山本兼一のレビュー一覧
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『利休にたづねよ』で山本兼一氏の作品を知り、どっぷりハマってしまった。『花鳥の夢』で本編の主人公岡部又右衛門が登場したのをきっかけに、本書を手に取った。
戦国時代の城が建つ背景がよく分かる一冊。職人気質でこれぞプロフェッショナルという魅力的な人物が多々登場し、職人の心意気のようなものが感じられ、仕事とは何かを改めて考えさせられた。
リズムよく話が展開し、章ごとに視点が変化し読書を飽きさせず、目まぐるしく時代が変化した戦国時代の話であることも相まって躍動感に溢れおり、グイグイとストーリーに引き込まれた。さすが松本清張賞受賞作品。
とびきり家シリーズもこれからの面白そうな展開になりそうだった -
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ネタバレ鉄砲鍛冶の一貫斎は、何事にも理屈、道理があると信じており、技術を学び、よい道具をつくって世の人々を幸せにすることを目標にして生きている。
夢をまことにするのが一貫斎の仕事だ。
失敗するから成功する。失敗には原因があり、それを見つけて改めれば成功すると確信している。そして成功とは、それを信じて努力を重ねた人だけが手に入れられる。人間は求めたものしか手に入らない。逆に求めていればすぐには無理でもいつかは必ず手に入る。大切なのはずっと求め続ける事だ。棚からぼた餅が落ちてくるように、怠け者が望むものを手に入れられるわけがない。人生は他人と同じ歩幅で歩かなくてもよい。自分で考え、自分の歩幅で歩けばよいの -
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安土桃山時代に活躍した、狩野永徳が主人公。
曽祖父の代に始まった狩野一門は、足利将軍家、織田信長、豊臣秀吉など、時の権力者に愛された御用絵師の家系だから、永徳は生まれながらにしての、絵師の家の棟梁。
小説の主人公としては、少し感情移入し難い立場の人物だ。
なぜならば、芸術家の一代記となるとどうしても、「カビの生えた伝統をぶち破る風雲児」…的なキャラクターが愛される。
狩野派といえば、そういったニューカマーに対してはどちらかと言えば「敵」の立ちはだかる壁側だからだ。
(実際に永徳は、長谷川等伯に発注された仕事を圧力を掛けて取り上げたりもしている)
しかし、有名な絵師の家といっても、いいかげん -
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ネタバレ狩野永徳を主人公にした小説。歴史にうといが、狩野派や永徳の活躍した時代のイメージがつかめた。もはや狩野家は大企業のような規模、永徳の悩みとかは大企業の幹部の悩みって感じかも。
資産や歴史、格式のある家の跡取りとして生まれた永徳。エリート意識も高いなかで、絵師として新しい画風を開拓したいという葛藤もあり、恵まれている環境に苦しめられもする。永徳と対照的に描かれる、等伯の人柄ととらわれない画風がさらにその悩みを際立てる。
男社会の描きかた、矜持との葛藤などがテーマのように思った。あまりそういうところと、絵画の技術的なところには実感を持たなかったので、少し文字が上滑りしたところがあった。
面白