あらすじ
内裏の大火によって心身を傷つけた博雅と共に愛護山へ向かった晴明。山上より、焼けた内裏がいかにちっぽけなものか博雅に見せる。都では道真の祟りだという流言もあるが、八坂の浄蔵を訪ねた晴明は、道真の背後にある存在を確認するが?「天文博士 賀茂保憲 冷泉院遷御に於いて 反閇をつとめること」、新造内裏のために、陰陽地鎮の曲を舞うことを奏上すべく保憲を訪ねた晴明だが、前例のない提案に保憲は?「安倍晴明 建禮門の前にて 安摩を舞ふこと」の2編を収録。
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「原作を越えた」と原作者の夢枕獏に言わしめた作品。絵の美しさと大胆な展開が他の追随を許しません。漫画の域を超えています。特に後半の、原作からどんどん飛躍していく物語に関して、僕はおそらくその10%くらいしか理解できていなく、正直なところ「玄象と巻き物かわいいな」、くらいの勢いの駄目読者なのですが、その世界観には大いに感銘を受けました。
10巻以降、辞書みたいな厚さで、腕が疲れます…。
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連載時の清明が舞を舞う回で、それまで編み上げたいくつもの旋律が織り合わさって、交響楽曲を聴いているかのような不思議な高揚感にみまわれた。パズルのピースがことごとく嵌っていくような。一度完成した絵から、また別のピースがコロンと落ちたかのような巻末頁の構図に、何度見ても戦慄を覚える。
この巻を読むだけでは意味が繋がらないので、未読の人にはぜひ1巻から通しで読んで欲しい。
6巻の博雅と物の怪との一期一会の横笛セッションも、余韻も含め完璧。
問題はこの後の展開。岡野さんが読者を置き去りにどんどん自己の世界に入っていったため、宇宙人と交信しているかのような感じになっていく。残念。
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『天文博士 賀茂保憲 冷泉院遷御に於いて 反閇をつとめること』『安倍晴明 建礼門の前にて 安摩を舞ふこと』本がかなり分厚くなり、内容も馴染みのない言葉が多く、精神世界のような次元を超越した話しになって、読み進めるのに時間がかかりましたが、面白かったです。天と地を結びつけるスケールの大きい安摩の舞のシーンでは、物凄いエネルギーが晴明の身に集中して貫いていくのがよくわかりました。それと、晴明も凄いですが、博雅の頭で考えるより先に胸に響いて涙を流すことが出来る純粋さも素晴らしい。晴明と博雅。晴明と真葛の繋がりは、単純な友情という言葉とか、惚れたもの同士とかいう言葉におさまらりきれない特別なものがある事を感じます。
Posted by ブクログ
「天文博士賀茂保憲冷泉院遷御に於て反閇をつとめること」と「安倍晴明建禮門の前にて安摩を舞ふこと」の二話を収録していますが、物語としては連続した内容になっています。
菅公の背後に、彼一個の怨念を超えた「菊理媛」(ククリヒメ)が控えていたことが明らかとなります。菊理媛は、イザナギとイザナミを結び付けた女神であり、男と女、終りと始め、裏と表、肉体と魂を結ぶ役割を果たします。龍がその象徴となって現われ、晴明の身を通して天と地を結びます。みずからの果たすべき務めを知った晴明は、保憲のもとを訪ね、内裏の焼失のあとでふたたび天と地を結びなおすためにおこなわれる地鎮祭で、「安摩の舞」を舞うことを提案します。
晴明と博雅が京の都を舞台に怪事件を解決にみちびくという元のストーリーからすでに大きく離れて、幻想性の強い内容になってしまいましたが、ここからすこしずつクライマックスへ向かってますます壮大な世界観に突入していきます。