山本兼一のレビュー一覧

  • 弾正の鷹

    Posted by ブクログ

    『利休にたずねよ』でおなじみの山本兼一氏の歴史小説。5本の短編小説が収録されており、主人公が信長の命を狙う点では共通しているが、基本的に独立した作品となっている。

    男と女の機微が非常に巧みに描かれているが、どれも読みやすい。他の山本兼一作品も読まねばと感じた。

    表題作は鷹を調教して信長を暗殺をもくろむ、なかなかぶっ飛んだ話だが、予想していなかった結末含め面白かった。

    『下針』は遊女・綺羅の複雑な造形が良い。
    『ふたつ玉』のクライマックスには鳥肌が立った。冒頭の何気ない会話が伏線になっているのが、とても良い。一番面白かったかも。
    『安土の草』は他と比べると物足りないかな。でも棟梁である又右

    0
    2023年07月24日
  • 利休にたずねよ

    Posted by ブクログ

    千利休の最後の日から人生を遡って行く構成が斬新でした。
    これ程ある意味血が通った、人間臭さを感じる千利休という人物の描写は、個人的に初めてだと思います。
    読み終えた後の余韻を通して、千利休という人物に思いを馳せることができました。

    0
    2023年03月31日
  • 火天(かてん)の城

    Posted by ブクログ

    とても読み応えのある、良い物語でした。
    世紀の安土城築城。
    岡部又右衛門らの大工衆、戸波清兵衛らの石工衆、甚兵衛らの杣衆らの仕事ぶりが感動的です。
    まさに仕事師たちです。

    0
    2022年10月19日
  • 利休にたずねよ

    Posted by ブクログ

    読み応えのある本でした。余韻が深く、適切な感想が書けそうにありません。しばらく脳みそが発酵するのを待ちましょう。
     難しい漢字が多く、ふり仮名がついてなければとても読めなかったでしょう。出版社の親切さに感謝します。

    0
    2022年09月20日
  • 利休にたずねよ

    Posted by ブクログ

    千利休という人物に惹きつけられ、なぜこの人が死ななければならなかったのか?なぜ。
    そこから時間を遡る物語。
    読むほどに利休から、この物語から目が離せなくなっていく吸引力が凄い。

    0
    2022年09月15日
  • 利休にたずねよ

    Posted by ブクログ

    若かりし頃から逆上るのではなく、切腹の当日から若い頃に戻る構成が新鮮で、利休の人生が盛り上がってくる感じがして良かった。また、秀吉との関わり合いが良かったね。

    0
    2022年02月13日
  • 火天(かてん)の城

    Posted by ブクログ

    「火天の城」は城を作った宮大工、岡部又右衛門にスポットをあてた小説で、私に知らない世界を教えてくれた。それまで歴史に興味はあっても、城造りには知識もなく安土城の独創的な凄さには気がついていなかった。フロイスが当時ヨーロッパにもないと驚嘆した高層木造建築であり、華麗な外観と吹き抜けのある内部。宗教的な意匠。
    その他、総石垣の普請、計画的な城下町。なりより天主は信長が居住していた御殿であった。安土城は近世の変革者信長そのものであったと思う。残念ながら城は本能寺の変の後、焼失してしまったが、この小説は今でも城跡に登城するものにその威容と城造りを想像させてくれる力作です。

    0
    2021年10月09日
  • 火天(かてん)の城

    Posted by ブクログ

    面白かったー!又右衛門に惚れた。通勤電車とかでちょっと読み始めたらあっという間に小説の世界に入れるタイプの本。作者の方は何者ですか?ってくらい知識量をぶち込んでて色々調べたくなる。
    気が済まないことに対して「呑み込んで糞にしてひり出せっ」ってセリフは私も今後の人生に活かしましょう。ありがとう総棟梁又右衛門。

    0
    2021年09月28日
  • 火天(かてん)の城

    購入済み

    久しぶりに、歴史小説の醍醐味を堪能させてくれた作品です。
    織田信長の安土城を建設した大工棟梁親子の物語で、
    建築ディティールの書き込みも去ることながら、
    安土城完成まで、山あり谷ありの波瀾万丈。

    0
    2020年09月26日
  • 信長死すべし

    Posted by ブクログ

    朝廷黒幕説を取って本能寺の変に至るまでを描く。歴史小説ではあるものの、サスペンス小説のような面白さがある。

    0
    2020年09月20日
  • 夢をまことに(上)

    Posted by ブクログ

    後世において幕末のダビンチと言われた鉄砲鍛冶の人生を描いたもの。空気砲や無尽灯、万年筆、天体望遠鏡などを次々と製品化し、実現はしなかったが、潜水艦や気球なども発想している。なんと言っても職人気質・諦めない・細部に渡る丁寧な仕事、他人への感謝など、起業家に必須の思考や行動をぶれずにやり通す。作者の山本さんは「利久にたずねよ」も書いた方であり、他の著作も読みたくなった。

    0
    2020年02月21日
  • 信長死すべし

    Posted by ブクログ

    織田信長を倒したいという人々と、野望に邁進する信長の葛藤が描かれた物語。歴史的に知られている本能寺の変に向けて人々がどう動くのか、その表舞台と裏側の対比にドキドキしながら読み進めた。明智光秀については別の小説も読みたくなる。

    0
    2019年12月14日
  • 修羅走る 関ヶ原

    Posted by ブクログ

    関ヶ原小説の中で、間違いなく秀逸な作品だと思う。
    巨匠二人(阿部龍太郎、葉室麟)の解説が、全て表していると思う。阿部さんの解説にある"時間と空間を自在に移し....."、は、平面である書の紙面に奥行きを感じて読んでいた感覚に重なるところであり、とても共感するところがあった。
    現代に生きる自分として、松野主馬の心情に、思いが重なるところがある。
    歴史小説ファンとして、あらためて著者の早逝は残念に思う。

    0
    2019年07月10日
  • 火天(かてん)の城

    Posted by ブクログ

    城大工の頭領が主人公。建造への並々ならぬ情熱に感服。木への愛、安全への配慮に職人のプライドを感じた。

    0
    2018年09月02日
  • ええもんひとつ とびきり屋見立て帖

    Posted by ブクログ

    「ええもんひとつ」の考え方はいい。普段その逆の「安物買いの銭失い」で失敗しているだけに心にとめときたい

    0
    2018年07月29日
  • 命もいらず名もいらず 下 明治篇

    Posted by ブクログ

    偶然、話題の西郷どんが出てきたりした。幕末から明治を築いた、山岡鉄舟の生涯。

    明治時代、激動すぎるけど、曾祖母が生まれた時代だと思うと感慨深い。
    この時代の人たちは、肝が据わっている。温々と育った私たちとは、まるで違う。
    意志が弱い私は、特にその違いに衝撃を受けたのでした。

    どんな人も受け入れる山岡鉄舟、読んでいる途中より、読み終わってから感動しました。

    0
    2018年01月08日
  • 夢をまことに(下)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    江戸時代のダ・ヴィンチと呼ばれた国友一貫斎の半生記。もともとは火縄銃職人なのだが、創意工夫が好きな発明家気質で、空気銃、天体望遠鏡、灯油ランプ、万年筆などをほぼ独力で発明した実在の人らしい。
    エジソンもそうだが、とにかく失敗してもメゲない。失敗作の山を築きながら改善点を治しさらなる工夫を重ねて少しでも完成品に近づける、そのモチベーションが素晴らしい。

    ただ残念ながら、損得勘定の観点から考えれば、必ずしも良いものでもないだろう。実際作品中でも「それをなんぼで売りまんの?」と突っ込まれるシーンも再々出てくる。夢をまことにするなら、現実(まこと)のツラさも克服しなければならないわけで…。

    それで

    0
    2017年12月28日
  • 花鳥の夢

    Posted by ブクログ

    長谷川等伯の「松林図屏風」を観てから、等伯に興味を持ち、安部龍太郎の『等伯』をずっと前に読んだ。『等伯』に描かれる永徳の、ここまで悪人にしていいの?という位の冷血なイメージがあった為、こちらの作品との対比も楽しみだった。
    折しも、大徳寺聚光院の特別拝観で「花鳥図」を観たばかり。以前「洛中洛外図」「楓図」も観た。
    芸術職人集団の大組織率いるリーダーと、絵師永徳個人との葛藤と苦悩が読んで辛いほど。等伯への激しい嫉妬がありながら、認めたくない自身を、統率者として狩野派を肯定する事で隠す。本当はもっと自由に、楽しく、新しい世界に、挑戦したかったのだろうな。
    ストイックに自分を追い詰めている姿は、絵を観

    0
    2017年05月29日
  • 信長死すべし

    Posted by ブクログ

    ストレートで思い切ったタイトル。
    内容も、これ以上ないほどに面白く読みやすい。

    本能寺で時の天下人・織田信長が部下の明智光秀に討たれたことは、歴史に疎いサブロー(誰!?)でも知っている大事件だが、真相は、とくに、光秀が信長を討ち果たす決心をした理由については謎のままだ。
    光秀が信長に猛烈なパワハラを受けていたらしいことは、目撃証言などもあるようだが、それだけでどうかな?という思いは多くの人が感じると思うし、毛利攻めに関してないがしろにされたから、とか、秀吉が仕組んだ説などと、どんどん新説も出てくる。

    この本はシンプルな組み立てだが、1章ごとに中枢人物の心理が深く書きこまれていて、読み進むご

    1
    2017年01月13日
  • 修羅走る 関ヶ原

    Posted by ブクログ

    関ヶ原に流れる時間を、東軍西軍双方の武将が描き出していく。
    一つの出来事を様々な人物から描き出す「決戦」シリーズとはまた違い、大変、良かった!

    0
    2016年07月12日