あらすじ
時は慶長五年九月十五日。昨夜来の雨は上がれど、濃霧が立ちこめる関ヶ原。一大決戦の秋を迎えていた。未明、小早川秀秋の裏切りの気配を伝える密使が石田三成の下にやって来る。三成は裏切りに備え、万全を期す。一方、徳川家康は、豊臣恩顧の福島正則らの動向に不安を募らせる。東西両軍、命運を賭けた戦いの火蓋が切って落とされた! 日本史上最大、関ヶ原の合戦。その長い一日を描く戦国巨編。
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Posted by ブクログ
関ヶ原小説の中で、間違いなく秀逸な作品だと思う。
巨匠二人(阿部龍太郎、葉室麟)の解説が、全て表していると思う。阿部さんの解説にある"時間と空間を自在に移し....."、は、平面である書の紙面に奥行きを感じて読んでいた感覚に重なるところであり、とても共感するところがあった。
現代に生きる自分として、松野主馬の心情に、思いが重なるところがある。
歴史小説ファンとして、あらためて著者の早逝は残念に思う。
Posted by ブクログ
関ヶ原に流れる時間を、東軍西軍双方の武将が描き出していく。
一つの出来事を様々な人物から描き出す「決戦」シリーズとはまた違い、大変、良かった!
Posted by ブクログ
小早川が最初から裏切るだろうことが予測されているという展開が特徴的かな。
複数の視点から、関ヶ原の一日を描くのは良い試みだと思います。
結構、裏エピソードみたいな感じのシーンが多かったですしね。
ただ、もうちょっと視点を減らしてもよかったのではないかという気がします。
なんというか、視点の切り替えが慌ただしい印象のところがあったので。
Posted by ブクログ
司馬遼太郎の『関ヶ原』が、そこに至るまでの経緯も著しているのに対し、この作品は関ヶ原の戦いそのものを、それぞれの武将の視点で描いている。
石田三成から、徳川家康、黒田長政、福島正則、宇喜多秀家、大谷吉継、島左近、等々、名だたる武将ばかりでなく、土肥市太郎、松野重元、明石全登等々、一般にはあまり知られていない武将の活躍も描き、多角的な臨場感溢れる「関ヶ原」となっている。
著者の、センテンスを短くした気迫あふれた筆運びにより、読み手もその場に恰も居合わすかのような興奮を禁じ得ない。読み終わってからも、闘いの興奮が冷めやらず、その余韻に浸りながら、読書の醍醐味に満足した。