山本兼一のレビュー一覧
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司馬遼太郎の『関ヶ原』が、そこに至るまでの経緯も著しているのに対し、この作品は関ヶ原の戦いそのものを、それぞれの武将の視点で描いている。
石田三成から、徳川家康、黒田長政、福島正則、宇喜多秀家、大谷吉継、島左近、等々、名だたる武将ばかりでなく、土肥市太郎、松野重元、明石全登等々、一般にはあまり知られていない武将の活躍も描き、多角的な臨場感溢れる「関ヶ原」となっている。
著者の、センテンスを短くした気迫あふれた筆運びにより、読み手もその場に恰も居合わすかのような興奮を禁じ得ない。読み終わってからも、闘いの興奮が冷めやらず、その余韻に浸りながら、読書の醍醐味に満足した。 -
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全1巻。
「刀剣商ちょうじ屋光三郎シリーズ」にも出てくる
刀鍛冶・源清麿の生涯。
著者の真骨頂、職人もので刀鍛冶。
面白くないはずがない。
いろいろ不明なところがあるらしい清麿を
説得力ある物語で再構築した手腕はさすが。
ただ、なんでだろ、
ちょっとあっさりした印象。
というか、
そもそも清麿が打った代表作ってどれなんだろう。
刀の素人でも名前を知ってるような
有名な刀打ってないのかな。
清麿って名前のメジャーさに比べ、
刀自体はメジャーじゃないのかな。
あっさりした印象の根は
刀自体の印象の少なさな気がしてきた。
最初に打った刀が、
清麿本人にとって重要なのはうなずけるが、
目利き達に -
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ネタバレこの私がこれを読んだ。
ある意味、自画自賛。
殿が殺される話ということが分かっている前提の本を読むなんて?!
何が起こった?!>じぶん!
えぇと、読みました。
『火天の城』 を書いた筆者ですからね。これは良かったからね。(これも最後は殿の死で終わるんだけどさ……)
興味があったので読んでみました。
率直な意見としては、
内裏が黒幕だったとしても、サルは絡んでいると思うんだよ? (なのにサルが登場しないって?!)
でしょうか。
あ、狸も黒かったです。
でも、狸は事を起こす度胸を持ち合わせていなかった。ここの狸は長男を切腹させられたことを根に持ってる狸だった。
金柑も謀反を起こ -
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ネタバレ時は文久3年(1863年)。将軍家茂が上洛を果たした年から話はスタート。まさにあの幕末の混沌が背景。装丁のイラストとは趣を異とする時代設定なれど、話が至ってのんびり調。新撰組、幕末の志士たち、歴史上の人物が、こぞって出てきても、エピソードのアクセント程度というところが気が抜けてる。時代劇ホームドラマ的なお話。気楽に読めるという点では及第点。
奥さんが第4巻目になる「利休の茶杓」を買ってきてたので、チラと読ませてもらったのが発端。なにやらシリーズモノということが判り、1話から読むほうがよかろうと、「利休の茶杓」は1話目で置いて、まずこの1作目「千両花嫁」から。個々の話に特段関係があるわけではな -
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フランシスコ・ザビエルの日本来航、そして石見銀山を狙うポルトガルの陰謀をテーマにした歴史長編です。
帯には「戦国史を根底から覆す驚天動地の歴史活劇」と有ります。しかし、出だしの衝撃「シャビエル(ザビエル)神父は嘘つきなれば、その言葉信ずるべからず」に対し、むしろ前半は何処か淡々と歴史の沿って話は進みます。もちろんザビエル神父は(排他的なところはあるにせよ)清廉潔白ですし。そして終盤、何だか急ぐかの様に一気に話が展開します。
それまで顔は出していたものの、さほど重要そうでもなかった海賊・王直が主要人物として躍り出るのですが、どうもその人物像が何だか納得できないのです。複雑な人物像なのですが、そ