夢枕獏のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
訳が分からなくて、後味が悪くて、怖い。
柔らかい家→結局どういう家なのかが分からない。そもそも世界が分からない。鯨が部屋を横断してたり、畳の中に蛇が住んでたり、人面魚が窓の外を泳いでたりする。最後は家に喰われたって事でいいのかな?
頭の中の湿った土→切なかった。意識だけ残ったりするのかも。記憶がなくなってもなんとなく懐かしくて、涙なんて出ないはずなのに泣く。
鳥葬の山→話自体はホラーっぽいんだけど、題材になってる鳥葬はチベットで未だに行われているもの。こっちからすると猟奇的な事も、信じるものが違うとただの日常になってしまう。
閑古鳥→ものすごい短編。百舌と閑古鳥の組み合わせにちょっとときめく。確かに人間で考えると大分怖いけど、MOZUはそれがテーマだものね、怖いわけだよ。
あやかし→記憶にない。
超高層ハンティング→いきなりのバトルファンタジー。普通にかっこいい。これで一本かけちゃいそうなのに短編にしちゃうの贅沢だな。どちらの正義もあってる。ストレイヤーズクロニクル感がすごい。
羊の宇宙→世界が全部パステルカラーみたいな可愛い話。羊飼いにとっては、羊が歩ける距離が世界の全てで、その外は宇宙になる。ビー玉みたいな、ささやかで優しい世界だった。
渓流師→魚を通して悟るっていう、カフカの構造とほぼ同じ。最後に人が来る所だけが違う。
-
Posted by ブクログ
不死者の物語というのには、多かれ少なかれ悲哀と淫靡の色が必須なのだと心のどこかで信じていた。『吸血鬼ドラキュラ』、『ポーの一族』、『夜明けのバンパイア』。質的な差さえあれ、それらはいずれも奇妙な美によって成り立つ物語である。
さて、それではこの『黒塚』はどうか?ぼくには何故かその不死者の物語に必須だと思っていた悲哀の色が薄いと感じられた。もちろん、永遠を生きる女との約束という通常の時間を超えるテーマがあることでこれもまた不死者の物語にはちがいないのだが……。そして、物語終焉近くで明かされる血の由来こそ、その悲哀のおおもとにはちがいないのだが……。それでも薄いと感じるのはこの物語の主人公であるクロウが迷ってはいないからであろう。疑問には思えど迷いはしないと言ったほうがよいか?約束こそがすべてだと信じる強さのもとでは、永遠に近い時の流れなど何するほどのものがないことなのか?人が手にするには、永遠とは長すぎる時間だと思うのだが……。アクション的要素の濃い後半よりも、あの「頭の中の湿った土」にも通じそうな二幕あたりがぼくとしては好みである。 -
Posted by ブクログ
今更説明も不要であろうシリーズ第4巻。いや、このあいだの『生成り姫』を入れると5巻目ということか。長編もよいのだが、やはりこの晴明のシリーズは短編がよい。舐めるように読ませていただいた。晴明いうところの「呪(しゅ)」というものは、つまるところ人の業にかかわることなのだな、と思う。いや、人である、ということがそもそも業であるにはちがいない。情けなく、つらく、また暗く燃える炎のような業である。しかしながら、人である我らがこの物語の中に、我もまた人である、すなわち業を背負う者である、ということを見出すことにこそあわれがあるのであろう。いや、柄にもなく小難しいことを書いてしまった。しかし、この短編集を読むとき、きっと他の方々もぼくが思うようなことを思いながら読んでおられるにちがいないと信じる。
ちなみにこの集のうちのもっとも気に入りは「月見草」の一編。壬生忠見の<恋すてふ>の件もそうだが、詩歌がテーマであれば、趣もまたいっそう深いものに感じられるのである。 -
Posted by ブクログ
陰陽師シリーズ初長編。ストーリーとしては「付喪神ノ巻」に収録されている「鉄輪」という短編を長編化したものということになる。このように同じ物語の長短を改めることに、うなずけるところもあればそうではないところもあるのだが、まあそれは置こう。いつもは短編のひとつひとつをなめるようにして読んでいる安部晴明のこのシリーズを、心ゆくまで読むことができたのだから。
そして何よりうれしいのは、この編が晴明の物語であるのと同じくらい、いやそれ以上に源博雅の物語であることだ。この編、主人公は博雅といってよいであろう。夢枕獏の物語にはこうした朴訥な男が数多く登場するが、博雅はそのなかでもとりわけ純粋なのだろう。陰陽師シリーズは、その性格上、人という生き物の持っている業をかなり正面から扱うことも多いのであるが、そのもの哀しさは博雅によってこそ救われている。ある意味、晴明よりも不可思議な男であると思う。 -
Posted by ブクログ
《それは、楽しみでござります……》(p.82)
〔Ⅰ〕この作品の光の君は茫洋としてしかし非情なところもある大物でただの女好きではない。
〔Ⅱ〕葵の上に憑いた六条御息所の生き霊を蘆屋道満が祓おうとするがその背後にさらに何かがおりその正体を当てなければ出ていってくれそうにないので光の君、道満コンビが探索を始める。
〔Ⅲ〕光の君のキャラクタは楽しかった。この話の後にも性格が変わっていなかったら続編あってもいいかも。今度は安倍晴明と共演させたりして。蘆屋道満は『陰陽師』での方が印象が強かった。案内役という役割を振られたからやろうか。
■簡単な単語集
【葵の上】光の君の妻。四歳年上。十二歳のとき妻にした。なにかに憑かれている。
【蘆屋道満】法師陰陽師。秦氏の血を引いており秦道満と呼ばれることもある。葵の上に憑いたものを祓うため光の君に雇われた。《人の不幸が好きでな。わしは、人の心を啖うて生きておる。》p.62
【景教/けいきょう】キリスト教ネストリウス派のことだそうだ。
【源氏物語】僕も完読(?)は『あさきゆめみし』でした。あと中村眞一郎さんの訳が集英社・コンパクトブックス一冊だけなのでそれで読みました。
【隠祝/こもりはふり】大酒の神に仕える神職の一つ。裏の仕事をするようだ。
【惟光】光の君の部下。
【太秦寺】今ではふつう広隆寺と呼ぶことが多い寺のことと思われる。蜂岡寺とも呼ぶ? 弥勒菩薩像が有名。
【天一神/なかがみ】百鬼夜行の中心にいた。
【頭中将】光の君の友人。葵の上の同腹の兄妹。
【夏焼太夫/なつやぎたゆう】軽業師。口上の五十男、虫麻呂、鼓の少女、青虫と組んでいる。
【忍海/にんかい】蜂岡寺の座主。
【光の君/ひかるのきみ】光源氏。菩薩眼(見えざるものを見ることのできる眼)と龍顔(天子の相)を持つ。茫洋として動じないタイプ。《それは、楽しみでござります……》(p.82)。六条御息所《あなたは、心より女を愛しいと想うたことなど、これまでにただの一度もないお方です》(p.93)。《人の道を、踏み外しそうで……》p.179
【御息所】六条御息所。光の君の恋人の一人。斎宮の母。斎王代禊の儀で葵の上の車に酷い目にあわされた。有名な生き霊。
【夕顔】光の君のせいでこの世ならざる何かに遭遇させられ死んだ経験あり。 -
購入済み
深町と女の描き方
私は小説原作を読んでないのですが、深町の元カノへの対し方はほぼストーカーですよね?小説の書かれた時代の限界なのかもしれませんが、おじさんが読んでいても気持ち悪いです。ハッキリいって元カノの存在は不要ですよね?と、私は思いますが?バクの弱点?
-
Posted by ブクログ
バキ外伝小説の「ゆうえんち」のコミカライズ8巻。
神野と柳の決着。龍金剛お披露目。
技や経験もさることながら、闘争の中で生まれる愉悦に対する執念で神野を上回った柳の勝利。あの手この手で柳を出し抜き勝利を得ようとした神野の思考は、間違ってはいないはずですが、その先にある快楽に耽溺する狂気の差で敗北したのかなぁ。
そういう意味ではマスター国松は、強者なんだと思います。本当に、あの人は登場するたびに人外であることの気持ち悪さを更新してゆきます。
そんな愉悦とは無縁であるかのような鉄面皮で、「ゆうえんち」での勝利を手にした元横綱・龍金剛。
彼が力剛山を襲ったのは、古からの因縁ということでよかったのだっけ?小説は読んだのだけど、このシーンが後の伏線になるとは思っていなかったので、記憶が薄い。