夢枕獏のレビュー一覧

  • 陰陽師 7巻

    Posted by ブクログ

    今回は、「菅公 女房歌合わせを賭けて囲碁に敵らむ」の一話が収録されています。

    冒頭では、晴明の屋敷に雷が落ちたというエピソードを、真葛が碁によって雷神となった菅公を捕らえるという話に仕立てています。そこへ、内裏歌合わせで歌を詠む講師の役目を務めることになった博雅が登場して、歌合わせを舞台に物語がすすんでいくことになります。

    「こいすてふ」の歌で敗れた壬生忠見をみずからの眷属にしようとたくらむ菅公は、晴明の屋敷で真葛と碁を打つことになり、同時に二人の口から魂と魄について解説がなされています。晴明をめぐるさまざまなエピソードを巧みに配置しながら、キャラクターの魅力を読者に伝えるストーリーに構築

    0
    2019年03月30日
  • 陰陽師 6巻

    Posted by ブクログ

    「桃園の柱の穴より児の手の人を招くこと」では、陰陽五行にかんする知識を晴明が博雅に語るというかたちではじまります。ただ、この冒頭の部分がなくても、物語をたのしむのに差支えはなく、おもしろく読むことができました。

    「源博雅 朱雀の門の前に遊びて鬼の笛を得ること」は、博雅が自身のもつ笛を、童子の「葉二」という笛と交換するエピソードに、三条の堀川橋に現われる妖しげな女をめぐる謎を晴明が解決にみちびく物語を絡めたストーリーで、シンプルに平安時代を舞台にとった本作の世界観を堪能できる内容になっています。

    0
    2019年03月30日
  • 陰陽師 5巻

    Posted by ブクログ

    「博雅朝臣 宣耀殿の御遊にて背より玄象の離れなくなること」は、玄象のコミカルな語りと、困惑する博雅がおもしろく読めました。

    「露と答へて」は、藤原兼通・兼家の権力争いのエピソードと、晴明に方術比べをいどんだ法師のエピソードを絡めた物語です。

    真葛も、しだいに博雅に心を開くようになってきたこともあって、今後のストーリーのなかでどのように彼らの関係が動いていくのかたのしみです。

    0
    2019年03月30日
  • 陰陽師 4巻

    Posted by ブクログ

    「蟇」と「白比丘尼」の二話を収録しています。

    「蟇」は、晴明と博雅が過去にわたり、応天門を焼いた罪で流罪となった伴善男の運命を知ることになる話です。

    「白比丘尼」は人魚の肉を食べたために、永遠の命を手に入れることになった女と晴明の三十年にわたる約束をめぐる話です。原作にもおなじ主題をあつかった話がありましたが、本作のほうが悲劇性が強いストーリーになっているように感じました。

    0
    2019年03月30日
  • 陰陽師 3巻

    Posted by ブクログ

    「黒川主」と「鬼やらい」の二話を収録しています。

    「黒川主」は原作に近い内容です。「鬼やらい」は、博雅と玄象および祐姫がふたたび出会うことで、物語がはじまります。鬼を祓う追儺の儀式で大舎人が務める「方相氏」の役目を担う人びとが次々に病にかかり、殿上人であるはずの博雅が代役を果たすことになります。祐姫が現われて、シリアスな展開になりそうなところなのですが、博雅のコミカルさが強く押し出されていて、たのしめます。

    0
    2019年03月30日
  • 陰陽師 2巻

    Posted by ブクログ

    第2巻は、「鬼のみちゆき」と「天邪鬼」の2話が収録されています。

    「天邪鬼」は原作の内容を踏襲していますが、「鬼のみちゆき」は平安京を設計した藤原基経の意図によって都に呪が張り巡らされていたことが晴明によって語られ、また都の人びとを震撼させていた菅原道真の霊との対決のシーンが含まれるなど、コミック版にオリジナルの展開もあります。

    0
    2019年03月29日
  • 陰陽師 1巻

    Posted by ブクログ

    安倍晴明が、賀茂忠行の弟子として陰陽道を学びはじめたころをえがいた「安倍晴明 忠行に随ひて道を習ふこと」、帝のもとから盗まれた琵琶をとり返す「玄象といふ琵琶 鬼のために盗られること」、口のない女が現われるという事件を晴明が解決する「梔子の女」の三話が収録されています。

    この巻は、ほぼ夢枕獏の原作にそくした内容です。小説のほうがキャラクター性の強い人物造形になっているのに対して、本作では晴明の表情に神秘的な雰囲気が感じられるような気がします。

    0
    2019年03月29日
  • 陰陽師 太極ノ巻

    Posted by ブクログ

    シリーズ第7弾。

    今回も、「虫愛づる姫君」の露子が登場します。平安時代を舞台にとった小説では、女性たちが現代の小説のようなしかたで活躍することがむずかしいと思うのですが、本書の露子のキャラクターには、そうした制限を越え出ていく痛快さが感じられます。エンターテインメント小説としては、成功といってよいのではないでしょうか。

    女性キャラクターは多く登場しないものの、それを補って余りある晴明と博雅の色気を感じさせる会話も、おもしろく読みました。

    0
    2019年03月13日
  • 陰陽師 龍笛ノ巻

    Posted by ブクログ

    文庫版シリーズ第6弾。今回はふたたび短編集となります。

    今回は、『堤中納言物語』の「虫愛づる姫君」をもとにした話が含まれています。幻想性が感じられる美しい締めくくりのシーンが印象的でした。

    0
    2019年03月12日
  • 陰陽師 生成り姫

    Posted by ブクログ

    文庫版ではシリーズ第5弾となります。今回はシリーズ初の長編です。

    博雅は、かつて彼の吹く笛の音を聞いて彼のもとにやってきてた姫と、十二年ぶりに再会することになります。彼女は、博雅に助けを求めますが、博雅には彼女の真意が理解できません。

    一方晴明は、藤原斉時と彼が懇意にしている女性に対して、何者かが呪詛をおこなっていることを知ります。やがてそれが、博雅の前に姿を見せた姫だったことが明らかになりますが、嫉妬のために鬼になろうとする姫を、博雅は止めることができません。

    博雅が姫に呼びかける最後の会話は、現代を舞台にした小説ではくどいと感じてしまうところを、時代がかったセリフまわしのためか歌舞伎

    0
    2019年03月12日
  • 陰陽師 鳳凰ノ巻

    Posted by ブクログ

    シリーズ第3弾。

    今回は、村上天皇の御意により、晴明と道満が宮中で方術比べをおこなった出来事があつかわれ、名を晴明が取り、実を道満が取るという取引があったというオチがつけられています。

    人の世から離れようとして離れられずにいる道満のキャラクターが、かなり明確になってきたように感じます。一方晴明のほうはそれほど単純ではなく、物語を通してさらに掘り下げられていく余地があるようにも感じられるので、その点でもつづきを読むのをたのしみにしています。

    0
    2019年03月12日
  • 陰陽師 付喪神ノ巻

    Posted by ブクログ

    シリーズ第3弾。

    今回はいよいよ、晴明のライヴァルである蘆屋道満が登場します。といっても、飄々とした性格の晴明と、食えない老人の道満の対決なので、正面切ってのバトルになることはなく、おたがいに相手の出方をうかがいながら力を試すような駆け引きがくり広げられます。

    博雅の熱いキャラクターとの対照が利いていて、おもしろく読めました。

    0
    2019年03月11日
  • 陰陽師 飛天ノ巻

    Posted by ブクログ

    シリーズ第2弾。前巻に引きつづき、安倍晴明と源博雅のコンビが、平安京を舞台に奇妙な事件を解決にみちびいていく物語です。

    前巻もそうでしたが、陰陽師の安倍晴明を主人公にしているものの、過剰にオカルティックな雰囲気に偏るなく、比較的あっさりとした読後感の短編で構成されています。こういうライト・テイストの作品も嫌いではないのですが、もうすこし冒険してみてもいいのではないかという気持ちもあります。

    0
    2019年03月10日
  • 陰陽師 鳳凰ノ巻

    Posted by ブクログ

    安定の面白さ♪
    芦屋道満のキャラが好きなので、道満が絡んでくるお話が多いと嬉しくなります。
    「晴明、道満と覆物の中身を占うこと」は結末が子気味良くてかなりのお気に入りです。
    あとは「青鬼の背に乗りたる男の譚」がちょっと怖いけど好きかなぁ。

    0
    2019年02月11日
  • 獅子の門7 人狼編

    Posted by ブクログ

    新キャラ鹿久間源が色々かき乱しています。話に動きを出して行く意図だと思うんですが、幾分少年漫画的な部分があります。元々少年漫画的な所はありますが、わびさびの部分が減ってきたのがちょっと悲しいです。
    強くなりたいと、泣きながらサンドバックを蹴り、泥を捏ねるようにスクワットを繰り返すような実直な描写が熱かったんですけどね。
    次巻で完結とは思えない展開なんですが、ちゃんと落とし前付けてくれるのでしょうか。そこが心配。
    でもわくわくして読んでいるのは変わらないです。

    0
    2019年01月23日
  • 獅子の門6 雲竜編

    Posted by ブクログ

    芥VS志村は普通の展開にはならないであろうとは思ったけれど、なるほどそういう展開になるか。ある意味納得。
    登場人物をこれ以上増やさないでじっくり掘り下げて欲しいというのが希望です。最後にニューキャラが・・・。完結までもう冊数ないのでちょっと不安。

    0
    2019年01月17日
  • 陰陽師 飛天ノ巻

    Posted by ブクログ

    陰陽師シリーズ、弟にオススメしたところはまって色々話のネタにして来るので、私もまた読み返しています。
    これはシリーズ2作目。
    史料に基づく源博雅の出自が紹介されていたり、『伊勢物語』の一場面が出て来たりと、何度読んでも読み応えのある一冊だなと思います。
    個人的には「陀羅尼仙」と「桃薗の〜」がお気に入りです。

    0
    2019年01月13日
  • 獅子の門6 雲竜編

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    前巻から引き続き武林館トーナメント。
    CDブロックから勝ち上がってきた志村と芥の闘い。
    試合場の外では久我と羽柴の一触即発は邪魔が入って延期。
    完全燃焼の4人と悔いが残る竹智。
    鹿久間と鬼頭のニューキャラ登場。
    鳴海と麻生の対戦
    鹿久間に敗れる久我伊吉

    闘いの表現は上手いもんだと思うが、さすがに食傷してきた。
    そこで新たなキャラを投入。餓狼伝でもおなじみな手法。
    中だるみを感じてしまう。

    0
    2018年11月18日
  • 陰陽師 太極ノ巻

    Posted by ブクログ

    いつも通り、どこかで聞いた話ばかり。(^^;
    ま、オーソドックスな奇談が骨格になっていますからね。
    キャラクターのやりとりが楽しめれば、それで良しというシリーズじゃないかと思います。(^^;
    今回は「棗坊主」が良かったかな。

    0
    2018年11月12日
  • 新・餓狼伝 巻ノ一 秘伝菊式編

    Posted by ブクログ

    プロレスの良さを実感する一冊でした。
    こうじゃなきゃね、やっぱり。(^^;
    夢枕は格闘技より、プロレスの方が、物語的に好きなんだろうなぁ。

    0
    2018年11月12日