山本兼一のレビュー一覧

  • 火天(かてん)の城

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    渋いところに着眼点。
    城を築く大工たちが主人公。
    渋い。でも最後まで読ませてくれる。

    2021.12.25
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    2021年12月25日
  • 赤絵そうめん とびきり屋見立て帖

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    幕末の京都で道具屋〈とびきり屋〉を営む真之介・ゆず夫婦が目利きと機転で様々な困難を乗り越えるシリーズ第三作。

    今回は赤絵の巻。
    食欲のない孫のため、孫が好きな赤絵の鉢でそうめんを食べさせたいと願う大店の隠居。
    五十鉢もの万暦赤絵買付を巡っての横槍と駆け引きの顛末。
    泣き唐子の夢から始まる、赤絵の鉢が繋ぐ不思議な商い話。
    など、六話。

    いまだゆずに未練を抱く若宗匠の意外な一面を知る一方で、相変わらずの嫌がらせもある。
    しかし今回もゆずのアイデアで乗り切る。これで若宗匠も一応の区切りは付いただろうか。
    ゆずの父で真之介の元主人、老舗道具屋の店主・善右衛門もやっと商人としての真之介を認めてくれた

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    2021年09月07日
  • 利休にたずねよ

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    利休の切腹という重いテーマと、時間が逆回しということで読み終わるまで長い時間が掛かってしまった。
    何を利休に尋ねるのか、読む人によって違うように思う。私の場合は利休が肌身離さず持っている「緑釉の香合」の秘密のように思う。また、秀吉が欲しいと言った香合を拒否して溝が深まったように書かれている。切腹を免れるためには、香合を渡すしかなさそうであり、それは耐えられないのだろう。
    敵味方が入り乱れて利休とのエピソードが語られ、美に対する利休の孤高の姿が峻厳に描かれていて息苦しさも感じてしまった。

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    2021年09月03日
  • 信長死すべし

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    本能寺の変をいわゆる朝廷黒幕説を根拠に描いている。
    武田が滅んだ後から物語が始まる。
    天皇、近衛そして光秀など歴史上有名な描写を切り取りつつ変までの数ヶ月を時系列に群像劇のように展開している。心理描写が巧み。

    今の世の中は情報過多でSNSであっという間に情報が拡散する。それに比べ戦国時代は全て人の手により物事が動く。情報の持つ意味とかよくよく考えさせる。

    ただ、この小説信長も当然出てくるが明らかな油断としか言いようのない、あるいは全然違うことを思考しての落とし穴に気付いていない間抜けさがありそこが残念だ。

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    2021年08月31日
  • ええもんひとつ とびきり屋見立て帖

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    ゆずと真之介の馴れ初めから自分の店を持つ事になった理由、その店での商いの基本となる考え方などが描かれた一冊。
    道具が10個あればその内の「ええもんひとつ」を手元に残し残りの9個で生計を立てる。
    いつもええもんを見て目を肥しておけばくだらない物を買って失敗することはないという部分に大いに納得させられた。
    願い事を言う前にお礼を述べるというゆずの習慣にもハッとさせられた。

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    2021年08月18日
  • 利休の茶杓 とびきり屋見立て帖

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    2021年5月3日
    よくある人物設定、既視感のある場面が多い。
    蘊蓄いろいろ。物知りなのね。
    芹沢や若茶人のイヤらしさにはらはらした。さりげなく回避する知恵や言葉は面白かった。
    他の人の感想を読んで初めて知った。「利休に尋ねよ」の作者だったのね。
    時代小説で一番衝撃を受けた本でした。あのワクワクは半端なかった。
    失礼しました。
    さすがの文体、さすがの蘊蓄です。

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    2021年05月04日
  • 火天(かてん)の城

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    幻の城、安土城を建設した棟梁親子とお城の運命は…

    織田信長が命じて築城させた、当時の日本では稀有な欧州風天守を備えた高層城は完成後六年余りで焼失し未だに材料調達や建築方法、112トンの蛇石と言われる巨石の存在等謎の多い安土城を信長に遣えた大工棟梁親子の目線で波乱万丈な信長、安土城を追ったフィクションです。

    1576年に信長命により3年以内に巨大な7重層の城の建設に挑む宮大工棟梁と弟子である息子はお互いの職人としての面子に拘り同じ目標に向かってるにも関わらず噛み合わないまま日が過ぎて行くが事故や怪我、敵の妨害等で次第に結束が高まって行き様々な苦労や犠牲を払って遂に城は完成する。

    その3年後

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    2021年05月02日
  • 信長死すべし

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    朝廷黒幕説で本能寺の変前後を描く時代小説。それぞれの立場での心理戦を詳らかにし、ワクワク・ドキドキさせてくれる。本能寺の変関連は歴史的資料もほぼなく、いくらでも妄想・推論で語れてしまうので、色々な解釈があって面白い。故著者のストーリーも楽しませてもらえました。

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    2020年01月09日
  • 命もいらず名もいらず 上 幕末篇

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    幕末を幕臣サイドの視点で描いた小説を読むことはなかったので新鮮だ。勝海舟でさえ、氏を主人公に据えた著作は読んでないし。山岡鉄舟はとてつもなく豪儀で一本気な漢として描かれる。やると決めたらひたすら徹する鬼鉄さん。融通も何もありゃしないが、頭を冷やせば素直に詫びるし、己の負けをも認める。と聞けば立派なれども、ときに色道修行だの色情哲学だのと廓通いに明け暮れ、家財一式、着物も布団も売りつくし、あげく、女房は栄養不足で乳が出ずに最初の子が亡くなるって、それだけでヒトとして零点だと思ったりするのよ。さて、剣術では浅利又七郎なる達人に打ちのめされ、さらなる求道心に火がついた。この負けん気の権化、明治の世で

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    2019年12月18日
  • 白鷹伝 戦国秘録

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    ネタバレ

    浅井長政、信長、秀吉、家康に使えた鷹匠小林家次(家鷹)のはなし。
    からくつわ、と呼ばれる白い鷹を捕まえ、飼い慣らせ、信長に天下一の鷹匠と呼ばせしめたほどの鷹師だ。明治維新をくぐり、現在までその子孫は繋がっているという。
    家鷹は、信長の敵にまわらざるをえなかったお市の方を何度も救い、本書では、お互いに恋心があったようにかかれている。それもおもしろいかきかただった。

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    2019年11月10日
  • 花鳥の夢

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    ネタバレ

    狩野永徳の話。永徳は絵を見るときに音を聴くように心掛けている。よく描けている絵からは音が聞き取れる。風の音が心地よい深山幽谷、水音のとどろく瀑布、軽やかな流水の瀬音、鳥のさえずり、草木のそよぎ、哄笑が響き渡りそうな禅僧のたたずまい、研ぎ澄まされた静寂が耳を清めてくれる仏たち。良い絵からは、どれもはっきりと清らかな音が聴き取れるという。
    永徳は、現物を可能な限り模写して粉本として手元に置き、必要な都度参考にして、絵を描いた。観念で描くのではなく、鳥にしろ、町にしろ、現物を、そのものの持つ生命力、躍動感を大切にした。
    洛中洛外図を描き始めるに当たっても、己の目でその通りに何があるか確かめ、その上で

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    2019年10月04日
  • 修羅走る 関ヶ原

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    小早川が最初から裏切るだろうことが予測されているという展開が特徴的かな。
    複数の視点から、関ヶ原の一日を描くのは良い試みだと思います。
    結構、裏エピソードみたいな感じのシーンが多かったですしね。
    ただ、もうちょっと視点を減らしてもよかったのではないかという気がします。
    なんというか、視点の切り替えが慌ただしい印象のところがあったので。

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    2018年03月19日
  • 命もいらず名もいらず 上 幕末篇

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    侍の精神は、理解し難いところもあるけど、見習いたいところもあり。
    幕末は、いつ読んでも大変そうです。

    この時代の、普通の人たちの暮らしがどんなだったか気になります。

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    2017年12月20日
  • ええもんひとつ とびきり屋見立て帖

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    連作短編6編
    幕末の京都の緊迫感が,どこかのんびりしたようなとびきり屋夫婦の雰囲気で包まれている.古道具の蘊蓄が面白い.

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    2017年06月02日
  • 信長死すべし

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    お話の中心となる人物が一章ごとに変わるんで、本能寺の変っていうひとつの出来事をいろんな角度から見られるのは面白かったかな。
    ただ、まぁ キモとなっているのが朕だの麿だのだからかな~ 勢い良く読破って感じでは頁が捲れない。
    で、まったり速度で読んでると、お武家さんがたのスピードに置いてかれちゃいそうになる。
    「置いてかれた」と言えば、最後の最後。
    明智さんとシンクロできる豊かな感性を持ち合わせていれば、余韻が楽しめるかもしれんけど私には無理やったです。
    ぃやぁ 現代に生きている私でさえそんな感じなんだも、当時の殿上の方々には尚更、信長さんの急進っぷりったら脅威やったやろなぁ。

    それにしても本能

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    2017年05月08日
  • 花鳥の夢

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    江戸時代の絵師・狩野永徳。狩野派の工房を背負う葛藤と苦悩。そして描くことへの喜び。

    等伯への激しいライバル心と嫉妬心。自由に描きたいと思いつつも、伝承され続けてきた狩野派としての基礎は崩せないし、責任もある。まったく共感できない人ではあるけれど、絵にとらわれていたのか、絵を自分のものにしていたのか、苦悩に充ち満ちていたんだろうなと、ある意味気の毒になってしまった。
    それにしても火事や戦乱の多い時代。どれだけの宝が燃えてしまったことか。もしも永徳の作品がもっと残っていたら、永徳は狩野派以上の絵師として、後年は祖父、曾祖父以上にもっと評価されていたのかもしれないな。

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    2017年02月25日
  • 赤絵そうめん とびきり屋見立て帖

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    幕末の京都で道具屋「とびきり屋」を営む若夫婦・真之介とゆず。ある日、坂本龍馬から赤絵の鉢の商いを持ちかけられるのだが…。真之介の秘策の冴えわたる表題作、若宗匠からある大事な品を取り返すために夫婦で奮闘する「うつろ花」ほか、珠玉の6編を収録。京商人の心意気に胸躍る人気シリーズ第3弾。

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    2016年07月29日
  • ええもんひとつ とびきり屋見立て帖

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    名代の茶道具屋の愛娘だったゆずは店の奉公人だった真之介と出奔、幕末の京都で道具屋「とびきり屋」を営んでいる。二人にわかるのは道具のことだけ。でもその「見立て」力で、龍馬や桂小五郎らと渡り合い、動乱の京を生き抜いていく。若い夫婦の成長を軸に、京商人の心意気を描いた大人気シリーズ第2弾。

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    2016年07月09日
  • 千両花嫁 とびきり屋見立て帖

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    京で屈指の茶道具屋の娘・ゆずと奉公人の真之介は、駆け落ち同然で夫婦となり、道具屋「とびきり屋」を三条木屋町に開く。そこでは近藤や芹沢、龍馬がお客にやって来ては、騒動が起こり…。混乱する幕末の京を舞台に、“見立て”と“度胸”で難題を乗り切ってゆく夫婦を描く「はんなり」系痛快時代小説。

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    2016年07月06日
  • 千両花嫁 とびきり屋見立て帖

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    幕末の京都で、とびきり屋という道具屋を営んでいる夫婦の話。
    駆け落ち同然で夫婦になった二人。
    初々しい二人にほっこりとします。

    とびきり屋に来るお客の侍や志士が、幕末で活躍したあの人やこの人で、そこも面白く読ませてもらいました。
    シリーズ物なのですが、次をどうするか悩む所です。

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    2016年04月27日