山本兼一のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
・あらすじ
破竹の勢いで天下統一事業を進める織田信長に天下人に相応しい前代未聞の巨城を築くように依頼された職人親子の奮闘を描く歴史小説。
・感想
現代も、戦国時代も、サラリーマンという生き物は苦労が絶えないようである。
信長は型破りな独創家として知られる。となると注文も型破りなものになる。まだ西洋という存在を知って間もない頃に日本人に西洋風の城を建てよと未踏の地の城を要求する。普通に建てたら倒壊しかねない規格外のスケールの城を注文する。小惑星かと見紛うような巨大な岩石の見栄えが良いからあり得ない傾斜を登らせろと命令し何百人もの人足が岩の下敷きになる。次々と信長は無理難題を吹っかける。誠心誠意 -
Posted by ブクログ
本屋で「利休にたずねよ」を超えた!とPOPを見て、「利休にたずねよ」が好きな私としては、イヤイヤあれを超えるのはそう難しいだろうと訝しく思いながらも、読んでみる。
一ページ目から面白い予感。帝、信長、その周りの人物と目線を切り替えながら、信長死すべしに向けて話は進む。
他では明智光秀は良い扱いされていないが、なるほどなと、この流れに納得する。紀元前から続いてきた帝の流れを守ったものとしてみると、私の中でも英雄になった。
人物が切り替わりすぎて、付いて行きずらい感はあり、「利休にたずねよ」は超えてないだろと思うが、歴史的好奇心がくすぐられ楽しい一冊。 -
Posted by ブクログ
一気読み。
永徳が描くことを止められないように、その勢いに巻き込まれる感じで止められなくなった。
思い描いていた永徳像を裏切らない。
気力を尽くして描き、生きるその様が、とても苦しく悲しく、とにかく疲れた。
才を持って生まれてしまった人の業。ただただ壮絶。
これだけ身を削らなければならなかったのか。
そうでなくては描けなかったのだろう圧倒的な画。
そうまでして作り上げたものの悉くが、灰燼に帰してしまうその運命はあまりにも悲しすぎる。
時代とは言えもっと、後世に残っても良かっただろうに。見たかった。
等伯夫妻の登場でより深く、暗く、画業に囚われていく心理が鬼気迫る。
何度も打ちのめされ、そ