山本兼一のレビュー一覧
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久しぶりの五つ星!
利休切腹の当日からさかのぼり、各章が違う歴史上の重要人物の目線で描かれる。
冒頭の「死を賜る」の章で出てくる、「あの女」「殺した」「緑釉の香合」何のことだろう?どうしたのだろう?
↓以下ネタバレです
その真相は、後ろから2番目の章「恋」で明らかになる。
それは、かなり若気の至り。ちょっと冷静になりなさいよ。と思ったけど、そこは利休もまだ19歳だった。彼女も、死にたかったの?本当に?彼女を渡すくらいなら、殺して自分も死ぬつもりでいた利休ですが、それは、彼女を本当に想ってでの決断ではなく、衝動的に彼女を誰にも渡したくなかったのだと思う。とりあえず、妾になって -
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ネタバレ私はこの小説を読んで、これから木槿の花を見る度に、韓紅花の衣を纏った女を思い起こすに違いない。
一度読み終えて一晩高ぶる気持ちを反芻して、翌朝一から読み直した。
再読時には、各章のところどころに韓紅花の衣の裾が見え隠れしてどきどきした。
女が閉じ込められた土蔵を「なかに美しい命が隠されていればこそ粗土の壁が輝いて見える」これこそが利休の目利きの真髄で、ヴァリヤーノのいうところの「土くれの焼き物」に美を見出だす根源なのだろう。
宗恩は気の毒だと思った。もてなしの超人を、毎日暮らしのなかで満足させるのは、さぞや神経をすり減らすことだろう。
秀吉はおそらく、利休の美的感性に嫉妬したのではないか -
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利休の侘び寂びを 生き生きとさせてるものは
19歳の頃 出会って逃そうとした高麗のお姫様への
情だったんですね。
憧れて逃そうとして 逃げられないとわかったとき
一緒に死のうとして 相手だけを死なせてしまった。
石見銀山入りの自分のたてた抹茶で。
その人の持ってた緑色の香合を 終生持ち歩き 中に 自分が噛み切ったその人の小指だか爪だかが
入っている。
奥さんになった宗恩さんは 自分を抱いても他の人を想っている。
と思わせた 深い気持ち
利休が死んだ時 宗恩さんは その緑の香合を叩きつけて割る。
後書きで 宮部みゆきさんが
利休さん あなたがもっとも深く愛した女性は やっぱり宗恩ですね。
と書い -
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本に出てくるお道具が 素晴らしいですね!
見てみたくなります。
赤絵づくし からこの器
最後の三条実美公に出す 志野焼の 虹の橋
夜 虹が出るなんてことがあるんですね。
月に虹がかかる。
本当にありうることなのかどうかは わかりませんが 死ぬ前に一回見てみたいものです。赤絵の壺に熊笹をいける
発想がすごい!
月にかかる虹を見ながら 虹の橋の茶碗でお茶をいただく。
まあ 素敵です。
うつろ花では あのしつこいお茶の若師匠をふってやります。
そして 若師匠が返さなかった 三島焼き?の外花というお茶碗を取り返します。
このお茶碗も見てみたいですねえ!
私が見たことのある 安い三島焼きの茶碗とは 月 -
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まあ 沢山の幕末の志士たちが出てきます。
京都の古道具屋とはいえ
京で屈指の茶道具屋の一人娘 ゆず
二番番頭の真之介と 駆け落ちする。
真之介は 捨て子で 辻ヶ花の布にくるまれ 金の小さな仏像まで守り袋に入れられてた赤ん坊
訳ありですねえ
織部はんの血筋なのかどうか
ふたりで開いた古道具屋
刀から端切れから いろんなものを売っている。
1巻目の最後に やっとゆずの父親が ふたりのことを認めてくれた。
男の人が書いた話しのせいなのか
ゆずのお母さんが 身重になったとき しゅうとが
中条流で 堕ろさせようとする。生まれたのは長男
それ 普通 亭主に言うでしょう。
あなたのお母さんに 子供 堕ろされ -
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くらくらする。宮部みゆきの巻末の解説を読んで、よりわからなくなる。
妬みや欲は誰しも持っている。それを志にまで昇華させることができると、表面上たおやかで凛とした佇まいになる。
利休自身がそうであったように、宗恩や高麗の女も、おそらく欲を昇華し無欲にみせることのうまい女だった。だから、互いに惹かれ合い、ただ実の心を見せることはできず離れ離れになってしまう。50いくばくかになって、しっかり恋をする利休や宗恩が美しかった。
利休が最後に腹を切ったのは、秀吉への抗いではなく、高麗の女を裏切ってしまったあの時に報いるためだったのではないか。利休はなぜ死んだのか。それが、題名の問いなのではないか。血 -
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ネタバレ歴史ものはほとんど読んだことがないのですが、フォロアーさんの書評を読んで、すごく興味がわきました。
読んで良かった!! ありがとうございます!!
利休の美に対する執念ともいえる追究と自負。茶の湯に感じさせる生命力。その根底に潜む緑釉の香合と美しい高麗の女の謎。時間を遡りながら徐々に明らかになっていく。
利休の人柄も周囲の一人一人の嫉妬と羨望の混じった話で明らかになっていく。
利休を疎ましく思い、切腹を命じた秀吉だが、時間を遡れば、少なからず理解しあえていた時があったように思えた。
最後まで読んで、切腹した利休や緑釉の香合を手にした宗恩の気持ちに思いふけりながら、また最初の利休が切腹する朝 -
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特に歴史好きというわけではない私でも、ハマってしまうその物語に、完全に魅了されました。
実在した稀代の茶人・千利休とは何者だったのか? 史実とフィクションを見事に融合させ、人間・利休の崇高さ、人となりに迫る名作でした!
本書には、構成上の大きな特徴があります。
①秀吉の命により、利休が切腹する場面から話が始まり、70歳から19歳へと時を遡る展開であること
② 様々な人物が、利休を客観的に語る複数視点で物語が展開すること
①について、利休がなぜ切腹を受け入れたのか? 美の追求に命を賭した理由は? という疑問に答えるため、歩んで来た轍を振り返り逆に辿って行くことで、茶人としてだけだなく