱く、真っ直ぐだが、これがかなりの変わり者。
決してたくさんの出番があるわけではないが、常に大きな心を持ちそんな鉄舟を支えた妻の英子を心から尊敬する。
上巻では、鉄舟の内面が様々な人との関わりの中で形成されていく過程が中心となっている。
下巻でどのような展開になるか期待したい。
Posted by ブクログ
「維新の奇跡」は龍馬だけではない!
本当に民のことを考え、新政府と幕府の江戸を舞台とした戦争を回避に導いたのは鉄舟です。
特別な思想があったわけではない。己の人生を剣と書と民の幸福に捧げた男の物語です。
Posted by ブクログ
幕末で一番好きな人物である山岡鉄舟を取り上げた小説って結構少ないんですよね。
何故か、一般的な人気が他の幕末の人物より少ないのが残念です。
上巻は、取りあえず山岡鉄舟の人物的素地形成の段階でしたね。
本当の活躍は、これから始まりますから我慢して読むことをお勧めします。
Posted by ブクログ
幕末に活躍した武士 山岡鉄舟の一生
清河八郎が、後に新撰組となる近藤勇や土方歳三も参加した「浪士組」を結成したときに隣にいたのが、たしか山岡鉄舟だったはず、ぐらいのイメージで読み始めた。
山岡鉄舟は、子どもの頃から剣術を学び、やがて槍の名手、山岡静山の弟子となり、急逝した静山の後を継ぐ。正直で真っ直ぐな性格、情に熱く、頼まれれば「とりあえずやってみよう」と断われず、やるとなったら「やるからには頑張ろう」と、とことんまでやりぬく。
江戸城無血開城は、西郷隆盛と勝海舟の会談をもって実現できたと言われているけど、その前に、静岡にいる官軍の参謀西郷隆盛に会いに行き、江戸を戦火から救うための前交渉をしたのは、この山岡鉄舟だったとのこと。
自分のことよりも誰かのために、自分のことよりも国のために。タイトル通り「命もいらず、名もいらず」な鉄舟は、物にも執着せず、貧乏なんてなんとも思わない。とにかく強く、正直で素直な鉄舟のまわりには、人が多く集まった。鉄舟のような、一途で純粋な人がわが道で活躍できるのは、多分にもれず、苦労を省みない良く出来た妻がいるからこそ。奥さんにとっても、どんな苦労をしてでも、妻でいたいと思わせる魅力的な人だったんだろうなぁ。
明治維新後には、宮中に出仕し明治天皇に仕える職に就く。そのときに、大好きだったあんぱんを天皇に献上することを薦める。お花見に献上するあんぱんに、桜の花の塩漬けを飾り装飾したのが、今に残る木村屋総本店の「さくらあんぱん」なんだか、憎めない人だなぁ。
Posted by ブクログ
飛騨高山で父親が死に、江戸に戻っての剣術修行、
兄との確執や強くなりたいという執着からくる迷い、
盟友・清河八郎の死、鳥羽伏見の戦いの頃まで、
山岡鉄太郎青年の半生の前半。
幕末のこの時期は、どうしても、
坂本龍馬や高杉晋作なんかの薩長土の志士や
新撰組の派手で魅力的な盛り上がりと比べると
やっぱり三番手というか地味。
字で読んでも地味。
ただ、鉄太郎が23歳のときに書いたという
宇宙と自分との関係の図のくだりがおもしろい。
漠として、宇宙界と名付くといえども、切言すれば、
吾人もまた等しきものなり。ゆえにその源を究れば、
地、水、火、風の四原(元)よりなり、而して風往雨来、
遷転極まりなきに似たれども、またその中に一定不変の道理あるべし
山岡鉄舟といえば手塚治虫の「陽だまりの樹」。
このマンガの中では好青年の印象だったのに、
この小説ではただただ変人。