《それは、楽しみでござります……》(p.82)
〔Ⅰ〕この作品の光の君は茫洋としてしかし非情なところもある大物でただの女好きではない。
〔Ⅱ〕葵の上に憑いた六条御息所の生き霊を蘆屋道満が祓おうとするがその背後にさらに何かがおりその正体を当てなければ出ていってくれそうにないので光の君、道満コンビが探索を始める。
〔Ⅲ〕光の君のキャラクタは楽しかった。この話の後にも性格が変わっていなかったら続編あってもいいかも。今度は安倍晴明と共演させたりして。蘆屋道満は『陰陽師』での方が印象が強かった。案内役という役割を振られたからやろうか。
■簡単な単語集
【葵の上】光の君の妻。四歳年上。十二歳のとき妻にした。なにかに憑かれている。
【蘆屋道満】法師陰陽師。秦氏の血を引いており秦道満と呼ばれることもある。葵の上に憑いたものを祓うため光の君に雇われた。《人の不幸が好きでな。わしは、人の心を啖うて生きておる。》p.62
【景教/けいきょう】キリスト教ネストリウス派のことだそうだ。
【源氏物語】僕も完読(?)は『あさきゆめみし』でした。あと中村眞一郎さんの訳が集英社・コンパクトブックス一冊だけなのでそれで読みました。
【隠祝/こもりはふり】大酒の神に仕える神職の一つ。裏の仕事をするようだ。
【惟光】光の君の部下。
【太秦寺】今ではふつう広隆寺と呼ぶことが多い寺のことと思われる。蜂岡寺とも呼ぶ? 弥勒菩薩像が有名。
【天一神/なかがみ】百鬼夜行の中心にいた。
【頭中将】光の君の友人。葵の上の同腹の兄妹。
【夏焼太夫/なつやぎたゆう】軽業師。口上の五十男、虫麻呂、鼓の少女、青虫と組んでいる。
【忍海/にんかい】蜂岡寺の座主。
【光の君/ひかるのきみ】光源氏。菩薩眼(見えざるものを見ることのできる眼)と龍顔(天子の相)を持つ。茫洋として動じないタイプ。《それは、楽しみでござります……》(p.82)。六条御息所《あなたは、心より女を愛しいと想うたことなど、これまでにただの一度もないお方です》(p.93)。《人の道を、踏み外しそうで……》p.179
【御息所】六条御息所。光の君の恋人の一人。斎宮の母。斎王代禊の儀で葵の上の車に酷い目にあわされた。有名な生き霊。
【夕顔】光の君のせいでこの世ならざる何かに遭遇させられ死んだ経験あり。