夢枕獏のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ根気がなくて2巻で早くもダレてきた私には、正直言ってこの3巻もだんだんと読むのがじれったくなってきていた。内容が水増しなのではないかと疑いさえしてきていた。
しかし、第26章の呪法宮の章を読んで、感動してしまった。一気に目が覚めたような気持ちになった。
空海と逸勢の「想いが人ならば、それは尽きることがない」という言葉に始まる問答を読んで、びっくりしたのである。
そこには、なぜ仏法があるのか、なぜ人は仏法を必要とするのか、というひとつの答えがあった。
そして私はその答えにとても納得したのである。
どうしてこんなに哀しいのか。この哀しみを、いったいどうして乗り越えればいいのか。
それを作中で空海が語っていたのだ。
「この天地の法である仏法を知ったからとて、人が永遠に生きられるわけではない」
「人は老い、死んでゆく。何ものもこの地上にとどまることはできない。哀しみも、天地の法を知ったからといって、消えるものではない。それを、(仏法で)はっきりと知ることによって、人は哀しみの前に立つことができる」
「哀しみすらも、輩(ともがら)として、それを受け止めることができるのだ」
「安心するがいい。哀しみすらも、永遠には続かない。それを知ることによって、人は、悲しみと共に立つことができるのだ」
なるほどなー、と思ったのである。
そして、胸が震えたのである。
やっぱり夢枕さんの仏教的世界観は、フィジカルでわかりやすい。 -
Posted by ブクログ
読み始めて思うのは、「唐が舞台の『陰陽師』」。
この本の空海と橘逸勢の関係が、『陰陽師』の安倍晴明と源博雅の関係にそっくりなのである。
しかし、橘逸勢は才能もプライドも人並み以上にある人物なので(ただ、空海が常識を逸した才能を持っているので、彼に比べると逸勢の才能がかすんでしまうのである)、そんな彼が空海に説明を求める際に「俺を騙すなよ」と念を押すのが面白い。
確かに空海の言うことは突飛すぎて(奇抜というわけではなく、物の考え方が「日常」を超越しているのだ)、聞いていると全く違う価値観に戸惑ってしまう。その面食らう感覚を「騙す」という逸勢の気持ちはよくわかる。
この逸勢の人物造詣がよくて、彼が空海と会話することによって、空海の物事のとらえ方を上手く説明しており、物語がテンポよく進んでいく。
1巻の時点では、まだまだ物語は序章というところ。
この二人に楊貴妃はいったいどう絡んでくるのかな?