【感想・ネタバレ】利休にたずねよのレビュー

ユーザーレビュー

Posted by ブクログ 2020年07月09日

茶とは何か。

ただの茶ではないか、という言葉が幾度となく出てくる。

それは、やはりただの茶なのであろう。
そこに武士の褒美として、祭り上げられた茶道に、美という価値観が付け加えられたことで、美を汲み取る事の出来る利休が生まれる。

美は誰もが判別できる基準ではない。まして修練を積んでも個人差が大...続きを読むきく出るもの。利休という存在が価値の創造主になった時、天下統一した秀吉の絶対的存在とぶつかるのは必然となった。

美の世界では、秀吉とて利休に比べれば凡人となり、利休は天下になど眼中にない。そして天下人秀吉の一方的なジェラシーの構図が出来上がる。

利休は同じ土俵にいないので、秀吉はぶつかることさえ出来ない。秀吉からすれば、利休がいる限り独り相撲で際限がない。この問題は、原因である利休という存在を消すしか方法が無い。

また信長から特別な家来として茶会を開くことを褒美として与えられた秀吉にとって、茶とは自分の価値をはかる尺度であったとするなら、その尺度となる価値を見出す利休は神のような絶対者でとなっていたとは考えられないだろうか。そうであれば、天下人になっても、絶対手に入らない、「鳴かぬなら鳴かせてみせようホトトギス」、は絶対に叶えられない。

三毒の焔、の章で、むさぼり・いかり・おろかさ、の三つの話がある。利休のむさぼり、つまり美への執着の謎が時間の遡りで解明されてゆく。

侘び茶といえど、艶がなければどうしようもない。
だいじなのは、命の優美な輝き。

緑釉の香合は、利休の茶の原点となる。

再読。


2014.4.16
切腹の時から遡って物語が進んでいく。利休が成熟から未熟な時代へ話が進むのが初めてで面白かった。利休という何か近寄りがたい人物にそっと近づけた感じ。

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Posted by ブクログ 2020年06月29日

千利休とか茶人、以上。それだけしか知らなかったが、この本を読む事で千利休の歴史を知りながら茶の世界も面白く読むことが出来た。
構成が切腹前夜からどんどん時を遡っていく。
その遡っていくことでこれまでの人物の関わり合いが分かり、そしてその中にずーっと通して出てくる香壺の謎がどんどん解かれていく。
茶の...続きを読む事も歴史も知らなくてもどんどん引き込んでいくこの構成は初めてでワクワクした。
最後に切腹当日で締めくくられる女の感情もまた良し。
良作とはまさにこういう小説。

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Posted by ブクログ 2020年06月17日

時間を遡りながら利休の人生を体験していく。
歴史に弱い私でも最初から最後まで一気に読めた。
秀吉、利休、この時代背景ももっと知りたくなった。
宮部みゆきの解説もgood。
私は利休に何をたずねよう…

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Posted by ブクログ 2019年11月02日

構成が斬新。利休最期の切腹から始まり、過去に遡りながら利休の美学、そこに潜む想い人の影、秀吉との関係が紐解かれていく。
利休がなぜそこまでこだわりの美を追求したのか、そこにはある女への恋慕があった。という切り口でストーリー展開は大変面白いし、なんか人間味を感じてしまう。
秀吉との関係もまた然りで、利...続きを読む休と秀吉、ある意味理想や目的を追求するのに手段を選ばない二人だからこそ、似すぎて結果的に悲劇的な最期になったのでしょうか。

利休を身近に感じることのできる作品でした。

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Posted by ブクログ 2019年04月14日

初兼一。直木賞受賞作。思いの外、楽しめたのは意外でした。時系列が遡っていく手法が、序盤では利休(宗易)対天下人“秀吉”の関係性の変化を、中盤あたりでは秀吉の部下ら、宗易の妾(のち後妻)“宗恩”、先妻“たえ”パートなどをいくつも挟み、終盤に“紹鷗”“信長”を持ってくることに因って利休の成長過程がより効...続きを読む果的に表されているようだ。で、ラストに切腹当日の宗恩を持ってくるとは——何とも言えぬ構成に感服。これは利休と茶道に関する物語をメインに、裏では利休を巡る女たちの物語でもあったのですね。それにしても利休の“美”に対する情熱…いや、執念には狂気すら感じた。芸術とはやはり女体からなのだな——。最後にわたしは「利休さん、あなたに“たずね”れば何でも解決出来るのですね」、と。文句無しの星五つ。

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Posted by ブクログ 2019年01月04日


最近読んだ中では抜群に面白かった。

この構成で最後まで行けるのか?を心配させず、
グイグイ進めて、人物や背景に厚みを増していく技量は圧巻。

印象に残る人は、みんな、ギラついてるんだよね。
脂ギッシュというか。

その辺をキレイに描かず、リアルに脂っこい感じと、
美にかかる表現が、対比的になって...続きを読むいて、味わい深いです。

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Posted by ブクログ 2018年10月11日

利休にたずねよ。何という秀逸なタイトルと呼びかけだろう。歴史小説の真髄がここにある。

私たちは故人に真相を聞くことはできない。
しかし、小説はそれを虚構できる。
真相以上に重要ななにかが生まれる。

陳腐になりがちなものをどこまで真実ならしめ得るか。
私たちの生は、案外、俗物だ。

その俗物性を本...続きを読む作は構成の妙で聖なるものに変えた。
特に、長次郎の章に極まっていたのではないか。

多くの名物が出てくるので、数寄者にはたまらないかと。

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Posted by ブクログ 2018年10月04日

第140回(平成20年度下半期) 直木賞受賞

茶道はまったくに近いくらい知識がないけれど、この作品の描写は読み手に、どんな茶碗、どんな感じの花の生け方、どのような茶室なのかが頭の中に描かせます。
また、時系列の順が逆方向で面白い構成になっている作品でした。
「美」を追求しながら生き続ける利休の頭の...続きを読む中、心の中を恐ろしく感じた。どんなことにも「美」を見出しそうで。生かすも殺すも「美」しだい。利休がお茶を点てている場面もそんなかんじがする。
「利休にたずねよ」というタイトルから、読後、利休がいたら何をたずねようかと考えてみたくなりました。

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Posted by ブクログ 2018年09月28日

作者の目の付け所、そして流れるような利休の所作を彷彿とさせる表現力が素晴らしい!
若いころ遭遇した苦く艶めかしい事件は、利休の心の奥深く闇を刻みこんだ。
否応なしに利休を呑み込んでいく歴史に引きずられながらふと湧き上がる心の闇。
それはいったい何なのか?
当たり前の時間軸じゃなくて、ベールに包まれた...続きを読む利休の心の奥底を時空を超えて少しづつ読み解いていく・・・そんな不思議な感覚で夢見心地なひと時でした。

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Posted by ブクログ 2018年02月23日

この構成が面白い。秀吉から死を言い渡され、生きるために首を垂れることを拒否した利休の生涯を、Why done it ? よろしく過去に遡っていく。堺の豪商の家に生まれ、何不自由なく成長した千与四郎が、出会い死なせ、共に逝くことのできなかった高麗の女性が、後に利休と呼ばれるようになってもなお、彼の人生...続きを読むを束縛する理由として得心がいった。「三毒の焔」の意味するところが興味深い。貪り、怒り、愚かさの三毒が、人の道を外れる理由とは言い得て妙だ。

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Posted by ブクログ 2020年06月29日

イメージしていた利休とは違う、体が大きく屈強だったこと
女性関係もそれなりだったこと
この時代のお茶は政治的なものだったこと
お花の存在の大きさ

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Posted by ブクログ 2020年02月28日

やっと読んだ話題作。あとで『火天の城』の作者と気づきました。あれは無名の人々と棟梁の集団の骨太な話なのだが、こちらは利休という人物の造形であります。周りの視点から利休を描き、また時間を遡っていく構成になっている。つまり全部が回想として入ってくる。登場人物は有名人がほとんどだし有名エピソードが大半なの...続きを読むだが、上手いこと読ませるように作ってあるなあと感心した。

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Posted by ブクログ 2020年01月26日


『侘び』の中に『生命力』をいかに込められるか。利休の美学がずば抜けていたのは、多くの人が目指す侘び・寂びをゴールとしているのではなく、むしろその中にいかに艶やかさをさりげなく秘めることができるかを突き詰めていた点だ、と。
この本に出会うまで自分の中で考えたことのない世界に見事に連れていってくれた、...続きを読む素晴らしい歴史小説だと思う。特に、その利久の美学がどのようにして生じ育まれてきたのかを徐々に明らかにしていく構成力と、人心の機微や自然の季節感を微細な表現で綴る描写力に、作者の力量を強く感じた。


以下、私の好きな描写を抜粋すると、

 三層の楼閣からは、京の町と東山のつらなりが眺めわたせる。春の陽射しをあびて、三十六峰の若葉が、つい手をのばして触れたくなるほど柔らかげである。

 なかはおだやかに明るい四畳半の席である。ふたつの障子窓が、やわらかい光をつくっている。朝の光があまりにも清浄で、ただそこにいるだけで、からだの芯まで清まりそうだ。

 むこうに土の壁が見えた。低いところに四角い窓が開いている。先を行く利休が、頭を下げ、腰をかがめ、そこを通った。窓ではなく潜り口であった。
 つづいてくぐった家康は、腰を伸ばして、はっと胸を突かれた。
 目の前の路地の一木一草までもが利休の手で磨かれたように清らかで、木漏れ日に光る歯朶でさえ、利休に命じられて、風にそよいでいる気がした。
 この露地は、まさに閑かさの桃源郷であろう。柿を葺いた茶室の落ち着いた風情が、警戒にこわばっていた家康のこころを、ゆるゆるとほぐしはじめた。


特に3つ目の引用のように、登場人物の動作と周辺の描写が組み合わさって、心情の吐露につながる表現が、利休というテーマ設定に絶妙に合っていたと思います。

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Posted by ブクログ 2020年01月18日

1591年(天正19年)2月28日 利休70歳 朝

利休は死を賜った。――あの下司な猿めが、憤怒がたぎっている。
雷鳴がとどろく中、妻の宋恩と広縁に座った。この雨は天のもてなしであろう。
一畳半の茶室に入り、三人の見届け役とともに茶をまわし飲んだ。助命嘆願を勧められたが詫びることなどなかった...続きを読む。秀吉の勘気にふれたと噂が広まったが身に覚えもなかった。
金に明かした秀吉の作動には飽きが来た。
松籟の音を聞きながら、藤四郎義光の短剣を手にした。
「この狭さでは、首が刎ねられぬ」
「ならばご覧じろ、存分にさばいてお見せせん」


ここから時代が遡る珍しい構成。
利休が信長に認められ、秀吉に重用され、茶道頭に上り詰める。ただただ茶の湯にのめりこみ、侘び,寂び、幽玄の世界を追い求め続けてていく。その美に対する天才的に備わった感性と、修練で、茶道具を見分けていく。

堺商人の間で侘茶が広まった頃、信頼の置ける見利きになった利休は、財を蓄え、美を求めて身の周りをしつらえ、そのためには恐れるもののない物言いと行いで、茶道を極めていった。
秀吉に重用されながらも、金に明かした低俗さに、頭を下げながらも心の声が表ににじみ出ている。それを秀吉は憎悪していた。
天下に並ぶもののない権勢を誇っていたが、利休の審美眼の深さには及ばなかった。

利休は若い頃、忘れられない恋をした。思いつめて、高麗から買われてきた女と駆け落ちしようとした、だが捕まる前に毒の入った茶をたてて心中を図った。女は高貴な生まれで下恐れなかった、利休は果たされず生き残り、女の持っていた緑釉の香合を肌身離さず持っていた。噂で知った秀吉が譲るようにいったが頑として受け付けなかった。

大徳寺に寄進した礼にと、僧侶たちが、利休の等身大の木象をつくり山門に立てた。それが秀吉の逆鱗に触れた。
自刃の原因はそのことになってはいるが、利休の厳しい求道の心と、美に対する天性の感、意に叶わないものを認めない頑固な意地、それが、茶道の奥義を窮めたといえ、凡庸であったり、ただわずかに優れているというおごりを持つ人たちの生き方に沿わなかった。
金と権力が全てに通じ、世の中全てを手に入れることが出来ると思う秀吉。ただ戦いの技に優れ、強運と時には卑屈さも使い分ける計算高い秀吉とは相容れない生き方だった、利休は誇りとともに運命に殉じた。

映画化されたときの利休役の、海老蔵さんのカバーが付いている。死を前にして端然と座った姿が美しい。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年06月15日

なぜ利休は秀吉から切腹を言い渡されたのか。歴史の授業では習わないため、この理由が気になっていました。本書で千利休に興味を持ち、ほかの千利休関連本も読みたくなりました。

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Posted by ブクログ 2019年04月08日

映画を先に見ていて、原作を後で読みましたが圧倒的に原作の方が良かったです。利休の美に対する意識を様々な角度から書かれていて、茶道をする者として楽しめました

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Posted by ブクログ 2019年02月05日

歴史小説を普段読まない人でも楽しめる作品。
登場人物の人柄や性格を表す描写に引き込まれた。
特に、利休の不気味なほどの美への執着心がうかがえる描写にゾクッとするものがあった。

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Posted by ブクログ 2018年11月14日

茶人より、太閤殿下(秀吉)の 軍司の利休の姿を
見ました。利休自刃した後の豊臣政権は衰退して
いきます。読者が利休にたずねたい事(聞きたいこと)
何でしょうか?

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Posted by ブクログ 2018年06月10日

第140回直木賞。
千利休の生涯についての時代小説。利休の茶の湯へのこだわり、秀吉との確執など、こと細かに描かれている。
人物描写が細かくて理論的。あとがきで「火天の城」と同じ作者だと知って、なるほどと思った。

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Posted by ブクログ 2018年04月11日

美を追い求めた巨人、千利休には秘められた過去があり…。と、ストーリーはあるものの、物語性は薄い。
これは利休と秀吉を取り巻く数寄者たちのやり取りや日常を楽しむ小説だろう。
著者はよく調べていて、文も読みやすい。
著者の利休に対する視線が場面により変わるのも興味部会。あるときは血の通った男として描き、...続きを読むまたあるときは美以外のすべてを捨てた非人間的な超人として描く。
茶道に少しでも興味があれば楽しめるだろう。
へうげものと併せて読むと、より楽しめるかも。

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