あらすじ
土日返上で働きづくめの夏木は、思い切って二週間の休暇をひねりだし、チベットに出かけた。ラサの町で、ハゲワシに人間の死体を処理させる鳥葬を見て圧倒されたが、帰国後、夜毎の夢に現れる奇怪な光景の謎は? 表題作ほか、読むほどに怖くなる「頭の中の湿った土」に「閑古鳥(かっこう)」、爽やかな驚きがあなたを襲う「羊の宇宙」、超能力の持ち主同士の見えない闘いを描く「超高層ハンティング」など、夢枕ワールドを満喫できる、大満足の短篇集!
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Posted by ブクログ
作者本人もあとがきで「どこかなんとも言えない不思議な味が残る話が何篇かある。」述べているように、その不思議な世界へ入っていってしまいそうな怖さを短編ながら感じる。解説で中島らも氏が大好きだといっている短編が私も同じように好きです。表紙の絵も気持ち悪いが優しいタッチで描かれていていい感じです。
Posted by ブクログ
すごい世界観の短編がいくつも。文体は本来の私の好みからいうと苦手なはずなんだけど、それを凌ぐ魅力があった。幻想的で恐くて、フィルムが傷んだ昔の映画を観ている感覚というか。
「やわらかい家」「鳥葬の山」「あやかし」が中でも面白かった。
Posted by ブクログ
通勤時に電車内で読んでたのだけど、これはすごくぶっ飛ぶ。夢枕世界に引き込まれすぎて危うく何度か電車乗り過ごしそうになった。
タイトルに書いてある「鳥葬」はやはり衝撃的。死体を解体したりしなかったり、宗教によって違うそうだ。途中、親族が葬儀に来ないのはどうなのだろうと思ったけど、その解釈を見た瞬間すごく納得。ま、それでも「解体屋やれ」と言われたら100%「だが断る」だけどね。
そして「頭の中の湿った土」は、これまた最近読んだ『腐りゆく天使』にまったく同じ文章があったからコピペかと驚いたw ただ途中からそれぞれ別の物語に繋がっていくのだけど、違う本に2回も出てくるくらいだから、すごく思い入れの強い物語だったんだろうな。
いずれにせよ、どの短編もすごく面白くて夢枕獏にしばらくハマってしまいそう。文章に中毒性のある作家さんだ。
Posted by ブクログ
短編集ですけれども、本当に濃縮された夢枕ワールドを楽しむことが出来ます。
私はこの、濃密な文体と、言葉の力で宇宙の真実に迫ろうとする筆致が大好きです。
そして、闇とエロスをまとわりつかせた様な怪談?風なお話も好きだし。
ちょっとバイオレンスな所も夢枕ちっくでいいし。
とにかくあらゆるジャンルに手を伸ばして、それぞれで成功を収めている夢枕獏ワールドを、これでもかというほどに楽しめます。
Posted by ブクログ
これはオススメです。かなりおもしろかったです。ヒットですな。表題作もさることながら、他のもかなりきてます。怖いよ。オソロシイよ。かなりチカラ込めてお勧めします。
Posted by ブクログ
ちょっと怖い感じの雰囲気の短篇集です。表題の「鳥葬の山」は、具体的な鳥葬の表現が印象的です。(ちょっとグロテスクですが・・・)
どの短編も、非日常の世界に遊べて、非常に面白いので、現実を忘れたい人にはお勧めです!
Posted by ブクログ
何故か“鳥葬”という言葉がものすごく気になった時があって、
検索したらそのものずばり。を見つけました。
「ふいに、胸が、痛くなるような感覚が僕を襲った。
もうとっくに無くなっているはずの心臓が、柔らかなベルベットのリボンで、
優しくしぼりあげられるような傷み・・・」
この一文にやられてしまいました。
この人の内臓にくる感覚表現。
すごいです。
Posted by ブクログ
「夢枕獏」の短篇集『鳥葬の山』を読みました。
「夢枕獏」作品は6年前に読んだ『神々の山嶺』以来なので久しぶりですね。
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都内で小さなデザイン事務所を経営する「夏木」は、あくせく働く日常の代償に、二週間の休みをとり、チベットで過ごすことにした。
ラサの町でハゲワシに人間の死体を処理させる鳥葬を見ることができると聞き、「夏木」はその場に立ち会った。
以後、毎夜夢に現われる奇怪な光景の謎。
表題作以下、『羊の宇宙』『渓流師』『超高層ハンティング』等の「夢枕」ワールド八篇。
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おどろおどろしい作品から、SF作品、渓流釣りをテーマにしたドキュメンタリータッチの作品まで、バラエティ豊かな「夢枕獏」ワールドを体験できる8篇が収録されています。
■柔らかい家
■頭の中の湿った土
■鳥葬の山
■閑古鳥〈かっこう〉
■あやかし
■超高層ハンティング
■羊の宇宙
■渓流師
■あとがき
■解説―蚊屋と恐怖 中島らも
印象的だったのは、やはり『柔らかい家』、『頭の中の湿った土』、『鳥葬の山』、『閑古鳥〈かっこう〉』等の不気味な後味の残るおどろおどろしい作品ですね、、、
特に主人公の男が、夜道に迷い、たどり着いた山中の一軒家での恐怖体験を語る『柔らかい家』は、ホントに怖い… 奇妙な生き物が溢れ、家がひとつの生態系を成してるような世界観は圧巻でしたね。
怖いし、気味が悪く、悪夢のような作品ですが、「夢枕獏」の想像力の素晴らしさには感動を覚えましたね。
『鳥葬の山』の主題となっている鳥葬って、遺体をそのまま岩の上に放置して鳥に食べさせるものだと思っていたんですが、跡形もなく全てを鳥が食べ切り、この世から存在を消し去るために、料理で言うところの調理・仕込みにあたる、様々な手順を踏むということを初めて知りました… 凄惨なシーンですが、崇高な儀式なんでしょうね、、、
その後、チベットから日本に帰国してからの映画『鳥』のようなシーンも印象に残りましたね。
『羊の宇宙』は、カザフ族の少年が語る宇宙の心理に関する話の聞き役にまわっている老物学者が「アインシュタイン博士」だったというオチが印象的… 科学のことを、もっと良く知っていれば、何倍も愉しめたんじゃないかと思います、、、
それでも、なんだか解らないけど、科学のことがわかったような気分を味わえましたね。
Posted by ブクログ
中島らものエッセイから興味を持って読んだ一冊。
表題作もですが、巻頭のヤツが不気味でした(^_^;)
陰陽師とか他の作品は未読ですが、これに限って言えばあまり一人の夜中に読まない方がイイかと・・・
Posted by ブクログ
山ってタイトルだから登山系だと思って手にしたのに
よく読んだら鳥葬の〜・・・!?焦
かなりグロテスクな『柔らかい家』から始まり期待を裏切られる。
8篇の短編で成り立っていて、個人的に気に入ったのは
『頭の中の湿った土』と『羊の宇宙』。
夢枕さんは本当にいろんなジャンルの話が書ける人なのね。
どれをとっても独特の文体で夢枕流なのだけど。
『頭の中の湿った土』は山の中に埋められた自分が
(というか、殺されてるから、意識(魂?)だけ、なのだが)
なぜ殺されたかを一生懸命回想するという話。
ちょっと乙一の夏と花火と私の死体にアングルが似てるなと思った。
「宇宙は音楽に満ちている」
『羊の宇宙』は、老物理学者と羊飼いの少年の議論。